飛天御剣流

登録日:2011/11/04 Fri 06:12:24
更新日:2024/04/08 Mon 11:28:22
所要時間:約 9 分で読めます






人斬り抜刀斎の振るう剣は「神谷活心流」ではなく

戦国時代に端を発す一対多数の斬り合いを得意とする古流剣術

流儀名「飛天御剣流」

逆刃(こんな)(かたな)でない限り 確実に人を斬殺する神速の殺人剣でござるよ



飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)とは、漫画るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する架空の古流剣術流派。

主人公である緋村剣心と、その師である「十三代目」比古清十郎が使用する。
原作中において正式に流派を修めているのはこの2名のみだが、アニメ版ではオリジナルキャラクター天草翔伍とその師(剣心の師匠の兄弟子にあたるが奥義習得に失敗した人物)も登場。
天草翔伍は奥義を含めた全ての技をマスターし、オリジナル技の開発までやっている。
また、正式に習得したものではなく単なる見よう見まねではあるものの、明神弥彦も一部の技を模倣して使用した。



概要

戦国時代に発祥した、一対多の戦いを得意とする殺人剣
開祖の名前は「比古清十郎」で、代々流儀の全てを会得した者、つまり伝承者が白外套と共にその名を受け継いでいる。

飛天御剣流の理は「時代の苦難から人々を守る事」だが、それはあくまで「どこにも属さない自由の剣として」である。
そうでなくば「陸の黒船」とも評されるその強さ故に必ず肩入れした側に大きな利をもたらし、新たな「苦難」・「歪み」を産み出してしまいかねず、代々の継承者が「比古清十郎」を隠し名としてきたのも権力に利用されない為。

修業時代の剣心は当初それを真に理解出来ず、幕末には若さ故の正義感・使命感から維新志士側についてしまった結果、倒幕・明治政府誕生樹立に大きな役割を果たすと同時に鵜堂刃衛*1志々雄真実雪代縁という「歪み」を生み出してしまい、自身も心に大きな傷を負うこととなった。
そして流浪人になって人助けをしながら放浪する事でようやく御剣流の理を理解するに至った。

ただし、剣心は理は受け継ぐものの「比古清十郎」を襲名して飛天御剣流を受け継ぐつもりはないとの事。
決して白外套が似合わないからではないはず…?



原作漫画のパイロット版である『るろうに~明治剣客浪漫譚~』では『飛天剣流』となっており、「一振りで3人斬る」と言われている。
しかし、一方で戦国の昔話に出てくるだけの剣術とも言われている。
原作者・和月伸宏のデビュー作『戦国の三日月』においてもこの名称が使用されており、こちらでも比古清十郎という名の剣客が使用している。
なお、『戦国の三日月』の比古とるろ剣の比古は容姿がそっくりであるが、「比古清十郎」は襲名制という設定であり、作者は『戦国の三日月』の比古は『るろ剣』に登場する十三代目の先祖とかではないと語っている。
逆に言えば、『るろ剣』と『戦国の三日月』の繋がりを否定していないため、『戦国の三日月』の比古が初代の「比古清十郎」ではないかとする説もあるが、
愛刀である冬月が「飛天三剣流に代々伝わる宝刀」とされている事から、少なくとも飛天御剣流の開祖ではない事になる。
なお、『戦国の三日月』の比古は北方の国に剣術指南役として仕えていたばかりか同国の奈津姫とは恋仲であるなど、権力に関係のある立場になっており、「どこにも属さない自由の剣」という理は思いっきり破っている
るろ剣では「その強さ故に必ず肩入れした側に大きな利をもたらし、新たな「苦難」・「歪み」を産み出してしまいかねない」とまで言われていた事を考えると、
『戦国の三日月』の後に奈津姫を娶った比古が結果的に新たな「苦難」・「歪み」を産み出してしまい、それを悔やんで「どこにも属さない自由の剣」という理が出来た可能性も考えられる。



術理

「剣」「身のこなし」「相手の動きの先読み」の3つの速さを最大限に生かす事で最小の動きで複数の相手を仕留めることを基本とする。
特に「先読み」によって「先の先」を取る動きを見せることで、相手が攻撃・防御を行う前に仕留め次の相手を倒す連続戦闘スタイルを可能としている。
しかし、この先読みは相手を観察することでその心理などを洞察する面が大きいため、感情を読み取り難い相手などには不利となる。
また、これはどちらかというと優れた先読みに頼ってしまう剣心の悪癖だが、フェイント技に弱い。

