特技監督

登録日 :2011/07/20(水) 22:48:47
更新日 : 2017/03/08 Wed 22:54:40
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特技監督とは、特撮を使用した作品において特撮パートを演出するスタッフのことである。
特殊技術、特撮監督とクレジットされることもある。実質的に日本限定に近い役職である。

ドラマパートと同様に撮影、美術、照明といったスタッフが置かれることが多い。
もともとは円谷英二氏が特撮パートの多い作品を演出するに当たって作られた役職で、
初期は特殊技術だったが「ゴジラの逆襲」から特技監督とクレジットされるようになった。

監督が2人なため分担して効率的に撮影出来るが、
逆に監督が全てを演出出来ないため芸術性の高い作品やワンマン監督の作品には起用あまりされない。

また、監督間で息が合わないと、演出がちぐはぐになり良い作品が作りにくい。
全く別々に撮影してたのにしっかり完成している連携の良い作品もあれば、
特撮で勝手に雨を降らせてドラマパートでは雨が降ってないという連携の悪い作品もある。

ここでは主だった特技監督達を紹介していく。



円谷英二
特撮の神様。詳しくは項目参照。
昭和の特撮関係の人間はほとんどが彼と関わりがある。


◆有川貞昌
2代目の東宝特技監督。
戦中の円谷特撮を本物と勘違いし、戦後円谷監督を訪ね特撮であったことに衝撃を受ける。

そして円谷監督に弟子入りし、円谷組ではカメラマンを担当した。
また、円谷監督共々飛行機好きなため、ロケハンで2人でセスナを飛ばしたこともあったとか。
また東宝のマークを作ったのは彼である。

その後「ウルトラQ」「ウルトラマン」で特撮の演出をした後に「ゴジラの息子」で特技監督デビュー。
円谷監督が亡くなってからは東宝を離れ「レインボーマン」等のテレビ作品で活躍した。

操演の演出に定評があり、「ゴジラの息子」のクモンガは操演怪獣の最高峰である。
また「怪獣総進撃」でのマンダの絡みつきや「南海の大怪獣」のゲゾラの演出も有川監督ならではである。


中野昭慶
3代目東宝特技監督。
助監督として東宝に入社し、「モスラ」等の作品では本編の助監督だったが、「キングコング対ゴジラ」で円谷組の助監督になった。
その後は円谷監督に気に入られたのか、ほぼ円谷組専属になる。

円谷監督が亡くなり円谷組=特殊技術課が無くなってからも東宝に残り、ゴジラや「日本沈没」の特撮を担当した。
日本沈没で特技監督とクレジットされ、以降1980年代半ばまでの東宝特撮や一部の東映作品に参加した。

爆発やスペクタクル描写の演出が有名で、「日本沈没」や「ノストラダムスの大予言」、「地震列島」といったパニック物で活躍した。
また、ゴジラ映画では光線より肉弾戦主体の殺陣をすることが特徴で、一作ごとに殺陣のつけ方を変えている。
反面合成は苦手で、川北氏にある程度任せていたらしい。

撮影の予算や期間が非常に厳しかった時期の作品が多く、ゴジラのアイドル、ヒーロー化という要望に沿った作品を撮っていたためか、
一時期評価が非常に低かった。


川北紘一
4代目東宝特技監督。
学生時代に見た「地球防衛軍」に感動し、特撮を志す。
その後東宝に入社し「妖星ゴラス」から円谷組に参加、主に合成スタッフとして活躍した。

1970年代前半はゴジラや「ウルトラマンA」に参加、「ウルトラマンA」で特技監督デビューをする。
1976年には「大空のサムライ」で東宝特撮の特技監督に昇進、以降は「さよならジュピター」や「ガンヘッド」といった共同製作の作品に参加、
ゴジラVSビオランテ」以降の平成VSシリーズや平成モスラに参加した。

2000年代以降は「超星神シリーズ」やパチスロのゴジラに参加している。

飛行機のミニチュアにラジコンを採用したり、モーションコントロールカメラを使用する等、日本の特撮に新風を吹き込んだ。

また、光線や金粉による戦闘場面の演出が特徴で、肉弾戦になると喉を狙ったりといった野生的な動きを取り入れた。
怪獣にドラマをさせる演出も特徴で、「VSモスラ」以降は特に顕著である。

反面、本編と連携が取れてないこともあり、大森監督、大河原監督以外との作品では特撮の尺が本編を圧迫することもあった。


◆湯浅憲明
大映の社員監督だった。
昭和ガメラには全作品参加し、「大怪獣ガメラ」以外の特撮を担当した。
対ギャオス」以降は自身のこだわりと予算削減のため、本編・特撮両方の演出をした。

子供も特撮が大好きで、子供に飽きさせないように見せ場を早い段階から入れていくのが特徴で、怪獣の個性を強調した演出も多い。
また、怪獣のアイデアや脚本作りにも参加しており、まさに昭和ガメラを作り上げた男である。

