海外ウルトラシリーズ

登録日:2011/10/14 Fri 00:37:09
更新日:2024/02/25 Sun 23:22:45
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太陽にも負けない勇者ハヌマーン。


いつかもう一度、


ウルトラの星に来てくれ。


我々は勇者ハヌマーンを心から歓迎する。


さようなら、勇者ハヌマーン。


『海外ウルトラシリーズ』とは、円谷プロダクションが「海外進出」という目標を掲げ、アメリカやオーストラリアなどと協力して制作された番組(例外あり)。

一般的にはTVシリーズが休止期間にあった1980年後半~1990年前半に制作された『ウルトラマンUSA』『ウルトラマンG』『ウルトラマンパワード』の3作品およびそれらに登場したウルトラマンを指す。


【概要】

1980年代後半、円谷プロダクション3代目社長であった円谷皐氏の積極的な海外展開により製作された3作品。
作品の収益としては振るわなかったものの、TVシリーズの休止期間にありながらウルトラマンシリーズを残すこととなった。
1980年代生まれには幼少期に触れたウルトラマンがこの海外ウルトラシリーズという方もいるだろう。

海外の会社との合同合作という版権がめんどくさい状況に置かれたため、一時期は視聴困難になっていたが2010年代後半からその問題も解消された。
2020年代からは円谷プロダクションが再び積極的な海外進出を行っている。


【歴史】

【誕生。そしてTVシリーズ復活への気運】

  • 1989年に『ウルトラマンUSA』が日本で劇場公開。
  • 1990年に『ウルトラマンG』が日本でビデオ発売。
  • 1993年に『ウルトラマンパワード』が日本でビデオ発売。

他のウルトラ戦士と同様M78星雲・光の国出身など、設定上は昭和で最後に地球を守ったウルトラマン80の続編となっており、書籍では彼らも宇宙警備隊員とされている。

1995年の『ウルトラマンネオス』の特別ビデオ『ウルトラ戦士スペシャルビデオ』*1の総集編パートでは、当時最新ヒーローであったウルトラマングレートとウルトラマンパワードが登場。
初代ウルトラマンと共に地球派遣前のウルトラマンネオスとウルトラセブン21に自身の体験を振り返る。
最新であることがどれだけ人気であることか窺えるエピソードである。

なお、この時期に『USA』のウルトラマン達もスーツが制作され、全21名のウルトラ戦士大集合のビジュアルは後述の『新世紀ウルトラマン伝説』まで重宝された。

【TVシリーズの復活とマイナー時代】

海外ウルトラシリーズは日本国内外でのウルトラマン知名度の維持・向上に務め、日本でのTVシリーズの空白期間を支えた功労者である。

しかし無事にTVシリーズが復活し、平成ウルトラシリーズの継続でその扱いは一転。
ザ☆ウルトラマン』『ウルトラマンネオス』『ウルトラマンゼアス』と共に海外ウルトラシリーズはマイナー作品となった。
以降は数える程度の客演となる。

●『新世紀ウルトラマン伝説

2002年公開の映画『新世紀ウルトラマン伝説』で全ウルトラマンが登場。
アニメも海外も関係なく実写スーツとして出演出来たため、全ウルトラマンが一同に会する貴重なショットとなった。
ウルトラマンがエクササイズを踊るシュールなネタ映画として知られているが、全員が天空魔にスペシウム光線を放つシーンは映像価値が高く、基本技であるスペシウム光線の設定掘り下げにも一役買った。

この映画では歴代作品からライブラリ映像の流用されているが、海外作品でも問題なく映像が使用できたようだ。
唯一ライブラリ映像が使用されなかったウルトラマンナイスは泣いていい。

●『新世紀2003 ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILE』

2003年公開の映画『新世紀2003 ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE』でも引き続き海外ウルトラシリーズを含めた全ウルトラマン登場。

●『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

2006年公開の映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』のエンドロールでは記念パーティーの映像と歴代作品のライブラリ映像が流れた。
ウルトラ兄弟ゲスト出演の映画という余韻に浸っていたところでのまさかのサプライズである。
記念パーティーの方に海外ウルトラマンはいなかったものの、ライブラリ映像ではちゃんと海外ウルトラシリーズも使用されており、ウルトラマン40年の歴史を支えていることが分かる。
またしてもライブラリ映像が使用されなかったナイスは泣いていい。