軽やかかつアクロバティックな体捌きも大きな特徴であり、その動きは「目にも止まらぬ速さ」「神速」と評されている。
その速さから繰り出される技の多くは非常に強力で常人相手なら一撃必殺となる威力を誇り、殺人剣の名に偽りは無い。
なお、修業時代の剣心は比古の「技を覚えるならまずその技を自分が受けてみるべき」という方針により、絶妙な手加減をされた状態の技を喰らいまくるという形で習得している。


上記の通り免許皆伝の条件は「奥義を含む全ての技を習得すること」で、この成否は師匠が放つある技を、奥義で迎撃した上で破ることで判定される。
その性質と威力ゆえ、食らった師匠は必ず死に至るため、師匠殺しをしなければ伝承できないという業深き剣術。当然、迎撃出来ねば師の技で息絶える事となる。つまり、弟子を取る時点で死を覚悟しなければならないのだ
まるでどこぞの南斗鳳凰拳のようである…。
逆に言えば、御剣流の使い手が最初に殺すのは己の師匠となるので、剣心のような若さゆえの正義感と使命感に暴走した伝承者が現れなかった事もある意味当然と言えなくもない。
愛などいらぬ! とか言い出す伝承者が現れなくて本当に良かった

一対多数を得意とするが、基本的にはこのような一子相伝の修行形態を取るため、どうやって対多数の修行を行っていたのかは不明

他を寄せ付けぬ圧倒的な強さを発揮出来る一方、使用者の身体にかかる負担もまた大きい。
高荷恵の見立てでは「恵まれた体格をさらに鍛え上げてようやく使いこなせる剣術」とのこと。
実際、十三代目比古清十郎も常人離れした体格・筋力の持ち主であり、伝承者の証である白外套には伝承者の力を平時に押さえる為重さ10貫(39kg)の肩当て逆さに反るバネが仕込まれていることからも、習得には技術以前に人並み外れた肉体的資質が前提となっていることが窺える。

そのため、天性のセンスで補っていたものの元々小柄な剣心にはこの負担はことのほか大きかったようで、特に九頭龍閃や奥義を使いだしてからはそれが急速に進んだのか、
終盤あたりからごく僅かだが体内でひずみを感じるようになり、30代半ばで御剣流の技が撃てなくなると宣告を受け、原作最終話の時点で殆ど撃てなくなったと言われている。
それから間もなくの『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-』時点では衰えはしているものの、無理して飛天御剣流の技を使っており、九頭龍閃を撃った際には後で物凄い反動を喰らっていた。
いくら本気でやってくれと言われたからってそんな技を弥彦相手にぶっぱするなよと思わなくもないが、
弥彦も九頭龍閃を伍の撃まで受け止めており、九頭龍閃を使わないと弥彦は倒せなかった可能性もある


因みに原作本編時点での習得者である剣心は28歳、比古は43歳だが、どう見ても10代後半~20代にしか見えない。飛天御剣流には不老の秘術があるとでもいうのだろうか……?



◆飛天御剣流の技

原作と『るろうに剣心-キネマ版-』で表記、或いは読み方が異なっている(作者曰く「お遊び」)。
ここでは原作版を基本に表記する。

  • 龍槌閃(りゅうついせん)
高く飛翔し、落下しながら相手の脳天に斬撃を食らわせる。真剣なら当然唐竹割りになって頭蓋真っ二つで即死である。
記念すべき第一話で比留間をワンパンで倒して*2連載初期を中心に頻繁に使用しており、薫には「剣心の十八番」と言われたこともある他、スペシャルビデオ『剣技大全』でも左之助から「剣心が一番得意な技」と発言している。
食らった相手の描写的に逆刃刀でも脳挫傷からの重体は免れなさそうだが、最悪でも気絶で済んでいる。そのあたりの使いこなしも含めて得意技なんだろう。
というか左之助など、食らって尚平然と立ち上がる輩まで当たり前のように現れている。どういう人体構造しているのかと小一時間問い詰めたくなる。*3
派生技として、斬撃の代わりに脳天から垂直に刀を突き刺す「龍槌閃・惨」(-・ざん)もある。
逆刃刀で使っても普通に殺人技になるので原作では剣心も抜刀斎時代しか使っていないが、令和アニメ版で名前こそ叫んでいないものの飛龍閃の追撃として鞘で行うという意外な登場を果たした(後述)。
同時に伝授に際して一度技を叩き込む比古がどうやってこの技を剣心に伝授したのかの説明も付いた
キネマ版では「龍墜閃」表記。
実写映画版では名称こそ出ないものの、表現しやすいということもあってか使用頻度は高い。

