雪夜叉伝説殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日 :2012/05/25(金) 22:13:39
更新日 : 2017/12/10 Sun 00:58:33
所要時間 :約 17 分で読めます




人に見捨てられ愛する者を失った悲しみと絶望が
1人の女を夜叉へと変えた

悲しい『夜叉』に…

雪夜叉伝説殺人事件とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件のうちの一件。
単行本3~4巻に収録。全10話。
テレビドラマでは単発スペシャル2作目として1995年12月30日に、テレビアニメでは第37話~第39話として1998年2月9日~23日にかけて放送された。
アニメ版の容疑者リストでは上段が左から比留田、棟方、玲香、大門、明石で、下段が綾辻、氷室、響、加納の順でバックは水色。
登場する怪人は「雪夜叉」。


【あらすじ】

2月10日、熱を出して寝込んだ美雪の代わりにテレビ局のバイトをやることになった金田一はドッキリTVのロケで北海道の背氷村へとやって来る。
警視庁から剣持警部とその上司である明智警視も来ているなか撮影は進み…事件は起こった。
この地方に民話として伝えられている「雪夜叉」によってロケのメンバーが殺されたのだ……金田一達が見ている前で。


【以下ネタバレにご注意下さい】





【登場人物】

CV:飯塚雅弓/演:中山エミリ
後に準レギュラーとなるトップアイドル。この事件が初登場。
お風呂場での着替えを覗かれるわ、殺人事件に遭遇するわ、容疑者にされるわと初登場回ながらもなかなか酷い目に遭っている。
もっとも、この事件の後に父&兄を失い、誘拐された挙句に信じていた人に裏切られ、
また殺人事件の最有力容疑者にされる事を考えるとまだ今回はマシなのかもしれない…

自分の容疑を晴らしてくれた一に好意を抱き、度々美雪と火花を散らすことになる。
アニメ版では美雪の登場もあって一との絡みがかなり減ってしまった。

CV:森川智之/演:池内万作
警視庁捜査一課のエリート警視でオッサンの上司。
玲香と同じくこの事件が初登場(アニメでは蝋人形城殺人事件が初登場)。
後々天才として存在自体がイヤミと言われるほどのレギュラーキャラになるが、初登場回のこの事件では
・殺人事件を賭けにする(はっきりいって現実の警視がこんなことしたら、懲戒免職で済むどころの騒ぎではない)
・ちゃんと調べもしないで盗撮ビデオで玲香を犯人扱いする
・真犯人のミスリードにまんまとひっかかる
等の醜態を晒している。
ついでに玲香を犯人確定(笑)の決め手になったのは、
あろうことか明石による『着替え(読者が見えなかっただけで確実に裸になるシーンもある)の盗撮ビデオ』という裁判の証拠に使えもしない非合法のブツである。
もっとも、体重は後で改めて測らせればいいわけなので、ビデオそのものが証拠採用される必要性は無いのだが・・・。

性格もただのイヤミな奴といった感じであり、シリーズが進むにつれて性格が変わった典型と言える。
おそらくここで鼻っ柱を叩き折られたのが良い方に向かったのだろう。スピンオフ『明智警部の事件簿』では彼がこのような捜査をするようになった経緯が描かれている。

アニメでは初登場が蝋人形城殺人事件になったため上記のミスリードに引っかかる以外の醜態はカットされており性格もまとも。
そのためアニメから見た人の場合あまりの違いに面食らう事になる。

またドラマ版ではわざと間違った推理で玲香を犯人扱いして一が気付くか試すという形になっており、性格の悪さに拍車がかかっている。

  • 加納りえ
CV:大塚智子/演:東てる美
女優。32歳。ロケのメンバーの1人。ショートカットの美女でけしからんおっぱいの持ち主。
元は北海道の地方アナウンサーであり、長い下積みを積んで今の地位を確立する。
高飛車な性格で歯に衣着せぬ毒舌ゆえに周りからよく思われておらず、恨まれていた。
速水玲香も今回の撮影で共演するのを嫌がっていたらしく、その噂を聞きつけ、彼女を恫喝している。それで垣間見えるように、裏では態度が悪く、腹黒っぽい。

