ゾンビ(映画)

登録日:2012/01/27(金) 01:43:43
更新日:2023/05/14 Sun 17:02:44
所要時間:約 21 分で読めます




原題:George A. Romero's Dawn of the Dead/ZOMBIE(直訳:ジョージ・A・ロメロの死者の夜明け)


概要

本作は1978年に公開された、ジョージ・A・ロメロ監督・脚本の映画。

現在でこそゾンビ映画の巨匠として有名だが、当時はまだ無名だったロメロ監督の名を世に知らしめた出世作である。*1

ホラー映画のクリーチャーとしてのゾンビという存在を世界中に認知させるのに貢献した作品でもある。

ロメロの才能や可能性に注目したイタリアのホラー映画界の大物、ダリオ・アルジェント監督*2がロメロにアプローチを掛けた。
そして彼をサポートする代わりに映画を公開する権利の一部を所有する…という体制のもとで製作されたのが本作。

制作された時代が時代な為、明らかに絵の具な血、作り物くさい食われた脚など特殊メイクは若干稚拙。
だが腹を食い破られるシーンは今なお見応えがあり、かなりリアル方向にグロい。



ストーリー

前作にあたるナイト・オブ・ザ・リビングデッドから三週間が過ぎた。
全米中で蘇った死体が人々を襲い、襲われて死んだ者もまた動く死体となって生きた人々を襲うという、最悪の事態を迎えていた。

フィラデルフィアのテレビ局WGON-TVのスタッフであるフランは恋人のスティーブンと共に局のヘリでの脱出を決意。
スティーブンの友人であり一緒に脱出を誘われたSWAT隊員のロジャーは、作戦中に知り合ったピーターと共に職務を放棄してフラン達に合流し、四人は共に旅立つ。

逃避行の最中、蓄えの乏しい物資を求めてショッピングセンター「モンローヴィルモール」に辿り着いた四人は、このショッピングセンターをひとまずの拠点とする。

入口を封鎖し、内部のゾンビ達を掃討する事で安全地帯を確保する一行だったが、その作業中にロジャーがゾンビに噛まれて負傷してしまう。

ゾンビに噛まれたロジャーの容態は日に日に悪化していき、看病の甲斐も無く遂に死亡。
他のゾンビの様に徘徊したくないという相棒の遺言通り、ピーターはゾンビ化したロジャーを射殺するのであった。

その後、三人となった一行は安寧な中でも満たされない閉塞感を感じながら生活を続けていた。
だがある日暴徒と化した一団がモールを発見した事で、事態は再び急展開を迎える。

暴徒達がモンローヴィルモールの扉をこじ開けた事でゾンビ達が再び建物の内部に雪崩れ込み、スティーブン達と三つ巴の戦いが繰り広げられる。
ピーターの活躍により暴徒達の撃退には成功するものの、暴徒に撃たれて負傷したスティーブンはゾンビに襲われて死亡。

ゾンビ化したスティーブンが隠れ家に大群を連れて迫った為、脱出せざるを得なくなったピーターはスティーブンを射殺。
フランだけを逃がし自殺しようとするが、結局思いとどまりフランと合流。
なんとか飛び立つも燃料の残り少ないヘリという絶望的な状況。
それでもピーターは笑う。

