機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE

登録日 :2012/10/17 (水) 21:20:34
更新日 : 2017/02/20 Mon 18:44:03
所要時間 :約 5 分で読めます




失ったものと 守ったものと 奪ったもの

その選択と結果を俺たちは背負って生きていく

前を向いても…過去は消えないのだから



ガンダムエースにて連載されていた漫画作品。
作者は久織ちまき先生。

基本的には原作アニメと殆ど同じ展開だが、この作品はアスラン視点で物語が進行していく。

そのため、アスランの心情描写がより詳しく描かれており、台詞も多い。
少し詳しく例を挙げると、最終決戦の時にシンに対して
「お前は一体何を守っているつもりだ。お前が守っているのは国でも人でもない、従わない者を焼き払う為だけの兵器だぞ」
と批判するなど、発言がより具体的になっていて分かり易く、物語をすんなり呑み込み易い点も評価されている。

また、アスランだけでなく、シンの心情を表した台詞、キラのデスティニープランに対して正鵠を射た批判の台詞、
ハイネ・ヴェステンフルスがアスランに助言するシーンなど、この漫画ならではの要素もあるのがポイント。

ガンダムをはじめとする機体も丁寧に描かれており、魅せ方もポイントのひとつで、TV本編での描写不足の補足、各キャラクターの活躍のバランスの調整など、
高山瑞穂氏によるボンボン版と共にこちらが本編とよく言われる。

もっとも機体は細かく描かれているが、高山版のような外連味は少なく若干絵が硬い。
その上やたらショタショタしく描かれたシンの描写も相まって、「少女漫画版種死」と言われることも。

本編は全部で5巻だが、シンの過去話、キラの心情を描いた話、アスラン脱走後のイザークとディアッカの話、ミーアを襲った絶望の話などを描いた「Desire」もある。
こちらは全2巻。



■登場人物■


  • アスラン・ザラ

「人は過去を消す事なんてできない…。過去があるから明日を願うんだ!」

この漫画の主人公。上記の通り、ずっと彼の視点で物語が進むため、彼の葛藤が詳しく描かれている。
やはり口下手なようで、シンとは衝突が絶えなかったが、誰よりもシンを心配していた。
また、カガリとの関係も深く描かれている。
搭乗機体はセイバー、∞ジャスティス。


  • シン・アスカ

「俺だって!!守りたかったさ、俺の力で全てを!」
「だけど…俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪うことだって…力で解決できることなんてなにもないって!!アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!」

ザフトのエースパイロット。やはりアスランに対しての挑発的な言動などが目立つが、アスラン撃墜の時の悲痛な表情や台詞など、彼の感情が細かく描かれている。
「Desire」では過去話の他に、彼が苦しみながら戦っていたことが描かれ、
「どっちも人殺しの道具なら、レクイエムはデスティニーと何が違う?」と心情を明かしている。
(それに対しヨウランとヴィーノは 「大違いだ。デスティニーが落ちたらシンが死ぬだろ!!」 と一喝している)
搭乗機体はインパルス、デスティニー。
ちまき氏はシンのファンを公言しており、出番的に本来の主人公を食っている印象。


  • キラ・ヤマト

「遺伝子によって役割が決まる世界なら、今よりもっと優秀な人間を作ろうとする人が出てくるんじゃないかな?」

ご存じ前作主人公。残念ながら行動は原作通りで、出番も台詞もやや少な目。
だがデスティニープランに対し、自分の立場からハッキリと批判していることもあり、印象がかなり異なる。
「Desire」ではアークエンジェルを守らなければならない立場から、フリーダムを落とされても尚、ルージュで戦おうとするが、カガリに諭されている。彼も根詰めすぎているのかも知れない。
エンジェルダウン作戦後シンの気迫に圧倒されつつ実力を認めており、「会ってみたい」と呟く。
搭乗機体はフリーダム、ストライクフリーダム、ストライクルージュ(ストライクカラー)。


  • カガリ・ユラ・アスハ

「戦争を終わらせることも、国を守ることも…難しいな」

オーブ連合首長国代表首長。
この漫画では実質ヒロイン。原作と同じく政略結婚をしようとするがフリーダムに拐われ、キラ達と行動。
アスランとカガリの関係がより深く丁寧に描写されている。
搭乗機体はストライクルージュ。アカツキ。


  • ネオ・ロアノーク

「残ったのは、この命ひとつだ。…さて、どう使う?」

ファントムペイン所属、不可能を可能にする男。
ステラを戦場に送り出したことを後悔しており、「奪うだけ奪って、守りたいものも守れず、約束も破った…」と語る。
しかし原作とは違い、残念ながらメサイア攻防戦では出番無し。アカツキも乗らない。
アスランが一人でレクイエムを破壊している。


  • ギルバート・デュランダル

「…いっただろう?人は痛みなどすぐ忘れる…。」
プラント議長。原作より悪役っぽく見える。キラに対し、「本当は君が力になってくれれば…」と語る。


  • ハイネ・ヴェステンフルス

「見てきたものが違うんだ。そう簡単にはいかないさ」

頼れる兄貴。やはり原作通り戦死してしまうが、それまでにアスランに対しての助言やアスランとシンとの関係改善のアドバイス等、出番が増えている。
大人の意見を言える、良き先輩。


  • ミーア・キャンベル

「アスランにはわからない!!わからないわよ…最初から持ってるあなたたちには…人から奪ってでも…しがみつきたい気持ちなんて…!そうじゃなきゃ失くなっちゃうって怯える気持ちなんて!!」

デュランダルがプロパガンダの為に作り上げた「偽物のラクス・クライン」。
ラクス達との邂逅での悲痛過ぎる叫びと、Desireにおける偽物と暴露された時とデュランダルに遠回しに「役目は終わった」と言われた際の絶望の表情が彼女の心理を物語る。
持っていた全てを、「ラクス・クライン」を演じる事で得られた全てを本物のラクスに唐突に奪われ茫然自失だった最中、マネージャーに「プラントの民の心を癒していたのはあなたなのに」と囁かれ…。


…と、この他にも様々なキャラの見せ場が増えている。
心情描写は無くとも、表情からでもキャラクターの心情を読み取れる(アスラン撃墜直後のシン、「Desire」でレイの見せた微笑みなど)。

原作のシナリオはイマイチだったが、キャラクターや機体など、素材の良さを証明出来た作品である。

アスランの心理描写はもちろん、シンの苦悩、キラの考えや守るという信念…。
この3大主人公や「SEED DESTINY」が好きな方にはおすすめ出来る作品である。


■余談■


  • 久織先生は大のSEEDファンらしく、SEED放送時からイラストを描かれていたらしい。
最終巻の巻末にラフスケッチ集もあるので、興味のある方は見てみては如何だろうか。

また、久織先生がSEEDの漫画を描きたいと思ったきっかけは、例のキラVSアスラン後のカガリとアスランの名シーンを観て描きたいと思ったとのこと。

コメントでは、「担当の方々ともキャラについてしつこく熱く語り合い、それらをEDGE版での解釈として盛り込んだ。ファンの多い作品でそのような試みは勇気のいることだった」と述べている。








「人は間違いを追記するなんてできない…。それでもおかしいと思う箇所があるから修正するんだ!」

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