ドッキリで1人別館に置いていかれる。その時のドッキリの仕掛けに( 演技ではなく素で )ビビっている彼女は結構かわいい。
もしかしたら根は臆病な人なのかもしれない。
第1の被害者であり、一達の見ている前で雪夜叉に斧で頭を割られる。 殺害された順番は実は2番目
ドラマ版で彼女が頭を割られて血が飛び出すシーンは一部の視聴者にはトラウマだっただろう。

  • 明石道夫
CV:小和田貢平/演:中西良太
関西弁を喋るカメラマン。32歳。ロケのメンバーの1人。
金使いが荒く仕事もいい加減と評判のダメな大人。加納へのドッキリ装置を作った。
アニメ版では隠し撮りシーンがカットされたため、ほぼ空気化。
第2の被害者で撲殺され、枯草をつかんだまま雪だるまの中から発見された。 順番では最初に殺されている

  • 比留田雅志(ドラマ版:比留田裕子)
CV:中博史/演:藤真利子
ディレクター。40歳。ロケのメンバーの1人。
いつもシケたタバコを口にくわえている男。
加納、明石を仲間と呼び誰かの影に怯えているようだが…
3番目の被害者で加納と同じく斧で後頭部を割られた。
なお、ドラマ版では比留田裕子という女性に変更され、唯一生存。
財産乗っ取りの動機も同情できるものとなっている。(後述)

  • 氷室一聖
CV:鈴木琢磨/演:大河内浩
事件の舞台となる山荘の持ち主である有名画家。左利き。
10年前の2月10日、長野県尾高山で発生した飛行機墜落事故の生存者で、事故の際に顔に大火傷を負い、以降は北海道の山荘で自分の描いた絵を売りながらひっそりと暮らしている。
マスクとサングラスで顔を隠しているはっきり言って怪しさだらけの人物。
彼の自画像が事件の真相を解く鍵となる。
玲香の容疑が晴れた後の最有力容疑者であり、自分が犯人であるとの遺書を残して服毒自殺するが…

  • 大門優作
CV:山野井仁/演:湯江健幸
アクション俳優。35歳。ロケのメンバーの1人。
実力も人気もあるのだが同時に女好きで有名であり、加納にフラれたことがあるらしく、今回のロケでは玲香にも手を出そうとしていた。が、加納に邪魔されて果たせず。
加納がこっそり彼の首を絞めようとした時に驚くなど小心なところがある(もっとも、あれは、誰だって驚くだろうが)
二枚目のはずなのだが、話が進むごとに、 どんどん絵が三枚目になっていく という、ある意味可哀想なキャラ。
走り幅跳びで国体に出たことがあるようで、運動神経はなかなかのものらしい。
ドッキリの途中で寝ようとして部屋を出たが…

  • 棟方ケン
CV:森久保祥太郎
カマっぽい若手俳優。21歳。ロケのメンバーの1人。
加納が殺された時眠たくなったからと言って姿を消しており、なおかつ恨みを抱いているらしいが…
ドッキリについてバカ騒ぎにつきあっていられないと言って比留田を怒らせた。
アニメ版ではネグリジェ姿で寝ていて大門を驚かせたwww が、そのわりには原作ほどカマっぽい仕草が無い。

  • 綾辻真理奈/綾辻真理
CV:山崎和佳奈/演:黒沢あすか
タイムキーパー。20歳。ロケのメンバーの1人でメガネをかけておりおさげの髪型をしている。
一曰く「年のはなれたアネキって感じ」。ワゴン車の運転手。
死体を発見したり、密室だった部屋の鍵を見つけたりとなかなかの活躍をしている。
ドラマ版では「綾辻真理」という名前になっている。
アニメ版のCVは30分後の名探偵と同じ。

