VF-1 バルキリー

登録日:2009/11/19(木) 23:35:14
更新日:2024/04/12 Fri 20:39:49
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主に超時空要塞マクロス超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますかで活躍した機体。
マクロスシリーズ往年の名機であり、その後の統合軍の戦略を決定付けた重要な機体である。

本機に敬意を表し、歴代可変戦闘機はペットネームを別に持っていても“バルキリー”の通称で呼ばれることになった。


ペットネーム:バルキリー
設計・製造ストンウェル / ベルコム社共同開発
全長ファイター:14.23m
ガウォーク:11.3m
バトロイド:4m
全幅主翼展張時:14.78m
主翼後退時:8.25m
バトロイド:7.3m
全高ファイター:3.84m
ガウォーク8.7m
バトロイド:12.68m
重量13,250kg
エンジン(主機)新中洲重工 / P&W / ロイス
武装:GU-11ガトリングガンポッド、マウラーROV-20レーザー機銃、ノーマルミサイル、マイクロミサイル、反応弾頭、


1999年にSDF-1 マクロスが飛来。その際、地球外生命体の巨人の存在が判明。それら巨人族との和解あるいは戦闘の必要性を考えた人類によって作製された。(そのため、バルキリーのバトロイド時の身長は巨人の身長に合わせて作られている)


マクロスの調査が進んだ結果、巨人は主に高機動兵器を使用している事が判明し、海空軍・海兵隊の手によってあらゆる状況を考慮した結果、人型に変形する航空兵器という有る意味において奇想天外な兵器の建造計画が発動された。しかし奇想天外すぎるが故に開発は難航した。そのため第一次量産が完成したのは、マクロス進宙式のわずか4ヶ月前と言う経緯を持つ。
しかし、柿崎速雄、フォッカー、マックス、一条輝などのエースの活躍により、その圧倒的な有用性が示された。そして、陸軍のデストロイドとの競合に勝利し、後の統合軍戦力の中核をなす主力機として採用され、現在もその思想が脈々と受け継がれている。


戦闘機状態の”ファイター”、ロボット状態の”バトロイド”、その中間形態の”ガウォーク”によって構成される。

とくにガウォークは開発途中に偶然発見され、急遽設計に盛り込まれることになった。その後、柿崎速雄、ロイ・フォッカー、マクシミリアン・ジーナスによってガウォークの有用性が証明され、その後のVFシリーズに受け継がれている。
変形はスロットルレバーによって選択し、半自動的に行われる。


エンジンにはオーバーテクノロジー(以下OT)を用いた熱核タービンエンジンが用いられている。これは従来型の化学燃料エンジンと違い、大気を熱膨張させることによって推力得るので、大気圏なら理論上無限の航行が可能である。ただし、宇宙では水素などの推進材を必要とする。
VF-1の開発では、コレの小型化がもっとも難航した。そのため、試作機のVF-0 フェニックスでは従来型のエンジンをカリカリにチューンしたものが搭載されている。

翼は可変翼を採用。大気圏では航空力学的に最適に調整される。また推力偏向ノズルによってベクトルを変えるため、水平尾翼は不要となっている。翼には左右二つずつハードポイントが存在し、ミサイルポッドなどが増設できる。


巨人との白兵戦を想定し、バトロイド時にはマニピュレータが使用可能。
ただし、これは強度不足が深刻であり、殴り合いなどに使用されることはほとんどなく、
後続ナンバーにピンポイントバリアが搭載されるまでさほど有用ではなかったと言われている。

なお、下腕部装甲を展開するとメンテナンス用のマニピュレータが多数出現する。触手っぽい。

また、機体自体も航空兵器としてはかなりコンパクトである。これはバトロイド時を元に設計されたため。そのため、その後の開発機を見るとかなり大型化しているのがわかる。

非常に高い汎用性を誇る機種であるが複雑な変形機構の為に機体内部に余裕はほとんど無く、
さらなる機能拡張のためにはそれぞれ専用の拡張パックを装備(後述)することで解決した。
しかし、拡張装備を付けることで従来のパッシブステルスが失われてしまうなど、完全な解決策には至らなかった。
これらは後の後継機でも諸問題を改善しつつ専用仕様の物が開発されるスタイルが継承されている。

