剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)

登録日 :2012/04/16(月) 01:46:40
更新日 : 2017/08/13 Sun 12:13:47
所要時間 :約 17 分で読めます






『罪深き者達』に『罰』を与えるのはあなた自身――。

あなたが『死刑執行人』になるのです。



剣持警部の殺人とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、金田一少年が解決した事件の一つ。
単行本上、下巻に収録。全12話。
登場する怪人は「死刑執行人」。


【あらすじ】
三年前に起きた女子高生死体遺棄事件。
その犯人たち三人は「少年法」のおかげで重い罰を逃れた。
しかし、その犯人のうちひとりが襲撃されたのを皮切りに、元少年たちが次々と殺されていく。

そしてその「処刑」を行ったのは…まさかの剣持警部!?





(以下、ネタバレに注意してください)


【事件関係者】
  • 毒島陸
CV:丹沢晃之
三年前の女子高生死体遺棄事件の主犯とされた、左の眉に傷を持つ強面の男。
出所直後にわざわざ剣持のオッサンを呼び出して当時の自分達の反省の念は全て出任せである事を自ら暴露する悪辣ぶりを披露。
その際に「毒島○ね、犯人頑張れ」と感じた読者も少なくないだろう。

早速その日の夜に住宅街で何者かにより拳銃で襲撃されるが困った事に負傷するだけにとどまる。
その後は入院していたものの魚崎死亡後に身の危険を感じたのか勝手に退院していく。
その前後に剣持を疑い、自分勝手に振る舞う姿は一にも嫌悪感を抱かせた。

三番目の標的として『絞首刑』に見立てられビルの一室で首を吊られた状態で発見されるが、
発見が早かったためか一たちの必死の救命活動により非常に残念ながら息を吹き返す。


  • 多間木匠 バーニング
CV:内田雄馬
三年前の女子高生死体遺棄事件の共犯。
父親は大病院の院長。20歳だが、鑑別所に1か月間入れられてアメリカに雲隠れした時を留学と偽って不動高校に編入した。
チャラ男系のイケメンで爽やかさを武器に女の子をとっかえひっかえ遊んでいたが、本性はキレやすく傲慢。
初登場からして向こう見ずな運転で美雪を轢き殺しかけるなど、ロクでもない振る舞いが目立つ。
本来は魚崎同様に毒島に命令されて犯行に及んだはずだが…

『火あぶり』に見立てられ、不動高校の駐車場に止めてあった車に仕込まれた発火装置にて二番目に焼死。
ちなみに原作では「あれじゃもうおそらく(助からない)」とは言われていたものの
いつ死亡したかは明言されていない(その後の台詞を見る限り死亡はしている)。

  • 魚崎葉平
CV:小田柿悠太
三年前の女子高生死体遺棄事件の(ry
弁護士の湖森に連れられて十神まりなの仏前に謝罪に来たが、
出所してからも不良仲間と夜の街を遊びまわっている事が目撃されており、
全然反省していないことを匂わせる。
基本的には無表情なうえ台詞がほとんどない為三人の中では影が薄い。
『水責め』に見立てられガムテープでグルグル巻きにされた上にホテルのバスタブで漬け込まれて最初に溺死。

  • 十神えりな
CV:中村千絵
三年前に亡くなった十神まりなの妹。
今もなお心に深い傷をもっている。
まりなの仏前に白々しくも手を合わせに来た魚崎を激しく非難し、
彼の死を知った時は「こいつにはお似合いな最期」と黒い笑みを浮かべる。
毒島がG並みのしぶとさで一命を取り留めた上に剣持と同じ病院に入院してると聞いて難色を示す。

  • 青井零児
CV:玉木雅士
警視庁不動山署刑事課刑事。
長身で短髪なイケメン。十神まりなと交際していた。
事件当時は大学生。本来は弁護士志望だったらしい。
一の事は最初から知っていたが…
一と同様に『剣持無罪説』を前提に推理しようとする明智に対し、捜査が偏っていると苦言を呈する。

  • 湖森涼介
CV:阪口周平
弁護士。
清楚な短髪で、眼鏡で感情の読めない硬い表情。
弁護士としては優秀で、毒島たちを減刑させたのも彼。
多間木の父親に雇われており、彼のボディーガードも兼ねていた。
アニメのFile.1・File.2のEDでは苗字が「小森」とクレジットされていた。


【その他の人物】
  • 十神まりな
CV:渡邉佳美
故人。
三年前の事件の被害者。事件当時は高校生で、毒島と同じ学校に通っていた。
男子高校生だった多間木、魚崎、毒島によって毒島の部屋で下着以外の服を奪われて監禁、凌辱、拷問を受け、
窓から逃亡を図り転落死してしまい、都内の空き地に埋められていた。
しかし…
被害者達が受けた『水責め』『火あぶり』『絞首刑』の見立ては、実は 彼女が被害者達から受けた暴行内容の一部であった 事が作中で判明する。


