司馬遼太郎

登録日:2012/02/27(月) 14:54:20
更新日:2024/03/13 Wed 09:37:57
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司馬遼太郎とは、日本の歴史小説家、作家である。
(以下「氏」と呼称します)

1923年8月7日生まれ。本名は福田定一。執筆名は、自分は『史記』の司馬遷に遼かに及ばぬ、という意味で付けられた。
大阪市で育ち、日本橋の図書館に足繁く通い、「読む物が無くなったので釣りの本まで読んでいた」と言うほど本が好きだった。

二十歳にて世界大戦に学徒兵として従軍し、満州にも赴いた。この約二年の従軍経験から、反戦的な感情を持つようになっている。

終戦後、新聞社へ入社、勤務の傍らで執筆活動を行うようになる。
三十三歳にして、短編『ペルシャの幻術師』が出世作となり、三十六歳の時出版された『梟の城』で直木賞を受賞した。
初期の頃は短編・忍者ものを主に書いていたが、『戦雲の夢』『竜馬がゆく』などから、日本史の歴史小説家としての地位を確立してゆく。

氏の作風は、娯楽性が高いにもかかわらず、史料を綿密に考察したうえで虚実織り交ぜた説得力のある物語を描くため、人から「司馬史観」と呼ばれ、現代日本人の常識に大きな影響を与えている。
なので例え作品を読んだことが無い人でも、知っていることが氏が述べていることだったりする。(新選組の在り様など)

そのため「司馬遼太郎が言っていることと違う」「司馬遼太郎(笑)」といった口論がしばしば起こってしまう。
これは氏が小説というフィルターを通して歴史を語っていること、執筆後に定説が変化することがあるためであり、決して氏がデタラメを述べているのではない。
というか氏の作品はあくまでもエンターテインメントであるため、真面目な研究において持ち出すのは見当外れであり、またその必要もない。
なので氏の本だけに凝り固まったり、氏の名前をアレルギーのように嫌うのは止めましょう。
ゆっくり話し合って、よく解らなかったら楽しく図書館で学べばいいじゃない。


さておいて、氏の娯楽性について述べたい。


この娯楽性とは、ぶっちゃけギャルゲー要素のことである。
というか大概の時代小説・時代劇は、厨二病最強サムライが無双してヒロインがひっついてくるようなものなのだ。
じゃないと売れないから。(藤沢周平はダメ主人公系)
日本は今も昔もそんなに変わってないように思えてならない。

ちなみに氏は「兜率天」という仏教用語を様々な作品に用いており、その極楽では男女が握手するとセックスと同じ快感を得るらしい……イキたいの?
また短編『牛黄加持』では脳内嫁で愛を発散させ愛の産物を絵具や儀式の触媒に使う僧侶を描いた…どんな官能小説?

1996年2月12日、72歳で死去。


以下、代表作
※期に分けてるのは偏見です。

前期(30~40歳くらい)


  • 風神の門
 『喉が渇いたか、我がつばをやろう』

真田十勇士の一人、霧隠才蔵が俺Tueeeeee!!!!する話。ヒロインも怪しげな女参謀、名家のお嬢様、くの一と揃えております。

  • 竜馬がゆく
 『チヤチヤクチャじゃ』

ご存知快男児。姪の春猪、上士のお嬢様お田鶴、道場主の娘のさな子、奥さんお竜とにゃんにゃんしたりしなかったり。
でも主人公の存在感が在り過ぎる。これで実在してるんだからスゴイ。姉は漢女。

 『女は身分(キリッ』

武家っ娘求めて土方歳三が俺Sugeeeeee!!する話。
新選組を題材にしたギャルゲー、エロゲーは事欠かないが、原点からして皆可愛い。この話だけでもトシはツンデレ可愛いし、局長はアホの子可愛い。
ちなみに、氏は短編集『新選組血風録』で新選組のBL短編小説も執筆し、氏の死後スカイライダートシ版とタイムレッドトシ版でドラマ化された。大島渚も『御法度』として映画化したが、トシ役の北野武(タケちゃんマン)が似合わないことこの上無い。

  • 国盗り物語
前半は出会う人々を巧みに篭絡していき、(結果的にだが)様々な女性を振り捨てて一国一城の主になった斎藤道三の話。
京に残した商家の女主人には「京商人としての妻はお前だけ」という理屈と長い付き合いで「別れ」を受け入れさせるも、利用された挙句若い令嬢に立場を持っていかれた側室には根に持たれ、その側室の子に首を討たれる羽目に…。
後半ではその道三の娘濃姫を娶った織田信長と令嬢の親戚で堅物の明智光秀が主人公になるが、前者は側室が多数いるも本人の生き様に焦点が向けられ、後者は嫁一筋に描かれたため女の影が薄くなった。

