ポケットモンスター ダイヤモンド・パール

登録日:2010/06/25 (金) 16:12:45
更新日:2024/01/27 Sat 09:09:02
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ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(Pokémon Diamond / Pearl)は、2006年9月に発売されたニンテンドーDS(以下DS)用のゲームソフト。
ポケットモンスター』シリーズ10周年記念作品である。


◆概要


GBAからDSにプラットフォームを移し、最初に発売された『ポケットモンスター』シリーズ。
究極の硬度を持つダイヤモンド、究極の真円を表すパールを冠するタイトルには“究極の『ポケットモンスター』”を目指すという制作スタッフの強い思いが込められている。

パッケージを飾るポケモンは『ダイヤモンド』がディアルガ、『パール』がパルキア

第四世代」となり、新ポケモン107種が追加された。
『ポケモン』シリーズでは唯一、片方のソフト単体で図鑑の「みつけた数」をコンプリートすることが可能。
対戦面においても、第三世代以前の攻撃技の物理特殊の分類がタイプ依存だったものが技ごとに設定されたり、一部技の威力が変更されたり等、全体的に大きくシステムが進化している。

ハードがDSに移った事に伴い、3Dの技術を使用し前作までよりもマップが立体的に進化。
また、今作よりポケモンはオスとメスで外見に差異が見られるようになる。
大半は尻尾や角の長さ、模様の微妙な違いだが、カバルドンのようにオスとメスで完全にに色違いじゃんという場合もある。

そして数々のBGMも好評であり、全体的にピアノ調となっているのが特徴。

冒険の舞台は北海道(北方領土含む)をモデルとしたシンオウ地方。(渡島半島は『ポケモンレンジャーバトナージ』で登場)
このシンオウ地方はモデル通り気候が寒冷で、主人公のグラフィックもマフラーをしている等のやや厚着となっている。

御三家は草のナエトル、炎のヒコザル、水のポッチャマ
シリーズでは珍しくストーリーでは炎が序盤から終盤までやや有利で、水がやや序盤辛め。


今作の悪の組織は前作のマグマ団・アクア団同様に、
ギンガ団という、伝説のポケモンの力を使い「既存の世界を滅ぼして新しい世界を作り直すのが目的」カルト集団的存在

やはり前作同様、伝説のポケモンが重要な存在となっている。


更に今回はやたら「神」を関するポケモンが登場しており、その設定はややインフレ気味である。
メインストーリーには「時空」の神を冠したポケモンが絡んできて、ストーリーには直接は絡まないが創造神がいたりする。*1

また、現実のアイヌ民族の伝承を元ネタにしたであろう古くからの言い伝えも多い。
ポケモンの骨を川に流すと肉をつけて戻ってくる、昔はポケモンと人間も結婚していた、等々。

そして何より、第三世代以前は本人及びNPCのセリフやポケナビのごく短い紹介文などでしか判らなかった人間キャラの性格の掘り下げが深くなっており、後の作品にも多大な影響を与えている。
特にチャンピオンであるシロナは屈指の人気キャラとなり、本作以降も度々客演している。

本作と並行して放送されたアニメとして『ポケットモンスター ダイヤモンド&パール』がある。


◆新規システム


それまで展開されてきたGBA世代のポケモンから別次元の進化を遂げたタイトルといえる。
純粋にグラフィックが強化されたのはもちろん、上画面から下画面に視線が移動するタイトル画面や、UIの整理で小さな携帯ゲーム機でありながらぐっと見やすくなった戦闘画面、そしてスケールの大きな2画面をフルに使ったイベントムービーなど、様々な意味で大きな変化を果たした。


タッチスクリーン

タッチスクリーンの活用により操作面も大きく変化。
従来の十字ボタンとA、Bボタンでの操作に加え、画面タッチでコマンド入力ができるようになった。
これにより、バトル時にポケモンに指示を出したり、どうぐを使ったり、ポケモンを入れ替えたりといった操作が、今までよりも直感的に行なえるようになった。