【主要人物】
ご存知高校生探偵。
オッサンの無実を信じて奔走する。
今回途中毒島の悪辣ぶりにキレて 「(毒島が再犯した暁には)どっかの「傀儡師」も真っ青の完全犯罪計画してやるぜ」 と過激な発言をして
直後に明智に 「そして計画したあげくに実行しないんでしょうね」 ともっともなツッコミを入れられた。
まさかその「どっかの傀儡師」が黒幕だなんて知る由もなかっただろう。ある意味伏線である。

今回影が薄めだが、実は多間木に狙われていた。ごく初期、(多間木の実態を知らない頃に)多間木と仲良く話をしていた場面もあった。
ヘタをしたら十神まりなの二の舞になっていたかも…
幸い多間木が殺されたため、何事も起こらなかった。

タイトル通り、今回の実質的な主役であり容疑者。
十神まりなは剣道の教え子であった。主犯格の毒島が釈放されたと聞いて、 『「願う」ぐらいしかできないんでしょうかね…我々は…』 と悔しそうな口調で語っていた。
状況証拠はすべてオッサンが犯人と示すものだったが…
年齢が 48歳 と公表されたが、過去のエピソードから考えると、 明らかに辻褄が合わない

ご存じイヤミ警視。
剣持が最重要容疑者だと知るや否や早急に金田一に協力を要請する。
事件が事件な為か、今回はイヤミはなしで終始冷静。
警視の立場では剣持を追うも、心の中では「刑事の先輩」である剣持の無実を信じ、一を完全サポートしてくれた。
そしてこの事件に「あの悪魔」の影を見る…。

ご存知一の友人。
今回はあまり出番なし。転校してきた多間木の事をよく思っていなかった。

  • 正野刑事
CV:高木渉
オッサンの部下だが、今回は明智警視のサポートに回る。
アニメ版では一応一般の高校生である金田一に対し、明智が証拠の開示や現場の鍵を預けたりする毎に「良いんですか!?」と驚いていた。会うの初めてじゃないくせに。
この人次の番組自分に似た声の刑事小学生相手にそういう事してるのみたら、大層驚くんじゃないだろうか。

  • 剣持和枝
CV:皆口裕子
オッサンの奥さん。
オッサンを宿六扱いしていたが、内心ではオッサンの身を案じていた。
ちなみにアニメではこの場面が初登場だった。












【以下、事件の真相…。更なるネタバレ注意】









あんたらの言う通りだよ…!

多間木と魚崎を剣持の犯行に見せかけてぶっ殺した!



俺が「死刑執行人」だ



  • 毒島陸
この事件の真犯人 『死刑執行人』
今まで見せていた外道な振る舞いは全て演技で、本来の姿は温和で父親思いの勤勉少年。ストラップの趣味がちょっとかわいい。顔が強面なのは素だったが。
十神まりなに叶わぬ恋と知りながらも淡い恋心を寄せていた。
(十神と話をしていた時に、彼女に想い人がいることを察していたようで、赤面していると同時にちょっと残念そうな表情をしている)
素行の悪い噂は デマ であり、幼少期からの付き合いの多間木と魚崎に脅迫まがいのやり方(毒島の父親の医療機器会社は多間木の父親の病院の受注で成り立っていた)で、多間木らの起こした問題を無理やり被せられた為であった。
もちろん多間木らとは関係を断とうとしており、多間木が受けるであろう大学よりも上のレベルの医大を志望しており、受験勉強のために父親にアパートも借りてもらっていた。
医者志望だったのは、多間木の件だけではなく、父親の医療機器会社のためにもなると考えてのことであった。

実は三年前の事件で毒島本人が加担 『させられた』 のは 死体遺棄のみ で、彼女の監禁・暴行に関しては 全くの無関係
多間木と魚崎に渋々上記のアパートの部屋を貸す事になり仕方なくファミレスで勉強していた毒島が、そこでバイトしていた十神まりなと会話していたら既に彼女に目を付けていた魚崎および多間木が会話に割り込んできた。
その一週間後、十神まりなが行方不明になったのを知る。
不審に思いながらも十神の帰りを待っていた一か月後、異変を感じた毒島はアパートに駆け付けた。
しかし時すでに遅く、彼の目の前で二人の拷問で衰弱しきっていた十神は窓から逃亡を図るが、転落死。
初恋の人が目の前で死んだショックで半ば精神が崩壊し、多間木達に「この状況ではお前も共犯者だ」「親父に頼んで仕事を全部お前の家の会社に回してもらう、そうすれば借金もチャラになる」と言いくるめられた結果無理やり協力させられ、罪をなすりつけられてしまった。
その為 毒島はむしろ 被害者 の側であり、彼もまたスケープゴート であった。
死体遺棄はともかく、監禁に関しては 完全な冤罪 である。

