ムクホーク

登録日:2011/02/11 Fri 13:28:52
更新日:2024/01/29 Mon 10:40:37
所要時間:約 7 分で読めます




ムクホークとはポケットモンスターシリーズにダイヤモンド・パールから登場するポケモン

■データ


全国図鑑No.398
分類:もうきんポケモン
英語名:Staraptor
高さ:1.2m
重さ:24.9kg
タマゴグループ:飛行
性別比率:♂50♀50

タイプ:ノーマル/ひこう
特性:いかく(場に出た時に相手の攻撃を1段階下げる。先頭にすると自分よりレベルが5以上低いポケモンの出現率が半分になる)
隠れ特性:すてみ(反動を受ける技の威力が1.2倍になる)

HP:85
攻撃:120
防御:70
特攻:50
特防:50→60 ※XYから
素早さ:100
合計:485

努力値:攻撃+3

ムックルがレベル14でムクバードに、ムクバードがレベル34でムクホークに進化

■ムクバード


全国図鑑No.397
分類:むくどりポケモン
英語名:Staravia
高さ:0.6m
重さ:15.5kg

タイプ:ノーマル/ひこう

■ムックル


全国図鑑No.396
分類:むくどりポケモン
英語名:Starly
高さ:0.3m
重さ:2.0kg

タイプ:ノーマル/ひこう
特性:するどいめ

■概要


リーゼントのような鶏冠が特徴的な鳥ポケモン。
進化前はムクドリのような姿だったが進化してタカのような姿になった。

ムクバードまでは主に群れで生活していたが、ムクホークに進化すると群れを離れて単独で生活するようになる。

足や翼の筋力が非常に強く発達しており、小型のポケモンなら軽々と掴まえてしまう。
非常に勇猛果敢な性格で外敵に対してはたとえ自分の体が傷付こうと攻撃の手を緩める事は無い。


■ストーリーでのムクホーク


進化前のムックルは最序盤から様々な草むらで登場する、いわゆる恒例の序盤鳥
他の序盤鳥が「つつく」(威力35)や「かぜおこし」(威力40)を基本技としているにもかかわらず、レベル9で「つばさでうつ」(威力60)を覚えるという破格の性能を持っている。おそらく『DPt』をプレイしたトレーナーのほとんどはムックルと共にシンオウ地方を冒険しただろう。
また、攻撃力や素早さが高く、自力で「インファイト」「ブレイブバード」といった強力な技を覚えてくれる。
もちろん秘伝技の「そらをとぶ」を覚えることも可能なため、序盤から終盤まで安定した実力を発揮してくれる、旅パの定番ポケモンである。

……しかし、主力技となるその二つがどちらもppが低いことや、特性の「いかく」が出すたびに発動して特性の表示とこうげき低下のエフェクトを挟みテンポが悪くなること、「ブレイブバード」はHPを削るため適宜回復が必要になるといった点から、やや癖のある性能となっている。
特にこのいかくによるテンポロスは初回プレイならまだしも、2周目以降だと非常に嫌われるので使われなくなってしまいがち。

主要トレーナーでは『DPt』のライバルがムックルから常に手持ちに入れており先手で使用する他、フロンティアブレーンのコクランが1戦目で使用してくる。

『SV』ではチャンプルタウンのジムリーダーアオキが切り札として使用。
ノーマルテラスタルにより火力を2倍に高めた社会人得意の技「からげんき」でプレイヤーの腹筋にまでダイレクトアタックをかましてくる。すてみタックルではないのは手加減か……?

ちなみに鳴き声の中毒性が高い。
(`ェ´)ピャァァァァァァァァァァッ!!

