スーパーファミコン

登録日:2010/05/16 Sun 22:02:15
更新日:2024/02/20 Tue 14:55:57
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任天堂が1990年11月21日に発売した、ファミリーコンピュータに次ぐカートリッジ取り替え式の据え置き型TVゲーム機。
略称はスーファミ、SFC。
当時の価格は25,000円。
ローンチタイトルは、スーパーマリオワールドとF-ZEROの2本。
間違えられやすいが、スーパーファミコンが正式名称であり、「スーパーファミリーコンピュータ」の省略形ではない。


■発売の経緯

当時セガが世界初の16ビット機「メガドライブ」を発表し、
任天堂は自社のゲーム機であるファミリーコンピュータで対抗するにはそろそろ限界があるのではないかと感じていた。
そして任天堂は、自社の次世代ゲーム機であるスーパーファミコンを発表した。
時は平成2年、今ここに次世代ゲーム機戦争が始まるのだった……!


■主な性能

ファミコンに比べグラフィックと音源が大幅に向上し、当時はまるでアニメを見ているような映像だった。
今でも2Dグラフィックの映像美は色褪せておらず、作品にもよるが、後のゲーム機である64やGCにも劣っていないと言えるほど。

カセットの差込口に見直しが図られ、形状が変わったことによって端子の接触が安定するようになり、起動性が格段に向上。ファミコン時代のネックだった接触不良によるバグりもほぼゼロになった。

CPUは16ビットCPUを謳ってはいるが実のところファミコンに毛が生えた程度のもの。
演算に掛かるクロック数(IPC)はファミコンとさほど変わらず、クロック速度はファミコンのわずか2倍。ファミコンと比べて目立った追加命令は無く、乗算すらCPU命令としては存在しない。組み込みの乗除算器を使うが速度はお察し。
演算は16ビットだから16ビットCPUは嘘ではないものの、データバスは8ビット。それなら32ビット演算16ビットバスのメガドライブは32-BITを名乗ってよかった。
この非力なCPUを補うのがグラフィックの拡大・縮小・回転・モザイク化機能。この機能はメガドライブには存在しない。
これによって、ゲームのビジュアル的な演出レベルもアップした。
アーケードからの移植作品も完全ではないものの、元のゲームに近い出来に仕上げる事が可能になった。

また最大の特徴として、本体拡張が出来ない分、物理的にカートリッジへ演算チップを搭載する事でスペックアップさせる事も広く行われ、
NECエレクトロニクス製3D座標演算用コプロセッサのDSP-1~DSP~4のDSPシリーズ、ポリゴン描画特化の汎用CPUのスーパーFXチップ、
本体のCPUと同じ65816CPUであるものの、クロック周波数を3倍にする事でよりCPUパワーが必要な
ゲームの開発に貢献したが、衝撃に弱く0% 0% 0%を頻発させたSA-1、設定時刻によってイベントを起こす為のS-RTCといったものが有名。

周辺機器に関してはファミコンのACアダプタが流用でき、ステレオAVケーブルは次々世代機であるGCまで使用できた。
コントローラはI・IIの区別がなくなり、海外版のFC(NES)のようなコネクタへの接続式になった。その代わり、Ⅱコンのマイクは廃止。
右側のボタンにはXYが追加され4ボタンになり、更に上部にはLRボタンが追加され、操作性が増した。初心者には扱いこなすのが難しく見えるが、慣れれば気にならなくなる(それでも人による)。
またファミコンに続き、マルチタップなどの周辺機器や特殊なコントローラーも数多くリリースされ、マウスやスーパースコープ等の当時としては斬新な代物もあった。
本体の底にも、機能拡張用の端子が備えられた。ここにBS放送を受信する専用機器「サテラビュー」を取り付けるのである。