また、VF-1の後継機が
  • 宙間戦闘やファイターモードに特化した設計で、バトロイドモードが後期生産型まで無かった上に大気圏内性能で劣るVF-4ライトニングIII。
  • デストロイドを意識してVF-1(一説にはVF-0)の設計をリファインしたものの、少数生産に終わったVF-3000クルセイダー。
  • VF-3000の発展型で、VF-4の欠点であるバトロイドモードと大気圏内性能を重視したが、VF-1の発展型から脱せなかったVF-5000スターミラージュ。
と、揃いも揃ってVF-1の汎用性を超えられず、またVFの技術進歩がなかなか進まなかった事も手伝って結果的にVF-1の寿命を延ばす結果となった。
第一次星間大戦が終結した後も真の後継機たるVF-11 サンダーボルトが配備されるまで長らく主力機の一翼を担い続けた。
また一線を退いた後も訓練用や民間用としてシリーズに登場し続けている。


【バリエーション】
〔VF-1A〕
制式採用型。全地域で製造され、一般兵にもっとも普及した。頭部はモノアイでレーザー機銃は一門。
いわゆるヤラレ役。

〔VF-1J〕
三角バイザーに顎が特徴。火力不足を補うために、頭部のレーザー機銃が二門に増設されている。ただし、生産数が少なくエースや隊長にしか支給されなかった。TV版の輝、マックス、ミリアの愛機。
頭文字のJは生産地区のJapanを表している。

〔VF-1S〕
VF-1J同様性能向上タイプ。エンジンを推力向上型に、頭部を武装・通信強化型に換装している。生産数はJ型以上に限られていて、中隊長以上に配備された。
いわゆる隊長機として思い浮かべるのはコレ。レーザー機銃を四門搭載。
ロイ・フォッカーが駆る機体は『ロイ・フォッカー・スペシャル』と呼ばれ、彼の死後は“スカル”の部隊名と共に一条輝へと継承された。

〔VF-1D〕
縦に並んだバイザーアイが特徴的。J型と同じくレーザー機銃を2門装備。複座型。練習機、もしくは偵察機に用いられる。

〔VT-1〕
ペットネームはスーパーオストリッチ。スーパーパック装備用練習複座機。武器は装備していない。劇場版で輝と未沙が放浪してた時の愛機。ベージュにオレンジのツートンカラー。この機体をベースにした早期警戒機もいる(頭にレドームを搭載した単眼仕様)

〔VF-1XPlus〕
便宜上の区別名はエックスプラス。現状飛んでいるVF-1の最終ロットかつ、ライセンス生産品に当たる。
西暦2047年に新星インダストリーが少数生産したVF-1の発展改修機。 外見の違いや仕様上の違いはなく、区別が難しい。
第一次星間大戦以降に得られたOTM技術をふんだんに使用し、大きく軽量化しつつ強度の向上が図られた。
公式では2015年に生産中止となったVF-1であったが、大量の払下げ品が出回っており、あらゆる場所で使用されているためその需要に答えるとともに、その普及性を生かしての隠密行動にも適しており、特殊部隊の極秘作戦用として改修されるなどされている。

〔VF-1X++〕
バンキッシュレースに登場。レースに勝つためのチューニングが施された史上最速のVF-1バリエーション。
機体のベースは上記VF-1X+であるものの、その出力と機体のバランスは劣悪で、ボディは悲鳴を上げている。
新型無人戦闘機に使用されているバーストタービンエンジンを搭載し、機体底面の空力性能の見直し、機首に姿勢制御バーニア、エンジンまわりにも姿勢制御バーニアを増設したことで過剰なまでの運動性能を獲得。
その性能は新型AVFにも引けを取らないまでのものになったが、その代償として出力コントロールは困難を極め、一歩間違えば火の玉になるというとてつもないじゃじゃ馬になってしまった。
一言で言うと頭がおかしい魔改造機。
当然、操縦性はピーキー過ぎてまず普通の神経なら乗りたがるものはいない。
搭乗者、ハクナ青葉があえてこのバケモノを使う理由は不明だが、卓越した操縦技術によって飛ぶ姿は華麗で美しいとすら評される。
もっとも、こんなバカげた機体を使ってるからこそトラブル続きで無冠の帝王などとも言われているわけではあるが。

