ドロシー・カタロニア

登録日:2011/03/09(水) 18:23:00
更新日:2024/01/04 Thu 20:36:25
所要時間:約 6 分で読めます





早く戦争になぁ〜れっ☆



新機動戦記ガンダムW』の登場人物。

年齢:15歳
身長:158cm
体重:41kg
人種:アーリア系
声優:松井菜桜子



秘密結社OZの母体であるロームフェラ財団、その代表であるデルマイユ侯爵の孫娘。
美しい金髪と、そのV字型眉毛が特徴的すぎる少女である。

本作品のメインキャラクターはほとんど数字が名前の由来になっているが、彼女には明確な由来が無い。
推測するに組織名にも引用されている「オズの魔法使い」より主人公のドロシーからと思われる。


OZ総帥であるエレガント閣下ことトレーズ・クシュリナーダとは遠縁の親戚で、彼の従姪にあたる。
また、彼女の父はトレーズ閣下の前任であるカタロニア将軍。

幼い頃からトレーズや、サンクキングダム王子ミリアルド・ピースクラフトとは親交があり、よく遊んでもらう仲だったようだ。

その言動はエキサイティングかつエキセントリック。
サンクキングダムの王女であるリリーナ・ピースクラフトを「時代のヒロイン」と呼び、「ファン」を自称している。
しかし当の本人の言動はリリーナとは正反対の、まるで戦いを待望しているかのようなもの。
当然、その思想の違いからリリーナと衝突する場面も見られた。

戦いには独特の美学を持っているらしく、新たな戦場の主役となったMD(モビルドール)に対して「お人形さん」と軽蔑の眼差しを向けていた。
一方でガンダムのパイロット達に対しては「理想の戦士」として、その在り方に惹かれていたようである。

歳に見合わぬ知略を持つ人物でもあり、様々な暗躍を行う事もあった。
紛れもなく、作中の歴史を動かした人物の一人。

その歪み、そして一見破綻しているような性格の裏には、かつて父を奪った戦争に対しての憎しみがあった。
彼女が戦争を望むのは、未だ争いを捨てられない人類に対して「二度と見たくなくなるような、凄惨な戦争」を見せる事で、人類から争いをなくす為。
つまり戦争を望む理由はトレーズゼクスと同じである。
ちなみにトレーズは心から人と人による戦争を望む悪人でもあるので、言っていることややっていることなどは大体同類ではあるものの根の部分は意外と似ていない。

そんな人なので前述の「ファン」発言なども本心からのもので、リリーナと衝突することもあるが尊敬や心配する気持ちも本物である。
リリーナとの出会いのきっかけである、完全平和主義を学びに来たというのも建前ではなく本心であると思われる。
行動しない人も戦争と同じく嫌っているため、リリーナを挑発することもあったし、前述の通り暗躍もしている。
これは完全平和主義というのがいかに困難で、そして脆いものであるかを知っていたためでもある*1

そのためサンクキングダム防衛戦の最中、リリーナが『サンクキングダムが火種となる』のでサンクキングダムを解体すると決断し、
そして完全平和主義を諦めないどころか、より強かに行動し始めた時にはとても喜んだ。

歪んではいるし、表向きの発言は一番狂っているのだが、彼女もまた、平和を強く望む人間なのである。
……なのだが、本作品は制作現場がゴタゴタでボロボロだったので、そういった彼女の心境を深く掘り下げる場面は少ない。
終盤の一連の流れだけで把握するのは中々難しく、多くの視聴者の目には単にブッ飛んだお嬢様に映ってしまった。
まあ、彼女が地球圏で一番ブッ飛んだお嬢様である事には変わりはないが……。

しかし、地味に漫画版での扱いが悲惨で彼女の背景が何一つ描かれておらず、ガチで戦争大好きなだけのブッ飛んだお嬢様と化している。
(最終話でヒイロ・ユイとゼクスの決闘を見て考えを改めたが)
そもそも漫画版の初登場回ではデザインすら固まっていなかったらしく ウェーブのかかった髪に黒目がちの目 という外見だったり
(単行本ではマルティウスと一緒に修正) 誰も見てないところでウソ泣きする 奇癖の持ち主だったりしている。
ただし、漫画版作者のときた洸一のお気に入りキャラだったりもする。