その旅パでの群を抜いた活躍ぶり、及び序盤鳥やノーマル飛行組という括りながら対戦でも多少なりとも存在感を示していたことから第四世代を経験したプレイヤーを中心に根強いファンも多いとか。
ただ、それも当時の環境ならでは以降はより強力な鳥ポケの出現、さらに鳥モチーフ以外ではあまり飛行タイプを攻撃に活かす手段を持たなかった飛行複合組も強力な技が追加されたことで急速に存在感が薄れていった。
昨今ムクホークの名前が上がる時は対戦での活躍よりも当時の思い出が中心であることが多い。


■対戦でのムクホーク


高い攻撃とそれに次いで高い素早さを持つ速攻物理アタッカー。
自力で「ブレイブバード」「インファイト」、遺伝で「すてみタックル」と威力120の高火力物理技を3つも習得可能でその火力の高さに拍車をかけている。
特に「インファイト」で一致技を両方半減する鋼タイプに対抗出来るのは大きい。
「とんぼがえり」「がむしゃら」などで引っ掻き回すこともできる。大体「ブレイブバード」を固定枠にして残り3つをこの中あるいは「みがわり」「でんこうせっか」から選ぶ、といった技構成がメジャーどころ。

特性の「いかく」で物理耐久もそこそことゲーム序盤で入手可能な序盤鳥とは思えないスペックで、
第六世代でファイアローが登場するまでトレーナー達の間では「序盤鳥最強」という評価をほしいままにしていた。
さらに育成論が「強いポケモンは育て屋にタマゴを預けて粘るべき」「性格は素早さか攻撃があがるものでこれらが下がる性格はNG」「努力値はASぶっぱ」「個体値はASが最高のもの、欲張るならHPも」「遺伝技はすてみタックル」と非常に簡単で、
ムクホーク1体を調達するまでにポケモン育成の基本的な要素をあらかた網羅できる上にそこそこ勝てるという初心者向けのポケモンだった。
めざめるパワーが不要なのはもちろんのこと、ぶっちゃけ個体値が2Vで十分勝てるというハイスペックぶり*1であり、
当時はよくギャラドス(孵化歩数が非常に少なく遺伝技が不要。積みアタッカーの基礎を覚えられる)とともに、ポケモン対戦にデビューしようとしている人におすすめのポケモンとして勧められた。

こいつのせいで、オニドリルドードリオを筆頭とした多くのノーマル・飛行タイプの鳥ポケモンは存在意義を失う事になり、
後から出たケンホロウウォーグルは劣化呼ばわりされてしまう事になった。ある意味とても罪深い存在。
一方でムクホークと差別化ができるノーマル・飛行タイプであるオオスバメトゲキッス*2などはむしろ強ポケモンと評価されるようになる。
これをポケモンの素のスペックではなく「環境の中央にいるポケモンと差別化できる個性」が原因と解釈する層が多くなり、
トレーナーが二言目に「マイナーポケモンは○○で差別化できる」という擁護意見を説くようになる要因を作った1匹でもある*3

第四世代初期はポケモン対戦の敷居が大きく下がり、技ごとの物理・特殊の分化や確定発動する道具の充実、
第三世代では一般的でなかったレンタルwikiサービスの一般化などもあって対戦理論が大きな成長を遂げた。
その中でも抜群に入手性がよく育成論が単純だったため、ギャラドスやゴウカザルとともにトレーナーのポケモン対戦デビューの手助けをしてくれたポケモン。
そして現在まで続くポケモン対戦文化の醸成に大きく貢献した、ポケモンにおけるマイルストーンとも言える存在である。
後世ではケンタロスやガブリアス、クレセリアのようなバランスブレイカーばかりが話題になりやすいが、
こういった入手性の問題をすんなりと解決してくれるポケモンが喜ばれる時代もあるということだ。

ただしやっぱり鳥ポケの宿命か耐久は紙で弱点はメジャーどころ。同時期に登場したステルスロックでHPを1/4削られてしまう。
抵抗にも乏しく更に主力技が反動持ちだらけで攻めれば攻めるほど命を削る。
物理耐久は「いかく」のおかげでそこそこだが過信出来るほどではなく特殊耐久に至っては目も当てられないくらいペラッペラ。
しかもメインウェポンどころかサブウェポンとして一般的なものすら接触技ばかりで、「ほのおのからだ」「せいでんき」などの発動に常に怯える羽目になる。
XYから特防が10上がったので、相手の火力が低ければ一発は耐えられるといったところか。特殊アタッカーとの鉢合わせ時は注意。
また特攻が低く役割破壊の手段も持たないため単純な物理受けでも止まりやすい。