ポケモンウォッチ(ポケッチ)用のさまざまなアプリをタッチで使うことも可能で、なつき度チェッカー、ポケトレカウンター、きのみチェッカー、歩数計などを利用して、ゲーム攻略に役立てたユーザーも多かったのではないだろうか。


通信機能

そして何より、最大の特徴はDS本体の機能を利用したワイヤレス通信が可能となったことだろう。
それまでのポケモンでは友達と通信をして遊ぶためにはゲーム機本体とは別に通信ケーブルを用意しなくてはならなかったことを考えると、革命的な出来事と言わざるをえない。

さらにはニンテンドーWi-Fiコネクションへの対応により、遠く離れたプレーヤーとオンラインで対戦や交換が行えるようになった。注:第七世代時点で既にサービス終了
これによりポケモンの入手や対戦相手探し等の敷居が下がり、リアル仲間がいない人にも優しい仕様になった。


また、今ではポケモン映画のお約束となった映画館でのポケモン配布だが、これが行われるようになったのもワイヤレス通信が可能になってから。
初めて映画館で配布されたのは2007年の「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」のときで,ここではダークライがお迎えできた。


ダブルスロット機能

クリア後にはDSのダブルスロット機能を使用して、GBA用ソフトの『ポケットモンスタールビー・サファイア・エメラルド』『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』のポケモンをこちらに送ってくる事も可能(一方通行ではあるが)。
ちなみにダブルスロットで第三世代のソフトをセットしていると、一部出現ポケモンが変化する。


◆評価


本作は当時DSソフト中最速でミリオンセラーになるほどの売れ行きを見せた。
やはりWi-Fi機能の追加が大きかったのだろう。

しかしまだまだ問題点も多く、全体的な評価としては後一歩足りない感は否めない。

その主な問題点として

  • 戦闘のテンポが悪い。過去最悪クラスとも。
  • レポートを書く時間が長い。
  • ストーリー中に出現するポケモンのタイプがやや偏っている(特に炎タイプは御三家とギャロップ系の二匹のみ*2)。
  • 寒冷地がモデルであるにも関わらずストーリー中に出現する氷タイプは2系統のみ
  • 強力な攻撃技やアイテムが増えたため、やや火力偏重の対戦バランスとなった。
  • 技の物理特殊の仕様変更で一番救われるべきポケモンが救われていない。
  • エメラルドで好評だったバトルフロンティアが再びバトルタワーのみになった。
  • から孵化したポケモンのレベルが5から1になり、ジャッジおじさんもいなくなったため卵厳選が面倒になった。
  • 眠り判定がシビアになった。
  • バグが多い。「なぞのばしょ」はかなり有名であるがその他にも色々あり、15年以上経ってもソフト解析が有志の手で行われているという。

等が挙げられる。
ちなみにバグは解析され続けた結果ついに本作でも任意コード実行の手法が発見されるほど進められている。

ポケットモンスター プラチナ


2008年9月にはマイナーチェンジ版である『ポケットモンスター プラチナ』(Pokémon Platinum)が発売された。
パッケージのポケモンはギラティナ

ストーリーが一部変更され、ジムリーダーの使用ポケモン等や野生で出現するポケモンも一部変更されている。
(例:DPよりも炎タイプのポケモンが多く登場する、DPでそれ以前のポケモンの新進化形として登場したポケモンがすべてクリア前に手に入る等)
またこの関係でダイパのシンオウ図鑑では初代に合わせた「見つけた数」が151種でコンプリートだったのが210種に増えている。
ジムリーダー・四天王共に難易度は結構上がっている。特に四天王はレベルは下がったもの技やポケモンの種類が強化されたため特に強化されたと感じるだろう。


