スーパー系・リアル系(スーパーロボット大戦)

登録日:2011/04/28(木) 21:40:57
更新日:2024/03/08 Fri 11:25:14
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スーパー系とリアル系…
様々なロボットを2種類に分ける、30年以上の歴史をもつスーパーロボット大戦シリーズにおいて重要な要素の一つで、シリーズの初期では明確に分けられていた。
近年の公式ではあまりこの言葉は使われないが、ファンの間では依然としてよく使用されている。

元々スーパーロボット大戦以前からロボットアニメファンの間で使用されていた言葉でもあり、
『太陽の牙ダグラム』などで知られる高橋良輔監督が「リアルロボット」という呼称を提唱したのが始まりとされる。
それとの対比として旧来のヒーロー然としたロボットアニメの総称を『マジンガーZ』の主題歌に倣って「スーパーロボット」と区別したようである。
「スーパーロボット」の言葉自体の起源は『ウルトラセブン』に登場するキングジョー*1であると言われている。

◆スーパー系

特徴としては

▼HP・装甲・最大攻撃力のステータスが高い。

▼運動性・照準値のステータスが低い。

▼覚える精神コマンドは必中・不屈・鉄壁・勇気・ド根性などが多い。

▼攻撃アップの精神コマンドは多くのパイロットが熱血で止まる
 しかし、ダイターン3の万丈やビッグ・オーのロジャーなど魂を覚えるキャラもいる。
 近年では魂の弱体化や、攻撃力アップの特殊能力を持つリアル系がスーパー系以上の火力を発揮することもあり、
 魂を覚えるスーパー系パイロットも増加傾向にある。
 また、旧シリーズでは奇跡が魂を発動するため主人公はスーパー系でも魂を使うことができた。

▼気力制限が重く、EN消費が激しい
 大活躍させるなら、EN消費を補助するパーツは重要。

▼基本的にパイロットが固定されており、乗り換えシステムには対応していない。(勿論複数のロボが登場する作品では乗り換えも可能なこともある)

▼必殺武装が機体側に依存した必殺技や隠し玉である。

ざっくり言えば、敵の攻撃を固い装甲で耐え抜き、一撃必殺の攻撃で倒す、格闘技で例えるとプロレス的な戦法を取る。敵ボスとの戦闘ではトドメ役や効果的な大ダメージを与える役割を持つ事が多く、高いHPと装甲値を生かして味方の機体に援護防御役に回ったり、高い攻撃力のある武装で援護攻撃に回って確実に相手を撃破する役割も担う事が多い。

▼スパロボでスーパー系の機体を改造するならば、HP・装甲・EN・武器を重点に強化。
おすすめの強化パーツは超合金ZなどのHP・装甲強化系パーツ、EN消費が激しいならEN補助パーツか、パイロットに「Eセーブ」技量を持たせる。また鈍足の機体も多くいるので、ブースター系の移動力を上げるパーツを搭載すると使いやすくなる。さらに防御力強化のために出来れば「バリア」を付けると良い。

○スーパー系の見分け方


▼古くからだと、スーパーヒーローものの延長線という路線の作風。

▼機体サイズがMかLがほとんどでダイターン3、ガンバスター、イデオンなど一部2Lや3Lがいたりする。
 そのため、攻撃を受けやすく長所である装甲の改造は重要なポイントでもある。
 近年はサイズ補正もあるためリアル系の敵機体を一撃で倒すことも可能。

▼敵パイロットや部隊が人間タイプの異星人や怪獣だったりすることがほとんど。
 勿論、ダンガードAや鉄人28号、マイトガインのように人間の悪の組織が攻めてくるケースも多い。(実写作品の場合は特にそうである)
 エヴァンゲリオンみたいに敵が人間じゃなくてもリアル系かスーパー系で討論することもある。そもそもEVAて人造人間だからロボットじゃなくね?とか、思っても言っちゃダメ)

