高山本線

登録日:2013/04/29(月) 19:36:52
更新日:2024/03/23 Sat 01:22:12
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高山本線(たかやまほんせん)とは、岐阜駅と富山駅を結ぶJR東海JR西日本の路線である。路線記号はCG

*1

概要

本州の「本線」では唯一単線非電化の地方交通線となっている。
その昔電化計画があり、起工式まで行ったにもかかわらず沿線に420本の架線柱が設置された時点で工事が中止となった
何故かというと、岐阜側の直流・1500Vにするか富山側の60Hz交流・20000Vにするかで揉め、かと言って交直流電車を投入するにも財政難の国鉄には無理な話だったため、と言われている。
とは言え、国鉄時代から輸送近代化が行われており、JR化後は気動車の高性能化などもあり、優等列車の高速運転及び列車の増発が可能になった。

岐阜~鵜沼間では名鉄各務原線と並走しており、競合している。
運賃はJRの方が安く、カーブや駅数の少なさから所要時間でもJRが有利になることが多い。
しかし、1時間当たりの運転本数はJRが2本、名鉄の4本に比べて半分しか走っていない。
これはJRが全線単線非電化なのに対し、名鉄は全線複線電化となっているためである。

昔から下呂温泉や高山市、飛騨市への観光路線としての性格を持つが、2012年に高山市が舞台となった「氷菓」がTVアニメ化した後や、2016年に飛騨市が舞台となったアニメ映画「君の名は。」が公開された後、「聖地巡礼」に訪れるファンが大勢現れ、ある意味活況を呈している。
十六銀行によると、ファンの「聖地巡礼」による高山市内への観光客増加は年間15万人で、岐阜県内への経済効果は21億円にも及ぶとされる為、少なからず恩恵を受けていると思われる。
なお、途中で下原八幡神社という神社の境内を走る区間がある。

JR化後、東海エリアでは唯一となる蒸気機関車の運行が行われたことがある。これは1994年に高山本線60周年を記念したもので、蒸気機関車はJR西日本からC56 160を借り受けて運行した。

路線のうち美濃太田~猪谷間は山間部を走るため、台風などの自然災害による長期間運休を余儀なくされることが多い。
土砂崩れや橋梁の流出だけでなく、1996年には大雨で落下した岩石と特急列車が衝突したこともある。

使用車両

▼HC85系
特急「ひだ」で使用。
キハ85の置き換えを目的に、2022年7月1日より運行を開始したディーゼルエンジンと蓄電池で走行するハイブリッド気動車。
全席にコンセントが完備され、グリーン車のデッキには高山本線沿線の伝統工芸品を展示したナノミュージアムが設置されている。
先頭車は383系にも似たプラグドアの貫通型で統一された。
なお扱い上は”電車”で、クモハやモハの記号が付されており、電車・気動車どちらの運転士でも運行が可能。

▼キハ75形1200番台・1300番台・3200番台・3300番台・3400番台・3500番台
岐阜~下呂の間で運用されている。
関西本線武豊線で運用されていた200番台・300番台・400番台・500番台からの転用改造で、耐寒仕様になっている。
美濃太田車両区と名古屋車両区に配属されている。

▼キハ25形0番台・100番台・1000番台・1100番台
313系の気動車版。岐阜~猪谷の間で運用されている。0・100番台は転換クロスシート、1000・1100番台はオールロングシート。どちらもワンマン運転対応。
いずれも耐寒仕様で、0番台と100番台は武豊線からの転用改造、1000番台と1100番台は新製投入されている。
美濃太田車両区に配属されている。

▼キハ120形
猪谷~富山間で使用。
JR西日本の地方交通線向け御用達車両。

▼キハ85系
特急「ひだ」で使用されていたJR東海初の新形式車両。
流線型のパノラマ式と貫通型の2種類の先頭車が用意されている。
「南紀」からいつの間にかパノラマグリーン車もコンバートされ、最大10両(うちグリーン車は1.5両)という長編成での運用もあった。
次述のHC85系の導入に伴い置き換えが開始され、2023年3月のダイヤ改正で「ひだ」から撤退し、同年7月に全車が引退した。
1両が美濃太田機関区に保存されているほか、一部の車両は京都丹後鉄道に譲渡されている。


主な駅

CG 00岐阜
東海道本線名鉄名古屋本線・各務原線(名鉄岐阜駅)乗り換え。
岐阜県第一の都市1である岐阜市の中心駅。
でも、新幹線は止まらない。

CG 01長森
岐阜駅の隣の駅なのに周囲は一面の田圃。
同じ隣駅でも東海道線とはえらい違いである。

CG 02那加
無人駅。
名鉄各務原線の新那加駅とは徒歩で乗り換え可能。
以前は、同駅との間に連絡線が存在していた。

CG 03蘇原
駅舎がえらくシンプルになった。

CG 04各務ケ原
駅の名前は「かがみがはら」、市の名前は各務原「かみがはら」。
ややこしい。
名鉄各務原線の名電各務原駅に至近。

CG 05鵜沼
名鉄犬山線・各務原線(新鵜沼駅)乗り換え。特急が一部停車する。
かつてはこの駅を通じて名鉄からの直通特急「北アルプス」が運行されていた。

CG 06坂祝
坂祝町唯一の駅。
さあて、なんて読むでしょう?
正解はさかほぎ
かつてはパジェロ製造という三菱自動車系の工場があり、同社が税収の大半を占めていた。

