ロニ・ガーベイ

登録日:2011/12/07 (水) 00:21:54
更新日:2024/02/05 Mon 23:14:49
所要時間:約 6 分で読めます





殺されるか、私と結婚するか
二つに一つね


ロニ・ガーベイは『機動戦士ガンダムUC』の登場人物。
小説・OVAどちらにも登場するが、基本的に原作に準拠して作られている本作品のOVAでは珍しく、設定が異なるキャラクターである。

CV:伊瀬茉莉也
搭乗機:シャンブロ
(小説ではサイコミュ統制のみを担当しているが、OVAではメインパイロットを務めている)


上述した通りに設定が異なるため、小説とOVAで分けて説明する。



●小説でのロニ
『ドバイの末裔』たるマハディ・ガーベイの娘であり、二人の兄がいる。
容姿はボリュームのある長い黒髪に褐色の肌を持つ中東系の美少女。

砂漠を抜けたガランシェールからダカールへ、マハディと会うために赴いたスベロア・ジンネマンと、
ユニコーンガンダム(ラプラスの箱)の鍵として同行したバナージ・リンクスを迎えたのが初登場。

バナージよりも2つ年上とはいえまだ未成年にもかかわらず、自分より大柄な男性を相手に怖じけづくことなく交渉をしたり、
物が飛んでくるスラムを車で怖がったりせずに通り抜けるなど度胸がある他、深い知識も持つ大人びた性格をしている。
ロニのこの性格はバナージの母親に通じるものがあるらしく、バナージはそんな彼女の性格に好感と懐かしさを覚えた。

子供好きでもあり、転んで泣き始めた子供を慣れた様子で宥めることもあった。
そのことについてバナージに質問されると、子供好きであることを認め、『十人くらいは欲しい(産みたい)』と答えている。

ちなみに、ジンネマンいわくバナージの質問に対するロニの解答は誰にでも聞かせる話ではないだろうとのことで、ロニがバナージに好感を抱いている(脈アリだ)と推察した。
バナージ本人も、ジンネマンの『口説いてみろ』という提案に、満更でもない反応を返している。



●OVAでのロニ
原作とは違って、母親だけでなく父親のマハディとも既に死別しており、天涯孤独の身。二人の兄に至ってはおそらく存在が抹消されている*1
両親と死別した後、自分を引き取ってくれたジオン残党のリーダー、ヨンム・カークスを父親(実質的にも養父兼師匠)のように慕っている少女という設定になっている。
その両親は地球連邦軍によるジオン残党狩りに遭い、降伏も許されずに嬲り殺しにされた(らしい)とのことで、
原作では、ロニ自身は父親ほどは地球連邦に対して憎悪を抱いている様子はなかったが、こちらではロニ自身も連邦に深い憎悪を抱いている。
容姿も、『黒髪』ではなく『青髪』に変更されているが、それ以外は特に変わらない。

物語中盤には、ロニはシャンブロに乗り込み、ザクⅠ・スナイパータイプに搭乗するカークスや、彼の指揮下のジオン残党の協力も得て連邦への反抗作戦を実行。
しかし、シャンブロのサイコミュが暴走し、居住区や住宅地にも無差別に攻撃を仕掛け、連邦軍兵士以外の一般市民にも多数の犠牲を出したため、
カークスは再三「無用な攻撃はするな」とロニに忠告するが、連邦への憎悪に染まったロニの耳には届かず、
その“虐殺”を見かね、予定時刻より早くガランシェールから出撃したユニコーンガンダム/バナージに静止される。

また、バナージに対する態度も違っており、初対面から『バナージ・リンクス』という個人としてバナージと接していた小説とは対照的に、
OVAでは「『角割れ(ユニコーンのあだ名)』(ラプラスの箱)の鍵」としか見てなかったような描写がある。
なお、小説ではロニの父親であるマハディがこのような対応をバナージに対して行っている。





以下ネタバレ







●小説
シャンブロの「サイコミュ担当」として、父や兄達と一緒に搭乗しダカールを破壊するも、必要以上にダカールを破壊するマハディの姿に違和感を覚え始める。

やがて「袖付き」の作戦通りにバナージの乗るユニコーンがシャンブロの前に降り立つが、
立場上味方であるはずのユニコーンは、シャンブロを止めるかのように立ちはだかった。

そして、ダカールを焼くシャンブロを制止しようとするバナージの訴えをきっかけに、
ロニも、ダカールを必要以上に焼き払い、無関係な人々を虐殺するマハディに反発し、サイコミュ統制の役目を拒否。
だが妻を連邦軍に殺された怨みと白人への憎悪で曇った父にはその思いは伝わらず、拳銃で撃たれその命を散らした…。

その後は死亡したために出なかったものの、最終巻で思念(死者の魂)の一つとして登場。
かつてのカミーユ・ビダンのように、思念に自らの身体を使わせようとしたバナージを、『自分を消すような真似をしてはならない』と諌めた。


小説での主な台詞(独白含む)

(もしロニが原理主義者のムスリムだったら)どうなるんです?
「殺されるか、私と結婚するか。二つに一つね」

「人の恨みは、そう簡単には消えないという証よ」

「地球と人類を存続させるために、増えすぎた人口を宇宙に棄てた連邦政府。人間だけじゃない。私たちの神も殺されたわ。『神の世紀との決別』という言葉によって」

「漫然と決め事を受け取るんじゃなくて、変えるべきことは変えていかなきゃ」

子供、好きなんですね
「そりゃ、子供は可能性の塊だもの。十人くらいは欲しいかな」
十人……!
「それも抵抗の一つね。民族を絶やさないために、女性ができる最大の抵抗かも」

「無用な被害の拡大は、人心に敵意を煽るだけです」

(これが聖戦か?バナージのような少年まで敵に回して、私たちはいったいなにをしているのだ?)

