ニトロニクス(マキバオー)

登録日:2011/10/07(金) 19:00:08
更新日:2024/01/02 Tue 07:27:59
所要時間:約 4 分で読めます




ニトロニクスはみどりのマキバオーに登場する競走馬・種牡馬。
CV:石井康嗣

◆プロフィール

父:プレゼントクレヨー
母:グリセリン
母父:ジュンチャンデリーチ
毛色:鹿毛
所属:栗東・小田厩舎→美浦・柴田厩舎所属
産地:アメリカ合衆国
主戦騎手:木曽政義→滝川正和
生涯成績:12戦7勝(4歳時有馬記念終了時)

主な勝ち鞍
ジャパンカップ

◆概要

父はアメリカ二冠馬であり、芝土両方で活躍馬を出した名種牡馬。馬名の「ニトロ」は「ニトログリセリン」が由来。
重馬場を得意とするパワー型の馬で、鬣をリーゼントにしている。
「爆弾小僧」の異名が示すように、非常に気性が激しく、レース外では度々他の馬と小競り合いになることもしばしば。

外国産馬*1のため、クラシックレースへの出走権を持っていない。*2
この持って生まれた「マル外の呪い」が彼の運命を大きく翻弄することとなる。

◆レーススタイル

レーススタイルは先行から差しまで自在。
距離もマイルからクラシックディスタンスまで幅広くこなした。
特筆すべきはそのパワーで、あの根性と負けず嫌いを具現化したような存在であるマキバオーをして「ダートではとてもかなわない」と言わしめている。
一方で性格は荒く、よくレース前に他の馬に挑発され乱闘寸前の状況となっていた。
続編の「たいようのマキバオー」でも嶋々に「あの血の沸点はとても低い」と評されている。
こいつ実はただの(オラァァァア゙!……熱血漢である。

◆作中の活躍

初登場は週刊20馬。
外車らしくパワーに優れ、渋った馬場で行われた札幌3歳Sを圧勝。
続く函館3歳Sにてミドリマキバオーと相対する。
主戦騎手の木曽はマキバオーの調教師である飯富に反感を持っているようで、戦前からマキバオー陣営を挑発するなど
負けフラグの建築に余念がなかった。
当日は泥んこの不良馬場であり、渋った馬場を不得手とする*3マキバオーに対し有利にレースを展開するも、
馬場最内の最も荒れた個所に蹄をめり込ませて安定を得るという逆転の発想、
そして勝負どころでは滑らないようつま先立ちで走り加速するという奇策に屈し2着。
負けフラグを無事回収する。

ちなみにレース後、ニトロはこの敗戦について「実力で負けたんじゃねえ、作戦で負けたんだ」と語っている。
あれ、なんか小物くさ(オラァァァア゙!

その後京成杯3歳Sでもマキバオーと激突。
この頃から早くも小物感を払拭し(というかあれは騎手のせい)、頼れる兄貴分的な存在になった。
騎手も木曽から滝川にスイッチ。
レースこそマキバオーに敗れるが、立派に序盤の強敵としての役割を果たした。

そこからはしばらく出番がなく、ただの序盤のヤムチャキャラか……とも思われた。
だがそこはつの丸。
同世代のライバルたちが春のクラシックに向けて盛り上がる中、ニトロは裏街道*4にて重賞4連勝という
素晴らしい実績を残していたのだ。
マル外であるがゆえにクラシックには出られないが、実力では自分こそが最強―――
そんなプライドを胸に、彼はこの年創設された最強外国産馬決定戦、GⅠNHKマイルカップへの出走を決める。

NHKマイルカップ。
それは春のクラシックに出られない馬たち―――外国産馬のための祭典であり、馬柱にもずらりとマル外の印が並んだ。
そうした中で、ただ1頭出走してきた内国産馬がニトロの目を引く。
その馬こそ、朝日杯3歳Sと皐月賞を制し世代最強の名を恣にする「漆黒の帝王」カスケードであった。

ここでカスケードを下せばもはや内国産馬もマル外も関係なく、自分こそが世代最強である。
馬場も自分向きの荒れ模様。千載一遇のチャンスにニトロは燃えた。
レースにおいても実力を十二分に発揮し、皐月賞にて露呈したカスケードの弱点、競り合い時の弱さをついて見事先頭に立つ。

……しかし、ここからが帝王の本領だった。
皐月賞を実質的な敗北と認め、自らを鍛え直したカスケードにもはや精神面の弱さはなく、
「2の脚」を超える「3の脚」を繰り出して逆にニトロを圧倒。
何をやろうが一生追いつけないという、絶対的な実力差を思い知らされる形で敗北する。
なんかやっぱりかませくさ(オラァァァア゙!*5

