大決戦!超ウルトラ8兄弟

登録日:2009/10/31 Sat 13:55:48
更新日:2023/12/23 Sat 06:08:15
所要時間:約 6 分で読めます






どんな絶望の中でも……人の心から『光』が消え去ることはない!!



ウルトラ史上最高最大の
エンターテイメントムービー


『大決戦!超ウルトラ8兄弟』とは、2008年に松竹で公開されたウルトラシリーズ劇場版。

【概要】

平成三部作(ティガ・ダイナ・ガイア)とウルトラ兄弟(初代・セブン・ジャック・エース・メビウス)の共演がテーマとなっており、それぞれの世界観が異なる点はパラレルワールド設定で補っている。

舞台となるのは、ウルトラマンがTV番組として親しまれている「ウルトラマンと怪獣のいない世界」の横浜市

主題歌はV6の「LIGHT IN YOUR HEART」
この曲は主演の長野氏が選曲したもので他に3曲ほど候補曲が挙がっていたが、この曲がウルトラマンの持つ「光」のイメージに最も近かったという。

2023年現時点でこれまで数々のウルトラシリーズの劇伴に関わった冬木透が参加した最後の作品である(ただし、冬木氏が作曲したのはM40の『立て!ウルトラ昭和』のみであり、本作品の音楽担当は佐橋俊彦氏である)。

また、劇場版及びテレビシリーズを含めて、監修及び制作を行ってきた円谷一夫氏が作品に関わった最後の作品である(当時円谷一夫氏は会長職におり、その後名誉会長となったが、2009年に退任した。これにより、円谷家は円谷プロダクションは経営から完全に排除された)。

また、ハイコンセプトウルトラマン時代(『ネクサス』~『マックス』)及び『ULTRASEVEN X』の制作局であったCBC(中部日本放送)が製作委員会として制作に携わった最後の作品となった。
また、この作品をもって『ウルトラマン80』までのTBSと、平成3部作及び『コスモス』までの毎日放送と続いてきた、TBS系列のウルトラシリーズへの関与に一旦区切りが付けられた事になる。
その後もTBSは2020年まで開催されていたウルトラマンフェスティバルの主催をしていたが、2021年からのウルトラヒーローズEXPOからはスポンサーを降板しており、円谷プロとの関係性における新局面は2023年の新規コンテンツ提携発表まで待つ事となる。


【ストーリー】

「ウルトラマン」に夢を、勇気を、力をもらい、望む未来が必ず訪れると信じていた少年たち、ダイゴ、アスカ、我夢。
時が経っても彼らは「ウルトラマン」を忘れることなく、それぞれの目的に向かって前進していたはずであったが、大人になった今、3人の前にはごく普通の現実しかなかった。

ありふれた日常の最中、横浜の街にTVの中にしか存在しないはずの怪獣が現れ、街を破壊し始める。
偶然出くわしたダイゴや街の人々は動揺を隠せない。その時、またもTVの世界にしか存在していないはずのウルトラマンが現れた。

怪獣を倒したミライ(=メビウス)は、この世界に危機が迫っている事、さらに戦いには7人の勇者が必要だということをダイゴに伝える。
共に勇者を探し始めた2人だが、現れたスーパーヒッポリト星人によってメビウスがブロンズ像に変えられてしまう。

次々に襲い掛かる怪獣たちの脅威に希望を失いかけたダイゴだったが、自分に出来ることを貫こうという強い決意が、彼の眠っていた力を呼び覚ました!