なお、漫画版を越える勢いで悲惨だったのが『スーパーロボット大戦α』で、背景が描かれないばかりかエピオンに乗って現れた*2挙句、説得とかもできずエピオンを落とすと死ぬ*3
そもそもEWの時期のドロシーの動向が初めて描かれたスパロボが第3次Zだったという……。
そのくせ、Fとか第2次Z破界篇では後編へと繋げる前編ED最後のシメが彼女の「早く戦争にな~れっ」だったりする(音声付き)辺り愛されてるんだかそうじゃないんだかよくわからない。




【劇中の活躍】

復興したサンクキングダムに、ロームフェラからの留学生として登場。
自分の車(金ピカ)を運転中、平和の象徴である鳩をクラクションで追い払いながら走り抜けるのに始まり、リリーナに真っ向から意見をぶつけたり、ヒイロ・ユイとフェンシングをしたりと視聴者にその存在を強烈に印象付けた。挙句に「早く戦争になぁ~れっ!」というとんでもなくぶっ飛んだ物騒なセリフを発したりと最初からクライマックスだった。

暗躍によってサンクキングダム崩壊を招いたのは彼女だが、これは緻密な暗躍というよりは当時の情勢からサンクキングダムが崩壊間際だったということが大きく、彼女はその引き金を引いただけの形である。
決してまともとも善良な行動とも言えないが、彼女が行動しなくとも遅かれ早かれ崩壊していたか、ズルズルと落ちぶれていくだけだったと思われる。
サンクキングダムの崩壊後はリリーナと財団のパイプ役を務め、彼女を財団に連れていった。
彼女の祖父デルマイユはその生い立ち・年齢・後ろ盾の無さなどから傀儡としてリリーナを財団の象徴に据えるつもりだったが、ドロシーはその目論みを知りつつ放置した。
彼女はリリーナがその程度で収まる人間ではないと見抜いていた。

実際、デルマイユはリリーナの求心力の前に立場を失ってしまう。
焦るデルマイユに宇宙行きをほのめかし、結果的に彼を葬り去ることとなった。流石に予想外だったのか動揺を隠せず絶叫したものの、すぐに切り替えた。怖い。

その後、ミリアルドが率いるホワイトファングに赴き、彼の手助けを約束する。
そして、ミリアルドが考案した「ゼロシステム連動型MD指揮システム」を操作。
なんと一発で使いこなし、MDにかつてないチームプレイをもたらし、ヒイロを除く4人のガンダムチームを追い詰めてしまった。

ちなみに、作中でゼロシステムを一発で使いこなしたのは彼女(ある意味ではトレーズと五飛も)だけ。
ただし彼女はモビルドールシステムの遠隔操縦だったので、自分や味方の人間が犠牲になる未来はほぼ見ることが無いという違いは非常に大きい。*4

そう考えると今までバラバラに単独で戦っていた仲間に対して、MSパイロットとして戦闘しながら指揮していたカトルって……。

結果的にはゼロシステムを克服したカトルとの指揮合戦になったが、相手が上手で敗北した。

リーブラ攻防戦では、リーブラ内部で生身のカトルと戦い、本気で殺しに来ない彼に苛立ちを見せつつゼロシステムの力で彼を圧倒。
(この際戦争を望む『本音』を吐き出したため、この場面で視聴者も彼女の今までの行動や発言の真意がようやく分かる)
しかしカトルに勝利するも、その勝利のむなしさとトレーズ戦死の報により、生きる気力を失ってしまう。
だがカトルの優しさに触れ、トロワに説得されて再び気力を取り戻し、崩れ行くリーブラから脱出した。

エピローグでは、トレーズとミリアルドの墓に花を添えている。



劇場版にのみ登場。
マリーメイアの脅威にただ黙っているだけの群衆を挑発し、扇動する。
平和のための武力によらない抵抗を説き、市民一人一人の戦う意思を目覚めさせた。
OVA版と流れは変わっていないが、ドロシーのシーンが加わることでより納得しやすくなっている。