「いいさ、いけるところまで行こう」



登場人物

主役四人組

◆スティーブン・アンドリュース/フライボーイ

演者:デビット・エンゲ
一応主人公*3。白人男性。
フランの恋人。実は家族がおりフランとは不倫の関係。
本業はテレビ局WGON-TV所属の天気のリポーター。アホっぽい偽警官供にも顔が知られているなど割と有名人らしい。
ヘリコプターを操縦できるためロジャーとピーターからは「フライボーイ(ヘリボーイ)」と呼ばれる。
作中での立ち位置は前作のハリー・クーパーと同じく「厄介な味方」
ハリーと違いヘタレではなく度胸と行動力があり、最後までピーターと敵対したりもしない。
だが、実力が無いのに度胸と行動力だけ過剰にある味方がどれほど厄介な存在かは想像に難くないだろう。
暴徒が自分達の拠点であるモンローヴィルモールの品物を略奪するのを見ていられず発砲。
やり過ごそうとしたピーターの作戦をご破算にした上、銃撃戦から逃れてエレベーターの上に隠れる。
しかし暴徒に発見され腕を撃たれ、追い詰められたエレベーターの中でゾンビに襲われてしまう。*4
死ぬ間際に自分を襲ってきたゾンビを一人で撃退したが、そこで事切れてエレベーターに閉じ込められた。
数時間後ゾンビ化し、自分を待っていたフランとピーターのもとにゾンビの群れを引き連れ隠れ家の入り口を解放してしまう。
最後は屋上に繋がる部屋で待ち構えていたピーターに射殺される。
We've got to survive! Somebody's got to survive!

◆フランシーン(フラン/フラニー)・パーカー

演者:ゲイラン・ロス
本作のヒロイン。白人女性。WGON-TV職員でスティーブンの不倫相手であり、彼の子供を妊娠している。
妊婦(妊娠三か月)なのに喫煙者だったり、ベッドシーン(正確には事後シーン)があったりと色々とツッコミ所がある。
合流当初は消極的な性格で煙草1本すらあげようとしない冷めた女性だが、妊娠発覚と同時に母として女として強くなる。
中盤からはピーターたちに頼んでヘリの操縦や銃の扱いも積極的に覚えていき、開き直った女は男より精神的に強い事をうかがわせる。
とはいえ、流石にスティーブンが死んだかもしれないと聞かされた時は、咄嗟に銃を持ってゾンビの群れに突入しようとした。
ピーターの制止を受けて数時間待つが、結局恋人の変わり果てた姿を目撃し、ヘリでいずこかへと飛び去った。
Yeah, but not to the enemy,We’re blowin' it ourselves.

◆ロジャー・デマルコ

演者:スコット・A・ライニガー
スティーブンの友人で、メンタルの浮き沈みが激しいフィラデルフィア市警のSWAT隊員。白人男性。
モンローヴィルモール封鎖作業の途中でゾンビに喰われかけた事が原因で頭のネジが飛ぶ。
その後、ゾンビを見くびって調子に乗ってDQNじみた行動をしたせいで本当に噛まれてしまう。
噛まれた後はカートに乗っている。後にようやく冷静になったものの、衰弱死を経てゾンビ化してしまい、ピーターに射殺される。
死後はモール内にあった観葉植物の土の下に埋められた。
We got this man,we got this by the ass!

◆ピーター・ワシントン

演者:ケン・フォリー
同じくSWAT隊員。モト冬樹ばりにちょっと額が広いナイスガイ。アフリカ系アメリカ人男性。
行動力、判断力、戦闘力の全てが優れた男であり、彼の提案するプランにはほぼ間違いがない。
ただしロジャーやスティーブンが足を引っ張る事で毎回ご破算になるという苦労人。
頼りがいのある男だが、しばしやるせない状況に心を痛める繊細な一面も持つ。
ゾンビの脅威からロジャー、スティーブンを救えなかった事を後悔しており、ラストではフランだけ逃して自殺をしようと考えていた。
しかし最後の最後の土壇場で「行けるとこまでいく」と思い留まり、ゾンビを蹴散らしてフランと共にヘリで逃げた。*5
クレジットでは大体2番手3番手だが、本編を観ればわかる通り劇中では最も活躍しており、事実上の主人公である。
Wikipediaでもキャスト欄はピーターが一番上だったり。
Let's say the lady gets killed. You be able to chop off her head?

WGON-TV関係者

◆ダニエル(ダン)・ギブンズ

演者:ダニエル・ディートリッヒ
番組の現場監督。
視聴率獲得のため偽情報*6を流そうとするが、スタッフ達に呆れられストライキを起こされる。
ちなみにフランとの言い争いは放送中だった為、音声でテレビに流れてしまっていた。

◆シドニー・バーマン

演者:デビッド・アーリー
ニュース番組の司会者。フォスター博士と対談する。
フォスターの主張を頭ごなしに否定するなど、頑固な性格。
I’m not so sure what to believe, Doctor!