その後は疲労の残る身体に鞭打ってマキバオーの調整を手伝い、きつつき戦法を生み出すきっかけを与える。
結果的にこれがマキバオー戴冠の決め手となった。
兄貴分らしいいい仕事である。

そこからまたしばらく出番がなかったが、週刊101馬で再登場。
ここまでに古馬相手の宝塚記念と毎日王冠を2着しており、もはや世代を超えた一流馬という評価を得ていた。
そして世界の強豪が集う国際招待競走、GⅠジャパンカップへの出走を決めるも、この年は有力古馬が軒並みこのレースをスキップ。
マル外であるはずのニトロが日本馬総大将という異例の事態となる。
これまで自分をマル外扱いしておきながら、いざとなったら日本馬の代表として持ち上げる。
そんな周囲の掌返しにニトロは何を思ったのか……。

しかし彼は腐ることなくレースに臨み、あのカスケードが着外に沈んだ凱旋門賞の2着馬、カントナと熾烈な叩き合いを演じる。
最後はわずかに抜け出し勝利。悲願のGⅠ勝利を世界相手に飾った。
レース後、カントナの騎手であるピエール氏はインタビューで「ニトロはカスケードよりも強かった。(NHKマイルで)負けたことが信じられない。」と語った。
……カントナがレース中骨折してた? 知らんがな。

世界相手に勝ち取った勲章を手に、年末の総決算、GⅠ有馬記念にも出走。
そしてこのレース中、ニトロが自らの境遇について抱えた思いが語られる。

春のNHKマイルカップ。
そもそもなぜカスケードはこのレースに出走してきたのか?
皐月賞をすでに勝っており、3冠を目指すにしても凱旋門賞に行くにしてもNHKマイルカップを使う理由はない。
大目標である日本ダービーを前にして、ただ余計な負担を背負うだけなのに。

ニトロは思う。
カスケードは自分たちマル外に対して、頂点を獲るチャンスを与えにきたのだと。
あそこでカスケードが出てこず、自分が勝っていたなら、ただマル外の境遇を呪って腐っていくだけだった。
カスケードに敗北し、頂点の強さを見せつけられたことで、今の自分とジャパンカップの勝利がある。
そしてそういうことができるからこそ、カスケードは誰もが認める「帝王」なのだ。

……しかし、そのカスケードは身体を病んでおり直線失速。
勝ったのはニトロの盟友にして主人公のミドリマキバオー。ニトロは直線ひと伸びが足りず4着に終わった。
雪降ってたし、馬場は向いたはずなんだけどなぁ。残念。


そんな色々と不遇なニトロだったが、WC編で明後日の方向に覚醒。
まず(馬群を避ける能力を上げるという目的の)サンドバッグ避けの調教でオラァァァア゙!を使用し、大量に突っ込んできたサンドバッグをぶっ飛ばした。
お前のような馬がいるか。

そしてWC第1Rに出場。
「勝ち」への執念の違いを見せ、フランスのアポーからの妨害を受けながらも1着をもぎ取った。
第4Rにも出場し、持ち前のパワーで水泳レースも高順位をキープ。
……ベアナックルに全部持っていかれた? 知らんがな。

そしてWC編の出番は終了。
世界を相手に勝っているのはベアとニトロだけである。
また、WC編を無事に終える事ができたのもこの2頭だけ。ある意味勝ち組か。

続編の『たいようのマキバオー』では種牡馬として名前が登場。
やはりその気性を受け継いでいる馬が多いようで、特に作中に登場するグラインドハウスは見た目、性格ともによく似ている。

◆余談

4歳(現表記では3歳)でジャパンカップを勝った日本馬は史上4頭しかいない。*6
有馬記念を勝つより遥かに厳しいともいえる偉業である。
戦績も非常に安定しており、馬券を買う側からしたらこれほどありがたい馬もいなかったことだろう。




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最終更新:2024年01月02日 07:27

*1 海外で生まれ、日本に輸入された馬。「マル外」「外車」とも呼ばれる。

*2 連載当時。現在は規定が変わり出走可能。

*3 蹄が並外れて大きいため、他の馬以上に滑りやすい。

*4 ここではクラシックに絡まない別路線の意。

*5 ちなみにリアルでは21世紀に入るまでダービールートへも行く日本産馬が参戦しなかったため、マイルカップは外国産馬の独壇場だったのだが…

*6 エルコンドルパサー・ジャングルポケット・ローズキングダム・ジェンティルドンナ。なお、ローズキングダムは1着馬の降着による繰り上がりである。