サワムラー

登録日:2011/02/10 Thu 15:25:05
更新日:2024/02/29 Thu 17:13:12
所要時間:約 12 分で読めます





サワムラーとは、『ポケットモンスター』シリーズのポケモンの一種である。


◆データ


全国図鑑No.106
分類:キックポケモン
英語名:Hitmonlee
高さ1.5m
重さ49.8kg
タマゴグループ:人型
性別比率:♂100♀0

タイプ:かくとう
特性:じゅうなん(麻痺状態にならない)
  /すてみ(反動でダメージを受ける技の威力を1.2倍にする)
隠れ特性:かるわざ(自分の持ち物がなくなると素早さが2倍になる。再び持つと元に戻る。最初から持っていない場合は無効)

種族値
HP:50
攻撃:120
防御:53
特攻:35
特防:110(初代のみ35)
素早さ:87
合計:455

努力値:攻撃+2

バルキーがレベル20になった時、攻撃が防御より高ければ進化する。


◆概要


名前の由来は「真空飛び膝蹴り」という必殺技を持ち「キックの鬼」とまで呼ばれた、キックボクサーの沢村忠氏。
英語名の"Hitmonlee"の"lee"は"Bruce Lee"(ブルース・リー)が由来らしい。

容姿は人型。しかし頭部と肩が一体化しており口が無い(見当たらないだけで食事も鳴き声もちゃんとある)。
茶色い体色だが蛇腹状になっている手首と両脚だけは黄色く、指は上下共3本。
目の周りの隈取りが非常に印象的なポケモン。

「キックの鬼」と呼ばれておりバネのように伸縮自在の蹴りで間合いを読ませず、ダイヤモンドのように硬化する足で粉砕する。
脚のケアも欠かさない。

反面構造上走るのは苦手で足が伸びるため大股になってしまう。


◆ゲームでのサワムラー


赤・緑』ではヤマブキシティでポケモンジムの座を賭けてナツメと勝負し敗れた格闘道場の師範代を倒すと貰える
この時対になるエビワラーというポケモンとどちらか欲しい方を選択しなくてはならず、両方手に入れるには友達に送って貰う等しなくてはならなかった。

使い勝手で言えばサワムラーを選ぶのがオススメ。
レベルアップで覚える技が「きあいだめ」*1を除いて優秀なため、わざマシンによる補強なしでも戦える。
当時パンチ技がどれも産廃同然なエビワラーに比べると差は歴然だった。

エスパー無双の初代において格闘タイプ同士の優劣などどんぐりの背比べ…と思うかもしれない。
が、コイツに関して言えば普通に育ててポケモンリーグで活躍できるポテンシャルがないわけでもない。
最大の見せ場はカントー四天王一番手にして最強と言われるカンナ戦。
AIがバカ*2なので先鋒ジュゴンが「ねむる」を繰り返す内に「ヨガのポーズ」を積みまくれるのだ。
ワタル戦でも「こうそくいどう」を繰り返すハクリューカイリューが狙い目となるが、相性の悪いひこうタイプが多い点に注意。
せっかくだから技マシンを使って「かげぶんしん」も覚えさせておくのも手。
ただし覚えられる技がノーマルタイプか格闘タイプのものしかないため、当時ダメージ固定技が相性非依存の恩恵を受けていた「ちきゅうなげ」でないとキクコゲンガーとゴースト相手に詰む。
といっても結局活躍の場は旅パ限定で、『ポケモンスタジアム2』の99カップルールですらさっぱり活躍できなかった。

金・銀』からは進化前のバルキーと分岐進化先のカポエラーが追加された。
進化条件はレベル20の時にこうげき>ぼうぎょであること。
努力値システムがよく知られる仕様になった第三世代からは、「バルキー系では最も楽に入手できる」という地味な利点ができた。
性格個体によってはドーピングや努力値振りで調整が必要になるが、
他2匹と違って綿密な調整が必要ないため非常に楽。努力値リセットの木の実がない時期や貴重品である作品、特に『エメラルド』が出る前の第三世代だとこの傾向が顕著になる。

トレーナーでは四天王シバや強化後のシジマが使用する。

またとあるトレーナーの部屋にはポケモンの弱点や対抗が書かれた張り紙が貼り付けられており、その中に何故か肩部に◯がされたサワムラーが入っている。
おそらくサワムラーのきゅうしょがそこなのだろうか。RPGである以上わからないが、実際のポケモンバトルはそういった部分を付くのも勝利の秘訣なのだろう。
だがなぜサワムラーを研究しているのかわからない為、件のトレーナーは「サワムラーに何の価値を見出したのか」とか「サワムラーを最も研究した男」などといじられている。