●『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で海外組の全員が登場。
元々出演予定が無かったところをスタッフの「設定上さしつかえなければ出したい」という意向によりネオス組やマックス組たちと共に出演が決定した。
しかし、このような経緯からか映画内の扱いは完全にモブトラマンであり、ウルトラマンベリアルの強さを引き立たせるためのかませである。
これについてはファンの間では「こんな扱いになるなら出ない方が良かった」という意見と「扱いはどうあれ出れただけでも嬉しい」という意見に分かれる。

ちなみに次作『ベリアル銀河帝国』では海外組とネオス組はなぜかリストラされた。

●『ウルトラマン列伝

2013年『ウルトラマン列伝』放送開始。
単純な過去の再放送に限らず、スペシャル総集編もある番組のため多数のウルトラマンの映像が見られるのだが、肝心の海外ウルトラマン達はというと・・・
放送100回を迎えた祝いにナビゲーター役のウルトラマンゼロが読み上げようとした「ウルトラマンG先輩の手紙」や、ダークバルタンの回でゼロが紹介した『パワード』の静止画を除き紹介されていなかった。
一応『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の放送の際には問題なく登場している。
3作品とも本編映像が全く取り上げられないのは、やはり海外との権利問題が原因と思われる。

●『Upin&Ipin』

東南アジアの自然豊かな国マレーシアのCGアニメ『Upin&Ipin』の2014年11月14日放送回にてウルトラマンリブットが初登場。
この時点ではまだ知る人ぞ知るという扱いであった。

【ウルトラマンシリーズ50周年。苦難を乗り越え、Blu-ray化へ】

このような権利的な問題(とそれを無視するほどの売上的価値)が絡む中、海外ウルトラシリーズはVHSとLDでしかソフトメディア化を果たせず、視聴方法もそれのみに限られていた。

そして迎えた西暦2016年。
この年はウルトラマンシリーズ放送開始から50年というアニバーサリーイヤーである。

1月22日にYouTube公式チャンネルにて【「ウルトラマンシリーズ」放送開始50年 全ウルトラヒーロー紹介!】という動画が公開された。
約50秒のショートバージョンと約3分半のロングバージョンがあるが、そのどちらにも海外ウルトラシリーズは登場し、円谷プロの過去作への愛が見られた。
ちなみに『新世紀ウルトラマン伝説』や『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』でライブラリ映像が使用されなかったウルトラマンナイスもこの動画では両バージョンでちゃんと登場している。

同年6月25日に『新ウルトラマン列伝』最終話が放送。
前述の通り、『列伝』においてはわずかに言及される以外は、一切登場しなかった海外ウルトラシリーズであったが・・・
最終話になって『新世紀ウルトラマン伝説』の使い回しであるがようやく取り上げられた。
そしてラストには公式カウントウルトラマン全員が一画面内に収まった新撮映像が登場。もちろん海外ウルトラシリーズも登場している。
『新世紀ウルトラマン伝説』以来の全ウルトラマン集合ビジュアルとして更新されたが、なんとその中にしれっとウルトラマンリブットが入っていた。
国内におけるリブットの初登場映像のため、各地で「なんだこのウルトラマン?」という疑問の声が続出した。

同年7月1日に『G』と『パワード』、そして『ゼアス』のBlu-ray Disc化決定が発表された。
ファン歓喜の瞬間であった。

同年7月2日『ウルトラマンオーブ直前スペシャル』のオープニングには新録で多数のウルトラマンが登場した。
グレートとパワードが写っている一方、なお同じくアニメ出身のウルトラマンジョーニアスは写ったにもかかわらず、USAの3人はスルーされた。
まぁこのシーンはウルトラマン全員写っている訳ではないのでUSAだけが問題ではないだろう。
USAの3人以外はユリアン、ゼアス、ネオス、セブン21、ナイス、レジェンド、ゼノンが写ってない。
国内TVシリーズのウルトラマンが優先的に選出されたようにも見えるため、逆にグレートとパワードがオープニングに入れたことが快挙である。
前日にBlu-ray Disc化の告知がされたのにオープニングに入れなかったゼアスの立場は・・・
本編内はフュージョンアップの元となったウルトラマン特集のため、海外ウルトラマンは一切登場しなかった。