  • 響史郎/高田洋一
CV:私市淳/演:加藤善博
音響係。ロケのメンバーの1人。
民俗学を専攻しており一に雪夜叉の伝説を教え、冒頭の台詞も彼が口にしたもの。
おそらく原作とアニメで一番性格の違う人物。
ドラマ版では高田洋一というオリジナルキャラに差し替えられ、比留田に代わって三番目に殺されている。
殺され方は原作の比留田同様、頭を斧で割られるものだったが、襲われる場所は屋外になり、血が飛び散るシーンもあるため、さりげなく原作よりも恐くなっている。また、原作の比留田と違い、 犯人に金を提示して命乞いをしている。 (原作の比留田は気づかずに背後から襲われて後頭部を割られており、命乞いをしたとは考えられない。散らばっていた金は、彼が置いていたものが、殺害の拍子に散らばったのだろう。アニメ版ではその様子が描かれてないがドラマ版と同じと思われる。)


【その他の人物】

毎度お馴染み主人公。
物語序盤で、 コーヒーに毒を盛られて死亡してしまい、原作では僅か3回目の登場で主人公が死んでしまうという異常事態に…… ならなかった。
これは全てドッキリ撮影の為の演技だったのだが、中々迫真の演技だった。
本来なら、TV局に勤める先輩から頼まれた美雪がやるはずだったのだが、直前になって風邪で熱を出してしまい、一が代役に。
事件を通じて玲香に本命チョコを貰えるまでのフラグを建築してみせた。
そして、原作ではこの事件が初めて犯人が生き残った事件であり、以降は逮捕された犯人と面会するアフターケアを行うようになった。

毎度お馴染みヒロイン…なのだが、今回は風邪をひいて熱を出していた為、一と一緒に事件に遭遇することはなかった。
本来、TV局に勤める先輩から頼まれてドッキリ撮影の手伝いをするはずだったが、直前で風邪をひいて熱を出してしまい、一に代役を頼んだ。しかし、もし予定通り行っていたら、
 ・一のように芝居の血のりで服を汚していたかも。
 ・殺人事件に 一抜きで 巻き込まれていた。
 ・明石の盗撮や大門のNTR等の被害に遭っていた可能性もある。
と、色々な不幸に見舞われていた可能性があり、あとから思えば、 行けなかったのは幸運だったのかもしれない

現場には行かずに終わるが、TVで事件を知って一を心配していたらしく、電話で彼に頼まれて氷室のことを調べてファックスで送ったり、事件が解決した後チョコを渡したりとヒロインらしい仕事はしている。 インターネットが普及していない当時に風邪と熱で寝ている身で、どこでどうやって調べ物をしたのかは不明だが。
まさか事件から帰ってきた幼なじみがトップアイドルにフラグを立てていたとは夢にも思わなかっただろう。
長編において、「雪影村殺人事件」や「狐火流し殺人事件」のような一の旧友がらみの話では、美雪が現場に行かなかったり、そもそも登場自体しないこともあるが、 美雪が現場に行っておらず、かつ、外から一をサポートしている という点では、後にも先にもこれが唯一の話である。
アニメ版では風邪をひいておらず、一と共にロケに参加しているため、玲香とはこの事件で初対面となる。

毎度お馴染み剣持警部。
ドッキリの仕掛人として 嫌々 明智警視と共に背氷村に来ていた。
そして明智警視の提案で、金田一と一緒に刑事生命を賭けた勝負を行うことになる。

  • 背氷村のおじいさん
演:谷村昌彦
一たちに「雪夜叉伝説」を教えたおじいさん。
彼の証言が事件解決の重大なヒントを与えることに…。
そしてドラマ版では更に…。

  • 金田一の母
エピローグに登場。金田一耕助の娘(つまり一の母方の「じっちゃん」が耕助)。今作が初登場。
公式ガイドブックによると一同様学生時代はいくつもの難事件を解決したとのこと。
旦那さんとはその時出会ったらしい。