多間木・魚崎に罪になすりつけられた彼は取り調べで最初は黙っていた(というより、 ショックで何も言えなかった 可能性が高い)が、二人の証言を鵜呑みにした剣持にまりなが持っていたストラップを突きつけられた毒島はまりなも自分も犯人と思っているに違いないと考え絶望。
ついに自分がやったと自白し、そのまま殺人犯の汚名をかぶることになってしまった。

そして入所した途端多間木に裏切られ、父親の会社も潰されて父親は行方不明。
その後、牧師に扮した高遠に 「剣持は多間木の父親から賄賂をもらって告発の手紙を揉み消した」 と騙された。
更に絶望した彼は剣持、多間木と魚崎、そして彼女を救えなかった 自分自身 への復讐を決意。
第三の首吊り未遂では 本当に死ぬつもりだった
その演技は下手な俳優より凄く一たちも一時は完全に騙されていたが、 あるたった一言の矛盾 がきっかけで犯行が露呈してしまった。
最後は揉み消した真犯人である湖森の謝罪と事情に、剣持と十神の関係を知り、剣持への誤解を解き彼に詫びながら逮捕された。

「剣持警部… すまねぇ…」

逮捕後は十神まりなが遺した遺言を聞いたことで、憑き物が落ちたかのように涙を浮かべて一に礼を言った。

一人の少女の復讐の為だけにゲスを見事に演じ続けた(及び実は被害者達の方が途方もないゲス) という点は、能条光三郎に通じるものがある。
偽りの本性を更に隠すための表向きの性格を演じる必要がない上に、元々悪人顔というアドバンテージを持つ点では能条より楽ではあるものの、演技に関してはずぶの素人であるはずの毒島が読者すら騙すほどの悪役を演じたのには目を見張るものがある。
冒頭を見返してもその悪人役はプロ級の演技力である。

剣持に殴られた際、 毒島は自分はどうしようもない流され屋 と評した。
彼は、多間木に罪をかぶるように頼まれて流され、剣持に罪を認めろと言われて流され、高遠に犯罪に手を染めろと言われて流された。
流されるだけ流され続けた彼が立ち直るには、流されることのない心の強さが必要になると思われる。
(そして毒島のオヤジさんが自殺をしていない事を祈るばかりである…)


余談だが、「あいつ 」のたった一文字の余計な発言が無ければ犯人と特定されなかった可能性もある。
また、首吊り偽装が成功した場合においても真相は闇の中だったと一は評している。



いーよねー「少年法」ってヤツは!

日本で犯罪すんのはやっぱ二十歳前~ってか?

  • 多間木匠
  • 魚崎葉平
実はこの二人が三年前の事件の主犯であった。
冒頭で(外道のふりをしていた)毒島の言っていた通り、どちらも三年前の事件を全く反省しておらず、再犯の可能性も極めて高かっただろう。(嘘をついて罪を軽くしようとしたり、まして他人に罪を着せるような人間が更生する可能性など0だろう。)
殺されて当然の腐れ外道であり、同情の余地など一片もないのは明白である。

特に多間木に至っては、十神を拷問・凌辱漬けにして殺害しただけでなく
その罪をでまかせを言って毒島になすりつけ、案の定反故にして彼の全てを壊した。
警察だけでなく実の父親や弁護士も多間木の本性を見抜けなかったところ演技力は相当あるようである。
その後も事件のことを蒸し返した一を逆ギレ(この時の多間木の顔は外道のそれである)からフルボッコにした上、暴言を連発。
直後に上の台詞を吐きながらヘラヘラ笑うなど、常軌を逸した卑劣漢であった。流石の一も「あんなヤツ…!!」とキレそうになった。(一は今までどんな悪人でも目の前で死にかけている人間がいれば結果はともかく助けようとしたり、偽装ではあったが自分に嫌な態度をとった人間の首つり死体を見た際、下ろそうしたが、多間木に限っては助けられる見込みがかなり低かったとはいえただ呆然と見ていたことからも分かる。)
ぶっちゃけ、高遠とは別のベクトルで人間性が壊れきっている。いくら弁護士がボディーガードについているとは言え、魚崎が殺された時点で自分も狙われていることは分かっていたはずなのに、学校など自由に外に出回るなど不用意というかアホとしか言えない。