◆対戦でのサワムラー


格闘3兄弟の中では一番役割がハッキリした速攻型のアタッカー。
初代では「まわしげり」「とびげり」「とびひざげり」と専用技を3つも与えられる。
特に「とびひざげり」は当時最強の格闘技。
他の格闘ポケには必須となる「じごくぐるま」に比べて段違いに恵まれた性能だった。
種族値的にも同タイプではカイリキーに迫る攻撃とオコリザルに次ぐ素早さを兼ね備える。

しかし第一世代は種族値が特攻/特防一体故に特防は実質35。異常に低すぎる紙耐久で殆どの特殊技が致命傷。
自身のタイプも当時最強のエスパーを弱点にもつ格闘タイプ。
当時の格闘タイプの悲惨さは言うに及ばずぶっちゃけ不遇だった。
スピードはそこそこあるが低い耐久力や一致技の火力不足が足を引っ張り、正直対戦環境で通用するスペックではない。
ついでに上記の通り技範囲がかくとうタイプの中でも最も狭く、一致技とノーマル技だけ。

金銀では特殊が特攻と特防に分化されてからは高い特防を手に入れるが。低いHPのせいでイマイチ生かせず。
しかし「めざめるパワー」の登場により、技範囲が死んでいたサワムラーもめざやめざといった相性補完の可能なサブウェポンを獲得した。
「こらえる」+「きしかいせい」のコンボはヘラクロスでもできるが、ヘラクロスより素早さの種族値で勝るのが利点。このような利点から、00カップの地区予選上位入賞パーティにエントリーされることもあった。

第三世代で追加された特性は「じゅうなん」を獲得。
麻痺で素早さが下がらないのは速攻型にとっては嬉しい仕様。
またエビワラー、カポエラー共々物理アタッカーの基本技「じしん」を習得可能になった。
同時期にゲンガーは特性「ふゆう」を獲得したのでこの技で対策、というわけにはいかなかったが。
さて、当時はまだメタの関係で先制技や悪天候が一般的でなく、カムラのみを持たせた「こらえる(みがわり)+きしかいせい」のコンボが決まりやすく強力だった。
麻痺状態にならないので安定性が群を抜いて高いが、他の候補者であるチャーレムバシャーモ、ヘラクロスに比べるとサブウェポンの火力が低いのが難点となる。
ただしなぜかサワムラーのきしかいせいの習得レベルが51。第三世代にはフラットルールなんてものは存在しないので、レベル50ルールではどうやっても使えない。
一方でオープンレベルでは、禁止級以外では当時唯一の天候特性持ちだったバンギラスを出されると「こらえる」が機能不全に陥ってしまうので別のポケモンを使った方がいい。
第三世代の習得技が極めて混沌としていることの一例であり、Lv50とオープンではメタが違うということを如実に示す例である。

第四世代からは新特性にして専用特性の「すてみ」と炎技「ブレイズキック」を習得し戦術の幅が広がった。
だが特性「ヨガパワー」を備えたチャーレムがいるため、持ち技の火力があっさり抜かれてしまう。
しかし正直捨て身を使う機会があんまりなく速攻型に嬉しい柔軟型のがメジャーなため、十分差別化できてはいた。チャーレムは麻痺すると一気に機能不全化してしまうのだ。
スカーフを巻けば性格補正なしでも130族を抜ける絶妙な速さは素晴らしい。
きあいのタスキ」の登場により低い耐久力も「きしかいせい」コンボで活かせるようになった。
使い勝手が非常に安定したアタッカーだったのだが、裏を返せばただそれだけの存在でもあった。
物理受けのポケモンを出せば安定して受けられるし、下手に意表を突くことを考えたり差別化を狙うとますます弱くなるという典型的なポケモン。

第五世代からは飛び膝蹴りの威力がインド人もビックリの130に仕様変更。
捨て身にやっと使い道が現れ戦術が広がった!やったね!
……と思ってたら種族値で上回るとびひざ使い、かつすてみ持ちのコジョンドという新たな壁が登場。
さらにこの世代はランクルスブルンゲルシャンデラなどがデビューした世代であり、相性の悪い連中が一気にメジャー化したことが逆風となっていた。

隠れ特性は「かるわざ」。
ノーマルジュエル」+「ねこだまし」や「きあいのタスキ」、木の実を利用すればオコジョも裸足で逃げ出しても追いつく超スピードを獲得!やったね!
捨て身持ちが増えようとも上述の通り軽業型に活路を見出すことが可能。

