セイバーフィッシュ(ガンダムシリーズ)

登録日:2012/07/02 Mon 22:24:35
更新日:2023/12/05 Tue 16:22:21
所要時間:約 5 分で読めます




セイバーフィッシュとは、ガンダムシリーズに登場する航空機である。






セイバーフィッシュ

SABER FISH

【性能諸元】

型式番号 FF-S3(宇宙軍仕様)
FF-3(空軍仕様)
所属 地球連邦軍
開発 ハービック社
武装 25mm機関砲 ×4門
ブースターパック内蔵3連装ミサイルランチャー ×4基
対艦ミサイル
主なパイロット ルース・カッセル
ユウ・カジマ(ザ・ブルー・ディスティニー版)
マーカス
オルフェ
デント
地球連邦軍一般兵




【機体解説】

宇宙世紀0070年代に地球連邦軍が制式採用した戦闘機
名前の由来は「太刀魚」から。

元々は設定のみが『機動戦士ガンダム』に存在するだけだったのだが、『MSV』のコア・ファイターバリエーションにて設定が付け足され、現在の形になった。


宇宙世紀初頭、地球連邦軍は宇宙空間の軍備拡張の為に宇宙戦艦と共に運用する小型戦闘機の開発に着手した。
そして取り合えず「トリアーエズFF-4」が完成する*1も、小型すぎたトリアーエズは火力や航続距離などに問題があり、拠点防衛・迎撃用に配属されることとなる。

その後「コア・ファイター構想」に基づき戦闘機開発が進み、セイバーフィッシュは大気圏・宇宙両用の多用途戦闘機として、U.C.0071年に試作機が完成。
装備の換装によって宇宙から高高度、大気圏内など、あらゆる戦闘空域での活動が可能な、まさしく万能戦闘機となった。
特に宇宙仕様のS型には2発の可動式ノズルを要した4基のブースターパックが装着されており、高い機動性を獲得しているのが特徴。
また、ブースターパックには1基につき3連装のミサイルランチャーが内蔵されていて、火力も強化されている。

さらに強力な対艦ミサイル*2を備えており、マゼラン級戦艦サラミス級巡洋艦などの砲撃をサポートするという、
制空戦闘機としてだけでなく連邦の大艦巨砲主義の死角を補う支援戦闘機としての側面もあった。
この対艦ミサイル持ってる設定がとあるゲームで重要な意味を持つ事になるがそれは後述。


当初はマゼラン級の艦載機となることが期待されていたが、大艦巨砲主義が根強い宇宙軍では採用されず、空軍の高高度戦闘機としてのみ配備された。

しかし一年戦争序盤の時点ではマゼラン級を改装したトラファルガー級空母、コロンブス級輸送艦を改装したアンティータム級補助空母で運用されており、
一年戦争開戦までの何処かの段階で宇宙軍にも採用され、マゼラン級ではなく改装空母*3で運用される戦闘機という立場になっていたようだ。

更に開戦前にはセイバーフィッシュなどの戦闘機を専門に運用する本格的な宇宙空母としてペガサス級宇宙空母の建造が進められていた。
すなわち、連邦宇宙軍は巷で言われるように「航空戦力を軽視していた」のではなく「航空戦力が整っていないうちに開戦に持ち込まれた」のである。
なお、ペガサス級は開戦直後のザク・ショックを受けてモビルスーツ(MS)を運用する強襲揚陸艦へと変更されたために、結局母艦になることはなかった。


動力は従来の科学燃料を用いるジェット/ロケットのハイブリッドであり、核融合炉や熱核ロケットエンジンは有していない。
そのためMSにはパワーで差を付けられ、何より戦闘機であるためにAMBACを駆使したMSのマニューバに対応し切れず死角から近接白兵戦を仕掛けられると為す術がなかった*4ので苦戦は免れなかったものの、アウトレンジからの飽和攻撃による一撃離脱戦法に徹することでなんとか対応することが出来た。
また、従来式の宇宙戦闘機としては最高クラスの性能を持っており、ジオン側の宇宙戦闘機ガトルが相手ならば優勢に戦闘を進められた。

上下左右に装備された四基のブースターパックから生み出される機動性の高さと、ミサイル主体の攻撃力の高さは伊達ではなく、
一年戦争初期にはミノフスキー粒子散布下でもMSにある程度対抗出来る貴重な戦力として連邦宇宙軍に重宝された。
本機でザクを複数機撃破したお前はムウ・ラ・フラガかと言いたくなるようなエースパイロットもいるぐらいである。
機首にある4門の25mm機関砲もMS相手では通用しないが、航空戦力相手なら十分な威力を発揮する。