◆ドクター・ジェームズ・フォスター

演者:デビッド・クロフォード
映画冒頭でバーマンと対談する科学者。倫理観を捨てて早急にゾンビを殺すべきと主張する。
Every dead body that is not exterminated becomes one of them! It gets up and kills! The people it kills get up and kill!

◆TVディレクター

演者:ジョージ・A・ロメロ&スザンヌ・デスローチャー・ロメロ
テレビ局内で情報が錯綜する中、試行錯誤しているディレクター二人組。
インカムを付けたイケてる髭面七三分けとその隣の助手。演者はロメロ監督と彼の妻。
シリーズ中で最もセリフと出番が多く、メインキャラクターと直接会話する場面があるのは本作だけである。

◆ジム

演者:ジム・エドモンドソン
カメラマンの白人青年。フランの脱走を黙認した。

◆チャーリー・パーカー

演者:ヴィック・クレマン
タイピストの中年ハゲ。白人。

◆デイヴ

演者:チャーリー・ピーターズ
ロメロ監督の奥さんと交代した番組スタッフ。
テロップ入力をしながら「死人の勝ちさ」と呟くとフランに「人間の自滅よ」と否定された。
Here’s a few. You know, I think Foster’s right. I think we’re losing the war.

◆ルーカス

ギブンズの制止を無視して職務放棄したスタッフの一人。
メガネでインカムを付けていたヒゲと思われるが、正確な演者などは不明。

◆トニー

演者:クリフ・フォレスト
「大丈夫?」と悪夢にうなされていたフランを心配した人。

国営放送局の関係者

◆ドクター・ミラード・ラウシュ

演者:リチャード・フランス
眼帯を着けた科学者。
ニュース番組内でゾンビの習性について解説する。
後にゾンビに餌を与えて飼い慣らしゾンビと共存すべきと提案する。
当然大ブーイングを受けるが、続編『死霊のえじき』でそれが最適解であったことが証明されてしまう。
We are down to the line,people.Down to the line!

◆TVコメンテーター

演者:ハワード・スミス
ラウシュ博士と対談する司会者。

フィラデルフィア市警察

◆コマンダー(司令官)

演者:ブレッド・ベイカー
SWATの司令官。中年の白人男性。
いつもお決まりのフレーズで立て籠り犯を説得していたらしく、ロジャーにセリフを覚えられていた。

◆ウーリー

演者:ジム・バフィコ
SWAT分隊長。ロジャーの上官。やや太った口髭を生やした白人男性。抑圧された状況下で暴走するキチガイ。
有色人種に対する強い差別意識や劣等感を持ち、アパートに立てこもったプエルトリコ人たちを無差別に射殺するなど狂暴性を露にする。
無抵抗の住人をドアを蹴破り射殺し続け、最期はロジャーの制止を無視して大暴れした挙げ句ピーターに射殺された。
ゾンビが登場する前に物語から退場したにもかかわらず、そのイカレっぷりから視聴者に絶大なインパクトを残す。
後のロジャーの暴走の伏線となっている。

◆ロッド・タッカー

演者:ロッド・ストッファー
SWAT新人隊員の白人青年。ウーリーの部下。初任務なのか緊張してオドオドしていた。
アパート突入の待機中にマルチネスに額を撃たれて射殺され、作中で最初の犠牲者となる。
世界一有名なゾンビ映画の最初の犠牲者の死因が殺人というのは皮肉である。

◆クリス&ジェフ

演者:クレイトン・マッキノン&ジョン・ライス
ウーリーの部下であるSWAT隊員二人。
クリスはアフリカ系アメリカ人、ジェフは白人の青年。
さらっと登場したファーストゾンビであるブループライドシャツゾンビを倒すが、ジェフは状況に絶望して自害した。

◆オフィサー(巡視艇基地“ポリスドック”の警官達)