その高いながらも激戦区な素早さと「とんぼがえり」との相性の良さから持ち物は「こだわりスカーフ」がメジャーだが読まれやすい。
そのため読まれることを前提で他の持ち物を持たせることもある。


さて、「きあいのタスキ」というアイテムが対戦を定義するレベルで強いことなどが明らかになってくると
「きあいのタスキで確実に相手の攻撃を耐え、がむしゃらで相手のHPを1にする。そして先制攻撃技で確実に仕留める」
という育成論が生じることになる。これ自体はぶっちゃけ、プレイしていれば誰にでも思いつくレベルの単純なものである。
そしてこの理論が最初に提案されたポケモンが、ストーリーで運用するうちに「でんこうせっか」と「がむしゃら」を覚えるムクホークだった。
当時はYoutubeやニコニコ動画の黎明期であり、中高生への携帯電話の普及や家庭インターネットの一般化などもあって意見交換が簡単になり、この理論が一気に成長することになる。
「耐久力の高いムクホークよりムックルの方がいい」
「レベル50だと不発の時の爆発力が落ちるのでレベル1が理想である」
といった形で登場したのが「レベル1ムックル」であり、これと同様のことができるコラッタなども注目された。そして当時これがまとめサイトなどで針小棒大に取り上げられた結果、
「コラッタがミュウツーを倒せる時代がきた」とたいへんもてはやされ、「ポケモン対戦なんてどうせ強いポケモンが勝つだけだろ?」という認識を大きく変えるに至ったのだ。
この理論はシングルバトルではあっさり対策されて終わりを告げたが、ダブルバトルでは「ポケモンリーグDP2007」の優勝者が「レベル1ドーブル」という形で円熟させて多大な話題を呼んだ。

さらに同時期には「スカーフトリックオオタチ」「スカーフ噴火バクフーン」「すいすい物理アタッカーのカブトプスやアズマオウ」のような、第三世代以前では考えられなかったポケモンが初めて活躍して話題を呼んだ。
『これまでマイナー扱いされていたポケモンが一線で戦える、ジャイアントキリングが当たり前の革新的な時代』
というまったく新しい対戦環境が到来した。その嚆矢を放ったのがこのムクホークだったのである。
今にしてみれば初歩的すぎて笑ってしまう話ばかりだが、誰だって初心者である。界隈だって最初は混沌としている。
そんな激動の時代に目鼻をつけてくれた、第四世代初期に多くのトレーナーを一人前に導いてくれたポケモンだったのだ。

しかし育成論が単純というのは、裏を返せばできることが少ないということでもある。
第四世代中期(プラチナ版発売前)あたりにはムクホーク対策が取られるようになり、すっかり人気を落としていた。
当時は「厨ポケを自重して戦う」という文化があり、ムクホークはこの厨ポケの分類に括られることも多く使うだけで顰蹙を買うこともあった。
こういったこともあり、第四世代当時を知らないプレイヤーには「序盤鳥で初めて環境に躍り出たポケモンはファイアロー」「ムクホークが強かった時代なんてない」と語る人も増えてきた。
上述の通り、強いどころかファイアローと違った意味でポケモンの対戦文化に非常に多大な貢献をした偉大なポケモンである。


第五世代以降で登場した隠れ特性は「すてみ」
一致主力技がどちらも反動技のムクホークには相性抜群で更なる火力を得られるが、
第五世代ではのムックルの特性が「するどいめ」のみだったので、進化させるまで特性がどちらになるか分からないという厄介なことになっていた。
まぁ「いかく」も十分に優秀な特性なので妥協しやすいのがせめてもの救いか。

なお、第6世代では「すてみタックル」ならぬ「すてみムックル」が普通にあり得るのでご安心を。
第六世代からはムックルの時点で「すてみ」なので厳選自体はかなり楽になった。