第六世代ではジュエルがオミットされたが、ノーマルジュエルだけは生き残っているので猫騙し軽業コンボも健在。
サワムラーと同じく軽業発動や飛び膝蹴りを備え、軽業の恩恵を受ける「アクロバット」まで備えるルチャブルが登場したが、「ねこだまし」を覚えず、ジュエル猫騙しができないのでその点で差別化は可能。

また柔軟スカーフ型での運用はオコジョやジュウシマツにはない強みであり、彼らにはない有用な技も備えている。
具体的には先制技の「ふいうち」「バレットパンチ」、毒タイプギルガルド対策の「じしん」、格闘・地面で弱点を突けない複合対策の「ブレイズキック」等。
それ以外でもフェアリー対策の「どくづき」や「かるわざ」と好相性な「なげつける」、汎用性の高い「はたきおとす」「がんせきふうじ」等も備え器用に動ける。
マイナーではあるものの3兄弟の中では最もシングルマッチ向きであり、厨ポケ溢れるランダムマッチの現環境でもそれなりに活躍できるポテンシャルは持っている。

LPLEでは他の格闘ポケモンが「ばかぢから」「かわらわり」「けたぐり」などで頑張らないといけない中、サワムラーだけはとびひざげりを保持することに成功。元々専用技なんだから当たり前である
ややエスパー寄りな環境だがサワムラーより遅い相手をその破壊力でどんどんなぎ倒せそうなパワーがある。

愛を持って育てれば十分活躍してくれるはずである。
頑張れサワムラー! お前の蹴りは世界に届くぞ!

バルキー族自体が♂しかいないので遺伝技を気にする必要がない……と思いがちだが、実は親となるサワムラー・エビワラー・カポエラーから遺伝技という形でいくつかの技を引き継げる。
特にバレットパンチを習得可能になった第四世代以降はこの仕様がかなり重要になるため、育成のハードルは若干高かった。

初代の3つの専用技だが、「とびひざげり」は第三世代のチャーレムを皮切りに様々なポケモンに配られ、第五世代での威力増加により一気にガチ技になった。
「とびげり」は第五世代以降メブキジカドードリオなど、バランス調整の一環として様々なポケモンに配られてサブウェポンとして活躍している。
どちらもサワムラーの手(足?)を離れたことで開花した技である。
残る「まわしげり」だが、実は第二世代の時点でカイリキーやエレブー族が「まわしげり」を習得することはあまり知られていない。
一見エレブーのサブウェポンとして使えそうなものだが、エレブーはさらに優秀な「クロスチョップ」を覚えるのでまったく使われない。どうも不遇な技である。

ちなみに相方にして兄弟分のエビワラーはポケモンカード以外はあまり扱いが良くないポケモンカード第一弾のエビワラーが初期の環境で大暴れしただけであり、その後は環境についていけず新録カードもまったくの鳴かず飛ばず。
その一方で弟分のカポエラーは「いかく」と「テクニシャン」という優秀な特性を体得し、非常にトリッキーな役回りとして第五世代の「結論パーティ」にも名を連ねる職人枠となった他、第四世代以前も全体的に小器用な性能からよく使われていた。
「インファイト」って耐久下がるんだからある意味捨て身じゃね?すてみ補正くれてもよくね?


◆アニメでのサワムラー


P1グランプリという格闘大会にでるトレーナーが所持。

しかしロケット団が持ち主のトレーナーを幽閉し、なりすましてしまいトレーナーが違う事に気づかないまま大会出場。
元々結構強かったのかアノキのエビワラーと準決勝で闘うまで勝ち進む。
しかしアノキの修行を受けたエビワラーに苦戦。が、ロケット団のニャースが床下に潜り込みエビワラーの足を接着してしまう。
動けないエビワラーに猛攻をかけてタオルストップという何とも後味の悪い結果となってしまう。
因みに決勝でサトシオコリザルに敗れた後、ちゃんとトレーナーの元に戻れたらしい。
よかった。

以降要所要所で姿を見せるがなんとジュンの手持ちとしても登場した。


『THE ORIGIN』ではレッドの手持ちとしてトキワシティジムリーダーサカキとの勝負に参加。
ここまで4タテを食らわされたサイホーン相手にタイプ相性もあったとはいえ相打ちに持ち込む活躍を見せた。