演者:ジョセフ・ピラトー&テッド・バンク&ランディ・コヴィッツ&パトリック・マクロスキー
職務を放棄して火事場泥棒に勤しむ巡視艇基地の警官4人。
演者の一人であるピラトーは次回作にて、シリーズ最狂のヴィランと名高いローズ大尉を演じることになる。

反社会グループ

警察の命令に従わず、住人を一カ所に集めていたアパートの住人達。
遺体=ゾンビを引き渡さずにアパートの地下に閉じ込め自分たちも同アパートに立て籠った。
その理由は「愛する者の遺体を政府に押収され奪われたくなかった」というもの。
地下に何十人もの遺体が隠されていた。主にプエルトリコ系アメリカ人達でリーダーはマルチネス。

◆マルチネス

演者:ジョー・シェルビー
アパートに立て籠ったプエルトリコ系アメリカ人達のリーダー。
ロッドを射殺した直後、リコを庇ってウーリーに射殺された。

◆リコ

演者:ジョン・アンプラス
マルチネスの手下。プエルトリコ系アメリカ人男性。ロジャーに制止されるも、無視して突撃した結果、SWATに蜂の巣にされた。
演者は白人だが、メイクで黒人になっている。次回作『死霊のえじき』にてテッド・フィッシャー博士を演じることになる。

◆フラネロ

演者:ジョー・アベルン
マルチネスの手下。プエルトリコ系アメリカ人男性。青と赤のラインが入ったシャツを着てライフルを所持。
ウーリーに射殺された。

◆ムエカ

演者:ポール・マカルソ
マルチネスの手下。アフロのプエルトリコ系アメリカ人男性。ライフルを所持。SWATに胸を撃たれ死亡。

◆オールド・プリエスト(老神父)

演者:ホセ・デル・グレ
片足が欠損したプエルトリコ系アメリカ人の老神父。
ピーターとロジャーにアパート内の惨状を伝え、七階にいるという妹の安否を確かめに行った。
ピーターから「保護するから退去して欲しい」と説得されるもそれをやんわりと拒否。
「この混乱は神の意志である。最後まで見つめていたい。」とアパートの奥へ行き姿を消す。
When the dead walk,senores,we must stop the killing or lose the war.

◆ジェームズ

マルチネス達が立て籠ったアパートの住人の一人であるプエルトリコ系アメリカ人男性。

◆ミゲールの妻

ミゲールの死を受け入れられず、歩き出したミゲールのゾンビに抱き着いて肩と腕を食い千切られた。

モーターサイクル・レイダーズ(強盗団)

演者:ブッチー&デイブ・ホーキンス&トム・カプスタ他
本作のヴィランズ。モンローヴィルモールを襲った暴走族。典型的な世紀末のヒャッハー
モール内の物を奪ったり、DQNの如く破壊しまくったりとやりたい放題する後先考えないバカ集団。
規模は30人弱。ピーター一人によって撃退された。

◆ルディ

演者:ルディ・リッチ
強盗団のリーダー。ドイツ製軍用ヘルメットを被り口髭を生やした白人男性。
ピーター達に無線で宣戦布告に近い形でショッピングモール襲撃を予告した。
その晩に手下を率いてモール内に侵入し、ゾンビと戯れていたが、その後は不明。
演者は前作の脚本や『バタリアン』の製作に携わっているロメロの友人。

◆スレッジ

演者:タソ・N・スタブラキス
呼び名の通りスレッジハンマーを武器にゾンビを倒しまくる超強い茶色いジャケットの白人男性。
モジャモジャ頭と無精髭、バンダナが目印。下のブレイズと共にピーターを苦しめる。
ブレイズが殺られた後、バイクで撤退中にピーターに撃たれ、動けないところをゾンビに食い殺され肉片と化す。
演者は次回作にてフアン・トーレズ二等兵を演じることになる。