【以下事件の核心… 更なるネタバレ注意】











「金田一君…」
「地獄の夢って見たことある…?」


  • 綾辻真理奈/綾辻真理
この事件の真犯人 「雪夜叉」
実は彼女も10年前氷室一聖が巻き込まれた飛行機墜落事故の数少ない生存者だった。

両親と共に事故に巻き込まれた当時十歳の綾辻(旧姓クゼ)真理奈は、奇跡的にたいした怪我もなく生還することになる。
ゴミのように散らばった飛行機の残骸と乗客の死体、そして助けを求める生存者達の呻き声の中で両親を捜していた綾辻はなんとか母親を見つけ出すものの、
母の体は機体に挟まれいつ崩れて押し潰されてもおかしくない状態だった。
助け出そうにもたかだか十歳の女の子にはどうすることも出来ず、途方に暮れるしかない…
そんないつ崩れてくるかわからない機体に怯えながらも母の傍から離れなかった綾辻の目にとある4人組の姿が目に留まる。
見た限り乗客ではない…きっと助けに来てくれた人達に違いないと彼女は喜び、急いで母の救助を依頼しに行った。

その大人達が既にある犯罪計画を胸に秘めていたとも知らずに…

生存者を救助するわけでもなく別の作業に熱中している4人に綾辻は何度も母を助けてと懇願した。
しかし4人は揃って彼女の願いを無視し、挙句の果てに追い払ってしまう。

4人に助けてもらうことを諦めた綾辻は1人で崩れ落ち始めた機体を必死に支えるが、子供の力では支えきれずにいずれ親子揃って潰されてしまうのは目に見えていた。
なんとか娘だけでも生きていてほしい…そんな親心から綾辻の母は彼女を突き飛ばし、その目の前で機体に潰されてしまう。

目の前で母を見殺しにされた幼い綾辻が、未だに何事かに熱中している4人に殺意を抱くのは、充分すぎる理由であり…

その日、欲望にまみれた者達に見捨てられ
愛する者を失った絶望と悲しみが1人の少女を夜叉へと変えたのだ…

背氷村特有の寒さを利用し、氷で作り上げた「氷橋」を使ったアリバイトリックや、ミスリードを誘う行動で巧みにターゲットの4人全員を殺害。

ただ、明石については、本来なら殺害順序はもっと後のはずが、彼女についてきて橋を作る所を見られたため、やむを得ず最初に殺害。
ターゲットの一人であったから良かったようなものの、もし見に来ていたのが大門や棟方、玲香などのターゲットでない人物だったら、大変な事になっていただろう。

氷橋について、橋を車で渡ったのはわかるが、どちらの崖にもガードレールがあるため車は通過できないように見えるが・・・(ガードレールの内側を走ったのか空でも飛んだのだろうか?)
最後はスケープゴートの氷室(水沼)に全ての罪を着せようとし、明智を罠にはめてニセの推理をさせるところまで誘導するが、利き手が 逆の逆 というミスから金田一に真相を悟らせることになった。
一に全てを暴かれた後も後悔はしていないと語っていたが、10年前から見続けていた母が見殺しにされる悪夢を見なくなることはなく…。
留置所に面会に来た一から「綾辻の母が綾辻を突き飛ばして助けたのは、ただ娘に幸せになってほしかったからじゃないか」という言葉を聞かされ、
背中ごしに涙を流しながら礼を述べた。
因みに、アニメでは事故のトラウマによって心が壊れているような描写がされており、全てのきっかけとなった事故のことを語る際にはその場に座り込み、
母を亡くしたあと救助を待っていた間と同じく、虚ろな表情でひたすらに雪玉を投げ続けていた。
さらに余談だが、彼女はエピローグの剣持警部の台詞で無期懲役がほぼ確定していると語られているため、
金田一少年の事件簿の世界の量刑を考える際に基準にされることも多い。
(彼女は4人を殺害しているが、現実世界では3人以上殺害した場合は死刑となる可能性が極めて高い。特に、彼女は成人していることもある)

