重戦機エルガイム

登録日:2010/06/21(月) 00:56:37
更新日:2023/11/07 Tue 00:11:35
所要時間:約 6 分で読めます






誰か 背中抱いててくれ

一人きりじゃ悲しすぎるから


No Reply 琥珀(きん)の砂時計

人はこぼれた砂よ

Say mark Ⅱ 優しさが生きる答えならいいのにね



1984年〜1985年にかけて放送された、サンライズ製作のロボットアニメ。全54話。
キャラクターデザイン&メカニックデザインは、後にこの作品が元となった『ファイブスター物語』で有名な永野護。
総監督は富野由悠季

前作『聖戦士ダンバイン』の反省を生かしてか、最初は『戦闘メカ ザブングル』のようなコミカルな作風であったが、
富野監督らしく物語が進むにつれてシリアスな展開を見せた。
また、本編が終了した後に、OVAが全3巻発売された。
内容としては1、2巻は“おまけが本編”、3巻は完全新規の気合の入った内容となっているも、ぶっちゃけTV版のラスボスよりも遥かに強そうなオリキャラを初代エルガイムが撃破するというある意味奇妙な光景が繰り広げられる。
なお、エルガイムの放映が始まる前から『機動戦士Ζガンダム』の企画が始まっており、富野監督はそちらの進行をメインにしていたため監督作品ながらこれまでの作品よりも関わりが薄く、若手スタッフが中心となって製作していたとか(おかげで番組を若手スタッフ育成のために利用していると苦情が来たらしい)。
サンライズとしてもΖガンダムが本命だったようで御大曰く、「エルガイムというのはガンダムをやる前の半分は捨て駒だった」「あれは永野の作品」と語っておりエルガイムには余り愛着がないようでエルガイムのことは全て忘れたという。
なので現在でも富野監督がエルガイムの事を口にする機会は少ない。

後年『重戦機エルガイムアンダー・ザ・サンズ』という漫画が発刊された。
後半視点がバラけたせいで主人公感の薄れたダバをクローズアップしたパラレル物であり、MK-2もギャブレーも出てこない。
ギワザもあっさり処理されるなど単行本1冊なあたり話が短いが
ダバファンは必携の本となっている…特にラストのオチが…。
尚作者はギャブレーが本編に出せなかったので巻末にイラストで書き下ろしている。

2022年現在、本編のみdアニメストアで配信中。


【あらすじ】

オルドナ・ポセイダルの支配下に置かれたペンタゴナワールド。
その中の片田舎である惑星コアムに住む少年ダバ・マイロードは、友人のミラウー・キャオと父親の形見のヘビーメタル(以下HM)エルガイムと共に都会へと旅立つが、途中であったトラブルにより追われる身となり、その時に出会ったファンネリア・アムとガウ・ハ・レッシィと共に反乱軍として、ポセイダルと戦っていく。



【登場人物】


◇ダバ・マイロード
CV:平松広和

今作の主人公。
行方不明となった義妹のクワサン・オリビーを探すため、出世を望んでるキャオに仕方なく付き合う形で旅に出る。
その旅の途中、アムとレッシィに惚れられ、彼女達に引っ張りだこにされていた。
これ何てエロゲー?
実は彼の本当の名前はカモン・マイロードで、ポセイダルに滅ぼされた、ヤーマン族の生き残りである。
小説版によるとマイロードと言う名前は没落王家の王子ということでせめて名前だけでも自然と敬えられるようにしたいためとのこと。(マイロード→My lord→わが主君)。
でもアニメだとみんなダバって呼んでる。小説や『UNDER THE SUNS』などではマイロード呼びだけど。
反乱軍の指導者となってからは、この名前を名乗り、ポセイダル軍と本格的に戦っていく。
ペンタゴナでは日本と同じように姓→名の順で名前が付けられているのだが、なぜかみんな姓であるダバの方を呼び捨てにしている。
後年のスパロボで知ったという人にはあんまりそんな印象は無いかもしれないが、実は結構な肉体派であり、親指一本だけで指立て伏せを黙々とこなしたり(1話)、絡んできた悪漢を撃退したり出来る(2話)。そのスパロボでも『スーパーロボット大戦30』ではセイバー片手に白兵戦をするシーンもある。まぁ、ここからイメージを膨らまされた『F.S.S.』だとヘッドライナー=騎士が今川作品もかくやのスーパーマンになってるし。
優等生的なキャラであり、見ていて苛立ちを感じることはない物の、その反面アニメの主役としては面白みに欠ける所もあったりしたせいか、
後半はギャブレーサイドの描写の方が見てて面白い等といわれることも。

