ミミズ

登録日:2009/08/02 Sun 02:54:19
更新日:2023/09/06 Wed 15:30:38
所要時間:約 4 分で読めます




目次


概要

環形動物門 貧毛綱に属する動物の総称。漢字で書くと「蚯蚓」、英語では「Earthworm」など*1
タグからわかるように世間ではよく虫扱いされるが、昆虫などに近い生物というわけではない。
目が無く、手足も無く、紐状の動物。
名称は“目見えず”から来たとも言われる。多くは陸上の土壌中に住むが、水路の苔の部分にもいる。
ウジ同様釣り餌になる事もしばしば。
オーストラリアには体長が3メートルにもなる、まるでヘビのように超大きなミミズもいる。

手足・頭・触角等、目につく顕著な器官が体表に何もないので、ごく下等な動物と思われがち。
だが、これらは顕著な頭部器官や疣足を持つ同じ環形動物門の多毛類(ゴカイの仲間)のような複雑な形態を持った祖先から、
地中生活への適応として二次的に単純化を起こす方向で進化したものである。

体の特徴は、細長く、沢山の体節に分かれている事で最先端には口前葉がある。
体の先端部に口があり、そこから体幹の全長にわたって腸が伸びて、後端部の肛門に続く。
老廃物は、各体節ごとに腎管によって排出される。
卵は地表の石の下や枯れ葉等の下に産み、パッと見はシリカゲル*2に似ている。
ミミズの食料は土の中にいる微生物や有機物。これらを土ごと食べながら排泄して土を掘り進んでいくのだが、その排泄物(ウンコ)は有機物が分解されて肥料に変わり、土もミミズの体内を通った影響で粒子が一定レベルで固まって(これを団粒化と呼ぶ)植物の生育に適した状態となる。
これらの有用さから、土いじり関係の仕事の人はミミズを大切に扱うそうな。
また、小学生の夏休みの宿題にありがちな朝顔の成長日記等の際、
「土を綺麗にするからミミズを一匹入れておきましょう」等と言って先生がミミズを持ってきて女子が大騒ぎしたりする。

が、ミミズの有益性は、あくまで温帯・熱帯等の「ミミズがいて当たり前の生態系」における話
日本ではミミズが深刻なトラブルを引き起こしたりするような事などまずないため、昔は「見た目はともかく、ミミズは土を肥えさせてくれるんだから何らデメリットのない非常に有益な生き物」程度に思われていた。
しかし、高緯度地帯など、ミミズ無しでも生態系がきちんと循環する森林や原野も存在する(寒さに弱いミミズは元々繁殖できないのだ)。
そうした地域にミミズが持ち込まれて繁殖した場合、れっきとした「外来種」となり、生態系に悪影響を及ぼす。
現に北アメリカ北部においては、釣り人が捨てた餌用のミミズが野生化し、落ち葉などを食い尽くして糞で土壌を破壊しているのが問題視されている。
世の中、そううまくはいかないのである。

なぜかアスファルトの路上に干からびたミミズが落ちているのを見かけるが、何をしにアスファルトの上を這っていったのだろうか……。
雨が降りそうになると土中から這い出る性質を持つ為、恐らく雨が降る前触れだったのかも知れない。
そして大抵雨の日には蛙やナメクジ等と一緒に潰れた姿が多数目撃される。*3

「み、水……」

「え? ミミズ?」

というギャグ? が昔流行った……ような気がする。

多くのミミズは、雌雄同体であり、雄性生殖器と雌性生殖器をあわせ持つ。
つまり、生まれながらにして『ふたなり』なのである。
まあこれは、ナメクジやかたつむりにも言えるが。

また、無性生殖を行うミミズもいる。
そういう奴らはたとえ半分に千切れても再生し、それぞれが一個体となる。

都市伝説・迷信

よく、ハンバーガーの肉に使われている等と言う都市伝説があるが、当然これはデマ*4
ある物好きがミミズ100%のハンバーグを作ったところ、とても食えた物ではない代物が出来たらしい。
ぶっちゃけてしまえば、ミンチメーカーからにゅるにゅる出てきた挽き肉が群れたミミズとイメージが似ていた事から「ミミズ」という隠語がついた事からの派生伝説である。
そもそも食用ミミズは安くなく、下処理の手間も非常にかかる為、わざわざ安いアメリカ牛肉の代わりに使うものではない。

ただし、ミミズは栄養価が高いので、昔から世界中で食用されている。
漢方薬の材料に使われることもあるようだ。
カリフォルニアではミミズ料理のコンテストも行われているそうな。

なお、食物連鎖の最下位であるミミズは環境汚染の影響をモロに受けるため、野生のミミズは毒ミミズとなっていてもおかしくない。
しかも、当のミミズ本人は耐性が強い為、捕食者が死ぬようなレベルでも平気である。
だからミミズを食べる時はちゃんと食用の養殖ミミズを使うようにしよう。
漫画『スケバン刑事』では、刑務所の中にミミズの養殖場があり、主人公らがそれに従事するというエピソードがあった。

また、ミミズに小便をかけるとおちんちんが腫れると言われるが、これも迷信。
ただし、ミミズは刺激を受けた場合、毒性のある防御液を噴出することがある為、それが直に当たった場合はおちんちんが炎症を起こすかもしれない。
また、悪戯でミミズに小便を引っ掛ける場合、だいたいその前にもミミズや土をいじっており、
それで手に防御液や土(の細菌)が付いた状態でおちんちんに触れば、炎症を起こすのも道理である。
昔は畑仕事が主だった為、上記の土を綺麗にしてくれるから大切にしようとか、トイレでもないところで小便をするなという意図もあったと思われる。(意図的にミミズを狙わなくとも、実はミミズがいるという可能性はあるため)


ミミズをモチーフとしたキャラ


……ほぼ全部悪役じゃねえか!


追記・修正は、ミミズのありがたみを感じてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • アニヲタ動物図鑑
  • 生物
  • 蚯蚓
  • 虫項目
  • 淫獣
  • なるたる
  • ミミズ
  • 釣り餌
  • 生きた耕運機
  • み水
  • グロ
  • 益虫
  • ワーム
  • ミミズバーガー
  • 地面
  • 地中
  • 環形動物
  • 雌雄同体
  • ひもQ
  • Earthworm

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月06日 15:30

*1 Wormだと、芋虫やしゃくとり虫、寄生虫などの細長い生物全般を意味するだけになる。

*2 透明な粒状の乾燥剤。よく煎餅なんかの袋に入ってるアレ

*3 ミミズやヒルの類は皮膚の粘液で呼吸をしている為、水に浸かるとそれが流されたり、そもそも水浸しの土中では空気がなく十分な量の酸素が取れず、どちらにしても窒息死する為、表面に出てくる。しかしそのまま地面が堅く潜れない場所(というか水浸しになってない場所)へと移動する為、天気が晴れになっても土中に逃げ込むのが間に合わないと太陽によって直火焼きにされてしまうのだ。雨が降るときに出てくるミミズは、雨が好きなのではなく雨のせいで住処を追われているのだ。

*4 昭和の頃から既に薄々デマだと気付かれていたような都市伝説だったが、平成になってから「買ってはいけない」という本に大真面目に取り上げられて有識者から失笑を買ったことがある。