あえて被害者達を擁護するなら、彼らは綾辻の母親が瀕死であることを 知らなかった ということだが、そもそも、 その時点での生存者は綾辻の母親だけではなかった らしく、彼らはそういう人々にも見向きもしなかったことになるため、やはり外道である。
ただし、この様な事故現場で下手に救助活動をすると二次被害にも繋がることもあるので助けなかったことに関して一概に悪いとはいえなくもない。

  • 氷室一聖
実は本物の氷室一聖は10年前の事故で死亡していた。
殺された氷室は偽者であり、本名は水沼貴雄(ドラマでは正三)と言い、かつて比留田達と一緒に働いていたメイク係だった。
4人の中で氷室に背格好が一番似ていたため、カツラとサングラス、火傷の痕で氷室に変装し、時には変装を解いて街で豪遊していた。
ドッキリの時、綾辻から睡眠薬入りのコーヒーを渡されて途中で部屋を出てしまい、明智から犯人だと疑われた。

左利きだったが、氷室の自画像を見て、それが鏡に映った姿を描いたものとは気づかず、単純に本物の氷室が右利きだと誤解してしまい、人前では右利きのふりをしていた。
高校時代のグローブを右手に持っている写真、自分が買った左利き用のはさみから左利きだとわかった。
また、アニメでは明智が作品を持っており、話をしようとするがしたがらないので偽物だと見抜かれた。

ドラマ版では水沼の遺書の内容が動機について「この金を独り占めできないかと思った」から「罪の意識に耐えられなくなった」に変更。(実際に罪悪感があったかは疑わしいが)
そして最期のサインが「氷室一聖」ではなく本名の「水沼正三」となっている。
それを見て明智警視が「最後の最期で、本名の水沼正三に戻れたというわけですか…」とある種感慨にふけるシーンが有る。

今回の事件では綾辻が可哀そうな印象を持たれるが、本物の氷室もちゃんと埋葬されず事故現場の近くの林に遺棄されてしまった他、自分の財産を比留田達に根こそぎ使われてしまうのだから、彼もまた可哀そうな人物である。
もしかしたら、本物の氷室が生前描いた雪夜叉の亡霊が綾辻に乗り移ったとも考えられ、今回の事件はある意味氷室の比留田達への恨みが、雪夜叉を通して綾辻に殺意を抱かせたとも考えられる。

  • 加納りえ
  • 明石道夫
  • 比留田雅志(ドラマ版・高田洋一)
  • 水沼貴雄(ドラマ版・水沼正三)

10年前の飛行機事故に偶然居合わせた4人は、事故の映像を高く売り付ける目的で現場にやって来た。
予想以上の惨状に尻込みしながらも現場を探索した4人は、画家・氷室一聖の死体を発見する。
人間嫌いで有名な氷室は素顔を知る人間がほとんどおらず、4人にしろ
「元北海道の地方アナであった加納が、インタビューで一度だけ氷室と会ったことがあった」という偶然がなければ、
その死体が氷室だとは分からなかっただろう。
そこで彼らは氷室の身代わりをたて、彼の資産を根こそぎ奪うという犯罪計画を思い付く。
本物の氷室の死体を処分し、背格好の似ていた(ドラマ版では偶然瓜二つだった)水沼が躊躇しながらも引き受ける。
「事故の後遺症で顔に火傷跡が残った」という嘘と特殊メイクで氷室に成り代わることで、
見事に氷室一聖の資産を手に入れることに成功した4人は金を山分けしつつ優雅な生活を送っていた。
その後、加納、明石、比留田は新聞で「氷室一聖を救出した勇敢なTVスタッフ」として表彰された。
しかし彼らもまさかその過程で見捨てた1人の少女が、10年後復讐の夜叉となって自分達を殺しに来るとは夢にも思わなかったに違いない…

