プラレール

登録日:2012/03/05(日) 16:50:35
更新日:2023/09/08 Fri 19:57:05
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プラレールとは、タカラトミーから発売されている鉄道玩具である。

【概要】

日本各地の実在する鉄道車両をデフォルメし、電動走行可能とした玩具である。
基本は3両1編成で発売されているが、機関車や路面電車など1両で走行可能、あるいは7~8両ほどの連結が可能な製品も時折発売されている。

半世紀以上にわたって愛され続けている超ロングセラー商品でもある。男の子にはとりあえずプラレールかトミカを与えておけばまず外さない。

「プラレール」という名前自体は、1970年代頃より使われはじめていたが、商標登録されたのは1990年頃と意外と遅い。
この名前は
  • プラ電車だと語呂が悪いので、製品工場のパッケージ担当の人が勝手につけた
とか
  • 営業担当の人が取引先でプラ電車をプラレールといい間違えたのがそのまま定着した
とか様々な説があるが、会社側もその辺りは「わからない」としていて、メジャーなおもちゃの割りには珍しい経歴を持つ。

なお、タカラトミーでは同じ乗りもの玩具として車型のおもちゃ「トミカ」も1970年代から発売しており、1990年代以降は事実上の姉妹ブランドとして展開している。
そのためトミカを積載出来る車両やトミカと一緒に遊べる踏切なども発売されている。

プラレールは派生した商品も含めて膨大な種類があり、タカラトミーさえ「数えたことがないので全く分からない」としている。

また、プラスチックの成形色を使用した青いレールも特徴で、年を追う毎に車輪や内装などがリアルになる一方、レールの基本デザインと規格は発売以来一切変わっていない。ただし、急坂レールに限り初期の物は手転がしで遊ぶことが前提であったために非常に急な勾配となっており、現在のプラレールではモーターの出力不足で上ることが不可能となっている。もちろん手転がしであれば問題なく上ることができる。

変わった使用方法としては、鉄道会社では異常時の列車の動かし方などのシミュレーション、乗務員の訓練のためにプラレールを使用している。

【歴史】

1959年にトミーの前身となるとみやま商事から「手転がし式プラ汽車セット」として事実上最初の玩具が発売された。
1961年には電動型が発売された。ちなみにこの電動型プラ汽車は戦前から戦中にかけて南満州鉄道を走っていたダブサ型蒸気機関車がモチーフとされている。
この時期家庭雑誌の「暮しの手帖」で紹介され知名度が上昇したという。

プラレールを一躍メジャーにしたのが、1964年に発売された「超特急ひかり号(東海道新幹線0系)」で、当時同じ時期に発売された鉄道模型よりも丈夫かつ安価であったため、子供たちに安全で遊ばせやすく、ヒット商品となった。

この商品は1980年代中頃まで基本性能そのものはそのままで発売され続け、バブル景気の頃にスイッチが車両先頭部から車両上部に移されてからも、モーターは改良されても外観は2000年頃に発売中止となるまで変わらなかった。
また、中間車については181系特急電車やSL列車の客車として流用されるなど意外なロングセラーを見せている。

一方、単なる手ころがしのほか、運転の疑似体験が可能なセットや同時発車、交換が可能になる線路システムを構築する製品開発にも取り組むようになり、1969年には初の複線レールが発売されている。
また、車両面でも速度変更が可能な「2スピード」やライト付き車両が登場。更に私鉄の電車も登場する等ラインナップの充実化が図られた。

近年では鉄道事業者が限定グッズとして大手私鉄の通勤電車などを製品化しており、沿線売店や一部小売店限定で発売されている。

平成期以降はキャラクター商品の充実化が図られており、「きかんしゃトーマス」シリーズが1992年から登場し、現在も定番グッズとしてラインナップされている。トーマス以外では超特急ヒカリアンシンカリオンもプラレールと規格を合わせており、いずれもレール上で遊ぶことが可能。

上位層向けの互換ブランドも存在しており、80年代には車両やレールをより精密にしたスーパーレールという商品も出していた。こちらは対象がNゲージとかぶってしまうのか、あまり長続きしなかった。
2010年代に入ってから似たようなコンセプトの「プラレールアドバンス」を発売したが、こちらは6年ほどで姿を消している。
2023年からは車両規格をリアルにした「リアルクラス」の展開が開始された。


【変わり種商品】

半世紀以上にわたって発売されているため、往復運転のできるプラレールやリモコン操作できるスーパーひかり号*1、カメラ搭載型ドクターイエロー、プラレールのレールを使った懸垂式モノレールといったものが過去に発売された。

現在はディズニーリゾートラインや東京モノレールといった跨座式モノレールが発売されている他、スシローとのコラボ商品の「すし特急おまち」にて久々に往復機構を持つプラレールが発売された。

さらに玩具オリジナルシリーズとして「トミカハイパーレスキュー」と世界観を共有する「プラレールハイパーガーディアン」も展開している他、
ガシャポンサイズの小さなプラレールとしてカプセルプラレールが発売されている。