◆ブレイズ

演者:トム・サヴィーニ
強盗団のサブリーダー格。口髭を蓄え黒いジャケットを羽織ったラテン系アメリカ人男性。
呼び名の通りマチェーテサーベルボウイナイフといった複数の刃物を武器にゾンビ相手に無双する。
スレッジと共にピーターを苦しめるが、撤退中にゾンビに囲まれ、身動き出来ないところをピーターに撃たれプールに落下して死亡する。
後に「ランド・オブ・ザ・デッド」でゾンビ化した姿で再登場し、シリーズ初の再登場キャラクターとなる。
演じたトム・サヴィーニはロメロ映画の第一人者で、特殊メイクからキャスト、果てはスタントマンまでやってる超人。

◆マウスィー

演者:ラリー・ヴァイラ
もう一人のサブリーダー格。
白人青年で、ドラムマガジン式のトミーガンを装備している。ブレイズ達とは別行動していた。
バイクでの撤退中にピーターに撃たれて側車から転落し、ゾンビに囲まれながらなお銃を乱射して抵抗するが敢無く喰い殺された。

◆ジャック

演者:ニック・タロ
ブレイズの手下。青いバンダナとサングラスを着用した白人男性。
ブレイズ、スレッジ、チャーリーと共にピーターと交戦する。
迂闊に物陰から飛び出したせいで銃撃を食らい負傷した後、ゾンビに喰われた。

◆チャーリー・ムーンベイビー

演者:マーティ・スチフ
モジャモジャ頭の白人男性二号。
ブレイズ、スレッジ、ジャックと共にピーターと交戦するも、迂闊に飛び出したせいで撃たれ、後にゾンビに喰われた。

◆メアリー/チッキー

演者:バーバラ・リフシャー
ブロンドの女ヒャッハー。実は本作の美術スタッフ。

◆ペドロ

演者:トニー・ブバ
マウジーの手下。テンガロンハットを被った中年男性。
何故か死ぬ間際まで血圧計に執着する。
最期は孤立してしまいゾンビに囲まれ腕だけを残して喰い殺された。

◆セラペ・バイカー

演者:パスカル・ブバ
白人デブ。ピーターにバイクを撃たれて破壊され、孤立したところをゾンビに囲まれ喰い殺された。

◆ティミー

演者:ケリー・サンプソン
テレビを抱えていた強盗団メンバー。

◆ニック

演者:ジョージ・A・ロメロ
サンタクロースのコスプレをした強盗団メンバー。
ワンカットのみ登場。


ゾンビ

人間が一度死に、謎パワーで蘇ったもの。
死因を問わず人間は死ねばゾンビになり、ゾンビに噛まれると致死性の感染症を罹患して衰弱死し、結果としてやっぱりゾンビ化する。
ピーター曰く噛まれれば最長でも3日で死に至るとのこと。
人肉に執着しているが、ゾンビという種として成熟を始めているため、人間とゾンビを区別し共食いはしない。
この「共食いしない」という習性は後続作でも度々言及されており、醜く殺し合う人間達との対比になっている。
動きは緩慢だが執着心が強く、一度目にした人間を執拗に追いかける。また、人体を素手で引きちぎるほど怪力。
またある程度生前の記憶も持つらしく、ゾンビ化したスティーブンは他のゾンビの目を欺き続けた偽装された隠れ家への入口をあっさり突破した。
群れで活動する性質があることも言及されており、誰かが移動すると周囲のゾンビ達も付いてくる傾向にある。
恐らくモールにゾンビが集合していたのも、生前の記憶からモールに引き寄せられた連中が他のゾンビ達を巻き込んで集団化したためと思われる。
知性は一度脳死した影響で下等動物程度に劣化しているが、逆に言えばそれ位の知性は残っている。
そのため、はしごや脚立を登ったり、ドアの開閉をしたり、落ちているものを拾って振り回す程度のことはできる。
原理は不明だが続編では脳が動力源であることが明かされる。そのため脳を破壊・損傷させると活動停止する。
また、足元がフラついているせいか転びやすく、2~3体程度なら非武装でも押し通れるほか、バーナーや発煙筒など火を近づけると逃れようとする吸血鬼のような弱点もある。
詳細は当該項目参照。