ただ、四人の中で加納だけは大金を掴んでもそれに頼らないで、自分の力で苦労と努力を重ねて田舎の地方アナから女優に転身しており、
本心では女優の仕事に心から誇りと愛着を持っていた事が伺える。
敵も多かった彼女だが死亡が伝えられた時は追悼番組も作られるなど、しっかり固定ファンは付いていた様子。
小悪党ではあったものの良くも悪くも誇り高い人物であり、その気高さを、もっと他人のためにも注いでいればまた違った結末になったかもしれない…
なお、現実の詐欺罪の刑法上の時効は7年なので、10年前の事件を訴えても逮捕・起訴することは不可能。



お金よ…。


お金が… 欲しかったの…

  • 比留田裕子(ドラマ版のみ)
ドラマ版での財産乗っ取りの立案者。ただし、彼女自身もバス事故の被害者であり、相対的に善人。
結婚時の姓は梶原。夫の事業の失敗で莫大な借金を背負ってしまった彼女は、失意のうちに帰郷した時に乗っていたバスの中で、偶然幼馴染であった氷室と再会。
単に悩みを聞いてほしかっただけだったのだが、現在の氷室は彼女のことを忘れてしまっていた上に、
「金目当てで近付いてくる無礼者がいるが、君もその1人だろう」といったような暴言を吐き捨てるなどすっかり冷酷になってしまっており、
彼女の知っていた優しい心を持った彼ではなくなっていた。
(比留田が金目当てに知己を装おうとしているのだと決め付けるようなその言葉からは、
画家として成功し莫大な資産を築いたことが、皮肉にも彼を人間不信に陥らせてしまったことが窺える)
豹変してしまった彼にある種の失望を覚えたその直後に、あのバス事故に遭遇。彼女の目の前で氷室は死んでいた…。
その時、現場に居合わせた取材クルーの中に、氷室とまったく瓜二つの男…水沼の姿を見てしまう。
悪いことではあると思いながらも、人生をやり直したい一心で、明石達に氷室の遺産乗っ取りを持ち掛けてしまう…。

その後夫と離婚し、手にした金で借金も完済。制作会社を立ち上げ、成功を収めたが偽りの地位を手に入れながらもずっと罪の意識に苛まれていた。
真理のことはわざと無視したわけではなく、彼女自身も当時重傷を負っていたことで気付いてやれなかった。
そのため、真実を知った際は素直に謝罪している。

原作の比留田と比べればずっと良心があり、同情の余地もある人物と言える為、
いつの日か、真理が彼女のことを許し、和解できる日が来ることを祈るばかりである…。



お前を… 雪夜叉に変えたのは… このワシじゃ…!!


  • 村のおじいさん(ドラマ版のみ)
実は真理の祖父。(ドラマ版では真理の母親は結婚していない為、姓は「綾辻」であると思われる)

背氷村に伝わる雪夜叉伝説では、
「人買いに売られた女が子連れで逃げ戻ってきたが、家族も他の村人も報復を恐れて女を拒絶したために子供は凍死し、女は雪夜叉となった」と語られるが、
彼もその伝説のように、かつて実家に帰ってきた娘と孫…綾辻母娘を追い返してしまった。
母娘はその帰りに事故に巻き込まれたため、図らずも雪夜叉誕生の原因を作ってしまったことになる。

