キングコング(1933年)

登録日 :2012/05/06(日) 00:00:43
更新日 : 2017/06/14 Wed 12:46:48
所要時間 :約 4 分で読めます




「キングコング」は 1933年 4月9日にアメリカで公開された怪獣映画である。日本では9月に公開された。




【物語】

ジャングル映画等を撮ってきたプロデューサーのカール。彼は新作映画のために、女優志望の女性アンや何回も一緒に船旅をした船員と共に秘境の島である髑髏島へと向かった。

島へ辿り着いた一行を待っていたのは、原住民と古代の恐竜、そして巨大な猿であるキングコングだった。紆余曲折の末にコングを捕らえたカールはニューヨークで見せ物にしようとするが……



【概要】

世界初のトーキーによる怪獣映画であり、後々の作品に多大なる影響を与えた偉大なる作品である。
上述のように製作されたのは 約80年前 であり、日本とアメリカが開戦する前の作品である。

本作の特撮は人形をコマ撮りするストップ・モーションアニメを主体にしており、手間は非常にかかるが滑らかな動きであり、またミニチュアや人物との組み合わせで非常に迫力ある映像に仕上げてある。
本作で特撮を手掛けたウィリス・オブライエンは、後にストップ・モーションアニメで世界的に有名になるレイ・ハリーハウゼンの師匠であり、恐らく世界で初めて特撮関係で認められたスタッフである。


登場する怪物もコングをはじめ、恐竜や翼竜等バリエーション豊かである。さらに舞台も船やジャングル、ニューヨークと様々であり、娯楽映画として高い水準の作品である。

世界中で大ヒットし製作会社は倒産を免れ、またリメイク版や続編等も多数存在する。


また、本作は様々な伝説や逸話を持った作品でもある。詳しくは後述で。

【登場人物】

◆アン・ダロウ(演:フェイ・レイ)


本作のヒロイン。美人だが大恐慌で貧乏生活をしており、泥棒に間違われたところをカールに助けられ女優としてスカウトされる。

髑髏島ではコングに攫われ、ニューヨークでも攫われると、コングに捕まるヒロイン第一号となった。
コングは彼女に殺されたともいえる。

演じたフェイ・レイはリメイク版にも出演予定だったが直前に急逝した。


◆カール・デナム(デンハム)
映画プロデューサーで、ジャングルやアフリカでロケした映画で名が売れていた。

いい映像を撮って金を儲けることに執念を燃やしており、カメラマンが逃げ出したりしたため今では自分で撮影や演出をしている。

ぶっちゃけすべての元凶。

◆ジョン・ドリスコル(ジャック・ドリスコル)
アン達が乗った船の船員で、船上では足手まといなアンを邪険にしていたが、交流を深め、髑髏島やニューヨークではアンを助け出したヒーロー。

◆エンガーホーン船長
カールの旅に何回か付き合ったベテラン船長。押さえ役だが結局はカールに押し切られる。

◆チャーリー
字幕までカタコト日本語の中国人コック。
続編の『コングの復讐』にも登場。

◆原住民
時代が時代なためかかなりステレオタイプな演出をされている。

【怪物達】



◆キングコング
本作の一番の主役。髑髏島ではおそらく最強の存在の巨猿。
アンに惚れたのか攫い、また服を破る。
また、原住民を食い殺したり踏みつぶしたりといった残酷描写も目立つ。

島内では暴君竜や翼竜、首長竜と戦い勝利しているが、ニューヨークではエンパイアステートビルに登った所を、複葉機の射撃により落下し死亡した。

撮影には人形の他、実物大の顔や腕も作られ効果的に使われた。ちなみに獣の質感を求めて熊等の毛皮を使っていた。
ちなみにデザイン者はマーセル・デルガド(1901~1976)というメキシコ人の彫刻家で、
「キングコングは猿と人間、両方の特徴を兼ね備えた造形でデザインしてほしい」とプロデューサから命じられていたという。
撮影用モデルは四種類確認されている。

誤解されがちだが「キング・コング」とは「コング王」、即ち「コング」とは彼の固有名である。

◆暴君竜
モデルはティラノサウルスだが指は3本である。
日本公開時のパンフレットに書かれていた名は「ティラントサウルス」だったらしい。
木に括りつけられたアンを見つけて襲おうとしたが、慌てて戻ったコングに襲われる。
コングと激しい死闘を演じ、ほとんど互角の立ち回りを演じたが、最後は後頭部に飛びつかれてそこから顎を裂かれて殺された。
余談ながらスティーヴン・アトリーが1976年に執筆したSF短編『テーマからの脱線』(早川書房『キング・コングのライヴァルたち』に収録)
ではコングに勝利したが、その後すぐ事故死している。