TVシリーズと比べると明らかに雰囲気が変わっており、精神的に成長した様子がうかがえる。突飛な人物を気取るようなどこか浮ついた印象は消え、毅然とした堂々たる振舞いとなっている。

また、その群衆の移動手段として大量のトレーラー(やはり金色)を提供している。
どうやら金色に塗装するセンスは元々のものだったらしい。


新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST
上記ときた洸一による、本編とEWの間の話を描いた漫画作品。
今のロームフェラ系列の財閥の内情は知りようが無い立場となっているが、
戦没者の墓参りをしていてヒイロから協力を要請され、ウルカヌスやブローデンの情報を与える。
偶然リリーナも訪ねてきたタイミングでデルマイユの遺産からを暗号文を探し出して資料室に二人きりにしたりと色々な意味でファインプレーを見せる。
ブローデンにはウルカヌスの所在は知らないと言ったようだが、ヒイロが訪問した翌日には暗号文を出してきたり、
ウルカヌスなんてあるかどうかもわからないから必要ないとブローデンを通報しなかった割にヒイロには話題を変えてまで伝えたりとどこまで本音かわからない態度が見られるが、
あの戦争が本当に人の心に平和を呼び込めたのかを知りたいというのが真意。
「美しく成長していて登場させた甲斐があった」とは脚本の千葉克彦による後書き。

【SDガンダム外伝】
鎧闘神戦記編にて堕天使ドロシーとして登場。天使族でありながらバロックガンに与する敵。
大体人間モチーフのキャラはアムロやシャアレベルでない限りスポットが当たりづらいのだが
今作の彼女はエピソードカードにて絶大なインパクトを残していった。それは…


「眉毛が伸びる」



のである。
それも生半可な伸び方ではなく、触手のように伸びた蟹眉毛がリリーナに絡みついてそのまま攫っていくというもの。
何を言ってるのかわからないと思うがその通りなので仕方がない。





【主な台詞】

「早く戦争になぁ〜れっ☆」

「強く、気高く、激しく生きて!……死ぬのは、それからでもいいでしょう?」

「リリーナ様はずるいわ。皆を平和なんて言葉で集めておいて、いざとなったら自分では何もしないんだもの」

「いいえ、ますますファンになっちゃったわ!」

「死を恐れてはいけないわ。死は、生まれた時から既に与えられた結果なんですもの」

「さあ、お人形さん達! 華麗なダンスを踊りなさい!」

「破壊と殺戮は戦争の責任ではないわ! 倒さなければならない敵は、私たちの心の中にあるのよ!」

「あなた方は尻尾を振る犬ではなく……犬に振られる尻尾なのよ!」

「私の知る男たちは墓の中か……あそこにしかいないわ!」


余談

ガンダムシリーズの映像作品で「ドロシー」という名前のキャラクターは他に2人存在する。0080のドロレス・ヘイズ(愛称がドロシー)と、F91のドロシー・ムーアである。

共通点としては主人公と学友、または学友になった期間があるということ。
ちなみにドロシー・ムーアを演じていたのは本項でのドロシーと絡みがあったカトル役の折笠愛氏。



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最終更新:2024年01月04日 20:36

*1 暗躍時の情勢では単純にサンクキングダムで完全平和主義を唱えるだけでは未来がなかった。そもそも過去にも同様の流れで崩壊している。

*2 ゼクスはトールギスIIIに乗ってくる

*3 一応死が明言されているわけでもないのだが、以後のαシリーズで一切姿を見せないし、そもそも落ちた時の台詞が覚悟決まりすぎている。

*4 自分や大切なモノが犠牲になる未来が見えない分、パイロット状態で使うより負担は遥かに小さい。システムに飲まれればヒイロやカトルのようにシステムの指示通りにMDへの指示を繰り返す人形に成り下がっていたのだが、ドロシーは使用中も正気を保っていた。