▼「地球の平和を守るのが戦いの目的」が王道的な設定。
 上記のように人間が相手でもガチの全面戦争ではなく、悪の組織や私設軍隊との戦いなどが題材。

▼主人公は設計者の家族、サラリーマン、小学生達、実は異星人、戦闘のプロと様々な立場である。
 勿論、軍人や公的機関所属の場合も意外とある。

▼「合体ロボ」であることも多い。(初代ガンダムとかインパルスもそうだが、あれは「脱出装置とそれ以外のパーツ」でありバラメカとしての個性も極めて薄い。)
 コン・バトラーVやゲッターロボなど合体する機体はパイロットの人数が多いため精神コマンドが多いが、
 精神コマンドでカバーする分が少しあるため装甲などが低い機体も中にはいる。

▼利用しているエネルギーや装甲材質が作中世界においても類を見ないものであったり、人類が律しきれないほどのパワーを秘めていることが多い。

▼目立つ活躍場面や強敵を打ち破る場面も特徴的なギミックの追加からはじまることが多い。
 使用場面が限られてたり、時にはパイロットの特訓をダイレクトに反映したりもする。

▼主役ロボが同じ機体は2つとないオンリーワンな存在であることが多い。
 主役ロボはあり得ないほどの天才科学者や超絶大金持ちにより開発されるか、国の威信をかけたプロジェクト、あるいは古代文明から発掘されたものなど。
 敵組織がマッドサイエンティストだったり悪の軍事大国だったりするので、敵の開発した機体を鹵獲・もしくは裏切り者が持ちだすというケースも多い。

▼作品の枕詞が「最強」「無敵」とやたらと強そうだったり、「魔」「神」「奏」などファンタジー要素の強い漢字が含まれる。

基本機体のサイズは大きめだが中にはスーパー系の概念とは違う運動性が必要なSサイズの機体も存在する。
主な例は新旧鋼鉄ジーグやイクサー3、アイアンリーガー系、電童のワルキューレなど
他にもゴッドマーズグラヴィオンなど合体前に運動性が重要な機体や、ライディーンやラーゼフォンなど元から運動性が高い機体もいる。


スーパー系は古くからヒーロー性などを重視したロボットアニメの王道でもあるため、
ロボットといえばスーパーロボットを思い浮かべる人は多い(初代ガンダム放送以前のロボットアニメは全てスーパー系と考えてよい)。
非ロボットアニメで登場人物が見ている作中作として出てくるのも大半がスーパー系である(いい例が後述の『ナデシコ』内でやってたゲキ・ガンガー3)。

それが原因なのかはわからないが2009年にWiiで発売されたNEOでは参戦作品の9割がスーパー系だった*2

この文でも分かる通り、要はSFだろうがファンタジーだろうが、スケールが大きかろうが小さかろうが
リアル系じゃない奴は全部スーパー系という扱いである。

なお、運動性が命中率に関係する旧シリーズでは作品のタイトルに反して多くのスーパーロボットが二軍扱いされた。
第4次のダンクーガのハンパない弱さやスーパー系涙目(というかニュータイプ&イデオン至上主義)のF・F完結編などは最たる例だろう。

○具体的な作品例



◆リアル系

特徴としては

▼運動性・照準値が高い。

▼HP・装甲・最大攻撃力のステータスが低い。
 が、中には制約はあるもののトンデモ火力のユニットもいたりする。
 また、武器攻撃力自体は低いが、特殊能力の補正でスーパー系を上回る火力を持つ機体も少なくない。

▼主に習得する精神コマンドは集中・直感・魂・覚醒など。
 特に各作品の主人公は攻撃力アップの精神コマンドが魂まで達する。
 ただしガンダムXガロードGガンダムドモンエウレカセブンのレントンなど、中には機体の攻撃力が高いため熱血止まりの者や
 熱血効果をもつ勇気・愛と魂を同時に覚えるパイロットがいる。

▼改造や強化パーツは運動性をあげることをとにかく考える。
 油断すると(特にSサイズの機体は)一撃で瀕死or撃墜される恐れがあるので注意(だが、第4次のビルバインやαのウイングガンダムゼロカスタムなど装甲がスーパー系並みに厚いやつもいた)。