また海外の鉄道事業者の車両も製品化されており、香港地下鉄、中国新幹線台湾新幹線も製品化されているが、いずれも現地でしか購入する事が出来ない。

きかんしゃトーマスシリーズは、当初モーター出力が悪く、一部の既存の情景レールを通過できない事態となっていたが、現在はモーターが強化したものであるため、問題はない。
最近は車両の精密さに一段落がついたためか、情景セットの方に力を入れており、グラグラ揺れる橋やジェットコースターのような山などの珍品が続出している。
基本の車両もくっついて販売されているため、すぐに遊べるが、在来のプラレールの車両、特に新幹線をハイスピードできかんしゃトーマスの情景セットに通過させた時は、脱線転覆をする場合があるので、やめていただきたい。
やはりというか一部の車両セットは期間限定商品だったりするため、入手に非常に難儀することとなる。
TVでのエピソードを再現するのは誰しもが通る道。その場合急行車両やブレーキ車を複数買いした人もいることだろう。

【余談】

  • プラレールの原型は先述のプラ汽車セットであるが、レールに関してはそれ以前に発売された「ハイウェーセット」という車で遊ぶおもちゃに入っていた物と全く同じ規格である。
    なお、上述の通り最初期の製品から現在に至るまで互換性は一切切れていないので現行のレールでハイウェーセットの車も使えることになる
  • プラレールでは分岐器は「ポイントレール」、もしくは「ターンアウトレール」(アメリカ英語での分岐器の正式名称に準拠)という名前になっているがかつて販売された1線から4線に分岐する分岐器(1線からY字に2線になり更に分岐し4線になる形状)に限って「ぶんきき」という名前であった。
  • プラレールの分岐器は一部の特殊な物を除いて必ず分岐器の外側に黄色の進路設定用の物があるがかつては分岐器の内側に進路設定用の物が設置されていたこともあった。
  • プラレールは曲線レールを8つ繋げると円ができるが、この円の大きさはちょうどプラレールの発売された時期に主流であったちゃぶ台の大きさとほぼ同じである。
  • プラレールの踏切には必ず遮断機と連動するプレートが線路上にあり列車が通過すると遮断機が降りるようになっているがかつて販売された「ぜんじどうふみきり」に限りプレートが無く、踏切手前で線路側に伸びた棒に列車が接触すると電池で遮断機が降りるようになっていた。
  • 雑誌限定通販ではあるが、ウルトラQ異次元列車が発売された事がある。
    ネタを明かせば小田急ロマンスカーNSEをモノクロにしただけだが、しっかり万城目と由里子と一平の人形がついている。芸が細かい。
  • 昔は大らかな時代だったのか、シールや塗装を替えただけで別の電車として発売することも多かった。
    中でも80年代はムチャクチャで、165系急行型電車の塗装を変えて阪急電鉄6300系「通勤特急」や185系「おどり子号」として販売していたが、流石に評判が悪かったのか短期間で販売中止になっている。
    他にも営団地下鉄(現:東京メトロ)6000系のシールだけ変えて福岡市交通局1000系に仕立て上げたなんてことも。しかも営団地下鉄のマークがモールドなので営団マークがそのまま付いている
  • 一時期、「乗り物王国ブーブーカンカン」内にてプラレールとトミカを利用した「冒険アスファル島」という番組をやっていた。
    登場するオリジナル車両の製品化もなされたがその中に出てくる283系オーシャンアローとE351系スーパーあずさは、一両以外*2は元の車両とほぼ同じ塗装である。この二形式は「冒険アスファル島」のキャラクターとしてしか製品化されていない。でも前者は近鉄21000系の色違いだから両方の先頭車両がイルカ顔で後者は651系の色違い。
    番組放送期間しか販売されなかったため、今では超プレミア商品として知られている。
  • また、1983年から数年間、東京ディズニーランドで走っているウエスタンリバー鉄道の蒸気機関車を模した車両も発売されたが、モーター出力が悪く、高架線に上がれないという致命的な不具合があり、モーターが焼けるトラブルが続出したため、この車両だけは「黒歴史」扱いされている。(一時期ディズニーランド内で再販したものはモーターの構造やスイッチを見直した新規金型でパワーアップしている)
  • プラレールはその対象年齢が主に子供に設定されていることから、現役の車両や新幹線など子供人気が強いor馴染みの深い車両が製品化されることが多い。欲しい車両がなかなか製品化されないからと改造やフルスクラッチで自作しちゃう人も少なくない。



追記・修正はプラレール20両編成を走らせてからお願いします。

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最終更新:2023年09月08日 19:57

*1 300系新幹線の開発時の初期デザイン。100系新幹線に似たハイデッカー車両で、モックアップ(実物大モデル)も制作された。つまり実際には実現しなかった車両である。

*2 オーシャンアローはボートの積載車両、スーパーあずさは救急車両が連結されている。