◆ブループライドシャツゾンビ

演者:ゲイリー・ピーボディ
本作のファーストゾンビ。ウーリーがドアを蹴破ったアパートの一室にいた、青いプライド柄シャツを着たゾンビ。
片足首が欠損し、顔の半分がえぐれた恐ろしい見た目。
ジェフを窮地に陥れるも返り討ちにされた。

◆ミゲール・ザ・ゾンビ

演者:トミー・ラフィット
マルチネス達が立て籠ったアパートの住人であったプエルトリコ系アメリカ人男性。初登場時点で既にゾンビと成り果てていた。白いシャツとモジャモジャ頭が特徴。
人間だった頃の記憶からかゾンビと格闘中のクリスとジェフの横を素通りして妻に会いに行く。
SWAT隊員の制止を無視して抱きついてきた妻に噛みつき、慌てて取り押さえようとした隊員達を振りほどく怪力を発揮した直後、蜂の巣にされ活動停止。

◆ヘリコプターゾンビ

演者:ジム・クルット
給油場にいた緑のジャケットを着た茶髪の白人男性ゾンビ。
頭が異様にでかく、ヘリコプターを給油していたロジャーを襲おうと木箱に登った瞬間、ヘリのローターで頭を切断され自滅。

◆プライドシャツゾンビ

演者:ジョン・ポール
呼び名の通り赤いプライド柄のシャツを着たスキンヘッドの白人男性ゾンビ。
右半身が火傷によりケロイド状に爛れた非常に不気味な姿で、ポスターアートにもなった。
給油場でピーターに襲いかかり、背後からフライボーイに胴を撃ち抜かれたあと、ロジャーにヘッドショットされた。

◆セキュリティガードゾンビ

演者:ワーナー・ショック
モンローヴィルモールの地下ボイラー室にいた警備員の制服を着たゾンビ。
無駄に度胸と行動力があるフライボーイを恐怖のどん底に陥れるが、最後は近距離から拳銃でヘッドショットされた。

◆ハーレークリシュナゾンビ

演者:マイク・クリストファー
人間だった頃はクリシュナ教徒だった白人男性ゾンビ。
独特な髪型で丸眼鏡、橙色のローブ、タンバリンを身につけた極めて目立つ格好をしている。
モンローヴィルモール内を徘徊していた。
ピーター達の陽動に何故か引っ掛からずにフランが待機中の守衛室へ向かう。
フライボーイが銃を持ち出したせいでフランは丸腰だったが、ゾンビには「火を忌避する」という弱点があるため発煙筒を近付けられ大きく怯む。
その後、フライボーイと共に戻ってきたロジャーに撲殺された。

◆ナースゾンビ&セーターゾンビ&リードゾンビ&ライフルゾンビ

演者:シャロン・ヒル&クレイトン・ヒル&パム・チャットフィールド&ジェイ・ストーバー
大人の事情により、いつも群れの先頭にいるゾンビ達。
ナース姿の女、白セーター着たハゲ親父、ロジャーから奪った自動小銃をずっと握りしめてる奴等。
最終盤にもゾンビ化したフライボーイが引き連れる形で登場し、ピーターを苦しめる。
ピーターはこの時点で手持ちの弾薬が無かったため、倒されずに生存(?)した。

◆マチェーテゾンビ

演者:レナード・ライズ
ブレイズにラリアットを仕掛けた白いシャツを着た白人男性ゾンビ。
激昂したブレイズにより頭にマチェーテを叩き込まれ倒された。
マチェーテを叩き込まれた時の表情が独特で笑いを誘う。



リメイク

2004年には本作をメイクしたドーン・オブ・ザ・デッド(映画)(原題:Dawn of the Dead)が公開されている。

ただし、リメイクと言っても登場人物は全て一新されており、物語も原作が主眼に置いていた登場人物同士のドラマより、人間とゾンビの戦いがメインとなっている。
ショッピングセンターが舞台という点以外は原作とは完全に別物と考えるべきだろう。