愛機はエルガイムとエルガイムMK-II。


◇ミラウー・キャオ
CV:大塚芳忠

ダバの幼なじみ。
立身出世のために、ダバを無理矢理連れ出し旅をする。
メカに強く、HM等のメンテナンスも手がける。反面、パイロットとしての力量には特筆すべきところはない。
本作の次回予告などのナレーションは彼の口から語られている。
小説版では放射能障害によりなんと死ぬ。

乗機はワークス、ディザード。


◇ファンネリア・アム
CV:本多知恵子

ミヤマ・リーリンら率いる盗賊集団の一味だったが、ダバ達を襲った時にダバに惚れてしまい、ダバに付いていくことにする。元々は芝居小屋の役者だったらしいがどういう経緯で盗賊になったかは不明。
一介の盗賊だった割には何故か妙に多才で、戦艦を調達したり指揮も取る。
レッシィとは、ダバを巡って、よく喧嘩する。
お色気ネタや顔芸など、体を張った汚れ役を引き受けるシーンがレッシィに比べて妙に多い。
ダバに付いて行き、戦闘を重ねるうちに技量が上がったのか、エルガイムを任され、ネームドの敵を撃墜するまでになっている。
小説版では大戦中に産まれ、素性を隠されていたポセイダルの皇女。*1

乗機はゴロンゴ、エルガイム。


◇ガウ・ハ・レッシイ
CV:川村万梨阿

ポセイダル軍の十三人衆の1人であったが、こちらもダバに惚れてしまい、軍を裏切った。
その際に、ロングの三段レイヤーの髪をバッサリ切り、ショートボブにした。
最初はダバ達と共にポセイダルと戦っていたが、馴れ合いのチームではポセイダルを倒せないと悟り、ダバ達から離れ、彼らを影から支援する道を選んだ。

乗機はゴロンゴ、ディザード、ヌーベル・ディザード。
(スパロボでおなじみの赤いディザードは彼女の愛機である。)

◇リリス・ファウ
CV:川村万梨阿

ほぼ絶滅しかかっているミラリーという妖精。
とある町で見世物にされていたが、ダバによって助けられた。
劣悪な環境でコキ使われていたせいか、当初はセリフらしいセリフを殆ど喋らなかったが、話が進むにつれて心の傷が癒えたのか、いつしか普通に喋るようになっていた。
自分用のHMを提案して戦闘に加わろうとしたこともあったが、全長約2mというサイズがネックとなり即座に却下されていた。
ギワザ軍によるパラータ・スターへの攻撃で暴走しかけた核融合炉を鎮めてしばらく寝たきりになるも最終決戦時には復帰を果たした。*2

◇ギャブレット・ギャブレー
CV:速水奨

片田舎の貴族出身の愛すべきバカ。
キャオと同じく立身出世のためにポセイダル軍に志願した。
登場早々、ダバ達の飯(3人+α分)を世間話ついでに堂々と食い逃げた。
ダバ達とは何回も戦うが、後に変な友情が芽生えたり芽生えなかったりして、終盤ではダバと協力して、ポセイダルと戦った。
ダバの義妹のクワサン・オリビーに惚れてしまった。

なんやかんやしてるうちに十三人衆のメンバーになり、戦艦も1隻まるごと任される大出世をするが、惚れた女がことごとく不幸になる。下げチンなのか?

シリアスになっていく後半にあっても彼だけはマイペースであり、かつある出来事が重なったため、ポセイダルに反旗を翻す事になる。*3
おまけに最後に良い所持って行く始末、第二の主人公と言っても過言ではない。

小説版ではやや三枚目な面は鳴りを潜め、マイロードの前に最後の敵としてたちはだかる。

乗機はアローン、グライア、バルブド、バッシュ、グルーン、アトール、アシュラ・テンプル。


◇クワサン・オリビー
CV:木下由美、内川藍維(スパロボ代役)

ダバの義理の妹で婚約者。
ポセイダルのヤーマン狩りで行方不明となっていたが、後にダバと再会した。


◇ネイ・モー・ハン
CV:竹内久美

十三人衆の1人である美女。
基本的にクールビューティーであるが、作中ではコミカルな一面(髪の毛を焦がして火傷してしまう、呑気におやつを食べていたところを通信で呼び出される等)も披露していた。
何というか、選ぶ男を間違えた不幸人。

