アストロノーカ

登録日:2011/12/09 Fri 21:07:41
更新日:2022/12/19 Mon 01:13:45
所要時間:約 5 分で読めます




1998年、エニックス(当時)よりプレイステーション用に販売された宇宙作物育成・害獣退治シミュレーションゲーム。

主人公は宇宙一の農家になることを目指して宇宙の果てにあるニッカボッカ星系にやってくる。
全宇宙野菜コンクールに優勝することを目指して、宇宙野菜を害獣バブーから守りながら育成と交配を繰り返していく。
『スターオーシャン セカンドストーリー』に体験版が同梱されており、それで興味を持った人も少なくないのでは。

◆システム
○畑
プレイヤーにはまず1つの畑が与えられており、1つにつき6つの種を植えることができる。
たったそれだけかと思うかもしれないが、何でも入植先の星は地盤が固く、限られた場所・限られた方法でしか畑が増やせないらしい。何でそんなとこに農業希望者を入植させたんだ。
牧場物語などとは違い、種を植えれば相棒のピートが世話をしてくれるため、それ以上は何かをする必要はない。
あとは、毎日畑をチェックし、完熟した野菜があれば収穫すればいい。完熟していると収穫時に種がもらえる。
無論それだけでは精々カブと芋とトマトを育てる赤貧農家にしかならないが、そこで輝くのが交配マシンとバブーである。

○交配マシン
種2つを掛け合わせ、新しい種を創り出す。稀に失敗してしまったり強化種というものが入手できたりする。
野菜には8つの特性があり、交配すると野菜ごとに決まった特性がランダムで増減するようになっている。
増減の元となる特性値は8つそれぞれが元となった種のどちらかから選出されるため、異なる種を交配することで複数の特性を増減した状態にできる。
異なる種類だった場合、組み合わせによっては新しい野菜の種に変化する場合がある。
強化種は交配に使うことで任意の特性を決まった値だけ変化させられる。ほとんどデメリットはないが、最終コンクールで泣きを見たくなければ要所要所以外では使わない方がいい。
具体的なルールは以下の通り。
  • メンデル値という数値と科の組み合わせにより、別の種になるか否かを判定する。ならない場合は素材のどちらか。
  • 各特性に対し、2つの種のどちらかの値を複製する
  • 作成される野菜の変異対象となる特性の、8つのピース*1のいずれか1つが増加または減少する。
  • 最終値を基に特性の呼称が設定され、そのいずれかがピートによって事前通告される
  • LRで再抽選可能
  • 確率でクズ野菜の種になってしまう
  • ピートのAI性能が低いと予想と違う種になるケースがある

漫然とやっているとただの運ゲーであるが、頭を使うことで幾らか楽にできる。
まず特性の吟味はできるだけ近い特性、可能なら全く同じ種を使うこと。ただ、これは複数の特性を掛け合わせている場合に重要で、ただ1つの特性をひたすら先鋭化させる場合は市販のシマイモでもいい。
半分はシマイモになるので確率は半減してしまうが、育成に時間がかかったり季節が限られてしまうものなら特におすすめである。
また、注釈にあるように、特性値はそれぞれピースによって違っており、その振れ幅と呼び方が切り替わるボーダーラインを利用できる。
例えば残っているピースのうち、「望んだ変化をしたら呼び方が変わらない」状況であれば、変化してしまうケースならば即再抽選となる。もちろんその逆も可能。
結局はいい感じの引きが来ないといけないことには変わらないが、事前通告の段階で絶対にハズレのケースを除外できるのでロードの手間は減る。

○バブー
作物を食い散らかしにやってくる害獣。
一見すると愛らしい姿をしているのだが、こいつに丹精込めて作った野菜を食い荒らされて殺意を覚えたプレイヤーは多い。
主人公は愛する野菜を守るために、畑の前にトラップを設置して撃退することになる。
序盤は割と簡単に撃退できるのだが、バブーは頻繁に世代交代をおこなって凄まじい速度で進化をおこなう。
例えば、バネで飛ばすトラップを使っているとバブーが重くなって飛ばされにくくなるといった具合である。さらに重くなると乗って作動する罠が壊れてしまう。
逆に、軽量化が重なると羽が生えてトラップを飛び越すということも・・・。最悪の場合、羽が生えた上で重くなる
また、扇風機を使っていると風に強くなったりと、罠次第ではその属性自体にも耐性を得る。

一部の罠で捕獲することができ、飼っておくことができる。
飼い続けることのメリットはあまりないが、序盤のバブーをキープしておき、終盤ステータスが高まった時に開放してやれば強制的に退化を促すことができる。
他データと交換することができるが、終盤のバブーを受け取って開放してしまうと逆に進化させてほぼ詰みとなる。

最終手段としては、バブーは番号が小さい畑から順番に食い荒らしていくため、どうしても食べられたくない野菜は後の畑に植え、1番には安価・不要な野菜を配置して囮にする、という手もある。

