妖刀毒蜂殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日 :2012/07/02(月) 05:30:00
更新日 : 2017/05/26 Fri 14:20:01
所要時間 :約 8 分で読めます




毒蜂の呪い 今ここに甦る

妖刀毒蜂殺人事件とは金田一少年の事件簿の事件の内の一件で、同時に1、2を争う後味の悪さを見せた事件である。
短編集に収録。


【あらすじ】
国宝レベルの品々をコレクションしている老人高槻政宗の邸宅で警備員のアルバイトをする事になった金田一。
そこに所持するコレクションの中でも最も高槻が執心している七色に輝く刀 【毒蜂】 の盗難予告と、
「毒蜂」が貯蔵されている部屋から大量にスズメバチが出てくるという騒ぎが発生、金田一は「毒蜂」を寝ずの番で見張る事に。
しかし金田一が見張っているはずの「毒蜂」は貯蔵されている部屋から消え、別の場所から見つかった…

『毒蜂の呪いは遂げられし』 という紙に包まれ、禍々しい輝きを放ちながら高槻政宗の胸を貫く形で…


【以下ネタバレにご注意下さい】


【登場人物】
  • 高槻政宗
甲冑や掛け軸など国宝級の品々を収集している老人。75歳。
特に「毒蜂」には異常とも言えるこだわりを見せており、専用の部屋を作って常に外から鍵をかけてしまうほど執着している。
今回の事件の被害者で金田一が見張っていたはずの「毒蜂」によって胸を貫かれ刺殺された。

  • 高槻鈴音
高槻政宗の養女。18歳。5年前に孤児院から引き取られた。
「毒蜂」の手入れを任されていた事から高槻には信頼されていたらしい。
高槻亡き後数十億円もの遺産を相続する事になったが…
高槻の死体を金田一と発見した際に高槻の死に顔を自分の着ていた服で隠すが、その事が事件解決の手がかりになる。

  • 岩見範之
骨董商。35歳。
「毒蜂」以外のコレクションの手入れを高槻から任されている。
高槻のように毒蜂に執心しているらしいが…
スズメバチ騒ぎの際シャツとパンツのみの姿になったが… 正直誰も男のパンツ姿など見たくn(ry…
高槻の死亡後は甲斐と結託して「毒蜂」の買取を鈴音に交渉するが拒否され突き飛ばされる。

  • 甲斐詠二
高槻政宗の弟。55歳。
借金苦で度々高槻に金をせびりに来ており、その為か岩見達は甲斐をコレクションの貯蔵部屋には入れさせないよう高槻に言われている。
泊まる際には自分専用のバラ柄の正直趣味の悪…個性的な浴衣を着用するが、なぜか事件発生時にその浴衣は高槻が着ていた。
その事が上記の鈴音の行動と同じく事件解決の手がかりに。

  • 常盤圭
高槻家警備員。25歳。
はっきり言って数合わせの空気キャラ。
二話あった問題編の内二話目に全く出てこなかったのもあり、読者のほとんどは容疑者にもしていなかったのではないだろうか…


【その他の人物】
毎度お馴染み主人公。
警備員のアルバイト *1 中に事件に巻き込まれる。
凶器である「毒蜂」がしまわれていた部屋を見張っていた事から事件発生直後は完全に犯人扱いされていた。
今回金田一が言ったキメ台詞「謎はすべて解けた!!」は エロ本を握り締めて の発言であるため非常にしまらない。
最低でも5000万円するという甲冑をうっかり損壊してしまい、無理矢理誤魔化している。

毎度お馴染みヒロイン。
今回はわずか数ページの登場だが、金田一が彼女からエロ本を隠そうとした事が今回の事件解決に繋がった。
「謎はすべて解けた!!」のコマでは呆れた目をして後ろからツッコミを入れている。

毎度お馴染みオッサン。
事件発生直後疑いをかけられていた金田一を解放した。
解決編では逃げ出す犯人を取り押さえており、今回はそれなりに活躍した。



【以下事件の核心・・・さらなるネタバレにご注意ください】




















「その時 俺は思ったよ…」

「俺自身がこいつの『呪い』になるのも悪くないってね…!」


「『毒蜂』の呪いは ここに成就した…!」

「あの男は呪いで死んだんだよ!!」


  • 岩見範之
この事件の犯人。
実は元々「毒蜂」は岩見と同じ骨董商だった彼の父が20年前に、富山の旧家で見つけて購入した物だった。
その「毒蜂」を岩見の父がオークションに出品、
それがまさに数千万の値で落札されようとしたその時…オークション会場に響いた1つの声が岩見の人生を狂わせてしまう。

