ゲゲゲの鬼太郎(第2シリーズ)

登録日:2012/05/18 Fri 04:21:12
更新日:2024/02/24 Sat 13:58:15
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ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~~

【概要】

水木しげる原作の妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」は2019年までに「墓場」を含めて七度アニメ化されたが、
本項ではそのうち二度目に放映されたアニメシリーズについて扱う。
1971年10月7日から1972年9月28日までフジテレビ系列で放映された。アニメーション制作は東映動画(現・東映アニメーション)。

各シリーズの項目はこちらを参照


1960年代に放映されたアニメ第一シリーズの続編的な立ち位置。
ただし、メインキャラの性格の微妙かつ確かな差分・猫娘の容姿・「劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!」の同時上映作品「ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎」では本作の鬼太郎はエンドクレジットでは「二代目鬼太郎」となっている点など、本当につながっているのかどうかは怪しい部分もある。
とはいえ当時の作風的にそれぞれのエピソードは一本に繋がっておらず、設定が話数ごとに安定しておらず、前期との差異そのものがご愛嬌とも言えるのも事実。
つまるところ本作を「直接的な続編」ととるか、「新シリーズ」ととるかは個々の感性に委ねるのが妥当。*1

少年漫画然とした一期と異なり、当時の社会背景を反映した、ハードかつ陰鬱な作風や、視聴者に教訓を投げかけるエピソードが多いのが特徴。
それぞれのエピソードのメッセージ性が強く、普通に鬼太郎が妖怪をやっつける回の方が印象が薄くなることもしばしば。
当時としては大人にも向けられたようなメッセージ性の強い作風は、ルパンと同じくさぞ子供人気がなかったと思いきや、妖怪ブームが下火となっていた時期のわりには結構ヒットはしていたようである。
しかし怪獣ブームのそれに押されたこともあり、今で言う「覇権」を取るには至らず。作中で怪獣めいた妖怪を何度か出すなどしたものの、結局は盛り返せなかった。
本家TVシリーズとしては最も製作話数が少なく、しかもいくらかは本放送中の再放送で占められている。何故再放送が多かったかは不明。

本作がより脚光を浴びるのは本放送よりも再放送であることも多く、これが後の第3シリーズ製作への足がかりになったとも言われている。

現在ではおなじみのヒロイン格になった猫娘の初レギュラー化も含め、その後のアニメ展開の基盤を作ったと言っても過言ではない。
ただし鬼太郎ファミリーといえるほどの出番はなく、配信サイトのスチールではファミリーが揃っている場面が使われていたりするが、ぶっちゃけそういう状況になる方が稀。
鬼太郎ファミリーという概念が本格的に根付くのは第三シリーズからとなる。

2期のみのエピソードが、後発のシリーズでリメイクされたり、ネタが採用されることも多く、当時の視聴者にはかなりのインパクトを与えている。


【登場人物】


CV:野沢雅子
ご存知、「まれに見る正義の人」。
これまでの生活を捨てて俳句を詠み干物を作る晴耕雨読の日々を過ごしていたが、現代社会の毒が妖怪を活性化させていると知り、立ち上がらざるを得なくなる。
世界を股にかけて人間に害をなす妖怪と戦うのが仕事だが、妖怪よりも醜悪な心を持つ人間たちと戦う機会も増えた。
要人や探検隊のボディガードに駆り出されたり、大企業の社長から「無気力な息子を立ち直らせてほしい」と頼まれたりもする。

CV:田の中勇
鬼太郎の父。クレジットでは「父親」で、二期の時点でも今のような名前は定着していない。
このためまだこの時点では名前自体がなく「鬼太郎の親父」「親父さん」と呼ばれることが多かった。
博識な人格者であるところは他のシリーズと共通だが、ねずみ男に対しては辛く当たる事が多い。
原作エピソードで目玉親父が活躍する話が多く採用されたことから、妖術で活躍する話が多く見られた。

CV:大塚周夫
「努力せずに金を儲ける」がモットー。二期においては主人公のような活躍をする話も多く、前期以上に意地汚くなっている。
口八丁手八丁で数々の商売を行い、鬼太郎を利用する事も往々にしてある。
自殺志願者に「往生際の悪い奴だね」と平気で言ってのけたり、兵器会社の株を急騰させるために第三次世界大戦を起こそうとしたり、かなりえげつない言動も。
演じる大塚周夫が自分以外は出来ないとすら豪語した演技は1期と比べてさらに完成度を高めている。
先の血も涙もない良識感ゼロなキャラクター性を、愛嬌と憎たらしさを織り交ぜた演技は必見。

CV:小串容子
前述のように、本作から準レギュラー化。一期でゲスト出演した時の猫娘とは同一人物とされている文献もあるが、その時とは別人のようなデザインと性格である。
よって現在では同一人物説は怪しいとされていることも多い。(原作ですら猫娘は1個体でないと見られる描写もある)

敬語を使うなど礼儀正しいが、女だてらにアクティブな性分でもあり、鬼太郎とともに真っ向から戦う事もある。
ねずみ男とは仲が悪いが、彼の死を普通に悲しんだり、ねずみ男にそそのかされて余計なことをしたり、他のシリーズと比べると驚くほどに仲良し。
含蓄のある台詞を言うことも多く、ある回で口にした「あたしたち、自己満足のためにしてるのね」は有名。
1話から出演しており、レギュラーという認識から全話出ているかのような印象があるが、後のシリーズと比べても未登場回がかなり多い。
よって厳密には準レギュラー止まりといったところか。