〔VF-1EX〕
マクロスΔに登場。
VF-25 メサイアで初めて標準装備された緊急脱出システム及び耐Gスーツ『EX(エクス)-ギア』を搭載した訓練機。赤い機体が教官用、青い機体が生用の機体で、それぞれミラージュ・ファリーナ・ジーナスとハヤテ・インメルマンが搭乗した。
この配色は今や伝説のVFパイロットであるミリア・ファリーナ・ジーナスマクシミリアン・ジーナスにあやかって付けられたものと思われるが、細部の配色は異なる。
EX-ギア以外の性能も最新技術でアップデートされており、高性能な機体に仕上がっている。
そのため速度では上記のVF-X++には劣るが、総合的な性能ではVF-1系列中では最高かもしれない。

【拡張装備】
〔FASTパック(スーパーパーツ)〕
宇宙では推進材の積載量が限られているのが、運用上のネックとなっていた。それを解決するために増漕と火力の向上を目指して作製された。エンジンナセル部に燃料タンクを追加、背部に化学燃料型ブースターを背負い、機体を制御する為に各部にバーニアスラスターが増設される。火力面ではブースター部や腕部にマイクロミサイルポッドが増設される。


〔ストライクパック〕
スーパーパックのブースターに装備されているマイクロミサイルポッドの右側を二連装カノンに交換したもの。火力は高いが、照準を合わせるのが困難で扱いが難しく、隊長機にしか配備されてない。愛・おぼえていますかのラストでの輝の本機によるミサイル一斉射撃は当時最高の板野サーカスとされている。


〔GBP-1S〕
いわゆるアーマードパーツ。バトロイド時の過剰なエネルギーの問題と脆弱な装甲の問題を同時に解決するために考案された。全身に重装甲を施し、多数の火器を装備する。
ただし装備すると、バトロイド形態に固定され、変形機構は失われてしまう。(ただし任意にパージ可能)
この状態では、機動力が格段に落ちてしまうのでクロスレンジに飛び込んできた敵機を、ミサイルの圧倒的な弾幕で撃ち落とす、と言う戦法が使用される。
強力ではあるがVFを局地用デストロイドのように使う、ある意味本末転倒な形態である。
この形態での板野サーカスは最早芸術


なお、ファイター、ガウォーク、バトロイドの形態のほかに、ファイターとガウォークの中間形態
「ガウォークファイター形態」
が存在する(ファイター形態で脚部のみ展開した状態)
いわば隠し形態であり、不整地での着陸、離陸する際重宝された。
また、航宙でのブレーキングでも多用され、回避率の上昇に貢献している。

【玩具・プラモデル】
放送当時から多くのメーカーがファイター・ガウォーク・バトロイドそれぞれに対して様々なアプローチで立体化・玩具化を行っている。

アニメの主要スポンサーであったタカトクトイスは技術の粋を結集した傑作1/55バルキリーを発売。
アニメ版の設定とは異なる変形方式であるが頑丈さとプレイバリューの高さで、子供から大人まで多くのユーザーの支持を集めた。
残念ながら劇場版公開前にタカトクは倒産してしまうものの、金型はバンダイが引き継ぎ商品展開を行っていた。

往年のプラモデルメーカー、アリイ及びイマイの両社が1/72もしくは1/100のプラモデルをリリース、これも差替え変形ながら当時としては緻密な造形で人気を集める。
アリイ・イマイは経営悪化により両者ともマクロス関連の金型をバンダイに売却しており、放映当時の玩具・プラモデルはバンダイから再販がされる形となった。

またそのバンダイもSDガンダムブーム真っ盛りの90年代に差替変形を実現したSDバルキリーをヒットさせている。
そして満を持して完成させた完全変形VF-1については…リベンジが待たれるところ。

数多くの大戦機・ジェット戦闘機・旅客機の実績を持ち「ヒコーキのハセガワ」の異名を取っていたハセガワは、非変形のファイター状態固定モデルであるVF-1でキャラクターモデルに参入し、多くのモデラーを驚かせた。
ハセガワの得意分野である緻密なモールドやスタイルと、キャラクターモデルらしい敷居の低さの両立が魅力。
他作品のバルキリーもリリースしつつ、バトロイドやガウォークもリリースしている。

他にもやまと、ウェーブ、マックスファクトリーといった様々なメーカーによって立体化が行われている。
マクロス放映から40年余りが経過してもなお、多くのファンの支持を集めている名機といえる。


追記・修正ヨロシク

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最終更新:2024年04月12日 20:39