その代わり、「すてみタックル」を覚えた隠れ特性ムックルを厳選する場合、準備が面倒だったりする。
隠れ特性個体はPDW産を持っていなければ、XYの群れバトル限定。
その上群れの出現率は低めで、隠れ特性個体のいる確率も高くはないため親個体を手に入れるのに時間が掛かる。
オシャボ厳選を行う場合、更に運が絡む。
更にムックルに「すてみタックル」を遺伝させる場合、「すてみタックル」を覚えたひこうグループのポケモンが必要になる。
しかも「すてみタックル」は第3世代の教え技/初代VC技マシンかトゲチックのレベル技しかない。
トゲチックが欲しければフエンタウンで貰えるタマゴをかえすか、トゲピーの出てくるフレンドサファリを追加するか、GTSでおねだりするしかない。
更にトゲピー♂を手に入れたらいちいち懐かせて進化させなければ「すてみタックル」は覚えない。
そこから改めて個体値厳選を始めなければならない。
やたらと手間が掛かるものの、それに見合った価値はあるので、ムクホークを育てる人は是非とも頑張ってほしい。

第9世代ではなんと「むしのていこう」を習得した。
図鑑説明によれば自分よりも体の大きな相手に挑みかかるとあったがそれにしてもあまりにも謎なチョイスである。というかむしにていこうされる側なのでは……?
そもそも同世代でムクホーク以外に覚えるポケモンは虫ポケモン全般*4および、虫タイプでないながらもウルガモスを元としたテツノドクガであり
やはり虫で統一されているためなおさら設定ミスを疑うレベルで謎である。
ちなみに、ムックルとムクバードは習得できない。そして「むしのていこう」はわざマシン15。
進化前は使う事が出来ないわざマシン15と言うと……もしかすると、コイツと同じパターンなのかもしれない。

■アニメでのムクホーク系


まだ公表されてないのにDP編で1話からいきなり登場。
使えないはずのかぜおこしを使って研究所をめちゃくちゃにした。
続く3話においてはシンジがムックルの厳選を行っており、
シンジの廃人ネタに一役買うことになった。
彼の兄もムクホークを愛用しているので自分もゲットしておきたかったのかもしれない。

後にサトシのムックルがムクバードに進化し、さらにムクホークへと進化。
しかしドダイトスの陰に隠れがちだが実は戦績は芳しくない。

DP期からサトシの手持ちのガチ化が著しくなる。ゴウカザル、ムクホーク、フカマル(ガブリアス)は環境初期から人気のあるポケモンだった。
XY期以降は手持ち自体が6匹を上回らなくなり、不動枠のピカチュウを除くとたった5匹しか捕獲しないようになる。
そしてその分少数精鋭となっていくのである。

え、BW期?知らない子ですね……


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最終更新:2024年01月29日 10:40

*1 第四世代中盤で乱数調整の方法が確立されるまでは理想個体の入手はおろか「完全な理想性格の4V以上のポケモン」ですら廃人の域とされた。乱数はおろか6Vメタモンですら入手手段が限られていた時期でアグノムやらクレセリアやらの理想個体なんて入手する方が難しい有様であり、スイクンやライコウに至っては性格一致でV持ちという個体すら入手が難しいという極めて劣悪な入手性だった。こういったことから「本来このポケモンはスイクンに弱いけど、理想個体のスイクンなんてエンカウントするわけがない」という対戦理論が成り立ったのだ。

*2 トゲキッスは第6世代よりフェアリー・飛行タイプとなったが、第4世代当時はノーマル・飛行タイプであった。

*3 第三世代以前は差別化云々はほとんど考えられることはなく、「戦えるだけで十分偉い」「変わったことができても戦えないんじゃしょうがない」という評価だった。特に第三世代は『現代なら間違いなく「○○でいいじゃん」と言われるような劣化型を使ってドヤる自称マイナー使い』という第四世代以降の常識では結構アレな人も多かったのだが、当時の対戦環境に安定した選択肢がない上に「一流のポケモンと同じことがこのポケモンにもできる」なんて普通は思わない上、マイナーポケモンを活躍させる方法なんて本当にこれくらいしかなかったこともあって大変にもてはやされた。たとえばカウンターマイナン(マイナンである意味がない)、ねむねごジュゴン(トドゼルガでおk)など。

*4 チヲハウハネを除く