同年7月10日「ウルトラマンの日in杉並公会堂 THE LEGENDS 1966」が開催。
『新列伝』最終話のラストカットに引き続き、杉並公会堂でも全ウルトラマンが集合。
ウルトラマン前夜祭の舞台となった場所に、総勢43名のウルトラマンが並ぶ光景は圧巻である。
海外ウルトラマンは14番目~18番目に
ウルトラマンUSA チャック・スコット・ベス
銀色の巨人 ウルトラマングレート
青き瞳の戦士 ウルトラマンパワード
として紹介された。
紹介の際にはウルトラマンの掛け声が入るのだが、USAの3人は効果音であった。

パワードの後にはリブットが「宇宙の生命を守護する ウルトラマンリブット」として紹介されている。
リブットは公認ウルトラマンとは言えこの時点ではまだ公式カウント外の存在である。
同じく公式カウントから外れているウルトラマンボーイやウルトラ出光人のことを考えると破格の待遇といえよう。

同年12月22日に『ゼアス』のBlu-ray Discが無事発売され、激動にして記念の2016年は幕を閉じた。

年が明けた2017年1月27日に『G』、3月24日に『パワード』のBlu-ray Discが無事発売。
DVDはすっ飛ばしてBlu-ray Discで発売するというBlu-rayドライブ未所持者には優しくない面もあるが、ファンの長き悲願が達成されたといえよう(ちなみにレンタルはないらしい)。
実際、その売り上げは円谷プロの予測を大きく上回っているとか。待たされ続けた勢の底力をなめてはいけなかった

その後、同年11月17日に『ネオス』のBlu-ray Disc化が告知され、翌年の2018年3月7日に発売された。

『USA』に関しては『G』、『パワード』と同時のBlu-ray Disc化は果たせなかった。
『USA』の知名度の問題か、あるいはアニメ作品である都合から他2作品よりも権利関係が難しい事情があるのかのどちらかという推察も根強かったが、
2018年に入って「印税を支払われるべき脚本家が、現在円谷プロと連絡が全く付かないため」という説が新たに浮上していた。

……が、遂に『USA』もそれらの問題を乗り越えたのか、2018年5月31日にBlu-ray Disc化決定が発表、同年9月26日に堂々発売。
実に四半世紀ぶりの再ソフト化を果たす事となり、先述の『G』『パワード』と共に正式な手段での視聴が堂々可能となった。

2016年~2018年にかけて驚きのBlu-ray Disc化ラッシュとなっている。
円谷プロダクション10代目社長であった大岡新一氏は「自分の代で問題を解決したい」と語っており、海外利権問題の解決や作品ソフト化に向けて尽力されただろうことは想像に難くない。

別の意味でソフト化が難しい『ウルトラマンナイス』も続く事ことができるか、今後の続報に期待であるが・・・

【海外ウルトラシリーズの快進撃】

様々な問題も解消し、ウルトラマンリブットという新しい仲間が加わった海外ウルトラシリーズ。
ここから怒濤の巻き返しである。

『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズは日本語版と英語版が同時配信されており、始めから海外展開を想定していることが分かる。

作品内に登場するウルトラマンも注目である。
一作目『ニュージェネレーションヒーローズ』に満を持してウルトラマンリブットが登場。
日本国内の本格活躍および実写作品に初登場である。
リブットの参戦はPV第一弾に無く、事前情報なしのPV第二弾での告知だったためファンを驚かせた。

二作目『大いなる陰謀』でもリブットが続投。主役の一人として活躍した。
海外ウルトラマンという縁のためかグレートとパワードがリブットの師匠という形で電撃参戦。ファンを喜ばせた。

三作目『運命の衝突』ではついにスコット、チャック、ベスの3名も参戦。
ちなみにリブットは三作品連続登場でもはや常連となっている。
前作から再び新旧海外ウルトラマンの共演となった。