▼乗り換えシステムに対応している。プレイヤー側が便利な機体を使いまわしたり、シナリオの都合で抑えられた機体からスタートしたりする機会が多い。

▼必殺武装がそのパイロットが見せたパターンアタックや、名戦闘シーン総集編気味な連続攻撃であることが多い。
 量産機はその辺が存在しない。

ざっくり言えば、「確実に当てて確実に避ける」ヒットアンドアウェイ戦法であり、格闘技で例えるとボクシングに近い。主に敵陣や敵ボスに突っ込んで「囮役」を担って敵のHPやENを消費させて弱らせたり、スーパー系よりも長い長射程の武装を使って相手の攻撃範囲外から攻撃を加える役目を担う事が多い。

▼スパロボでリアル系の機体を強化するなら、運動性を重点に強化。また、射程を伸ばすパーツを装備するのも使い勝手を良くし、結果的にも生存率を上げる事になるので相性が良い。
また、弾数制限制の武器を搭載した機体は弾数強化・回復系のパーツの搭載や、パイロットに「Bセーブ」の技量を持たせると良い。
中にはスーパー系と同じくEN消費が激しい機体や、武器が強力な機体とかもいるのでその場合はEN・武器も強化する。移動力が高い機体ならばブースター系のパーツを付けて移動力を底上げするのも手。
パイロットには長射程の武器を持つ機体に乗せる場合には「ヒットアンドアウェイ」の技量を付けると使いやすい。
また、防御面が不安なら、装甲の厚いスーパー系の機体と共に行動させて常に援護攻撃・援護防御を受けられる体制を作っておいたり、小隊システムが採用されている場合はスーパー系の機体と組ませるのも手。雑魚との戦闘はリアル系の機体に任せて、ボスとの戦いにはスーパー系に切り替える……という戦法も取れる。

○リアル系の見分け方


▼基本的に機体サイズはSかM
 ロボットアニメの歴史という意味でもガンダムシリーズ=リアル系の草分けという構図が成り立っており、なおかつスパロボ最古参作品の一角のためか、
 スパロボにおけるガンダム系機体のサイズがMサイズとして分類されているなど、ガンダム系がサイズの基準と言ってもいいような状態になっている。
 しかし、『ダンバイン』のオーラバトラー*3を始めとしたSサイズユニットの参加も徐々に増え、マクロスシリーズのバルキリー(『マクロスF』系はMサイズ)、
 『ナデシコ』のエステバリス、『ボトムズ』のAT、『コードギアス』のKMFなど、スパロボ基準だとSサイズ機メインとなる作品が参戦することも珍しくなくなった。
 もちろん、ガンダム試作3号機デンドロビウムやサイコガンダムなど、リアル系でありながらL以上のサイズに分類される機体もいる。
 しかしそれが作品のメインで、どいつもこいつもLサイズ…ということはあまりない。

▼基本的に人間同士の戦争がテーマ
 リアル系の元祖であるガンダム、提唱元のダグラムが人間同士の戦争がテーマなせいか、(スペースコロニーなどの出身地の違いが設定に盛り込まれることがあるが)
 敵が同じ地球人であることが多い。
 しかし、中には『ダンバイン』のバイストン・ウェルや『ボトムズ』のアストラギウス銀河や『エルガイム』のペンタゴナ・ワールドなど、
 地球人と同じ姿の種族が住む異世界・別天体が舞台となる、あるいは侵略異星人との戦争という作品もある。
 さらに、マクロスFのバジュラやエヴァの使徒など、敵が人間型ですらないパターンもある。

▼たまたま戦いに巻き込まれた主人公がパイロットになる
 『ガンダム』のアムロ・レイを始め、『ドラグナー』のケーン、『ナデシコ』のアキト、『キングゲイナー』のゲイナーなど、このパターン。
 中には『ボトムズ』のキリコ・キュービィー、『レイズナー』のエイジ、『ガンダムW』のヒイロ・ユイ、『フルメタル・パニック』の相良宗介など、
 元からパイロットだった例もある。
 巻き込まれた一般人の物語も、兵士でしかなかった者の物語も同じく存在するのだ。