その声の主は「毒蜂」が持ち主を不幸にするという言い伝えがあり、岩見の父はそれを隠して出品したのだと声高らかに叫んだのだ。

その時は大した事のない騒ぎだったが、一週間経たない内に「毒蜂」を落札した資産家が自殺した事で状況は一変。
「毒蜂」という呪われた刀を売ったとされた岩見の家は骨董商として信用を失い、その末に一家離散、父の死亡という結末を迎えてしまう。
それから時は経ち…その一件から「毒蜂」に憎悪を抱いていた岩見は自身の手で「毒蜂」を破壊するため、父と同じ骨董商になり「毒蜂」を探し求めていた。
しかし「毒蜂」のありかを突き止めた岩見は驚かされる…
なんと「毒蜂」を所有していたのは20年前父が「毒蜂」を出品したオークションで騒ぎを起こした男、高槻政宗だったのだ。

そう、「毒蜂」の呪いとは「毒蜂」欲しさのために曰くをつけて値を下げようとした高槻のでっち上げだったのである。


「『毒蜂』の呪いなんかあるものか!証拠に何年も所有しているワシはピンピンしておるぞ!」


高槻と話しそれを確信した岩見は復讐のため高槻を「毒蜂」で殺害する事を決めたのだった…

パーツ毎に分解できる刀の構造を利用し、スズメバチ騒ぎのなか「毒蜂」の刀身のみを強奪。
高槻を殺害後ドサクサに紛れて飾られていた柄や鍔の部分を回収し、再び組み立てる事で見張られていたはずの「毒蜂」が高槻を殺すと言う不可能犯罪を成し遂げた。
しかし殺した高槻の死体に間違えて甲斐のバラ柄の浴衣を着せてしまった事、鈴音が顔に衣類をかけたため誰だかわからなくなった死体を高槻と明言してしまった事、
さらにスズメバチ騒ぎが思いの外軽く収束してしまったため咄嗟に「毒蜂」の刀身を背中に隠したが、
そのせいで屈んでズボンを穿く事ができなくなってしまい、
皆が服を着た後もブリーフ丸出しという不自然極まりない姿でいた事(よくよく考えると物凄く間抜けな状況である)、
とどめに日本刀のさび止め用油に使用されているチョウジという植物にかぶれる体質だったため、
「毒蜂」の刀身が触れていた背中にくっきりと痕が残ってしまい犯行が明るみに出た。
最後は「毒蜂」の呪いは成就したと狂ったように笑いながら逮捕された。


  • 高槻政宗
「毒蜂」を安値で手に入れるために、呪いの噂をでっち上げ、岩見の一家を離散させる遠因を作った。
…あくまで、「遠因」であり、その後の所有者の自殺が無ければただの噂で終わっただろうし、逆に彼のでっち上げが無くても、所有者が自殺した時点で、岩見の父の信用問題に繋がったかもしれない。
生前の執着ぶりを見るに、元の所有者の自殺と岩見の一家離散を知った上で「毒蜂」を手に入れたことを喜んでいる可能性が高く、
同情は出来ないが、その最期は信用していた相手に殺されるという意味哀れなものだった。






事件は解決したが、金田一はまだ疑念を抱えていた。
毎日「毒蜂」を見ていた「あの人」は刀の違いに気づいていたのでは・・・。











「『お父様』を殺す動機なら ここにいるみんな持っているんです」

「そんなものなんですよ? 金田一さん!」

  • 高槻鈴音
ある意味ではこの事件の真犯人。
鈴音は興信所に依頼して岩見の身元をあらかじめ調査しており、岩見が高槻を殺したいほど憎んでいる事を全て把握していたのである。
しかし彼女は何も対処する事はなかった…高槻政宗の持つ巨万の富を得るため岩見が高槻を殺すのを待ち続けたのだ。
鈴音が手を打っていれば今回の事件は起きずにすんだ可能性は高く、
さらに岩見の刀分解トリックに最初から気付いていた節もあるのでやはり彼女もまた犯人の1人と言えるだろう。
(金田一の想像内だが)養父の死に悲しむ振りをしながらコッソリ笑みを浮かべる彼女は かなり怖い
しかし、その彼女にも、ある「報い」が待ち受けていることに・・・。



追記修正お願い… チクッ











金田一は鈴音の行動の不審さを疑念を抱きつつも、証拠がない故に美雪にそれを語る事しかできなかった。
しかし、金田一はさらに自分が抱いたもう一つの疑念を口にする。


あの刀は本当に呪われているのではないか 、と。




…そして、高槻鈴音が遺産を手にする事はなかった。


新しい人生に思いを馳せながら洗濯をしていた時紛れ込んでいたスズメバチに刺され、アナフィラキシーショック *2 を起こしてしまったのだ。


呼吸困難に陥りながら自分は何も悪いことをしていない、ただ待ってただけだ、と喋ることすら出来なくなった身体で思い続けた鈴音…



そんな彼女の手にスズメバチが止まったところでこの物語は終わっている。


元々所有していた岩見家は一家離散…
その次に所有していた資産家は自殺…
そして高槻政宗と「毒蜂」を相続するはずだった鈴音は死亡…


はたして本当に…「毒蜂」の呪いは高槻政宗のでっち上げだったのか?
それはもう、誰にもわからない

ブーン…


―毒蜂の呪いは遂げられし

ブーン…


追記修正は毒蜂の呪いに打ち勝った人がお願いします。


チクッ

この項目が面白かったなら……\ポチッと/