怪獣ゴロザウルスはこいつのオマージュである。
また、登場する際に頭を掻くシーンがあるが、これは後に恐竜グワンジや恐竜の惑星といった作品でもオマージュされた。

◆翼竜
プテラノドンがモデル。コングの住処でアンを捕まえるがコングに殺される。『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』の大コンドルはこいつのオマージュである。
ちなみになぜか歯がある。

◆首長竜
蛇に似ているが、設定上は首長竜である(その証拠に鰭がある)。コングにまとわりついて攻撃するが殺された。『キングコングの逆襲』に登場した大海ヘビはこいつのオマージュである。

◆剣竜
モデルはステゴサウルスだが、尻尾のとげの数が四本ではなく六本になっている。上陸したクルーに襲い掛かるもガス弾で昏倒し、最後はライフルでヘッドショットされて殺された。
余談だが撮影後、モデルは米国のSFコレクターの故フォレスト・J・アッカーマンの手に渡った。

◆雷竜
ブロントサウルスがモデル。実際には植物食恐竜であるが作中ではどういうわけだか 獰猛で俊敏な肉食恐竜という設定 で、沼地を筏で渡っていたクルーに襲い掛かり大勢を食い殺した。
さらに陸へと逃げたクルーたちをものすごいスピードで追撃し、逃げ遅れて木に隠れようとしたクルーをかみ殺している。
撮影用モデルには下の台車を滑らすとそれと連動して首が動くギミックがついていた。撮影後上記の剣竜と同じくアッカーマン氏の手に渡った模様。

トリケラトプス
デロス・ラブレスの小説版に登場している。こいつも雷竜と同じく作中では 獰猛で俊敏な肉食恐竜という設定 になっており、クルーを角で刺し殺したりした。
複数匹登場し、コングと戦った個体は頭に巨大な自然コンクリートの塊を投げつけられて死亡。映画版にも登場する予定があり、スチール写真が現存しているが結局使われることはなかった。

◆巨大昆虫(クモガニ)
中盤、コングによって丸木橋から撮影クルーが谷底に落とされるシーンがあるが、実はその後の谷底のシーンが撮影されており、そこに登場していた。
役回りとしては谷底に落とされてまだ生きているクルーを寄ってたかって食い殺すというものだった。
しかし、試写会で放映したところあまりにもクレームが多く、オブライエンは会心の出来と自負していたが泣く泣く削除せざるを得なかった。
その後、残念ながらオリジナルのフィルムは行方不明になってしまったが、
2005年にコングのリメイク版が作成された際に当時風の味付けでそのシーンをピータージャクソン監督が作成し、復活させた。
興味のある方は拝見してみるのも良いだろう。
なお、特撮の資料本によっては「spider-pit」とも表記されている。撮影用モデルのいくつかは後年オブライエンが手掛けた「黒い蠍」で使われた模様。

◆オオトカゲ
上記のクモガニのシーン後に登場した前足しかない(一説には後ろ足があったとも)オオトカゲ。色は人工着色版によれば緑。
谷底からツタに上って忍び寄り、隠れていたドリスコルを襲撃しようとしたが寸でのところで彼にツタを切られて転落死。
…という印象には残りづらいちょい役だったのだが84年後…。
なお海外版ウィキペディアでは一時期「メガラニア」と記されていたこともあった(ソースは不明)。余談ながらデロス・ラブレスの小説版では大グモに変更されている。

また、予算や尺の都合またはクレームでボツになったが、スティラコサウルス、アルシノイテリウム、エリスロスクス、ギガントフィス(大蛇)なども登場する予定があった。
このうちスティラコサウルスは続編の「コングの復讐(コングの息子)」に登場した。

【本作にまつわる逸話】

◆コングは本物かという問い合わせが映画会社に殺到した。

ヒトラーも本作のファンだった。

円谷英二はフィルムを個人用にわざわざ輸入して1コマずつ研究した。
これが後の「ゴジラ」を頂点とする特撮に生きてるため、キングコングが無かったら日本の特撮は発展しなかった。

◆日本で公開された際、鎌倉に全高14メートルの張りぼてが作られた。

◆一般人の認識的にゴリラの胸叩きはグーであるが、実際はパーである。(パーで叩いたほうが音が大きくなるため)これは本作のキングコングがグーで叩いたことが要因であると言われている。




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