  • 龍翔閃(りゅうしょうせん)
峰を手で支え、ジャンプしながら斬り上げる。真剣なら当然首チョンパ、或いは下顎切断である。
相手の顎や攻撃に突き出された腕などを下から掬い上げる様に斬るのを基本とする。
逆刃刀を扱う剣心はそのまま使うと刃に手を当てて大惨事になる為、刀を水平にして腹で打ち上げている。
京都編から龍槌閃に替わりよく好んで使っている。
キネマ版では「龍昇閃」表記。

  • 龍槌翔閃(りゅうついしょうせん)
龍槌閃と龍翔閃を連続で放つ。真剣なら十文字に頭が裂けて即死である。
志々雄戦で剣心が使用したが、れっきとした技なのか自然に出来た即興技なのかは不明。
当たり前だが、龍翔閃→龍槌閃という連続攻撃も可能で龍槌翔閃よりも先に蒼紫戦で使っている。ただしこちらは龍槌翔閃のような独自の名前はついていない。

  • 龍巣閃(りゅうそうせん)
相手の全身に無数の斬撃を浴びせる技。真剣なら下手しなくともバラバラ殺人である。
打たれ強い相楽左之助に対して使われた。
相手の頭部などの一カ所に集中して浴びせズタズタにする派生技「龍巣閃・咬」(-・がらみ)もある。

  • 双龍閃(そうりゅうせん)
鞘を腰から外した状態から居合切りを放った後、刀の鞘で追撃を仕掛ける2連撃。
「飛天御剣流の抜刀術は全て隙を生じぬ二段構え」の代名詞ともいえる。
かつて“人斬り抜刀斎”と呼ばれていただけあり、剣心が最も得意とする技とされている……が、作中通して2回しか使われていない(うち1回は対人戦ですらない)。
派生技「双龍閃・雷」(-・いかづち)は、先に納刀状態の鞘部分を打ち込んで相手の体勢を崩し、その隙を突いて抜刀し本命の斬撃を放つ。フェイントに弱い剣心をぶっ飛ばすために存在するかのような技。
キネマ版では「相龍閃」表記。

  • 龍巻閃(りゅうかんせん)
水平に回転しながら相手に突っ込み、すれ違いざまに斬撃を放つ。真剣ならリアル宇水さん状態である。
回転の遠心力により威力を上げ、相手の攻撃の勢いを利用したカウンター技でその威力はぶっ飛ばした相手が道場の壁を貫通するくらい。
武装錬金レベルの破壊力を出しおって。
斎藤一との戦い以降、龍翔閃と並んでよく使われるが、何故か失敗することが多い(斎藤曰く「カウンター技として使ってこそ真価を発揮する」らしい)。
派生技に「龍巻閃・凩、旋、嵐」(-・こがらし、つむじ、あらし)があり、旋は錐揉み状態で突進し、嵐は縦回転になっている。凩は詳細不明。
どれもカウンターではなく連続攻撃に使われ、見た目上は回転方向以外どれも大差ない。
キネマ版では「龍環閃」表記。
こちらも「龍槌閃」同様、実写映画版においては名称は登場しないが、技の見栄えや表現のしやすさという観点からなのか割と使用されている。

  • 土龍閃(どりゅうせん)
刀で地面を抉り、相手に土石をぶつける。割と痛そうだが、もはや剣術ではない。早い話が某RPGの岩斬滅砕陣。
原作では比留間兄弟の兄に放ったのが唯一の出番なのだが、刀で遠距離に土砂を吹き飛ばし、受けた比留間の体がズタズタのグロいことになっており、
剣心は「気絶しない程度に力を抑えた しばし生き地獄を味わえとかなり拷問じみた手加減をしている。