乗機はオージェ(レプリカ)、実は借り物なのだがスパロボでは毎度のごとく借りパクしている。



◇ギワザ・ロワウ
CV:西村知道

ポセイダル軍コアム師団情報局長。
秘密情報機関13人衆のリーダー的存在で実質的に本作のラスボス(笑)と言える人物。
政治的手腕に長けている上に白兵戦も得意であるが、その本性は猜疑心が強い小悪党で自分以外の人間を信用せず、愛人のネイですらのちにスパイと決めつけて処刑していた。
軍の腐敗を放置するポセイダルに反感を抱いてクーデターを目論んだが、上記の小さい器が災いして計画が水の泡となり、最期はダバに討たれて死亡。
御大曰く「世界を担う器量がどうとか以前に凡人でおバカ、コアムの一地方執政官辺りで満足してれば美女の数人も侍らせて幸せな一生を全うできたろうに」との事。


◇オルドナ・ポセイダル
CV:島津冴子

ペンタゴナワールドの統治者。
その正体はオルドナ・ポセイダルの影武者であり、本名はミアン・クゥ・ハウ・アッシャー。
表向きは美女と見まごうほど美しい男性ということになっているが、実は女性である。…視聴者にはバレバレであったが。
かつてはポセイダルの元恋人であったが、支配者としての責務を押しつけられる形でポセイダルにバイオリレーション・システムで洗脳されて現在に至る。
最終的に正気を取り戻してバイオリレーション・システムを停止させ、ポセイダルと共に死亡した。


◇アマンダラ・カマンダラ
CV:豊田真司(4話〜33話)、堀部隆一(43話〜54話)

闇の武器商人であるアマン商会の当主。
ポセイダルと戦うダバ達を支援している形であったが、実は彼こそ真のポセイダルであった。
ヤーマン族を根絶やしにした理由は、家族をヤーマンに殺されたからである。
終盤にオージを駆って、バイオリレーション・システムによりダバを圧倒するが、後にダバに加勢してきたギャブレーとミアンにシステムを切られたことにより急激に老化が始まり形勢が逆転、ダバ達の攻撃により死亡する。
小説版ではこの設定はなく大物ながらホントに一介の商人であり、ポセイダル打倒後の新体制で経済面を一手に引き受けることとなった。


◇フル・フラット
CV:土井美加

サートスターの統治者である長身の美女。
元はポセイダルのテンプルナイツの一員であり、ミアンと共にポセイダルの寵愛を競った。
現在はミアンと同様にバイオリレーション・システムで永遠の若さを手に入れているが、早い段階でポセイダルを見限ってダバ達に味方するようになる。
小説版では彼女こそ真のポセイダルとなっている。

乗機はガイラム



【主な登場兵器】


◆エルガイム
物語前半のダバの愛機。
武器はセイバー、ランサー、ハンドランチャー、パワーランチャー、Sマイン
OPで繰り出しているあの謎ビームは何なのかツッコんではいけない。
物語後半からアムの乗機となるが、最終話ではダバが乗り、バスターランチャーでギワザにトドメを刺した。


◆エルガイムMK-II
物語後半の主役機。
ポセイダル軍のHM、アモンデュール・スタックを改造したものであり、ヤーマンの技術が仕込まれている。
ヤーマンの技術へのポセイダル軍の偏見と模倣の不完全さによる問題で打ち捨てられていた所をダバ達の手に渡り、
エルガイムの技術を完全に導入しブラッド・テンプルNo3の頭部を使用して生まれ変わる。
なお、360度モニターを使ったのは、おそらく全ロボ作品中、この機体が初めてある。



私はギャブレット・ギャブレーだ…義に追記・修正してこそ、華だとは思わんか!?

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最終更新:2023年11月07日 00:11

*1 誕生の時期的にはヤーマン族のカモン王朝とオルドナ王朝が互いの一族殲滅を狙って激戦を繰り返していた時期なので、一族全滅を防ぐ為に素性を隠して逃がす事は別におかしくない。アムの祖父母の仇がダバの親で、ダバの両親の仇がアムの親と言う関係である。

*2 池原版コミックでは以降の出番がなく死亡説もある模様

*3 この時点で艦長達クルーから離反者が出ていないあたり、最初はバカにされていた物の信頼を得るに至ったようだ。