【登場人物】

【主要人物/ウルトラ戦士】


「この世界を…僕が守る!!」

本作の主人公で、横浜市役所の観光課で働く青年。
アスカと我夢とは親友同士で、ハヤタ、ダン、郷、北斗を親しみつつも尊敬している。
中盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ウルトラマンティガに変身。
終始マルチタイプであり、スカイとパワーは披露していない。
珍しく「ティガー!」と叫んで変身した。

終盤にはOVAでは声だけだった大人ヒカリを超え成長したヒカリを見れた。


アスカ・シン/ウルトラマンダイナ
(演:つるの剛士)

「本当の戦いは、ここからだぜ!!」

横浜スタジアムのボールボーイとして働く青年。
中盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ウルトラマンダイナに変身。
終始フラッシュタイプで、ミラクルとストロングは披露していない。
アスカ役のつるの氏が、映画制作中に「羞恥心」で知名度を上げたため、円谷的には予想外のPRになった。
あまりアホなイメージは無い。


高山我夢/ウルトラマンガイア
(演:吉岡毅志)

「この世界は、滅んだりしない!」

横浜マリタイムミュージアムの学芸員として働く青年。
中盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ウルトラマンガイア(V2)に変身。
スプリーム・ヴァージョンは披露しないが、大地ドカーンはしっかり再現。ダイゴの夢を「多次元宇宙論」で解説したり、この世界の藤宮と共同で反重力理論を研究して後に宇宙船を完成させるなど、この世界でもチート頭脳は健在だった。

…明らかに上の2人より戦闘シーンが少ない


ハヤタ/ウルトラマン
(演:黒部進)

「君達はウルトラマンを信じていた」

妻のアキコとサイクルショップを経営する男。
娘のレナはダイゴと恋人であり、自身もダイゴから尊敬されている。
終盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ベーターカプセルを得て初代ウルトラマンに変身。顔はAタイプ。
何故か妻から名字で呼ばれている。


モロボシ・ダン/ウルトラセブン
(演:森次晃嗣)

「そう…私達はこの声を聞き、戦い続けてきたんだ」

妻のアンヌとレストランを営む男。
終盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ウルトラセブンに変身。
M78世界の「モロボシ・ダン」はウルトラセブンが人間に擬態した姿であるが、この世界では純然たる人間。
ハヤタ夫妻、郷夫妻、北斗夫妻とは異なり娘は登場しないが、翌年の劇場版にはセブンの息子が登場した。


郷秀樹/帰ってきたウルトラマン
(演:団時朗)

「愛する人を、守るために…」

妻のアキ、娘のメグと自動車整備工場を営む男。
終盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、帰ってきたウルトラマンに変身。
ミライから「ジャック兄さん」「新マン兄さん」「帰りマン兄さん」と呼ばれていた。


●北斗星司/ウルトラマンエース
(演:高峰圭二)

「この世界を守るために…」

妻の夕子、娘の七海とパン屋を営む男。
終盤で別世界の自分の記憶を呼び覚まし、ウルトラマンエースに変身。
夕子も登場しているが、変身は北斗が一人で行う。
指輪は付けているが、普通の指輪なので変身はできない。
夕子と結ばれるのは脚本家の市川森一の初期構想であった最後の戦いの後にエースに変身する力を失うものの、
代わりに二人との幸せな時間を手にするという最終回がある意味実現した形となった。


●ヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウス
(演:五十嵐隼士)

「さようなら、別の世界の兄弟達」

赤い靴の少女に誘われ、平行世界へと迷い込んだウルトラマンメビウス本人。
ダイゴと出会い、共に世界を救おうと奮闘する。
序盤はかなり活躍し、次第に空気と化していったが、最後は復活し、戦いに参加した。
やはり天然でウルトラ兄弟との会話シーンはもはやギャグ。


その他、昭和から平成までウルトラシリーズに縁のあるキャラクターが多数登場しており、円谷プロ旧体制の締め括りのような作品になっている。

ウルトラQ

●万城目淳
(演:佐原健二<友情出演>)
超常現象に詳しいSF作家。テレビニュースで怪奇現象について解説する。

●ショッピングモールの老人
(演:西條康彦)
ショッピングモールに買い物に来ていた老人で怪獣災害に巻き込まれるが、アキに助けられる。
演者の西條康彦氏は『ウルトラQ』で戸川一平を演じてた。