アニメ版後期では刀を地面に突き刺して、地を這う衝撃波を飛ばす謎の技に変化しており、剣心の主力技としてありとあらゆる場面で多用されている。困った時は大体この技を撃っている。
…というか、切り札である奥義を差し置いて、最終的な決め手となった場面すら存在する。
しまいにはこれが効かないだけで「土龍閃が効かない!?」と驚いている。
誰が読んだか”奥義・土龍閃”。

令和アニメ版では逆に唯一の出番すらもカットされてしまった。まあ小物を痛めつけるためだけにしか使ってない技だし……
原作者監修で忠実に映像化されているため、恐らく今後もオリジナルの出番が開拓される事はないと思われるため、新旧アニメで扱いが明暗分かれる結果。

  • 飛龍閃(ひりゅうせん)
全身を回転させながら納刀した刀を、親指で鍔を弾いて刀を矢のように弾き飛ばす飛刀術。
要するに刀の柄尻をぶつける攻撃。剣心はこれを抜刀術だと言い張る。いやまぁ、確かに鞘から抜刀する攻撃ではあるけど。
HITした部分から噴水の様に出血し、オマケに吐血もする。
目や鼻に当てれば死ねる程度の威力で、某空想科学本で推測も交え大雑把に検証されていたが、描写通りの威力にするなら時速1600kmくらい出てるとか、射程が21㎞くらいあるとかすごい結果になっていた。
石動雷十太戦では眉間にクリーンヒットさせ、沢下条張戦では変幻自在の薄刃之太刀の切っ先に当てる等、命中精度も相当に高いものとうかがえる。
というか、万が一回避でもされた場合、当たり前ではあるが丸腰になる
なので、基本的に中遠距離で攻撃したいなら土龍閃のほうがいろいろと扱いやすいとは思われる。
まあ、あちらはあちらで刀を痛めそうとか攻撃範囲が広すぎるとかあるので、精密射撃が必要な場面では刀の柄尻で狙撃できるこちらの方がよいかもしれない。…剣術ってなんだっけ?

令和アニメ版で「隙の生じぬ二段構え」が後付けされ、命中させた後は即座に跳ね返ってきた刀を納刀して鞘での追撃を入れ、更に龍槌閃・惨と同じ型の追撃を鞘で入れる。…って三段構えになってるじゃねーか!
そもそも、本当に殺すつもりなら追撃を鞘でする必要はないので、鞘ではなく回収した刀で即座に追撃をかけるのが本来の型である可能性が高く、*4
鞘を使った龍槌閃・惨まで入れた三段構えにしたのは左之助以上の打たれ強さを見せた雷十太を沈めるためのダメ押しだったと思われる。案の定これでも原作通りすぐ復活したし
飛天御剣流の中でも文句なしの殺人技である龍槌閃・惨を不殺の技にアレンジしてみせたのは、殺人剣を尊びながら無意識に殺人を忌避する矛盾を抱えた令和アニメ版雷十太への一つの回答だったのかもしれない。
剣心って雷十太戦では右腕が麻酔で動かなくなっているのにそんな技使えるのか?と思ったそこのあなた、令和アニメ版ではその設定カットされてます

  • 龍咬閃(りゅうこうせん)
令和の新アニメにて、まさかの新技が登場。といっても、蒼紫戦にて最後の決め手になった「白刃取り」に技名がついた格好。
両手で剣を、鷲掴みするように抑え込む*5。飛天御剣流唯一の徒手空拳技。
鷲掴みする様を龍が相手の武器を咬む動作に見えるようになっており、そのまま小太刀を奪い取って蒼紫の喉元を強打している*6事から、相手の武器を奪い取って攻撃するのも含めての技と思われる
なお、使用するまでの流れも原作と比較してかなり変更されており、原作では回天剣舞の一撃目を逆刃刀を放り投げて白刃取りで受け止めたのを、
令和アニメ版では「回天剣舞の一撃目をその場から動く事無く逆刃刀で普通に防御」→「二撃目は蒼紫の拳に拳をぶつけて防御」→「焦った蒼紫が逆刃刀を弾き飛ばして放った三撃目に龍咬閃」という流れになっている。
よくよく考えたら流水の動きから攻撃に移る瞬間を見切るのに白刃取りを狙う必然性はないので妥当な改変と言える
技名自体は作者の和月先生が考案したとのこと。