大映倒産後は「コメットさん」や「ウルトラマン80」といった子供向け作品に参加していた。

なお、平成ガメラに対しては、昭和ガメラとは方向性が違いすぎるため否定的であった。


◆樋口真嗣
平成ガメラシリーズの特技監督で有名、他にはミカドロイド等を担当。

ゴジラ(1984)」や「さよならジュピター」等にアルバイトで参加、その後ガイナックスに参加し「ふしぎの海のナディア」等の製作に関わった。
この頃実写作品では自主制作の「八岐之大蛇の逆襲」や「ミカドロイド」に参加している。

その後GONZOを設立した後、平成ガメラに参加した。
その後は、映画監督として「ローレライ」や「日本沈没(リメイク版)」を監督、大ヒットとなった。
さらに「進撃の巨人」や、「シン・ゴジラ」も監督。

絵コンテが上手く、活動初期から特撮作品やアニメに絵コンテを提供している。
近年の作品だとヱヴァンゲリヲン新劇場版にも絵コンテで参加している。

特撮演出では、人の視線に沿った下からの見上げるようなカメラワークにこだわって効果をあげている。
また、怪獣や自衛隊のリアリティ溢れる演出にも定評がある。


◆高野宏一
主に円谷プロ作品に参加していた。
「ゴジラの逆襲」から特撮の現場に入り、その後円谷監督から直接声をかけられ円谷プロに参加した。
その後はウルトラシリーズや円谷の流れを汲む特撮作品に参加し、平成ウルトラマンでは監修を務めた。

穏やかな性格で現場のまとまりを重視していた。
また安定した演出で昭和の円谷プロ作品ではもっとも多く演出していた。
その功績から円谷プロ専務取締役になったが、リストラ騒動に巻き込まれている。


◆佐川和夫
円谷プロ、東映作品に多数参加。
ダイナミックな飛行シーンの演出が得意で、特に「ウルトラマン80」等の演出が素晴らしい。
また、「ウルトラマンダイナ」以降導入された着地の際の土煙ドーンは彼が考案した。

反面、ウルトラマンと怪獣の殺陣では、ウルトラマンの周りに建物も何も無い空間、
いわゆるウルトラ広場を露骨に見せてしまっている(特にウルトラマンA)。

初期ウルトラから参加し、「ウルトラマンガイア」、「ウルトラマンコスモス」でもメイン特技監督を経験した大ベテランである。


◆矢島信男
当初松竹に入社し、松竹の特殊技術を担当していた。また松竹のマークを作っている。
その後東映に移籍し、特に「ジャイアントロボ」や「悪魔くん」といったテレビ作品で活躍し、特撮研究所を設立する。

その後東映から独立し、「スペクトルマン」や円谷プロ作品に参加、
特に「ジャンボーグA」や「ウルトラマンレオ」では実質的なメイン監督となった。
その後は東映作品に再び参加、「宇宙からのメッセージ」に参加以降は戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズ等で活躍した。

カットを撮り貯めして編集で繋ぐ省コストな撮り方が各社に喜ばれた。
演出としてはヒーローをガラス越しに足元から撮ったり、ヒーローの足越しに怪獣を撮る撮影法が有名である。


◆北浦嗣巳
実相寺昭雄の愛弟子。実相寺率いるコダイグループ出身。主に円谷プロ作品で活躍。
CG合成を得意とし、CG特撮黎明期であった平成ウルトラシリーズ初期から積極的に取り入れ、
空中戦・ドッグファイトなど、ダイナミックかつスピーディーな特撮シーンを多数演出。
本編演出も多く、ギャグ・コメディからハード・シリアス系の話まで器用に幅広く手掛ける。『コスモス』ではメイン監督を務めた。
アクの強いキャラクターを扱うのが得意で『ティガ』のシーリザーや『ガイア』のガンQ、『ダイナ』のミジー星人など、
グロ系・イロモノ系の怪獣・宇宙人がやたらと多い。
現在は円谷プロ作品でチーフPを務めている。

◆佛田洋
現特撮研究所社長。
バイオマン」から参加し「ファイブマン」から特撮監督に。
以降東映のスーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズに参加し続けている。

CGを積極的に導入し、戦隊シリーズでは稀に本編監督も務める。
また、AVにも参加したりと節操がない。


◆田口清隆
自主映画「大怪獣映画 G」で頭角を現し、「長髪大怪獣 ゲハラ」で商業デビュー。
その後「ウルトラゾーン」からウルトラシリーズに参加し、「ネオ・ウルトラQ」「ウルトラマンギンガS」を経て、
ウルトラマンX」ではメイン監督として1話・最終回や劇場版を担当、翌年の「ウルトラマンオーブ」でもメイン監督を務める。

怪獣マニアであり、これらの作品では怪獣たちがリアルで大迫力、かつ魅力的に描かれている。
激撮!Xio密着24時』などで見られるように、ミニチュア特撮と実景の違和感のない合成も特徴のひとつ。
また後進の育成にも積極的で、全国自主怪獣映画選手権の主催や、「X」の超全集にて「君にも怪獣映画が撮れる!」という特集などを行っている。



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