「お父様。引き返してください」
「お母様もこんなことは望んでいない。私たちは、私たちと同じ恨みと悲しみを世界中に拡げようとしている」

(せっかくふれあえたのに、私はこんなふうにしかできなかった。
ごめんね、バナージ……)



●OVA
原作では複座式だったが、本作ではサイコミュの補助等もあって一人で操縦できるシャンブロに乗り、
トリントン湾岸基地から上陸し、連邦への憎しみに駆られるままにダカールの町を焼き払いながら進撃する*2が、
その“虐殺”を見かね、予定時間より早く降下したバナージの駆るユニコーンガンダムがその眼前に立ちはだかる。

ロニはその行動を「裏切り」と取り、ユニコーンに進路から退かなければ敵と見なして排除すると勧告し、実際に攻撃もするが、
武器を構えることなく、「それは本当に君自身がやりたいことなのか」「本当の君はそれでいいのか」と攻撃中止を訴えかけるバナージの説得と、
攻撃されることを恐れず、自らユニコーンのコクピットから身を乗り出してみせる彼の真摯な姿勢に心を打たれ、一時は攻撃を止める。

しかし、タイミング悪くその直後にカークスが戦死してしまい、それを感じ取ってしまったことで、
死に際、ロニに「俺たちのようにはなるな」と叫んだカークスの想いも空しく、心の依り処が父から残されたシャンブロだけになってしまったロニは、
カークスまで奪った連邦への憎しみに再度囚われ、再びダカールへの攻撃を再開してしまう。

ロニは、未だ説得を諦めないバナージ(ユニコーン)を、彼と共闘するリディデルタプラス諸共排除しようとするが、
カークスの死念から「俺たちの戦争は終わったよ」と告げられたことで涙を流し、戦意を喪失する。

しかし、サイコミュに宿るマハディの怨念に突き動かされるシャンブロは、最早ロニにも止められなくなっていた。
バナージはリディから「破壊するしかシャンブロを止める方法はない」と強く言われ、メガ粒子砲を放たんとするシャンブロにビームマグナムを構えるが、
トリガーを引く寸前、サイコミュを通してロニの、自分たちの出会いとその結末の哀しみが伝わったバナージは涙ながらに発砲を拒否。

やがて放たれたメガ粒子砲が、ロニの最期の意思に呼応したシャンブロ自身のリフレクタービットでユニコーンたちに届く前に霧散していく中、
バナージを見限ったリディが、ユニコーンの手から奪い取ったビームマグナムの引き金を、シャンブロのコクピット目掛けて引いた。
その閃光はまっすぐコクピットを貫き、涙を流して手を伸ばすバナージの目前で、ロニは父親の怨念諸共、光の中に消えて逝った…。


OVAでの主な台詞

「父も母も、ジオンの残党狩りで死んだ!
投降を許されず、殺されたんだ!なぶり殺しだ。
父の遺思を継ぐためだけに生きて、私は今"ここ"にいる!
箱など開かずとも良い!そんなことで晴れるほど、浅い恨みではないのだ!
そこをどけぇぇぇっ!」

「理不尽には怒るのが人間だ。人は神じゃない」
"それでも"!止めなきゃダメなんだ!

「お父様…お母様…。私には…」

「カークスをやったのか…。連邦がまた奪った…。私を護ってくれた人を…!最後の家族を…!」
ロニさん!
「私の居場所はもう…"ここ"だけだ!」

呑まれてはダメだ、ロニさん!
「子供が親の願いに呑まれるのは、世の定めなんだよバナージ。私は間違っていない」
それは願いなんかじゃない、呪いだ!
同じだ!託されたことを為す。それが親に血肉を与えられた子の、血の役目なんだよ!

これは、『私』の戦争なんだ!

バナージ…哀しいね……



小説ではガンダムララァ・スンや、Ζガンダムフォウ・ムラサメのように、
主人公と心を通わせながらも敵対し、死んでしまうヒロインのような役割のロニだが、
OVAではバナージと同じく『親の願いを託された子供』ながら、それが呪いとなって自分の死を招くという、ある意味バナージのもう一つの姿にも思える役割にある。

設定の変更は、もちろん小説の流れをそのまま映像化すれば尺が長くなり過ぎるというのも理由にはあるのだろうが、
『親に願いを託されることは、子供にとって必ずしも良いことではない』ということを言いたかったのかもしれない。


NTと思われがちだが明言はされていない。


スパロボでの扱い
どの作品でも概ね展開は同じ。
だが、条件を満たすことによって生存させることが可能である。
今の所、どの作品でも仲間として加入はしないが、別ルートの解放条件の一つになったり、隠しユニットの入手条件になったりしている。


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最終更新:2024年02月05日 23:14

*1 劇中でロニが両親の死を言及するシーンはあるが、兄のことは何も言っていないため。

*2 ロニ自身が強い憎しみを抱いているのも確かだが、カークスは民間人もお構いなしに攻撃する様を見て「サイコミュの暴走」と称しており、死した両親の憎しみがサイコミュを介してロニに影響した可能性もある。