  • 龍鳴閃(りゅうめいせん)
神速の抜刀術の逆を行く「神速の納刀術」。
敵とのすれ違いざまに神速で刀を鞘に納めることによって強烈な鍔鳴りを起こし、その音を相手の耳に至近距離から叩き込み聴覚にダメージを与える。
通常なら一時的な聴覚マヒ程度、御庭番衆のような音を聞く訓練を積んだ者なら離れていても耳に軽い痛みを感じる程度と基本的に直接の殺傷力がある技ではない。
ただし、狂経脈によって全神経を強化していた雪代縁には、耳の奥の三半規管にまでダメージがおよび、出血を伴う平衡感覚の麻痺という大きなダメージを負った。

……「狂経脈へのピンポイントメタにしか見えないとか、自分にもダメージが来るんじゃねえの?」という突っ込みは野暮*7
念の為にフォローしておくと、生物というのは総じて予期していない突発的な事象に弱い。
音に関してもそれは同じで、突発的な大きな音を受けると人は一時的に耳が麻痺してしまう。これを医学的には音響外傷と言い、「予めそれが来るとわかってる人」「想定もしていない人」では効果が雲泥の差である。
相手の目の前でパンッ!と手を叩く相撲技の猫騙しが効果を発揮する理屈がこれなのだ。
試しに自分で自分に猫騙しをやってみるとわかるが、どれだけ強く手を叩こうが瞬きもせずに行えることから、技の使用の際に発生する風圧、衝撃、破裂音は身体を竦み上がらせる効果には一切関係ないということの証左となるだろう。

つまり、同じような距離にいながらも、強烈な音が鳴ると分かって備えていた剣心と、ただでさえ聴力まで強化していた上に予期してなかった縁でダメージが全く違っているというのは、(納刀だけでそんな音を鳴らせるかどうかはともかく)現実的に見ても決して間違っていないのである。
聴覚へのダメージという性質上、恐らく魚沼宇水に対しても有効であったと思われる。
何故か京都編を描いた作品である「炎上!京都輪廻」で剣心の必殺技として採用されている。まぁ、わかりやすく全方位攻撃のためだろう。

  • 九頭龍閃(くずりゅうせん)
奥義「天翔龍閃」を伝授する過程で生まれた突進技。
神速を最大限に発揮し9方向からの8つの斬撃と1つの刺突…剣術である以上必ずありうる斬撃全てを同時に叩き込む、その性質上防御も回避も不能というチート技。
「壱、弐、参、肆、伍、陸、漆、捌、玖」の大字の漢数字*8が浮かび上がり、厨二心をくすぐる。
剣心の場合突きは逆刃刀でも致死の攻撃になり得るため、柄頭による打撃にアレンジされている。「わざわざ柄で突くくらいなら八頭龍閃でいいんじゃね?」というツッコミは禁句

体格と腕力が重要になる技のため、比古清十郎の得意技で、彼の九頭龍閃を前に剣心はの文字を思い浮かべた。
逆に体格に恵まれない剣心が使用すると、技自体は完璧でも威力では大きく劣ってしまう上、性質上「神速を見切ったり神速~それ以上の速さで動けるならば防御も回避も可能」ということであり、
宗次郎には完全に見切られて回避され、縁には1回目は耐えられ、2回目は全撃を相殺、3度目に至っては発動前に潰されてしまった。
また、『北海道編』では弥彦が九頭龍閃の発動に合わせて刃止めを発動させ、伍の撃までは受け止めて見せた。
……あくまで「作者公認の規格外キャラである比古と比べれば」で、作中登場する人外クラスの強者にも十分通じる威力はある。
剣心が使うと相手の力量を描写するための咬ませ犬になりやすい悲しい技ともいえるが。
+ 北海道編ネタバレ注意
『北海道編』では派生技として「二十七頭龍閃」(命名は張)が登場。派生といってもその実九頭龍閃を3回連続で放つだけという、ごり押しも甚だしい技。
この技で凍座白也を失神に追い込んだ。常人相手なら確実に殺っちゃってるだろう
アニメ版では、比古清十郎が不二に「二十七頭龍閃」を決めている。