ちなみにピーターとロジャーの人がチョイ役で出ている。



モンローヴィルモール

本作こそがゾンビ作品におけるショッピングモール(劇中ではショッピングセンターと呼ばれている)の扱いに関するテンプレを作ったと言っても過言ではない。
リメイク版のドーン・オブ・ザ・デッドを始め、ゲームのデッドライジングシリーズなど、本作に影響を受けたゾンビ作品は数知れず。

実は撮影で使われたモールに本来銃砲店は無く、他所で撮った別撮り映像を編集でモール内にあるように誤魔化している。現実と同じ仕様だったら多分詰んでた。
また、営業中のモールをそのまま使っているため、撮影可能な時間帯が深夜から早朝の営業時間外に限られるなどかなり苦労があった模様。



余談

ゾンビ役は一般からエキストラで集められたが、当時は失業率が高かったこともあり人員が殺到したらしい。

本作は、先述したようにロメロとアルジェントが提携して製作した関係で、多くのバージョン違いが存在する。
基本的には「英語圏ではロメロが監修したバージョンが、非英語圏ではアルジェントが監修したバージョンが公開される」という取り決めがなされており、実は「ゾンビ」という題はアルジェントの考案によるもの(ロメロなら「ドーン・オブ・ザ・デッド」)。

まず、基本としてロメロ自身が手掛けたバージョン。
アルジェントが監修したバージョンはアクション的な魅せ場を優先した編集がなされているほか、彼が手掛けた映画でお馴染みのロックバンド・ゴブリンが音楽を手掛けており、不気味ながらもポップで耳に残る曲調は評価が高い。
また、一部の残酷シーンをカットしたりボカしたりした北米バージョンも存在する。

日本ではアルジェントのバージョンをベースに更に編集を加えたものが公開され(そのため、初公開当時の宣伝では「アルジェント監督作品」として扱われていた)、死者が蘇ったことに対する理由付けとして、冒頭で惑星が爆発するシーン(この爆発により死者を蘇らせる光線が地球に届いた…というもの)が独自に付け加えられている。
このバージョンは現在では映像が現存していない(行方不明になっている)が、よく訓練されたゾンビマニアの協力を得て*7、日本初公開版を再現したバージョンが2019年に一部の映画館で公開された。

当時の地上波ロードショーでは更にカオスな事態になっており、情報が乏しかった&当時はまだおおらかな時代だったこともあって、テレビ放送の尺に合わせるために細部を大幅にカット・日本語吹き替えの独自解釈・アルジェントの別の映画からBGMを拝借して編集したというこのバージョンは「サスペリア版」と呼ばれて一部で語り継がれている。

ジョージ・A・ロメロのデッドシリーズ関連項目





地獄が満員になると死者が歩き出すのさ…



追記・修正はエレベーターの中でゾンビに襲われてからお願いします。


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最終更新:2023年05月14日 17:02

*1 前作ナイト・オブ・ザ・リビングデッドも各地で上映会が開かれる等ヒットしたが、制作途中のタイトル変更の際に権利表記を付け忘れてしまった結果、パブリックドメイン扱いで好き勝手にコピーが上映されてロメロ監督達には注目も集まらず興行収入も入らなかった。

*2 代表作は「サスペリア」、「フェノミナ」等。この事もあってか、イタリアはいつしかゾンビ映画大国となることに。

*3 エンドクレジットのキャスト欄で一番上

*4 ちなみにDVDのパッケージなどはこのエレベーター内部に押し寄せるゾンビ達の画

*5 初期案だと終盤フランを逃すシーンでそのまま自殺、フランも死んでしまう鬱ENDになる予定だったとか。

*6 医療施設の情報をテロップで流す事で視聴率を稼いでいたが、実際には古い情報であり半数以上がすでに閉鎖状態だった為、フランが独断で切り替えた。

*7 YouTubeでは、誰がどうやって撮ったのか全くの不明であるが、公開当時の映画館でゲリラ撮影されたと思しき日本バージョンの断片的な映像がアップロードされている。当然のことながら海賊版であり褒められた行為ではないが、日本版を復元するにあたり貴重な資料になったとか…