真理が最後のターゲットとして狙った比留田を猟銃の銃弾から庇い、彼女を一人ぼっちにさせてしまった事を詫び、実の孫娘に看取られながら息を引き取った。




真理…!! 孫よ…

許してくれ…



【謎解きについて】
謎解き面では、金田一屈指のトンデモトリックで有名な事件。
作中で語られている通り「氷橋」は北海道開拓の時代に実際に使われていた技術であるため、物理的には不可能ではないのだが、
「誰にも気付かれず」「一人で」「ほぼ一晩で」「マイナス20度の氷点下で」「谷底から10リットルの水を汲み続けて」という条件が付くとどう考えても無茶なトリックである。
事前に練習くらいはしていたのだろうが、よく実行しようと思ったものだ。このトリックを1人で成し遂げた綾辻もすごいが、それを完全再現してみせた一も結構すごい(剣持に手伝ってもらったんだろうけど)。
実際これでもその無茶っぷりが描写されている。
ちなみにその作品では 綾辻は事前に練習もしていなかった ことになっている。しかも 一もどうやら一人で作ったらしい ことになっている。
「こ…これが…金田一一…!!謎を解くのに命を懸ける男…!!」

よく言えば、推理マンガらしい斬新で絵的に見栄えのするトリックだが
(マンガだからある程度は説得力があるわけで、小説だと読者の納得に足る伏線をさりげなく張るのが難しくてなかなか書けないトリックだろう)、
現実的なトリックを推理していた読者は面食らうかも。
とにかくこの事件では、常識に捉われない大胆な発想が必要である。
北海道開拓史などを学んで「氷橋」を知っていたという人であれば簡単に解けるかもしれないが…
(実際、真相当てクイズに際しては北海道在住の読者からの正解が送られてきたという)
なお、ドラマ・アニメ版では綾辻が背氷村の出身という設定が追加されたため、違和感が軽減されている。


【ドラマ版】
  • 真壁が登場し、明智警視の助手となる。
  • 雪夜叉の凶器が斧から鉈に変更。
  • 飛行機事故をバス事故に変更。
  • 水沼はもともと氷室と瓜二つ。
  • 綾辻の下の名前を真理に、水沼の下の名前を正三に変更
  • 響史郎、棟方ケンは登場しない。代わりにオリジナルキャラのAD江川松夫(演:遠山俊也)が追加。
  • 加納の年齢が35歳に変更。当時放送された「ザ・ワイド」が使われた。
  • 加納の殺害場所が部屋の中に変更。
  • 綾辻は氷室(水沼)からサインを貰っており、一は真壁の失礼な発言のせいで氷室(水沼)が怒って部屋に閉じこもった為、サインを貰っていない。
  • 明石の遺体が隠されていた雪だるまに目と鼻がある。そのためかわいい雪だるまから遺体が現れるというシチュエーションがより恐怖感を煽っている。
  • 水沼の偽の遺書の内容を変更
  • 第3の事件が発生した場所を屋外に変更
  • 明智が玲香を犯人と推理するシーン、原作では情報不足による完全な推理ミスだったが、ドラマでは 一の推理力を試すためにわざと間違った推理をした ことになっていて、そんな理由で玲香を犯人扱いして傷付けたことで余計に一の怒りをかっている。
  • 一との電話中、彼の言葉からその場に玲香がいることに気づいた美雪が嫉妬する、というシーンが追加。
  • 一が氷橋のトリックに気付くキッカケとなったものが、車のフロントガラスを洗浄する水から、凍った雑巾になっている。
  • 綾辻真理と母親は背氷村の出身。
  • 比留田の性別が女性に変更、また、(本物の)氷室と幼馴染だったという設定が追加。原作の比留田の役割には、オリジナルで高田洋一が追加。
  • 上記のように、ターゲットである撮影クルーが1人増えたことで、綾辻の殺害人数が5人に増えた。ただし、5人のうちの比留田だけは生き残り、別の人物が死亡。
  • 原作で鬼火のことを証言した村の老人が、実は綾辻の祖父だった、という設定が追加。さらに、ラストで彼女に銃を向けられた比留田をかばって彼が撃たれ、死亡。比留田の代わりに5人目の被害者となる。
  • 比留田は、氷室とともに事故に遭遇。自身も足を怪我して動けなくなり、他の生存者に気づかなかった、という設定が追加され、原作の比留田オヤジに比べれば、多少は同情の余地があるキャラになっている。
  • 綾辻が川に落ちた一と玲香を助けるシーンがある。
  • 美雪が、帰って来た一を迎えに来るシーンがある。なお、この時「銀狼ファイル」の登場人物がゲスト出演している。