ウルトラマン

●アキコ
(演:桜井浩子)
ハヤタの妻で旧名はフジ。
アンヌ共々M78世界の自分の記憶を得て夫を鼓舞した。……が、この時の台詞をよく聞くと、記憶のもとになったM78世界のフジ隊員は、『ウルトラマン』では最後まで明かされなかったハヤタ=ウルトラマンの事実を知っていることが透けて見える。彼女はあの銀色の巨人が誰なのかを知っていたのだろうか……?
演者の桜井浩子氏が『ウルトラマン』でフジ・アキコ隊員を演じていたのは周知だが、『ウルトラQ』では江戸川由利子を演じていたため、『ウルトラQ』の主役3人が勢揃いとなった。

●駄菓子屋の主人
(演:二瓶正也)
少年時代のダイゴらが行きつけていた駄菓子屋の主人として登場。
演者の二瓶正也氏は『ウルトラマン』でイデ・ミツヒロ隊員を演じた他、多数のウルトラシリーズや円谷作品に出演している。
氏は2021年に亡くなり、本作が最後のウルトラシリーズ出演作となった。

ウルトラセブン

●アンヌ
(演:ひし美ゆり子)
ダンの妻。

帰ってきたウルトラマン

●アキ
(演:榊原るみ)
郷の妻。キングパンドンの襲撃の際に逃げ遅れた老人を庇い意識不明の重体になる。「帰ってきたウルトラマン」ではナックル星人に殺害されてしまったが、決戦後に帰還した郷に、メグから峠を越えたことが告げられた。
なお、うわごとながら彼女もアキコやアンヌ同様M78世界の自分の記憶を得たことが示唆されている。また、『帰ってきたウルトラマン』における帰ってきたウルトラマン=郷という事実をやはり知っていたような節が見える。*1
演者の榊原るみ氏は当時ロサンゼルスに在住していたが、本作のために一時帰国して撮影に挑んだ。

●メグ
(演:松下恵)
郷とアキの娘。
もしヤズミがこの世界にもいたら、金八先生の同級生再会になったのだが…、その代わりに7年先輩の金八先生の生徒だったダイゴの演者との共演が実現した。
演者の松下恵氏は実際にアキ役の榊原るみ氏の娘であり、役名は本人の実名から来ている。

●坂田健
(写真:岸田森
アキの兄。
開始時には既に故人(演者自身も)であり、事務所の写真だけの登場となる。

ウルトラマンA

●夕子
(演:星光子)
北斗の妻。看護師の資格を持っており、終盤では怪獣の被害に遭った人々の救護に駆け付けた。

●七海
(演:紫子)
北斗と夕子の娘。
演者の紫子氏は実際に夕子役の星光子氏の娘である。

ウルトラマンティガ

●レナ
(演:吉本多香美)
ハヤタとアキコの一人娘で、FMヨコハマの人気DJ。 レナ役の吉本多香美氏はハヤタ役の黒部進氏の実の娘である。

●ムナカタ
(演:大滝明利)
横浜市観光課課長で、ダイゴの上司。べつに宇宙海賊とかやっていない。

●シンジョウ
(演:影丸茂樹)
FM横浜ディレクターでレナの上司。
妹(演:石橋けい)はニュースキャスターをやっている。

●サワイ
(演:川地民夫<特別出演>)
国連事務総長。

●ヒカリ
(演:橋本くるみ)
ダイゴとレナの娘。

ウルトラマンダイナ

●リョウ
(演:斉藤りさ)
アスカの同僚。広報担当。

●ヒビキ
(演:木之元亮<友情出演>)
横浜ベイスターズ監督。

●横浜市民A
(演:小野寺丈)
●横浜市民B
(演:加瀬尊朗)
●横浜市民C
(演:亀山忍)
こちらでは純然たる一般人。戦うウルトラマン達を応援する。
演者はそれぞれナカジマ・ツトム隊員、カリヤ・コウヘイ隊員、ゴンドウ・キハチ参謀を演じていた。

