三角関係

登録日:2009/08/11(火) 20:36:34
更新日:2023/09/27 Wed 13:21:30
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あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

{紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我れ恋ひめやも



三角関係とは、3人の人間が同時に恋愛関係になること。
または恋人とまではいかなくても3人の人間の間で同時に好意が発生している状態のこと。

【概要】

現在の日本では恋人を1人だけ持つことが常識である為、3人関係は非常にあやふやな状態。
2人の間で揺れていたり、また2人と同時に付き合っていた場合は修羅場となる。

1人に対して3人以上の恋愛対象となる可能性のある異性が近くにいる状態は、ハーレム、逆ハーレムと呼ぶこともある。

【パターン】

三角関係には以下の場合がある
好意の向きを矢印で表現することが多く、矢印が向かい合わせ(→←)になる時は相思相愛もしくは両片思いの状態を指す

  • Aに対してBとCが好意を持っている状態(B→A←C)*1

  • 相思相愛またはそれに準ずる状態にあるAとBのどちらかにCが好意を持っている状態(A→←B←C、C→A→←B)*2

  • A→B→Cという状態

  • A→B→C→Aという状態*3

  • B→←A→←Cという状態*4


またストーリー上の三角関係の終わらせ方にも数パターンある。

  • どちらかが恋人として選ばれる

  • どちらかが身を引き、もう片方を応援する

  • どちらかが別の人物に鞍替え、残された2人が綺麗に収まる

  • どちらかが死亡して結果的に邪魔者がいなくなる

  • 決着をつけることなくあやふやなままで終わる

  • 誰とも結ばれない道を選ぶ

  • 1人がそもそも肉親や故人など結ばれることは不可能な相手に向けてた好意に折り合いをつけたことで、三角ではなくなる

  • Aに好意を持っていたBとCが最終的に別の人物に惹かれるようになり、結果的にAが取り残される*5

  • AとBがくっついたと思ったら、Bが交通事故で意識不明の状態になり、そのまま数年間AとCが良い関係になって終わるかと思ったら、
    Bが意識回復して再び振出しに戻る

  • D、E、F…が出現し四角、五角、六角…と角が増えて最終的に円くなる…と見せかけてならない

  • 実は重婚可でなんの問題もなくなる

【創作物における要素】

恋愛ものの漫画、ドラマ、ゲーム、小説等でよく使われるネタである。
メインが恋愛ではない作品でもストーリー内に恋愛パートがあれば時折使われる。

またギャルゲアニメ化の場合尺やストーリーの関係等でメインを3人にしぼった恋愛が展開されたりする。
特に少女漫画ではもはやデフォルトと言っていいほどよく見られる。

三角関係と言っても表紙やタイトルの時点で誰と誰が結ばれるか明白なものもあれば、読み手が「どっちと結ばれるのだろう?」と本気で悩むものもある。特に脇役同士の恋愛だと後者になることが多い。

しかしあまりにも長引いたりドロドロした展開になると、かえって作品自体の評価を下げかねない。特に恋愛メインじゃない作品や脇役同士のそれが長引くと「本筋を進めろ!」とお怒りの声があがる。
物語のアクセントとしては有用性があるが、使いどころが難しい設定でもある。



楽曲では「切ないラブソング」が定番ジャンルとして確立しているだけあってか、恋愛ものの漫画やドラマに頻度は劣るものの三角関係をテーマに使われることもある。
「自分の好きな人には他に好きな人がいる/既に相手がいた」が定番だが、不倫、昔の相手への未練を歌った大人向けの三角関係ソングもある。

【三角関係要素が含まれる作品】


【余談】

夏目漱石が良く使った手法であり、彼の作品には三角関係がやたらと多い。
教科書にも採用されている『こゝろ』は、その代表作といえよう。

その理由は作品を掲載していた媒体が新聞だった為*10
ニュースばかりの新聞の中で、読者の興味を引く為には、ドロドロとした三角関係が一番手っ取り早かったのである。


冒頭の和歌二首は日本最古の三角関係作品(しかも史実)として知られているが、その説には異論が唱えられている。詳細は天武天皇の項目を参照。




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最終更新:2023年09月27日 13:21

*1 Aが女でBとCが男だと「恋の鞘当て」と呼ばれる

*2 横恋慕と呼ばれる

*3 最低一人はゲイかレズである場合がある。

*4 BとCの好意に揺れるAという構図は物語中盤ではよくありがち。実際に関係を築くのは非常にレアで三角関係に含めるかは議論が分かれる。二又かバイである場合がほとんど。

*5 かなり希少

*6 自分も好意を持ってはいたが、娘さんはやや友人よりだった(勘違い)。後に友人は自殺する

*7 母親は健在※諸説あり

*8 二次元、三次元を問わず

*9 実際は三角どころじゃない数の関係が結ばれているが、後宮内の力関係やストーリーの都合上2人が寵愛を競いあう構造になりがち

*10 漱石は1907年に朝日新聞社に入社し、本格的に職業作家として活動している。