当然といえば当然だが、肉体にかかる負担も半端ではないようで、上記の通り九頭龍閃一発撃つだけでも反動に苦しむ状態になっている剣心はこの技を放ったその場で昏倒。
しばらくの間休養を強いられることとなったついでに息子のミスで危うく永眠しかけた

作者の予定では本来はこの技が奥義だったらしく、キネマ版では奥義に設定変更されている。やたらと演出が派手なのはその名残だろうか。
また、読み方が「ここのつがしらのりゅうのひらめき」になっている。
実写映画シリーズでも使用されたが、流石に原作そのままの表現でアクションを行うのは無理があると判断されたのか、
反撃の隙も与えない程の早業で9連撃を叩き込み、突きは刃先で行うという形にアレンジされている。「それって“龍巣閃”じゃね?」とか言ってはいけない
ニコニコ動画の某検証シリーズでは「お取り寄せ」「支点を板に吊るしてギリギリ太るカレーセット」「ベースボール」の愛称(?)で親しまれている*9

  • 天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)
飛天御剣流の奥義。
左足を前に出すことで左足を斬る危険を持ちながらも、その刹那のタイミングを見切って更に一歩踏み出し、居合切りを放つ技。勿論真剣なら痛みどころか斬られた事を感知するまでもなく即死である。
御剣流の「神速」を更に高めた「超神速の抜刀術」とされ、理屈の上では九頭龍閃による相殺と競り勝ち以外で唯一九頭龍閃を破ることが出来る(神速の九撃よりも速く一撃を叩き込めるため)。
そして習得には技術的な面だけではなく、捨て身や自己犠牲ではない、人を動かす何よりの原動力となる「生きようとする意志」を強く持たねばならないという精神面での強さを要求される*10
この技だけ訓読みになっているのがプレミアム感をそそる。
アニメ版ではこの技の発動時には暗闇の中に光が煌めく独特な演出がとられ、その特別感を強調している。

奥義とはいえあくまで単発の斬撃であり、発動の起点となる左足の踏込みを見切れば志々雄クラスの実力者なら受け止めることは可能。
もちろん事前情報がないとそんな事は出来ようがないので、志々雄も宗次郎から情報を貰って実現させた。
そもそも、受け止めたところでそのまま受け太刀ごとぶった切られたら意味がないわけで、これをやってのけた志々雄も凄いが、受け止めて見せた無限刃の耐久力も凄い気もする。
しかし、受け止める若しくは回避した際に一撃目の剣筋から生じる衝撃によって空気が弾かれ真空空間が発生。
そしてそこに流れ込む強烈な空気で敵は動きを封じられ、其処へ更に加速しもう一回転分の踏み込みを加え強力になった二撃目の直撃を受けることになる。
本来は師の命と引き換えに会得する事が要求されるが、剣心の場合は刀の目釘が外れかかっていた為に威力が弱まり、幸いにも比古は命を落とさずに済んだ。
といってもこの時の一撃目ですら屈強な比古の鋼のような肉体を抉り昏倒させるほどであり数日後には不二相手に大暴れするくらい元気になってたけど、その後の戦闘でも強敵を吹き飛ばしている。
「倭刀術絶技・虎伏絶刀勢」とは相性が悪いようで初戦で破られている*11が、2戦目では剣心がより強い決意を以て左足を踏み出したことで勝利しており、やはり作中では最強の位置にある技と言える。

キネマ版では奥義ではなく「飛天御剣流の最速抜刀術」に設定変更されており、読み方が「てんしょうりゅうせん」になった。
これには「名前が間違っている」と指摘した読者もいたらしく、作者も単行本で「混乱させてすみません」と謝罪している。
なお、九頭龍閃にも言えるのだが、キネマ版の剣心は抜刀斎時代にこの技を習得済の状態である。
そのため、天翔龍閃対牙突零式という原作では出来なかった夢の対決が斎藤の回想場面で実現、結果はお互い刀を粉砕してしまい、全くの互角だった事がうかがえる。
原作だと牙突零式は「上半身の発条だけで繰り出す」ため、全身を使う通常の牙突より何かしら劣るわけで、それと互角ってことは…