逆に言うと、ジオンはセイバーフィッシュをはじめとする優秀な戦闘機の存在を警戒して、その普及が進まないうちに挑んだのかもしれない。
もし、艦艇数のみならずセイバーフィッシュまでザクの三倍の数が配備されていれば、果たして一週間戦争はあれほどの大差がつけられただろうか。


やがてコア・ファイターの開発やジムボールの生産・配備が進むにつれて第一線を退き、宇宙での活躍の場は失われていった。
しかし地上では開発から20年以上経ったU.C.0090年代においてもなお拠点防衛や防空用として長々と運用された。
また、一部は民間軍事会社やテロリストにも流失するなど

流石に旧式化も著しくMSにとって脅威とはなり得なかったが、長い歴史の中でも地球連邦軍を支え続けたのである。




【バリエーション】


セイバーフィッシュ(空軍仕様)

型式番号 FF-3

セイバーフィッシュの空軍仕様。
宇宙軍仕様に比べてキャノピーが広く、ミサイルやドロップタンクを設置する為のパイロンが増設されているらしい。
しかしブースターパックを装着していないため、身軽になった一方で推力と火力は低下している。

だが、地上戦だと既にフライマンタTINコ ッドといった大気圏内専用機がいた為に一年戦争中の存在感は希薄。

一年戦争以降は宇宙軍で使われなくなった宇宙戦仕様のセイバーフィッシュは空軍に回されたとされ、U.C.0087年にジャブローを防衛していた機体や、
0096年にトリントン基地に配備されていた機体はブースターパックを装備していたことから、元宇宙軍機だったのかもしれない。


セイバーフィッシュ(局地要撃機仕様)

型式番号 FF-S3DF

セイバーフィッシュのバリエーションの一つ。詳細は不明。


セイバーブースター

『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場した派生型。
機体後部に巨大なブースターユニットを装着して拡張性を強化したもので、ジェネレーター出力が三割程強化されているのでMSを乗せてのサブフライトシステムとしても運用が可能。
武装は主翼下の3連装ミサイル。

劇中に登場したのは正規軍ではなく宇宙海賊シュテンドウジが買い上げたもので、乗機の量産型ガンキャノンを失った少年パイロットのフェルナンド・ペデスが搭乗した。


セイバーフィッシュ(THE OIGIN)

型式番号 FF-3F
全長 19.9m
全幅 17.7m
全高 6.9m(着陸脚収納時)
7.1m(着陸脚展開時)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場したセイバーフィッシュ。
型式番号など細部が異なるが、概ね従来と同じ。

本作でもやはりMSに敵わない役回りだが、ルウム戦役では勇ましく発進してムサイを撃沈するシーンが描かれており、短いながらも見どころがある。

なお、理由は不明だが第1話に登場した時と第5・6話に登場した時ではデザインが異なる。


偵察型セイバーフィッシュ カモノハシ

同じくアニメ版『THE ORIGIN』に登場した偵察・哨戒型のセイバーフィッシュ。
武装を全廃して各種偵察用の機器を装備している。


セイバーフィッシュⅡ

『アウターガンダム』に登場した発展型。
ブースターポッドの代わりにビーム兵器4基と外装型ミサイルを6発装備している。


レイヴン・ソード

型式番号 FF-S5

「MSV-R」に登場。
セイバーフィッシュの後継機で、機体を小型化しつつ高い性能を持たせている。
エンジンは出力を上げた改良型を採用し、目標としていた数値の85%分の航続距離や機動性を得ている。
ちなみに目標数値の設定はブースターパックを装着したセイバーフィッシュの戦闘中のものを参考としている。

開発はかなり早くから始まっていたが、MSの開発を最優先課題としていたせいで試作機は予定より3ヶ月遅れて完成している。また、大気圏内だと稼働時間が短いなどの問題もあった。

完成から1ヶ月後には制式採用されるが、本格的な量産は戦後になってから。
少なくとも300機以上が生産され、機動艦隊などに配備された。
また、大気圏内用のFF-S5Cや複座式コクピットのFF-S5Dも造られている。