日曜日以外はほぼ毎日やって来る上に、一度に2〜3匹同時に出現することもある。
何故、人間の休日にバブーも休むのかは不明。

ちなみに猛毒の野菜や悲鳴を上げる野菜、火を噴くほど辛い野菜や完全剛体の野菜、恒星サイズの野菜でも全く問題無く喰い散らかす。
これらは比喩らしいが、栄養だけは誇大表現ではないらしい。
ほぼデメリットしかないが、稀にゴールデン種というレアな強化種を入手できる。入手方法はほぼこれだけ。
また、バブーに食われた傷物野菜しか出せないコンクールもある。

○トラップバトル
バブー撃退するイベント。
決まったフィールド内に罠を配置し、バブーを撃退する。設置には罠ごとに電力が必要で、決まった値以上の罠は配置できない。
多くの罠は効果範囲に立つことで起動するが、バブーが殴らないと起動しないものもある。
また、落とし穴など消耗品は一度起動すると翌日に消滅してしまう。
上記の通り、バブーは与えた負荷に応じて進化してしまうため、定期的に構成を変えていく必要がある。特に落とし穴は軽量化を促進させ、羽出現を促してしまうので注意。
長居させるとスタミナが増加し、その分進化する機会を与えてしまうため、できれば短時間で処理することが望ましい。
かといって、強い負荷を与えるとその分だけ進化も早まってしまうというジレンマ。
終了後は得点が表示されるが、これは畑の出来に影響する。何でも、ピートのAI製作を担当した人物はこのトラップバトルにかかわる組合にも身を置いており、いいトラップバトルが見れるとやる気が増すんだそう。

以下、おすすめトラップ例。
  • 強力な扇風機で川の流れる外縁へと飛ばしていき、川から強制追放
  • 堅固な壁で入り口付近を囲い、諦めさせる
  • 大量の偽餌を食わせて満腹にさせる
どれもそれなりに資金力とストーリー進行が必要となるが、配置できるようになれば短時間撃退も可能で非常に便利。
特に川流しは貴重品と交換できるバブーの羽が入手しやすい上、高得点が獲得できるといいことづくめ。また、怪光線マシンやおめでとう装置などスタミナが増える代わりに退化させる罠を使っておくとさらにグッド。
計画的に進めて勝利していれば、この3つをサイクルさせているだけでクリアできる。まあ、その計画的に進めて勝利というのが困難なわけだが。


◆登場人物
  • 主人公
全宇宙野菜コンクールに優勝して宇宙一の農家になることを目指してニッカボッカ星系にやって来た新米農夫。
誰が呼んだか、ミラクル農夫。
他のキャラクターにも言えることだがヘルメットで素顔を見ることはできない。

  • ピート
農業用ヘルパーロボット。
主人公は彼と共に農業に勤しんでいくこととなる。

  • ヤマダ
主人公と同時期に農業を始めたライバル。
性格はまさに爽やかな好青年であり、コンクールで自分を負かした主人公に「素晴らしいライバルに出会えて良かった」とメールを送ってくる。
他にも、わざわざ新年の挨拶を送ってきてくれたりする律儀な性格。

  • テンタクル
ライバルの一人。
太陽系の火星出身であり、6本の伸び縮みする手足を駆使した農業を得意とする。
準備不足の相手に勝っても嬉しくないという理由で、主人公にコンクールのスケジュールを教えてくれることもある紳士的な触手。

  • アブドゥル・ドゥバ・ドバド
ライバルの一人。
ゴボウ玉という野菜に命を賭ける男。通称ゴボウ玉ラブマシーン。
シマイモなどの他の野菜が対象であるコンクールにもゴボウ玉を出品して酷評を受けるが、ゴボウ玉コンクールでは強敵となる。
トゲガーリックを育てることもあるが、それは浮気らしい。実際はバグだが
本作の続編に当たる後述のコスモぐらしでは、とうとうゴボウ玉と結婚してしまったらしい。

  • ビッグマン・ジョニー
ライバルの一人。
ビッグマンの異名は伊達でなく、大きな野菜を作らせたら右に出る者はいないと言われる。大きさを競うコンクールでは強敵。
…が、小ささを評価するコンクールで巨大野菜を出して酷評を受けたりもする。

  • シャルル・キノシタ
ライバルの一人。
8歳の頃には交配マシンを自分の手足のように扱っていたという天才農夫。
ただのボンボンなどでは無く実力はかなりのものであり、生半可な野菜を出すと優勝を掻っ攫われてしまう。
出品する野菜は全てが黄金に輝くゴールデン野菜である。
ちなみに、ゴールデン野菜は通常の評価の2倍。つまり彼の野菜作りそのものの腕前は点数の半分程度である。

  • ポイズナー
殺人的な風味、絶叫を発する、失神するほどの悪臭など、ありとあらゆる負の要素を結集させた毒野菜を取り扱う闇の農夫
宇宙最悪の野菜を決める最悪野菜コンクールで恐るべき強敵として主人公の前に立ち塞がる。
ドクター・サドンデスキラーヘルジュニアなる人物に仕えているらしいが詳細は不明。