またDPで特に問題視されていたテンポの悪さが改善された。

更に再びバトルタワーバトルフロンティアに進化し、ジャッジも復活。
新たに大量の教え技が追加されるなど、多くの変更箇所が存在する。


前作の問題点を軒並み改善しており、他にも「べっそう」や「しょうぶどころ」の追加、新しい施設も追加されるなど、
再びやりこみ派の人達から高い評価を得ている。

ただし、追加要素の多さからかレポートだけは逆に長くなっている。
有名なのはボックス操作するだけで「レポートをたくさんかいています」になることだろう。


HGSSとは、システム的にも設定的にも密接に関わっている部分がある。
DPtの時点で伏線も多く散りばめられていた(アニメや映画も同様)。


ちなみに、一時期スタッフが「ポケモンは本作で最後」みたいな事を言ってた気がするが、そんなことはなかったぜ!
(今作の売れ行きが非常に良かったから続投しよう、という事になったという説もある。)

実際、日本をモチーフにした地方は本作で最後となり、以降は海外をモチーフにしているので、「日本を舞台にしたポケモンは本作で最後」という意味では間違ってはいない。
何より、この世代のコンセプトは「ポケモンという作品の集大成」であった。


ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール


ポケットモンスターシリーズ25周年記念日となった2021年2月27日、長らく待ち望まれてきたリメイク版『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(Pokémon Brilliant Diamond / Shining Pearl)の発売がアナウンスされ、同年の年末商戦向け作品として2021年11月19日に発売された。機種はNintendo Switch

これまでのポケモン本編は全てゲームフリークが開発していたが、今回はゲームフリークは同時発表されたもう1作品『Pokémon LEGENDS アルセウス』の方に注力している関係で、ILCA開発でポケモン本編初の外注作品となった。

「原作に忠実」と発表されていた通り、その内容はDPのかなり忠実な再現となっており、第5世代以降で変更された一部の仕様が復活していることが特徴的で、全体的に当時の雰囲気を大きく残したリメイクといったところ。*3
そのため、既存要素の廃止や刷新が推し進められたSM以降のポケモン本編とは趣の異なる内容となっている。
特にわざマシンが(剣盾のわざレコードの如く)使い捨てなのは多くのプレイヤーを驚かせたであろう。一応、とある1種を除けば基本的に複数個手に入るので周回プレイする必要がないのは救い。
なお、プラチナでの追加要素はシナリオに影響しない範囲で一部が導入されている。

ダブルスロット関連は潔く全部廃止された。
これに伴ってダブルスロット専用施設だったパルパークは伝説のポケモンが捕まえられる「ハマナスパーク」に変更されており、ダブルスロットでのみ登場した野生ポケモンはちかつうろ改め地下大洞窟で遭遇する形になった。
ここにはプラチナで追加で野生出現するようになったポケモンも多く、リメイク前では偏り気味だったポケモンのレパートリーの改善に一役買っている。

今作ではついにDP時代から存在しているものの結局プラチナでもアンロックされなかったてんかいのふえ周りのイベントがアップデートで追加された。*4
また他ソフトとの連動も併せて幻のポケモン5匹*5の入手に関わる作品となっている。

フェアリータイプや新技、王冠・ミントといった便利アイテムなど、育成システムは第八世代の作品らしく剣盾に合わせられているが、登場ポケモンもDPまでのものに絞られており、しんかのきせきといったBW以後に登場した戦闘用アイテムは登場しない。更にイーブイは、BDSPと似たような立場のポケダン救助隊DXとは異なり第六世代で登場した進化系のニンフィアには進化できない。
剣盾のグラフィック表現手法は採用されず、マップはシンオウ地方のギミックやロケーションの多さ等を踏まえてか原作の表現を踏襲して3DCG化している。
人間のグラフィックはデフォルメされた2等身で表現され、戦闘中やコンテストのみリアル等身となる。
また、ゲーフリの作品は「リアルな人物の動きでアニメ的なオーバーリアクションを表現する」ようなものだったのに対し、本作は「アニメ的なオーバーリアクションやポーズをそのまま3D化する」ようなものになっているため、本作のモーションはこれまでの作品と比べるとかなり独特である。
止め絵のポーズも徹底してオリジナルのダイパを再現しているが、3DCGに不向きなポーズまでキッチリ再現されているのが玉に瑕。
なお、リアル等身で表現されたロケーションのいくつかは公式アートブック*6で見られる。