実写映画版では原作通り、飛天御剣流奥義というポジション。
『伝説の最期編』における志々雄との最終決戦では初撃による一閃しか使用されず、本命の二撃目がある設定なのかは不明。
ちなみに劇中、名称が披露されたのは双龍閃とコレだけである。

  • 飛ぶ剣圧
特に固有の技ではないが、本気を出した比古清十郎が見せたもの。
白マントを脱いで本気の実力を見せた際に、軽く素振りをしただけで地面に亀裂が走っていた。
石動雷十太の様に遠距離攻撃が可能なのかは不明。

アニメ後期の土龍閃も、原理から言ったらこれに近いのかもしれない。

  • 雷龍閃(らいりゅうせん)
天草翔伍の編み出したオリジナルの技。
翔伍自身は「飛天御剣流を超える真の御剣流」と称し、仁志田兵衛によれば「飛天御剣流開祖以来初めて付け加えられた技」とのこと。
雷光や月光を刀で反射させ、剣気と同時に叩き込むことで相手の視覚を奪う。
ただの閃光ではなく剣気も加わっているため、失った視覚は時間経過では戻らず使用者を上回ることでしか取り戻せない。
……ツッコミどころはあるだろうが、まぁ、本家も龍鳴閃とかあるし、心の一方っていうのもあったし…。
(実際翔伍は操に剣気をブチ当てて心の一方と同じような効果を発揮したことがある)
でもこれで九頭龍閃を破った事もある。

  • 飛天無限斬(ひてんむげんざん)
厳密には「飛天御剣流」ではなく、「飛天三剣流」の技。
『戦国の三日月』(コミックス6巻に収録)にのみ登場する秘刃で、主人公・比古清十郎(剣心の師とは別人)が仇敵・岩野宏先を討ち果たす際放った必殺の剣。
天高く跳躍し、刀を持ち振り下ろす腕に対しもう片手は手刀を水平に構えるという、ウルトラマン八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)発射フォームみたいな構えから繰り出す一閃。
「秘刃は一太刀で百人斬る」という劇中の風聞に違わず、見た目は一太刀だが、喰らった側は南斗聖拳の犠牲者めいて膾切りになる。グロッ!?
……ぶっちゃけバトル漫画(かつ読み切り作品)のお約束にしたがって戦闘パートのシメとして
1ページ見開きでババーン!とぶち込まれる必殺剣=相手は死ぬという流れで放たれた技なので、『るろ剣』にあるような術理や技の特性に関する詳細は一切ない。



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最終更新:2024年04月08日 11:28

*1 原作ではそのような描写はないが、令和アニメ版では抜刀斎の戦いを目撃した事が人斬りの道へのめり込むきっかけとなっている。

*2 第一話時点では龍槌閃であると語られていなかったが、斬左こと左之助との戦いで放った際に薫の台詞によって龍槌閃であると明言された

*3 とはいうものの、剣心も左之助に対して「龍槌閃を喰らって立っているのはお主が初めて」と感嘆していることから本編開始前は必ず相手を沈めており、本編の敵がどいつもこいつも頑丈過ぎるというのが正直なところだろう。

*4 初撃を避けられた場合に鞘での攻撃を行うとすれば辻褄は合う。

*5 原作だと普通の白刃取りだが、令和アニメ版で龍咬閃に置き換わった事で変わった。

*6 原作では白刃取りしたのを掴んでそのまま柄を蒼紫の喉元に突いていた。

*7 戦国時代発祥の一対多数を主眼とした剣術なので「鎧を着込んで突進する騎馬武者達」なんかに叩き込んでやると人間と馬双方が平衡感覚を失ってバタバタと落馬させられる可能性はある。

*8 一、二、三といった通常の漢数字では、少し書き加えるだけで改竄出来てしまうため、これを防ぐために正式な書類で使われる画数の多い漢字。

*9 後二つはともかく、前一つは英語版で九頭龍閃をローマ字読みしているのだが、発音がどうしても「お取り寄せ」にしか聞こえない事から。

*10 実際、技の性質を見抜いた宗次郎もこの点を挙げて「自分には使えない技である」と語っている。

*11 ただし、これすら『かなりギリギリ』だった上事前に剣心の天翔龍閃を一度目にしたためでこれがなかったら相打ちになっていたと縁自身が認めている。