▼利用しているエネルギーや装甲材質が作中世界においてそこまで逸脱したものではないことが多い。
 あったとしても最新装備とか試作装備ゆえ…例外もよくある。

▼機体がオンリーワンではなくそれを表す名称や総称、系統がある
 スーパー系は「天才科学者の独学や国家の威信をかけたプロジェクトで作られた」ケースが多いが、
 リアル系は現実で言う戦車、戦闘機のような兵器の延長線上の存在と考えるべきであり、「ロボットでのどつきあい」自体が戦争の一形態となされているため、
 公的組織ないし民間の軍事企業が作成し、山のように量産されていることで作画を簡略化するケースが多い。その最たる例が『装甲騎兵ボトムズ』である。
 その場合は各個で「人型戦闘ロボ」に名前があるケースが多い。

▼機体の中の人の精神的なアクションから突破のきっかけが生まれることが多い
 ガンダムシリーズが多くあてはまる。冨野氏が関与しているとガンダムでなくても高確率であてはまってくる。
 中の人の凄さという意味ではボトムズも該当するし、精神的なアクションという意味ではマクロスシリーズも。

▼タイトルの枕詞はその世界における人型ロボやそれに纏わる単語を直訳するケースが多い(機動戦士、装甲騎兵、重戦機など)

初代ガンダム以降、80年代にリアルロボットのブームが起こったがその中心となるのは主にサンライズ作品であった。
そのせいか、スパロボにおけるリアル系参戦作品の半分近くがサンライズ作品になっている。

また、ガンダムという国民的アニメの存在やマクロスF・コードギアス・ガンダムSEEDなどの2000年代の作品の参戦により、
若年層に対してはスーパー系よりも幅広い認知度を持つようになった。

なお、スパロボ的にはリアル系に分類される作品が大半となるクロスオーバー作品『Another Century's Episode』なるゲームシリーズが存在する
(スーパー系の参戦も少数はある)。
古くは『リアルロボッツファイナルアタック』『リアルロボット戦線』というそのまんまな名前のゲームもあった。

○具体的な作品例


◆…と以上のように特徴をまとめてきたが、

そもそも初代ガンダムが世に出た頃はリアルロボットの概念などあるはずがなく、ガンダム自体も「戦争が題材のロボットヒーローアニメ」というのが一般的な扱いであった。
また、「機械獣の攻撃を軽やかに回避し、ロボットの改造やチームワーク、作戦によって勝利するマジンガーZ」「強固な装甲でザクの攻撃に耐え、パイロットの精神力が強さに繋がるガンダム」など、
原作の設定・描写の面からも両系統の境界はかなり曖昧なもの。数多くのロボットアニメが製作されていく中で、互いに影響を与え合ってきた部分も多い。
近年のスパロボでもリアル系の運動性とスーパー系の火力・装甲を併せ持つ良いとこどりな機体もあれば、逆に薄い装甲とべらぼうに低い運動性を併せ持つ悪いとこどりな機体もある。
『スーパーロボット大戦J』を最後に、現在ではスーパー・リアルの明確な枠組みは廃止されている(『Z』のガンレオンとバルゴラはあくまで男主人公と女主人公の枠組みである)。
『V』で久しぶりに「後継機を運動性重視にするか火力重視にするか」でちょっとだけ復活した。



ちなみに、プロデューサーの寺田神様曰く、本来は動力機関の性質で分けていたつもりだったらしい。
とはいっても、スーパー系の代表格であるコン・バトラーVは原子力、ダイターン3は太陽エネルギーといった現実的なエネルギーである一方で、リアル系の代表格であるダンバインはオーラ力(ちから)と、あてはまらないパターンも多いのだが。

『スーパーロボット大戦30』ではエルくんと(ロボオタに変更された)ケーちゃんとのロボット談義で、
「単体で戦術的、戦略的運用がなされるのがスーパーロボット」「そうでないのがザクなどのMS」とされ、
後者をエルは「まさにリアルロボット」と証した(蛍汰にはリアルロボットにツッコまれたが)。
ちなみにガンダムはスーパーロボット的な運用をなされたリアルロボットと評価されている。




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最終更新:2024年03月08日 11:25

*1 放映当時は名前がなく「ペダン星人のスーパーロボット」と呼称

*2 Gガンダムはガンダムシリーズなので一応リアル系に分類されちゃってるが、話のノリや描写が完全にスーパー系寄り

*3 「パイロットとロボの顔が同じ画面に映る」のを意識したらしい。