ゲームソフトも大幅に増え1300本以上の作品が発表された。
恐らく任天堂の家庭用ゲーム機でサードが最もヒット作を出したゲーム機ではないかと思われる。

ゲームジャンルに関しては王道の横スクロールアクションやシューティングはもちろん、ストリートファイターⅡ等の格闘ゲーム等がヒットした。
またファイナルファイトのヒットでベルトスクロールアクションの人気に火がつき、多くの作品が作られた。
テキストが見やすく表示出来て、低容量で製作出来るのでサウンドノベルも多く作られたのだが、現在の作品に比べると演出やCGが劣っていたり、基本的にシナリオスキップ・ジャンプや中断セーブが無い等不満な点が多かった。

RPGは大容量のおかげで演出やシステムが凝った作品を作る事が出来た。

ただしSRPGやキャラゲーなど、登場人物が多いゲームではあぶれるキャラもおり、現在の視点ではやや容量不足を否めない感もある。

ボンバーマンやぷよぷよ通等4~5人対戦のゲームも増え、多人数で遊ぶ時マルチタップが必要な作品も多くなった。

また、クソゲーの宝庫と言われがちなキャラゲーも、ファミコンに比べクオリティの高いものが多く作られるようになった。

今でも実機で稼働している家庭は決して少なくはなく、2008年には所有しているゲーム機第3位にランクインした。


■デザイン

濃淡のグレーで統一され、全体的に丸みを帯びた未来的なデザイン。
サイズはファミコンより一回り大きい。
カートリッジのデザインや色もすべてのソフトで同一のものとなり、違いはラベルのみとなった。
(スーパーゲームボーイやスーファミターボなど、「カートリッジ差し込み口に差し込む周辺機器」は除く)

カートリッジ差し込み口にはバネで自動開閉する蓋がついており、ホコリの侵入を防いでくれる*1。また、電源スイッチを入れることで、カートリッジが外れないようロックがかかるようになった(衝撃によるフリーズまでは防ぎ切れない)。


■兄弟機・互換機

  • スーパーファミコンJr
一部機能をオミットしてコンパクトにした廉価版。のはずだが、販売が終了した当初、突然相場が高騰しプレミア価格になっていたことがあった。現在は落ち着いている。

  • スーパーファミコンボックス
業務用。固定の3本のソフトと交換可能な2本のソフトが内蔵された100円入れて遊ぶスーパーファミコン。
特殊な用途故ソフトも遊び方説明内臓だったり、デモ画面があったりと特別仕様。
もし今でも動いている筐体があったら大切に遊んであげてください。

  • SF-1
スーパーファミコンを内蔵したテレビ。ライセンスありのファミコン互換機と同様にシャープ製。

名前を見て「こんなのあったっけ?」と首を傾げた人も多いだろうが、これは実際には発売されていない。
メガドライブのメガCDに相当する周辺機器で、任天堂とソニーが共同開発*2していたものである。
SFC本体底の拡張用端子にこのCD-ROMドライブを取り付ける予定だったのだが、結局は実現しなかった(ある程度の経緯・顛末はPlayStationの項を参照)。
こいつを開発する際のノウハウが、あの初代PSへと昇華されて任天堂のシェアを奪い没落させた事は皮肉であろうか。
ファンの間では昔から名前だけなら知られていたものの、あくまで企画倒れで実在しないと思われていた。
だが、2015年についに実働する試作機が一つだけ発見されて話題になった。と言ってもこの試作機はROMドライブではなく兄弟機のような様相だったが。


■主なゲームソフト(任天堂製)



■主なゲームソフト(サード)



■主なゲーム作品(キャラゲー)




2022年現在は既に製造・販売が終了しており、本体・ソフト共に中古でしか入手出来ない。
Wii UNew3DSのバーチャルコンソールではSFCのソフトが配信されていて安価でダウンロードできる。
かつてはWiiでもバーチャルコンソールのサービスが展開されていたのだが、2019年1月31日をもってサービス終了している。