海外ウルトラマンに限らず、ゼアスやナイスもすごい活躍を見せている。
『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズではマイナーウルトラマンを登場させ、見せ場を作ることを徹底していることが見て取れる。
この辺りは『ウルトラ銀河伝説』での捲土重来だろう。


2021年に開始された動画配信サービス「TSUBURAYA IMAGINATION」では様々な円谷作品が視聴でき、『USA』と『G』も視聴可能である。
『パワード』は視聴不可であるものの、後々視聴可能になった作品も多く、一切のソフト化がされていなかった『ナイス』も2022年4月に配信が開始されている。
『パワード』もいずれ配信される可能性もあるため気長に待とう。


【海外ウルトラシリーズ一覧】

●『ウルトラ6兄弟対怪獣軍団』


仏様を大切にしない奴は死ぬべきなんだ!

タイのチャイヨープロダクションから制作、公開された『白猿ハヌマーン&ウルトラ6兄弟』を日本版に編集した作品。原題は『ハヌマーンと7人のウルトラマン』。

登場したウルトラ戦士は6人であるが、7人なのはウルトラの母も含まれているため(タイ語で「6」の発音が「転ぶ」という単語と同じかつ、縁起のいい数字ではない事から、ゲン担ぎで「7人」となった)。

物語は仏像泥棒に殺されたコチャン少年がウルトラの母によって白猿ハヌマーンとして甦り、
とりあえず泥棒に復讐して、ウルトラ6兄弟(ゾフィーウルトラマンセブンジャックエースタロウ)と共に怪獣軍団と戦うという話。
『ウルトラ兄弟』をタイトルに冠してはいるものの、ほとんどハヌマーンが主役で、ウルトラ兄弟達は後半に登場するゲスト枠である。

アナンからは「ウルトラマン兄弟」と間違えて呼ばれた(誤訳?)他、ウルトラ戦士達は3分間しか地球にいられないはずなのに特に理由なく20分以上、平気な顔をして闘っているなど矛盾した点がある。

当時では滅多に見られないウルトラ兄弟の戦闘シーン(後半はほぼリンチ紛いな行為だが)や中華鍋を使った太陽などの合成技術の評価はまあまあ良かった。

オリジナル版では宇宙に帰るウルトラマンをハヌマーンが見送った後、コチャンが守った仏像の目が光り、コチャンはハヌマーンと分離してアナンら友達の下に帰るという筋になっている。
そのため、続編『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』では、変身シーンがない。しかし日本版にこのシークエンスはない。
……が、同映画の項目にあるような感じでいろいろと酷い内容になっている。

また、今もなお続いてる、この作品についての円谷プロとチャイヨープロダクションの版権裁判がある。
これは1976年当時の円谷プロ社長がチャイヨーに対して、ウルトラシリーズの海外における版権を切り売りしたかどうかが争われており、
97年以降からは日本タイ両国で裁判が行われているが、2004年に円谷側が敗訴。
しかし、08年にはタイの最高裁が契約書は偽造されたものと認定され*2、チャイヨー側の主張を却下。
キャラクターのビジネスの停止と損害賠償金、利息の支払いを命じ、円谷プロの勝訴で問題は解決した。

……と思われたかに見えたが、06年にチャイヨーが円谷プロを相手に12億5千万円の損害賠償訴訟などにより、円谷プロは1600万円の賠償金を支払う判決が下されたが、円谷側が控訴した。
2010年代には円谷側がようやく勝訴したようで、2020年のタイ最高裁判所判決でも他の作品ともども海外展開における円谷プロ側への著作権帰属が認められている。

以上の事もあって、この作品はほぼウルトラシリーズの黒歴史扱いになっており、ビデオは回収され、ある意味貴重品になっている。
そのため、S.R.C.などの一応パチモン扱いのチャイヨー許諾の海外のみ販売商品もある。

その一方で、『ウルトラマンシリーズ放送開始50年 ウルトラマン主題歌大全集1966-2016』にはちゃっかり本作の主題歌が収録されている。
ULTRAMAN』の主題歌である「NEVER GOOD-BYE」が収録されずにこちらが優先されるなど、円谷的には本作をどう扱いたいんだろうか。


●『ウルトラマンUSA』


諸君は、地球を救う為に戦う、ウルトラの戦士となったのだ!

