ソマリランド

登録日:2010/12/03(金) 21:49:05
更新日:2023/09/09 Sat 14:55:42
所要時間:約 3 分で読めます




「幸せにしてくれるって言ったのに、あの人ったら暴力ばっかり…もう我慢出来ないわ!これからは別々に暮らします!」


これはDV夫婦の会話ではない。アフリカ東部に位置する国・ソマリアとソマリランドの話である。






もともとソマリアは、イギリス領ソマリランドにイタリア領ソマリアが合併して生まれた国。
ソマリランドはイタリア領ソマリアと合併するために5日間だけ独立していたのである。

その後ソマリアは70年代に社会主義政権になったものの、場当たり的政策が仇となりあっという間に最貧国に転落。
90年には社会主義政権が崩壊するが、すぐに無政府状態へと突入した。


流石にソマリランド側は危機感を抱き、
「ソマリアとの連邦は解消。再び独立する」との宣言を発表したが、国内に独立問題を抱えている事が多いアフリカ諸国は一切これを認めなかった。
(ただしエリトリアを独立させた実績のあるエチオピアは、正式な国交は持たないが連絡事務所を設立している)


現状ソマリランドを承認する国は存在せずソマリアの一部と見なされているため、ソマリランドという国家は国際的には存在しないということになる。
もちろん日本でも同様。2017年にはミクロネーションのリベルランド自由国と、2020年には台湾と国交を樹立した。

2019年にはギニアのコンデ大統領(当時)がソマリランドを承認。ソマリアは抗議の意を示し国交断絶を発表した。
後にコンデ大統領はクーデターに逢うが、ソマリアとの国交は回復していない。

しかしソマリランドは諦めない。まずは地元の有力者達が協力し、国連の力を得て武装勢力の武器を回収。兵器は軍や警察、刑務所等一部の権力に限定された。

また初代大統領こそ暗殺に倒れたものの、二代目以降は民主的な選挙を実施。
他のアフリカ諸国のように大統領の得票率が90パーセントなんて馬鹿な事は無い。
ただし、言論の自由は欧米に比べて低く、
「ソマリランドってだっせーよなー。やっぱりソマリアだよな」なんて言おうものなら投獄の可能性大な事にも留意すべき。


ちなみに、2010年
アフメッド・シランヨ
が大統領になった。

そういう名前なので、

「ソマリランドの大統領って何て名前?」
「シランヨ」
「知らないのか」
「だからシランヨって」

こんな会話になるかもしれない。
シランヨ氏は2017年に大統領を退任した。

通貨ソマリランド・シリングはソマリア・シリングよりも安定している(というかソマリア・シリングがクズ過ぎる)。


近年ではその安全っぷりからツアーも組まれ、漫画家のやくみつるが旅行している。

てなわけで、いくら国際的にはソマリアだからと言って危険極まりないソマリアに行ってきたぜ武勇伝のようなことをしてはいけない。ソマリランドに失礼です。

ただ、安全とはいってもあくまで「ソマリアの他地域と比較すれば」という但し書き付きでの話。
日本の基準からすれば危険度が上の上か上の中かの違いではなく、外務省の渡航危険情報でも危険レベルは最高の4(退避勧告)である。
軽い気持ちで足を踏み入れるべき地域ではないことは確かだろう。


ソマリランドの平和を願う方は追記、修正よろしくお願いします。

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最終更新:2023年09月09日 14:55