また、末期には任天堂とローソンの提携による「ニンテンドーパワー」という書き換えサービスが存在した。
これはファミコンにおけるディスクシステムと似たような試みであり、ローソンの店頭でSFメモリカセットというブランクカセット(空き容量は32メガ)を購入し、その容量に収まる範囲であれば、ラインナップの中から好きなゲームを自由に選んで書き換えが出来た。
しかも、このカセットはゲームデータの記憶方式がフラッシュメモリ式なため、余程のことがない限り消えない(セーブデータはバッテリー式での保存)。
このサービスは、当時世に出たばかりだったLoppi(ロッピー)の目玉企画でもあり、当時のLoppiの筐体にはスーファミのソフトの差込口があったのを覚えている者も多いだろう。
また、値段も1,000~2,000円と、当時としては良心的な価格設定であった。
後年になってゲームボーイ版のサービスも開始。
ニンテンドーパワーだけで先行配信されるゲームもあったりするなど意欲的な試みであったが、ローソン店頭でのサービスはほどなくして終了。その後も、任天堂が郵送でのサービスを続けていたが、こちらも現在では終了している。

また、ソフトにもよるが、セーブデータがよく死ぬ。ホントによく死ぬ。


■非公認ソフト

SM調教師瞳というタイトルのシリーズも製作された。
もちろんエロゲー、且つ任天堂非公認である。
ただし画面に絵は映らないし結構グロゲーだったりする。
値段はべらぼうに高い。

香港97という不謹慎ゲームもあり、これも非公認ソフト。
マジコン使用が前提という時点からおかしいが、内容もまた悪い意味で凄い。

また非公認と言うよりも非売品にはなるが、本体の故障個所を表示させるベンチマークテスト用のBurn In Casseteと言うものも存在する。

■まさかの新作

2012年2月、スーパーファミコン新作ソフトがアメリカで発表された。
タイトルは『Nightmare Busters』。
1994年頃からフランスで開発が進められており、かなりの部分まで完成していたようだが、諸事情によりお蔵入りになっていたアクションゲームである。

発売は2014年。最後に発売されたSFCソフトが2000年の『メタルスレイダーグローリー ディレクターズカット』であることから、
実に14年越しの新作である。

パッケージやロムカセットは既存品の流用ではなく、一からの生産という謎のこだわりぶり。
いかにスーパーファミコンが愛されていたかの証左と言えよう。

そして、2017年…
日本国内で完全新作ではないが、SFC及び互換機専用のソフトが発売されることになる!
そのタイトルの名は
「改造町人シュビビンマン零」
昔このタイトルを聞いたことがある人もいるかもしれない。
そう、かつてサテラビューにて配信されていたサテラビュー専用タイトルがまさかのSFCロムでの発売となったのだ!
なぜ今更…なぜVCやミニスーファミ収録で出さないのだろうと言ってはいけない。
何しろあの超兄貴の「メサイア」のゲームなんだからこれくらいは想定の範囲内であるw

さらに同年11月30日には、1995年の『アイアンコマンドー 鋼鉄の戦士』が再販される。
なじみのないタイトルであるが、ベルトスクロールアクションの傑作としてマニアの間では評価が高く、ネットオークションではプレミア価格がついていた。
スーパーファミコンはいったいどこまで寿命を延ばすのか…*3




追記・修正は、回転・拡大・縮小にシビレた、データが飛んでトラウマになった、その他ひっくるめてこのハードへの思い出を込めてお願いします。

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最終更新:2024年02月20日 14:55

*1 ファミコンにも蓋はあったのだが、手で開け閉めする必要があり、長時間使わない時に蓋をしておく、程度のものだった。

*2 元はプレステでお馴染みの久夛良木健がディスクシステムのフロッピーにキレ散らかしてPCM音源チップを売り込んでSFCに採用されたのがキッカケ。

*3 ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンに収録の新作『スターフォックス2』は除く。