円谷プロダクションとアメリカハンナ・バーベラ・プロダクションの共同制作により生まれた、海外版ウルトラマン。
ザ☆ウルトラマン』同様にアニメーション作品となり、アニメ制作は葦プロダクションが行っている。

子供向けTVムービー視聴率第3位を記録したが、スーパーマンに代表されるアメコミヒーロー達とあまりにかけ離れたウルトラマンの姿が受け入れられないと判断されたのか、本来するはずだったTVアニメ化は頓挫した。
主演の古谷徹氏を筆頭に、地味に声優陣が豪華。
アニメ作品という事もあってか、書籍では本作の怪獣の紹介は媒体によって違いがある。

3人の実写スーツは『ウルトラマンネオス』のパイロット版製作の際にウルトラ戦士全員集合ビジュアル撮影のために制作された。
そして『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で正式な実写作品で初登場を果たした。

その後、2022年配信の『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』にも登場。
こちらではスーツが『ウルフェス2019』及び『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』におけるジョーニアス同様、アニメ劇中をイメージしたものに新造された。


●『ウルトラマンG


ここがお前の選んだ場所か、ゴーデス!!

オーストラリアで制作されたビデオシリーズ。実写としての作品は『ウルトラマン80』以来である。
高度な知能を持つレトロウイルスの集合体でありながら、邪悪の根源である生命体ゴーデスと、その細胞により生まれた怪獣から地球を守る為に、ウルトラマングレートが戦う物語。

オーストラリア特有の雄大なロケーションと優れたパペット技術による特撮カットや、環境問題をテーマとし、
日本とはまた違うヒーロー像を用いたドラマから、海外ドラマ風の新たな魅力を打ち出した。

現地のスタッフはグレートの光線技は使用用途に応じ、形を変えて使用しているだけで全て同一と解釈して演出していた。
だが、日本ではそれでは子供は面白くないという事でそれぞれに技名や設定を追加しており、日本と海外での違いも見られる。

また、脚本は後に『機動戦艦ナデシコ』や『鋼の錬金術師(2003年版)』『仮面ライダー剣』後半を担当することになる会川昇(現・會川昇)氏や
ウルトラマンティガ』や『デジモンテイマーズ』を担当する小中千昭氏などがおり、内容の評価も高い隠れた名作となった。


●『ウルトラマンパワード


私はM78星雲からやって来た、銀河の平和を守る為の組織に属する者だ。

ハリウッドで制作された、最後の海外ウルトラマン。
バルタン星人から人々を守る為にウルトラマンパワードが登場する。
本作品は『ウルトラマン』のリメイク版として、初代からお馴染みのレッドキングダダゴモラゼットンなどの人気怪獣をクリーチャー風にアレンジして登場させている。

ただし、バルタン星人が悪の親玉(本作では同情の余地の一切ない宇宙を駆け回る殺戮集団という設定)であるため、メフィラス星人ザラブ星人は登場しない。

初代『マン』に思い入れの深い層などからは「アメリカが勝手に自分色に染め上げた」と批判される事もしばしばだが、脚本やデザインは全て日本サイドで行っている。
また、ストーリーや怪獣の設定も初代を意識している。

ハリウッド側に特撮のノウハウが不足していたため特撮技術がやや物足りず、放送規定のせいでアクションもしょっぱいが、
現代のサイバーテロを予言したかのような「侵略回路」、理不尽な運命と人間の欲望に翻弄されるジャミラの悲劇を描いた「宇宙からの帰還」など、
ウルトラらしいエッセンスを残しながらも現代風にアレンジされたエピソードの数々は評価が高い。
また、着ぐるみの構造などはものによっては現在よりも凝っているものがある。


●『ウルトラマン-遥かなる夢幻境へ翔べ-』

中国との合作を予定されていたが諸般の事情により実現には至らなかった。
脚本を手掛けた佐々木守氏の死後発見された台本によると1996年の公開を想定してたようだ。
幻に終わった作品であるものの、顔のデザインはウルトラマンネオスに流用されており、ウルトラシリーズに息づいているといえる。