…が、理由は不明だが4年半後には退役したらしい。




【主な活躍】


映像作品では『機動戦士Ζガンダム』と『機動戦士ガンダムUC』に登場した。

『Ζ』ではジャブローに配置された機体が降下してきたエゥーゴのMS部隊を迎撃するも、最新鋭のMSにはまるで歯が立たず、容易く撃墜されていった。
ちなみにこの機体にはブースターパックが装備され、資料でもFF-S3と記されているので元は宇宙軍の物だった可能性が高い。


『UC』ではトリントン基地に配備された機体が登場するが、出撃前にザクⅠ・スナイパータイプの狙撃で全滅した。
登場から全滅までの時間、僅か6秒
もし飛ばれていれば、飛行出来ないMSが大半を占め、飛べる機体も輸送機かSFSばかりだったジオン残党には勝ち目がないので、真っ先に潰されたのだろう。

絵コンテや関連書籍の一部には「セイバーフィッシュⅡ」と記されており、近代化改修等が施されていたと思われる。*5


ゲームブック『シャアの帰還』では、シャアがルオ商会の備蓄基地で退役軍人ゴダールから受領し、ホンコンから日本のエグム支部へ向かうために使用する事になるも、発進前に百式改の襲撃を受ける羽目になる。
セイバーフィッシュは、このゲームにおける能力値の設定されたメカの中では最弱であり、これで百式改とまともに戦った場合、こちらはロケット弾を9回命中させないと倒せない上に、相手のパルスレーザーを一撃食らっただけで倒されるという分の悪い戦いを強いられるため、逃亡するのが得策である。
また機体が超硬化プラスチック製のため、水に浮くという設定がある。


漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では外伝「成層圏スプリンターズ」に登場。
ガンダム・ヘッド乗りのマーカス、オルフェ、デントが一年戦争時代に乗っていた機体として描かれた。




ゲームでのセイバーフィッシュ】


主な出番はGジェネシリーズギレンの野望
トリアーエズの上位互換でコスト面以外全てが上回っている。
特にギレンの野望ではなんとこいつを大量生産すればMS抜きでもクリア出来る。

Gジェネシリーズでは初期能力こそ低いものの、対艦ミサイルの威力が高いので特に1stから開始する初期作においてはゲーム開始時に唯一まともにザクと戦える存在として非常にお世話になった。
他の戦闘機は火力がショボ過ぎるのでこいつがいなかったら戦艦か、捕獲した貴重なザク、設計で作ったけど適応が最悪なザニーなどで戦わなければならないのである。
セイバーフィッシュがいてくれて本当に良かった……
お約束だが改造していくととんでもない化物が対艦ミサイルを抱えて敵めがけて飛んでいくことになる。
U.C.0150年代のMSさえ蹂躙していく様はまるで悪夢。
ミノフスキー粒子散布下でのMSの優位性とは何だったのか。

戦士達の軌跡』では各キャラの「ルウム戦役」や黒い三連星編「レビルを叩け!」で大量に登場。
ザコ敵ではあるが攻撃性能は意外と高く、レベルの低いザクなら十分撃墜され得るため、侮っていると痛い目に遭いかねない。
戦闘機らしく機動性に秀でており、ザクやドムの機動力ではなかなか追いつくことが難しい点も挙げられる。戦艦を狙ってくることも多く、特に三連星編ではダブデを失うと致命的なので油断は禁物。




ガンプラ

EXモデルでもUCHGでもハブられ一切ない。
レジンキャストキット等を除けば、マイナーな機体のラインナップが嬉しい森永のガンダムキャラメルのオマケでが唯一の模型化となる。





追記・修正は元戦闘機乗りのMSパイロットがお願いします。

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最終更新:2023年12月05日 16:22

*1 型番がセイバーフィッシュよりも後ろなので、恐らく開発の着手自体は後だったと思われる。

*2 ちなみにこの対艦ミサイルの設定は不安定で、ミサイルランチャーから発射される小型ミサイルで対艦攻撃を行っていたり、翼下に大型ミサイルを懸架して発射していたりと、媒体ごとに様々な解釈があり一定していない。

*3 戦争末期には少数就役したサラミス級ベースのネルソン級軽空母でも運用された。ただ、ネルソン級の就役には戦後説もある。

*4 特にデラーズ・フリートのドラッツェの様なほぼ同じ機動特性を持ちつつ近接白兵武装を有する機体相手が一番苦手であったと考えられる。

*5 確かによく見ると今までとキャノピーの形状が異なり、ブースターパックが従来より小さい。