  • ペドロ
宇宙を股に掛ける行商人。後述するトラップなどの販売を行っている。
パンタロン町に行けるようになったときには、自分の売り上げが下がるにも関わらず町のお店を勧めるなど、客のことを第一に考えている。

  • 怪傑ナゾロ
後述するアストロネットを通して主人公にアドバイスしてくれる人物。
その正体は謎に包まれている。
名前の由来は「怪傑ゾロ」+「ペドロ」。

  • ご隠居
かつてはシマイモのヤマさんと呼ばれた農夫だったが、現在は隠居しているため自分が使っていた交配マシンを主人公に売ってくれる。

  • エミリー
主人公のファンである女の子。
初期の頃からファンメールを送ってきてくれる。

  • よしあき
主人公のファンである男の子。
でも一番好きなのはピートくん。
メールが全てひらがなで書かれていることを見ると、かなり幼いようである。

  • ともこ
しゅじんこうの うんめいの ひと


◆用語
  • ニッカボッカ星系
本作の舞台。
季節は人工太陽ニッカボッカで調節されており、1年は6ヶ月。
1月が春、2月と3月が夏、4月が秋、5月と6月が冬となっている。

  • 宇宙野菜
主人公が育てる作物。
現実にある野菜が元になっているものが多いが、外見や味が別物に変わっているものが殆ど。
交配させることによって風鈴のような音がしたり、身体が痺れたりするようになる。
以下一部抜粋。
    • シマイモ
地球のジャガイモを原種とする宇宙野菜の基本。宇宙では地下に何があるか分からないため地上で芋が育つよう改良されている。
    • コスモニンジン
地球産のニンジンを原種とする宇宙野菜。地球産ニンジンより甘いため、お菓子やジュースの材料に使われる事が多い。
    • タマネギボム
地球産のタマネギを原種とする宇宙野菜。凄まじく実が硬いため、剥くのではなナイフで削って調理に使う。
    • ゴボウ玉
元は地球産のゴボウだが、重力の影響で丸くなってしまった。昔にも増して土臭くなったが、上記のアブドゥルのような愛好家も多いそうな。
    • 火星カボチャ
市場で目立たたせるため赤く品種改良されたカボチャ。地球産カボチャより煮崩れしにくいらしい。
    • トマトニアン
何故か目の付いている宇宙産トマト。地球産トマトより酸味が強く、そのまま食べるよりケチャップなどに加工される事が多い。
    • 真空ワカメ
ワカメと言いつつ原種は地球のヨモギ。元々は見た目重視の芸術品として作られた野菜で到底食べられるものではなかったが、品種改良によって今は味噌汁の具などに活躍。
    • 冥王マツタケ
アングラ教団が毒物として作り出したキノコ。品種改良で毒性が取り除かれた現在は、宇宙有数の高級食材として名を馳せている。
    • 水晶ハーブ
宇宙一高級なハーブ。あまりにもデリケート過ぎる為、元々は無菌室でしか育たなかった代物。
    • アストロキング
宇宙で最もレアな最高級野菜。これを育てた農家には宇宙一の農家、すなわち「アストロノーカ」の称号が与えられる。

  • 交配
野菜の種を交配させることによって、新しい野菜の種を手に入れたり、野菜に様々な特徴を加えることができる。
ゲーム後半は望み通りの野菜を作るために、まさに交配地獄といった状況になる。

  • コンクール
各々の農家が丹精込めて育てた宇宙野菜を出品して、どれが素晴らしい野菜であるかを競い合う晴れ舞台。
大半のコンクールには野菜の種類が指定されており、それ以外の野菜を出品すると酷評される。
評価基準は重さや模様など様々である。

  • アストロネット
宇宙農家のためのネットワークで、宇宙農業におけるヒントやメールが届く。
コンクール、トラップ、野菜、私書箱の4種類がある。
今の時代だったらggrksなどと言われそうな書き込みもチラホラとあるが、そんな書き込みにも丁寧に管理者さんは応対している。
終盤は過疎るのが寂しい。

◆余談
後の2003年から2005年にかけて、本作と世界観を共有するオンラインゲーム「コスモぐらし」がスクウェア・エニックスよりリリース。
こちらは宇宙農家というより辺境星系での「自給自足」にスポットを当てており、宇宙野菜のほか家畜や魚、鉱物などを収集してそれを交配・合成することで様々な料理や家具を作って売るという内容となっていた。

少年ガンガンで連載されていた『ジャングルはいつもハレのちグゥ』には、極稀にバブーがモブキャラとして登場する事があった。

なんと2022年、ポプテピピック』のアニメ第二シーズンでまさかのコラボを果たした。○周年とか新作登場とかじゃ無いのに!
ちなみに映像作家の 山下諒氏のTwitter によると、作者の大川ぶくぶ先生チョイスで選ばれており、素材の大部分はイチから作って再現したとか。


日時:X月XX日
場所:アストロノーカ
対象野菜:追記・修正
評価基準:追記・修正を競います。追記・修正すればするほど、有利です。

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最終更新:2022年12月19日 01:13

*1 ピースにはそれぞれ異なる値が設定されており、下は3、最大で30、総計で100になるようになっている。