【アニメ版】
  • 冒頭の雪夜叉からの脅迫文はカット。
  • 美雪が風邪をひいている設定がカットされ、一とともにロケに参加。これにより美雪と玲香はこの事件で初対面になる。それに伴い、氷室の事を調べてファックスで送る役を警視庁の人間に、それを頼むのも明智軽視に変更。更に、美雪と玲香が2人で金田一について話しているシーンが追加
  • 加納が玲香を脅すシーンや玲香がそれに対してやり返すシーンはカット
  • 原作で加納は冒頭の金田一が血を吐くドッキリに気付かないふりをしていたが、アニメ版でははっきり気付いて、軽くキレている。その後何故か一が比留田達から文句を言われる。
  • 棟方がオカマっぽくない。また、彼は原作では一からのコーヒーを拒否していたが、アニメ版では美雪から受け取っている。
  • 明石は関西弁を喋らず、標準語で喋る。
  • 明石が女性陣への覗きカメラを仕掛ける描写はカット。
  • 明石は本館に到着~加納を脅かすの間に殺されたことになっている。
  • 剣持警部と明智警視は仕掛人ではなくなり、北海道警へ出張で来ていたが借り物のジープが故障して迷い込んでる内に本館にまで辿り着いた事になっている。
  • 明智警視の殺人事件を賭けにしたり、玲香を犯人扱いするといった蛇足部分は大方削除。
    それに伴い、彼の推理内容も間違っていたとはいえ、様々な証拠を元にして、比較的まともなものに仕上がっていた。
  • 一が鬼火に気付くシーンにて一と一緒にいた人物が玲香から美雪と響に変更。
  • 原作では一も氷室の正体に気付いていたが、アニメでは明智警視が明かすまで全く気付かなかった。
    (その事について、氷室の正体に先に気付いた明智に金田一が一度敗北宣言をしている)
  • 背氷村のおじいさんは複数登場し、響に代わって雪夜叉の伝説を語る。
  • 水沼が買ったはさみの消費税率が放送時期(1998年2月)に合わせて5%に変更。
  • 犯人が明かされる場面が飛行機事故の生存者名簿を読み上げた後に。
  • ドラマ版同様に綾辻が背氷村の出身とされている。
  • 一が氷橋の実験を行う際、明智と剣持の言動が異なる。明智は原作では「馬鹿な真似はやめるんだ」「こんな橋で車が渡れるのか?」と信用してなかったが、アニメでは一を止めようとする玲香に「彼の事だ。何か計算しているだろう。黙って見ていろ。」と一を信じて彼女を制止している。剣持は原作では文句ひとつ言わずに一を信じていたが、アニメでは「本当に大丈夫なのか?」「落ちたら化けて出てやる」と半信半疑だった。氷橋消滅後、明智は自身の敗北を認めている。
  • 原作では助けを求めてきた綾辻を振り払ったのは明石だったが、アニメでは水沼になっている。
  • 推理後、綾辻が雪玉を木に投げるシーンが追加。その時、美雪が雪玉を投げている綾辻の側に行く。それに伴い、綾辻が「地獄の夢って見たことある!?」と問いかける相手を美雪に変更。その後、美雪も同情したのかその場で雪玉を作って綾辻に渡している。
  • 綾辻の刑務所での面会シーンが無くなり、上記の一の台詞は連行時に聞かされた。
  • 最後のシーンが美雪の家ではなく一の家に変更、なのだがテレビを見てる部屋は美雪の家のまま。また、美雪からチョコを貰うシーンはカット。
  • 金田一の母は登場しない。それに伴い、宅配便から荷物を受け取る人物を一に変更。また、「あの子もスミに置けないわね」という台詞を言うのも美雪に、その対象も玲香に変更


追記・修正は鏡を見て自画像を描いてからお願いします。

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