  • 砂かけ婆
CV:山本圭子
前作では出てくるたび姿が違っていたが、今回は目以外はなんとか安定するようになった。
妖怪アパートを経営しているが、家賃の滞納が多いことには嘆いている。
本作では珍しく「人間嫌い」という設定が徹底されており、かまぼこの回では鬼太郎の危機を感じ取り嫌々人間界に出向いたりしていた。
また、「悪魔ブエル」ではほとんど妄想で人間のことを長々と罵倒し続けていた

  • 子泣き爺
CV:矢田耕司
言動はやわらか気だが、余計なことを言って砂掛け婆からはたかれることも少なくない。

  • 一反木綿
CV:山田俊司(キートン山田)
なぜかほとんどしゃべらない。そして喋ってもかなり口が悪い。

  • ぬりかべ
CV:山田俊司(キートン山田)
なぜかまったくしゃべらない。セリフを発したのは実質初登場の第二話だけ。また同話ではやたら可愛い口があり、かなり愛嬌ある見た目をしている。


  • 死神
CV:神山卓三
魂収集のノルマに追われる「地獄のサラリーマン」。後のぬらりひょんの先駆けとなったキャラ。
生活のため、様々な妖怪と組んで悪事を働くがいつもうまくいかない。
最後には地獄の掟を破り、自らの手で人を殺す事で魂を得ようとするが……。
初登場時以外の元ネタは水木漫画「サラリーマン死神」の主人公。準レギュラーとして、計五回登場。


【有名なエピソード】

  • 12話:やまたのおろち
    • 2期には数少ない妖怪退治エピソードの一つ。解放石の中の幻想的な世界が印象的。
  • 22話:地獄の水
    • 水神が登場する回。元は水木短編だが墓場鬼太郎時代のエピソードを彷彿とさせる内容。
  • 35話:イースター島奇談
    • 下記の足跡の怪と並び称される恐怖エピソード。正義感を燃やして言葉に容赦がなくなる鬼太郎は必見。
  • 37話:地相眼
    • 劇場版として再編集されたことでも知られる。一言で言うなら救いのない白山坊回。
  • 38話:隠れ里の死神
    • 6期でもリメイクされた名エピソード。最後のシーンはいろいろと考えさせられるものがある。
  • 42話:死神と貧乏神
    • 死神シリーズの一つ。冒頭から結構エグいことをしているのが特徴。
  • 43話:足跡の怪
    • 本作と言えば真っ先に話題に上がる最恐エピソード。6期でリメイクされたが実は5期の三年目にリメイクされる予定があった。


【水木短編作品からの流用】

原作のストックが不足した事により、中盤以降「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズではない水木しげるの短編漫画からモチーフを持ってくることが多くなる。
実はこれは一期の末期からすでに始まっていた。
鬼太郎シリーズとは異なる作品を原作にしたエピソードは以下の通り。

+ 一覧
死人つき
猫又
マンモスフラワー
アンコールワットの亡霊
やまたのおろち
怪自動車
南からの招き
縁切り虫
幸福という名の怪物
心配屋
地獄の水
死神とサトリ
イースター島奇談
妖怪屋敷
地相眼
隠れ里の死神
妖怪水車
原始さん
霊形手術
死神と貧乏神
足跡の怪
雨神ユムチャック
死神のノルマ


全45話中、実に23話を短編原作のエピソードが占めている。
そして、これらのエピソード。
回を重ねるごとに、社会派ドラマと恐怖ドラマに二極化していくのである。

特にタブーを侵した事によって神の怒りに触れ、破滅していく人間の末路を克明に綴った「イースター島奇談」「足跡の怪」は、
アニメ鬼太郎史上最大級のトラウマエピソードとして名高い。

文明社会に破壊された自然を甦らせるために現れた精霊が人間に失望して去っていく「原始さん」は、今こそ語られるべき物語だろう。


【オープニング】

  • ゲゲゲの鬼太郎
Vocal:熊倉一雄
曲は前作と同じだが、下駄がねずみ男に落ちる場面とカラスが飛び立つ場面で、オープニング内でSEが使われているのが最大の特徴。
正確には、一期や四期などでも冒頭には風やカラスのSEが使われている。

【エンディング】

  • カランコロンのうた
Vocal:加藤みどり、コロムビアゆりかご会
加藤みどりは前作から引き継ぎだが、背後のコーラスは新規録音らしい。背景はやたら柔らかいリモコン下駄が多用されている。


この項目をご覧になられたあなた、是非ともレンタルショップに足を運んでみてはいかがだろうか。
色々とアナーキーな作品だが、観て損はない。

特に「足跡の怪」、あれは一度観たら必ず忘れられなくなるだろうから。


次回、ゲゲゲの鬼太郎、追記・修正にご期待ください

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最終更新:2024年02月24日 13:58

*1 中には「野沢雅子版が白黒版(1期)とカラー版(2期)の2作あるが、途中の長期休止のせいなので野沢版自体が実質1作目」だと誤解している者もいるが、1期と2期の間が長期休止だという情報はどこにもない。