●『ウルトラマン-シンガポールの新たな力-』

2021年にシンガポールとの国交樹立50周年記念作品として製作。
マーライオンの化身・マーライガーがウルトラマンと協力して怪獣を倒すというストーリーが展開された。


【その他海外でのウルトラシリーズの展開】

これらの作品以外にも、日本で製作されたウルトラシリーズの作品は海外でも多数放送されており、アジアを中心に世代を超えたファンを獲得している。

中でも中国でのウルトラシリーズ人気は凄まじく、『特撮=子供向け』の固定観念が未だに根強い中でも、あらゆる世代に多数のファンを有している。
その人気は、ウルトラマンがドラゴンに変形する「ウルトラドラゴンシリーズ」や独自の「ウルトラエッグ」など
日本でも発売されていない玩具(もちろん正規品)が多数展開されていたり、ウルトラマンのイベントに客が殺到して中止になるほどのレベルである。

さらに『ウルトラ銀河伝説』『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』は中国で上映された日本映画の中でも最大クラス(全国1000館以上で上映)の規模での公開となり、興行収入も日本円にして10億円クラスの大ヒットを記録している。

諸事情で『ウルトラマンダイナ』以降のウルトラシリーズが放送できなかった事もあり、ウルトラ兄弟などM78シリーズの知名度が圧倒的に高い様子。

なお、中国で初めて放送された日本の特撮番組は同じく円谷プロ製作の『恐竜戦隊コセイドン』で、こちらも思い出の作品として今もなお語り継がれている。


一方、『パワード』が製作されたアメリカでも初代『マン』や『ウルトラセブン』『ティガ』が放送されていたが、初代『マン』以外は『パワード』も含めてどれも視聴率は芳しくなく、先が続かなかった*3

特に『セブン』はギャグ満載の吹き替えがなされるという、どこぞの海外製作のフルCGロボットアニメと同じような事態が起きていた。
また例の宇宙人の話もしっかり放送されていたらしい。


「DXギンガスパーク」にはグレートとパワードの音声がしっかり収録され、「DXライブパッド」のライブサインを使えば音声も楽しめる。
ゲーム化に関しては、パワードが3DOでバンダイからゲームが発売されている他、グレートやパワードは当時のSDコンパチシリーズに出演している。


なお、上記のチャイヨーとの裁判に勝訴して以降は再び積極的な海外展開が行われており、香港や台湾、タイなどでの大規模なヒーローショーや、海外向けの『擬人化計画』グッズの発売などが行われている。
ただやはり権利問題が複雑な事もあり、ウルトラ6兄弟は商品化の際にブラザーズマントをつけさせられたりと色々と試行錯誤中。
とある作品出演の内定もらえなかったり、ウルトラマンネオスが頑張ったりしている。


特にマレーシアでは、子供向けフルCGアニメ『Upin&Ipin』とのコラボレーションが実現。
普段はほのぼの日常系アニメなのだが今回はウルトラマンの話そのものになっており、オリジナルウルトラ戦士「ウルトラマンリブット」やオリジナル怪獣、
さらには独自のロゴまで登場する気合の入ったものになっている。ただし夢オチ…のようだったが?

ちなみに『リブット』はマレー語で「嵐」という意味。もちろんアラシ隊員とは関係ない。 
顔は初代と同じだが、耳が独特な形状で腕や足などに青く輝くクリスタルを有している。
ショー用にスーツも作られており、ギンガと違ってクリスタル部分は左腕のみのものの再現度は高く造形もかっこよく仕上がっている。

ウルトラマンX』や『ウルトラマンオーブ』などの最新作も世界中の動画サイトで配信が行われているので、海外に行った時にチェックするのも良いかもしれない。



追記・修正は、宇宙から飛来した謎の光と融合した人が、ペンダントを手にして精神統一しつつ、謝り倒しながらお願いします。

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最終更新:2024年02月25日 23:22

*1 いわゆる「パイロット版」

*2 切っ掛けはサインの筆跡が偽物である事と、「ウルトラマンセブン」の誤記。

*3 『G』は1992年にアメリカのケーブルネットワークで放送され、初代『マン』よりも高い視聴率を記録したそうである。