●ハネジロー
珍獣。ヒカリの友達として登場。
怪獣がいない世界である本作での出自は不明。

ウルトラマンガイア

●アッコ
(演:橋本愛)
我夢の同僚。本名は佐々木敦子。
演者の橋本愛氏は2001年に女優業を引退していたが、本作のために一時復帰した。

●藤宮
(演:高野八誠)
我夢と共に反重力システムを研究していた天才科学者。学会を去った我夢と違い、学会の権威となっている。
夢を取り戻した我夢と反重力システムを使った宇宙船を完成させる。別次元の世界ではウルトラマンアグルに変身したが他のウルトラ戦士とは違い本世界では覚醒せず、アグルの長編映画デビューは果たせなかった。
本作中のテレビのテロップでは「藤宮博也」と表記されているが、エンドロールのクレジットでは名字のみ。

●藤宮玲子
(演:石田裕加里)
藤宮の妻。
高野八誠氏と石田裕加里氏が『ウルトラマンガイア』での共演がきっかけで結婚したのは有名な話だが、本作では夫婦として出演となった。
石田裕加里氏は2001年に女優業を引退していたが、本作のために一時復帰した。

●その子供
(演:妃菜花)
藤宮夫妻の娘。
赤ん坊も高野八誠氏と石田裕加里氏の本当の娘である。

その他

●赤い靴の少女
(演:飯塚百花)
子供時代のダイゴやミライの前に現れて世界を救って欲しいと告げる謎の少女。
その正体は明かされなかった。
演者の飯塚百花氏は『ウルトラマンメビウス』第18話にゲスト出演している。

●ダイゴの母
(演:長澤奈央)
ダイゴの母。
演者の長澤奈央氏はハリケンブルーで有名だが、ウルトラシリーズには『ウルトラQ dark fantasy』第17話と『ウルトラマンマックス』第13話、第14話にゲスト出演している。
どちらも八木毅監督が担当した昭和の雰囲気のエピソードであり、ダイゴの母としての起用はこの縁なのかもしれない。

●始球式のアイドル
(演:伴杏里)
演者の伴杏里氏は『ULTRASEVEN X』にエス役で出演している。

●テレビキャスター
(演:莇陽子)
巨大生物(キングパンドン)と巨人(ウルトラマンメビウス)が出現したことを伝えるキャスター。
演者の莇陽子氏は『ULTRASEVEN X』でも政府放送のキャスター役で出演している。

●キド医師
(演:風見しんご)
医者。
演じる風見しんご氏は『ウルトラマンコスモス』のにSRCのキド隊員として出演している他、何度かウルトラシリーズに出演している。

【登場怪獣】

●海獣 キングゲスラ
●双頭怪獣 キングパンドン
●地獄星人 スーパーヒッポリト星人
●剛力怪獣 キングシルバゴン
●超力怪獣 キングゴルドラス
●究極合体怪獣 ギガキマイラ
●邪念王 黒い影法師/
 巨大暗黒卿 巨大影法師

【余談】

当初は前作『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の延長線として企画されており、ウルトラマンタロウが主役のストーリーだったらしい。
そのため、初期稿ではペギラやアストロモンス、タイラントが登場し、更に進化したタイラントのデザイン画も存在している。


前作のウルトラマンの登場シーン
○(%)o ←これ
の出来がイマイチだった反応を受け、今回はより原作に近くカッコ良くなった。


映画の発表時に記者会見が行われたが
会見の席に着いていたのは主演でも監督でもなく

ウルトラマン(×8)だった

この出オチに加え
寝てるメビウス、「ジュワ!」が「ちくわ!」に聞こえるガイア、自画自賛のティガ、出遅れジャックなどが好評を博し、
ニコニコ動画で再生数は27万を超え、MADも作られた。

2021年現時点でフィルム撮影が行われた最後の作品である。



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最終更新:2023年12月23日 06:08

*1 本編でのアキはこの事実を知ることなく事故死している。