CG 07美濃太田
太多線、長良川鉄道越美南線乗り換え。
太多線には一部列車が直通する。
美濃加茂市の中心駅で全列車停車。
ここから普通列車の運転本数が一気に減る。
アニメ「のうりん」の舞台モデルの場所。観光案内所がとんでもないことになっている。
高山本線のTOICAエリアはここまで。

▼古井
「ふるい」と見せかけて実は「こび」と読む。

▼中川辺
川辺町の中心駅。この駅の1番線と2番線との分岐は、110km/hで通過可能な両開き分岐器(Y字ポイント)に取り換えられている。

▼下麻生
この駅の1番線と2番線との分岐も、110km/hで通過可能な両開き分岐器(Y字ポイント)に取り換えられている。

▼上麻生
七宗町唯一の駅。ちなみに七宗は「ひちそう」と読む。
この辺りから飛水峡沿いを走る。

▼白川口
特急が一部停車。
白川町の代表駅。と言っても白川郷がある方ではない(そちらは白川)。
下油井との間にある鷲原信号場は撮影スポットとして有名。
なお、当wikiにも記事がある飛騨川バス転落事故は、この駅の下流で発生している。

▼下油井
まだまだ岐阜県内だが、美濃地方としては線内最北端の駅。

▼飛驒金山
一部特急が停車する、下呂市金山地区の中心駅。普通列車が一部折り返す。
下原八幡神社の最寄り駅で境内を線路が通っているが、踏切などがなくまさに横切る形になっているので事故には注意。
また、神社以上に歩いた先には撮影スポット*2も。

▼焼石
沿線随一の撮影スポットである下原ダム最寄り駅。

CG 16下呂
下呂市の中心駅かつ「天下の三名泉」の一つ下呂温泉の玄関口駅。全列車停車。
2006年5月21日に天皇、皇后両陛下が降車するため、事前に駅舎内装、ホーム等が改装された。

▼禅昌寺
一部の普通列車が通過。交換可能だがホームは片方の線路にしかない。
実は所在地が下呂市中呂である。中呂駅だったら上中下揃っていたのに…

▼飛驒萩原
下呂市萩原地区の中心駅で一部特急が停車。
この駅も天皇、皇后両陛下が乗車するため、事前に駅舎内装、ホーム等が改装された。
良かったね、綺麗な駅になって。

▼上呂
下呂と対になるような駅名だが、中呂駅こと禅昌寺駅と共に一部の普通列車にスルーされる。
105km/hで通過可能な両開き分岐器(Y字ポイント)に取り換えられている。

▼飛驒宮田
岐阜から見て初めての単線駅。ここも一部普通列車が通過。
ちなみに読みは「ひだみや」。

▼渚
内陸なのに渚。道の駅飛騨街道なぎさの最寄り駅。

▼久々野
特急が一部停車。高山市久々野地区の中心駅。
高山本線の最高地点(676m)。
ここから飛騨一ノ宮の間は高低差が大きいため、派手にカーブする。

▼飛驒一ノ宮
駅名の由来になっている飛騨一宮水無神社の最寄り駅。
駅から臥龍桜という桜の木が見渡せる。

CG 25高山
飛騨の小京都とも呼ばれる高山市地域の代表駅として、下呂温泉と並ぶ高山本線の代表駅。
全列車停車で当駅で折り返す列車も多数。
氷菓効果で更に賑わいを見せている。
ちなみにここから白川郷へ行くバスに乗ることができる。
一般的にはユネスコの世界遺産に登録された観光地だが、実は惨劇の起きたあのアニメの聖地でもある。

▼上枝
ほずえ」と読む難読駅。

CG 28飛驒古川
映画「君の名は。」でも登場した駅。
飛騨市の中心駅。特急1往復はここで折り返す。

▼杉崎
飛驒古川からここまではほぼ直線区間である。

▼角川
「かどかわ」や「つのかわ」ではなく「つのわ」と読む。
「君の名は。」では飛騨一ノ宮駅からこの駅までモデルとなった場所が沿線に点在している。

▼坂上
読みは「さかみ」。
中部の駅百選に選定。

▼打保
分岐器がスノーシェッドに覆われている。

▼杉原
岐阜県の最北端且つJR東海管轄の最北端の駅。

▼猪谷
ここから富山県富山市&JR西日本区間。全列車停車で普通列車は全てここで折り返す。
富山県最南端の駅。
かつて神岡鉄道神岡線(旧国鉄神岡線)と接続していたが、2006年に廃線となった。

▼笹津
駅舎は地元のコミュニティ施設となっている。
かつては富山地方鉄道笹津線と接続していた。

▼越中八尾
富山市八尾地区の中心駅かつ「おわら風の盆」の最寄駅。
全列車停車する他、富山方面からの普通列車が一部折り返す。
因みに駅舎は七尾線の七尾駅の先代駅舎の移築…っえ?

▼速星
富山市婦中地区の中心駅。
特急が一部停車し、富山方面へ普通列車が一部折り返す。
近くの工場へ貨物線も分岐。

▼婦中鵜坂
高山本線活性化社会実験の一環で、2008年に臨時開業。
2011年の実験終了後も存続し、2014年に常設駅へ昇格している。
富山イノベーションパーク最寄り駅。

▼西富山
富山大学が徒歩圏内にある。

▼富山
北陸新幹線あいの風とやま鉄道線、富山地方鉄道本線、富山地方鉄道富山市内軌道線・富山港線乗り換え。
富山県の中心都市である富山市の代表駅にして終着駅。


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最終更新:2024年03月23日 01:22
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha85.jpg 日時:2016/01/03

*2 福来信号場