剣盾で行われた技の廃止は継続している。
但し、BDSPでは剣盾に送れないバルビート・マナフィしか覚えない「ほたるび」や、アンノーン専用技と化した「めざめるパワー」等復活している技も少しある。
おかげでポッチャマは「あわ」と「がまん」を没収され「みずでっぽう」と「あまえる」を覚える羽目に。おいプライドどこ行った

DP準拠でプラチナなどであった教え技がなくなり、剣盾にあったわざレコードも当然ないので後の世代のポケモンに慣れた人にとっては技範囲が案外少なく感じるだろう。
例えば剣盾の環境では非常に強力なサンダーだが、こちらでは電気技以外の攻撃技が軒並み没収されておりかなり辛かったりする。剣盾と一応同世代にあたるが環境はだいぶ違う
システムが完全に異なるLEGENDSアルセウスはともかく、同世代で本作の多くのバトルシステムの元になっている剣盾で使えた技も本ソフトに持ち込むことはできない。
過去作の技なども当然ながら持ち込めないため、BDSP環境のみで覚えられる技しか使えない。

なお、ILCAがゲーム開発ではなくCG制作が本業なこともあってか非常にバグが多く、初代『赤・緑』やリメイク前ダイパに匹敵するとも言われる。何もこんなところまでリメイクせんでも
普通にプレイする分には問題ないが、システムの穴を突くような行動を取ろうとするとあらゆる箇所からバグが発生することになる。発売当初のカオスっぷりから誰が呼んだかバグだらけスペシャル
一応、一部がアップデートで修正されている。例によって最新版ではないとふしぎなおくりものをはじめとする通信機能が使えないため、アプデをスルーしてバグで遊び続けるのは厳しい。
また、当たり判定が旧作準拠のマス目単位になっている*7ことや、ボックス内のカーソル移動が遅い*8など操作性にはやや難がある。

原作の忠実再現は一長一短であり、オリジナルと比較した場合育成環境やイベント関係は大幅に改善している一方、けいけんアメがないため、剣盾やアルセウスに比べるとポケモンは育成しにくい。
エンドコンテンツや寄り道要素は原作ダイパから概ね再現されて充実しているものの、マックスレイドバトルのような配信で変化するコンテンツはないため、本気でやり込むとやることはなくなりやすい。
このため中古ソフト市場では2,000円未満で販売されることも多いが、売り上げ自体は2022年3月期で2作合わせて1,465万本となっており、リメイク作品としてはORASやピカブイを超えて過去最高を記録している。



追記・修正は全作品を遊びつくした人にお願いします。


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最終更新:2024年01月27日 09:09

*1 恐らくは日本神話がモチーフとなっているのだろう。

*2 但しこれはモデルが寒冷地という事もある。事実、温暖な気候のホウエン地方では氷タイプが少ない

*3 ポケモンシリーズで似たような立場だと映像作品の『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』や外伝の『ポケダン救助隊DX』が挙げられる。他社類似ケースだと『ゼルダの伝説 夢をみる島』『牧場物語 再会のミネラルタウン』『マリーのアトリエ Remake 〜ザールブルグの錬金術士〜』等が挙げられる。

*4 要Pokémon LEGENDS アルセウス

*5 ミュウ・ジラーチ・シェイミ・ダークライ・アルセウス

*6 ポケモンセンター限定の早期購入特典。

*7 マス目を無視して移動することもできるため、見た目上すり抜けられそうな場所で引っ掛かることが多い

*8 Lスティックを倒しっぱなしでもポケモンを素早く動かせない。連打防止の処理が原因だと思われる。