中期(40~50歳くらい)

  • 功名が辻
 『千代、千代』

没個性系ギャルゲー主人公山内一豊が、日本屈指のあげまん千代を嫁に貰ったら高知も貰っちゃった話。
一豊は側室を持たず愛妻家であったことが知られるが、作品内では浮気してます。と思ったら奥さんもしてた。バレないって大事。

  • 世に棲む日日
『三千世界の鴉を殺し、ぬしと朝寝がしてみたい』

前半では幼くして一人前の武士になりながら学問的探究心と純粋さと情勢への危機感に突き動かされ、浮いた話一つなくドツボにはまっていく吉田松陰の話(弟子の一人に自分の事を棚に上げ、後に大河ドラマのヒロインになった妹を嫁がせているが)。
だが弟子の高杉晋作が主人公になる後半では、攘夷活動しながら遊び回り、嫁を娶り子作りしながら家族スルーで飛び回り、道中で気に入った芸者を旅に連れ歩き↑の唄を口ずさむトンでもお坊ちゃまの話に。
さらに未亡人尼僧にも可愛がられ最期を看取られ、これらが実話ベースだという…(作中でも浮気がばれてバトロンや部下に縋っている)。ギャルゲーだったら修羅場になっていた気が。
ちなみに史実ではこの芸者さん「高杉の偽名兼(親が現役当主のため)正式な武家当主として授けられた名字」を名乗り余生を過ごしたという。↓の主人公と同じ長州藩の話でこの違いは?

  • 花神
 『当たり前でありマス』

幕末一空気を読めない天才火吹き達磨、村田蔵六(大村益次郎)の話。ヒロインはイネ・シーボルト(失本→楠本イネ)で、べっぴんドイツ系ハーフ(子持ち)。ヒス癖のある奥さん貰ってるくせに。
この二人の関係について、今でも半ば真面目に議論されることがある。ほっといてやりたいけど、ほっとけないのよね。
中盤以降は『世に棲む日日』の補完・後日談でもあり、大河ドラマ版では『世に棲む日日』パート・『峠』パート等も並行して実写化された。
ちなみに本作のクライマックスの「彰義隊」との戦いを「敵サイド」から見ると手塚治虫の『陽だまりの樹』ラストになる。

故郷に嫁を置いて勉強と女遊びに励んでおきながら、故郷で出世すると「遊郭禁止令」を出して藩政改革・近代化に励み新政府軍に抗った長岡藩士河井継之助の話。
前半では吉原の著名な遊女のチェックリストを作ったり、旅先である女性といいムードになったりしたが、後半になるとそんな所は全くなくなり、久しぶりに吉原に行った時も馴染の女に会えないと分かるや即帰っていた。

  • 坂の上の雲
 『本日天気晴朗ナレドモ浪高シ』

日露戦争を、松山出身の三人から見てみた。ぶっちゃけ主役は秋山真之。ホトトギスさんは病弱なので途中退場します。
ギャルゲ展開あったっけ?ちなみに松山市の原付ナンバーは雲の形をしていたりする。

後期(50~)
後期はラノベっぽさがなくなるのでちょっと取っ付きにくい。

  • 翔ぶが如く

維新後から西南戦争の話。維新を成した中枢人物が如何に消えていったか。実は川路利良の旅中の様子に始まり川路利良の死で終わる。
ちなみに岸信介・佐藤栄作・安倍晋三総理の先祖もちょっとだけ出てくる(「萩の乱」で反逆者となった後輩を捕えた。ドラマ版ではカットされたが)。
日常生活まで凄く調べて書き込んでいる。西郷どんは頭をぶつけておかしくなっていたのか? また本作中で挿入された「佐賀の乱」部分は後に『歳月』で詳細が描かれている。
ギャルゲー要素はなく、オリキャラでヒロインが出てきても恋愛的要素は殆どなく後半ではフェイドアウトしてしまった。

  • 菜の花の沖

江戸時代の閉鎖的日本と露日外交で、人質取っちゃった!
高田屋嘉兵衛とゴローニンは完全なとばっちり。
ゴローニンはこの出来事を書物として残しているので、是非手に取ってみよう!(割と好意的?)


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最終更新:2024年03月13日 09:37