◆漫画でのサワムラー


ポケットモンスターSPECIAL』での活躍

四天王の一人シバの手持ちとして登場。シバの特殊な訓練により足だけでなく腕も伸縮自在。
またスピードも尋常ではなく間合いを読ませぬ動きと民家も破壊する強力な蹴りで暴れまわった。

劇中では
  • レッドピカを膝の位置を見極めさせない動きの蹴りで一撃で撃破。
  • 崖の上から伸ばした足でマサキの自宅を破壊。
  • 手足を伸ばしネット状になる事でブルーカメックスの「ハイドロポンプ」による特攻を弾きとばす。
  • シバが酸の海に落ちそうになった際上記の方法で受けとめる。
    その際片方の足をマチスに巻きつけ引き摺り落とそうとしもう片方の足でレアコイルを破壊。
    実質腕力だけでシバを支えていたことになる。

打たれ弱いのが弱点ではあったが図鑑所有者やロケット団幹部などの優秀なトレーナーを終始翻弄するその姿から恐らくシバの最強の手持ちと思われる。
つーか勝てるかこんな奴。

ちなみにレッドとの決着はつけず終い。
残念。


ポケットモンスター金・銀 ゴールデン・ボーイズ

レンタルポケモンの大会でゴールドが格闘3兄弟を使用。相性が良かったのか決勝まで勝ち進む。
しかし決勝の相手のブラックはフーディンを使用。
相手の挑発にのってしまったゴールドの指示ミスでサイコキネシスの直撃を受け「まだ息がある」としてニューラに嬉々として切り刻まれてしまう。
絶命しかねない自体だったがその時……。
この話では格闘3兄弟の強い絆と負け戦にも怯まない姿を見る事ができるエピソードとなっている。
この話で信頼を得たゴールドは育て屋さんからバルキーを手に入れる。


穴久保版ポケットモンスター

相方がギエピーの犠牲になる。
なんか恨みあんのか?
ちなみに元になった沢村忠氏の真空跳び膝蹴りを披露した。

エニックスの4コマ漫画

  • エビワラーにちょっと取り返しのつかないアダ名をつける。
  • 自分の悪口は許さない
  • テレビゲームをたしなむ。正座して。
  • トレーナーにタイプは何か聞かれて『雨の日に段ボールに捨てられた仔犬を放っておけず連れて帰る女の子がタイプです』と答えた

◆その他


初代スマブラではモンスターボールから出てくるポケモンとして登場。一番近い敵に「とびげり」を放つ。その際に発する「テーイヤッ!テイテイテイテイ!」という掛け声は聴いて損はない。サワムラーのCVがどんなのだかわかる人はかなりの古参。

元ネタである沢村忠氏(1943~2021)は1960~70年代に活躍したキックボクサー*3
流石に若い子たちは現役時代を知らず、近年ではご本人の活躍を知っている人よりも「サワムラーの元ネタの人」として認識している人の方が多いと思われる。
また2020年シーズン中に巨人からロッテへとトレードで移籍した澤村拓一選手がサワムラーネタで話題になったことで、こっちの澤村とも縁が深い*4
以下は澤村のサワムラーネタ。
  • 移籍翌日にいきなり登板し、その際ユニフォームが間に合わずに打撃投手のものを着用。これが背番号106(=サワムラーの図鑑番号)だったことからサワムラーネタに火が付く
  • 球団公式やパ・リーグ公式がこれに乗っかり、TwitterやYouTubeで度々サワムラーネタを披露する
  • 球団イベント*5の特別ユニフォームで「SAWAMURAAAと書かれたものを着用
  • ポケモンセンターでサワムラーのぬいぐるみが完売する異常事態が勃発する
こうして一大旋風を巻き起こした澤村は、2021年からはメジャーリーグ界の強ポケ、ボストン・レッドソックスに移籍してさらなる活躍を続けている。
一方の本家サワムラーが環境で活躍するのはいつですか?



追記・修正はすてみでお願いします。

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  • ビート板
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  • これは伸びる(足の長さが)
  • ジャミラ
  • デデデデイッ!
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最終更新:2024年02月29日 17:13

*1 当時はバグで使うと逆に急所率が下がる効果だった。

*2 当時の敵トレーナーのAIは攻撃技か変化技かに関わらず相手の弱点タイプの技を連発する仕様だった。

*3 アニヲタ的には『キックの鬼』の元となった人物。

*4 両者の「さわ」の字が違うことには注意。澤村の場合は所により「沢村」表記もあるので、一概には言えないが。

*5 この日は選手の名前がニックネームで表記された。