「犯罪すんのはやっぱ二十歳前ってか」のセリフの直後に多間木が焼死したシーンは多くの読者をスッキリさせた事であろう(アニメでは流石にマズかったのか多間木死亡直前のセリフが変更された)

また、本編では二人に押され地味だった魚崎も回想ではノリノリで十神を沈める鬼畜っぷりを披露している。(これもアニメでは流石にマズかったのかこのくだりは省略された)しかし、毒島に呼び出された際、特に疑いもなく応じていたところ、多間木が毒島を裏切り、毒島の家の仕事を打ち切ったことはどうやら知らなかったようである。そうであれば同情するほどではないがある意味魚崎も多間木の被害者とも言える。

後述する通り彼らのために彼らの人間性を曲がりなりにも信じ、更生させようとしたと思われる多間木の父親や湖森までも、彼らによって人生を台無しにされた可能性が高い。

彼らを少年犯罪者の典型と見るのはアレだが、それでも「金田一少年」におけるトップクラスの極悪人であることは違いないだろう。

  • 湖森涼介
実は娘の病気の弱みがあり、多間木父子を庇い毒島の告発をもみ消していた。(娘は治療の甲斐なく死去)
結果的に助からなかった失意からか、毒島の真実を揉み消したまま放置してしまった。
これらのことは因果応報。弁護士失格。と、自身も振り返っていた。

しかし、毒島の告発が真実である証拠は、警察も毒島も見逃したストラップの録音機能以外なく、湖森も気づいていなかった。
仮に湖森が剣持に真相を告発する手紙を送ったとしても、剣持がストラップの録音機能に気づくか、多間木や魚崎が真実を喋り出さない限り、状況は変わらなかったと思われる。
送られた剣持が手紙を読んだとしても、ゲスな犯人同士がまだ醜い責任のなすりつけ合いをしている・・・と見るのが普通だろう。(金田一は剣持警部に手紙が渡っていたらもう一度必死に捜査しただろうと言っているが。)
まして、毒島の知る真実を記した手紙は多間木への告発そのものにほかならない。
依頼者がどんなにゲスであれ、依頼者を売る行為は弁護士として違法行為である。(道徳的問題ではなく 違法行為 である)

結果として二人とも全く更生していなかったという結果は重いが、弁護士としての湖森の立場も八方塞がりだったことには注意しなければならないだろう。
(毒島に真実を告発する手紙を自分の立場上警察に渡せないことを話さず、手紙をもみ消してた行為はやはり正しいとは言えない。)

余談だが、まりなと同じく剣道をやっていて彼女とのミッシングリンクを想起させ、しかも二期の過去作における犯人と同じく 名前に「さんずい」が含まれている という、いかにもな犯人臭さを匂わせた今回のミスリード要員である。

  • 青井零児
最初から剣持を疑い、あまつさえ拳銃まで向けてしまい、読者の反感を買った。
そもそも刑事になったのも毒島達への復讐の為という意味合いが強く、隙あらば毒島を殺すつもりだった。
とはいえ、剣持が状況上極めて疑わしかったのは間違いなかった(明智も状況上剣持が疑わしいことは認めていた)ため、彼の責任とは言い難い。
なにより、 彼自身恋人を殺されたという意味では事件の被害者である 公平中立を守るためにも、事件関係者を捜査担当にすべきではなかっただろうが。
剣持に対する対応が良かったとは言えないだろうが、それで彼を責めるのも酷な相談であろう。

  • 多間木の父親
声のみの登場。多間木記念病院の院長。多間木自身事件が起きた時には父親への発覚を恐れており、かなり厳格な親父である様子。
心臓手術のプロらしいが、湖森の娘は残念ながら救えなかった。

多間木が現に刑務所に服役することもなく、裁判でも早期に釈放される程度と認められたのであるから、息子は毒島に流されただけでその環境を直せば更生できると思うことは無理もない。
実際、事件後も湖森に指導させて電話もかけてくる、息子を犯罪に引っ張り込んだ人間関係を断ち切らせるために取引を打ち切るなどの手を打っていた。
病院長ならば多忙であり、多くの患者を抱えなければならない状況や心臓手術のプロとして多くの人を救ってきた代わりに息子には構いきれない中では手を尽くしたと思われる。
湖森が心臓手術が進まないことを恐れて握りつぶしたのも、湖森が勝手に不安を覚えてやってしまったことであり、父が何らかの圧力をかけたという訳ではなかった。
また、息子の将来を考え恐らく高卒の資格を取らせるため不動高校に新たに通わせるなどもしていた。

しかし、一方で父親として問題がある部分も見られる。
病院長で多忙であるため息子が幼い頃から直接父親らしいことをできなかったのは仕方ない部分はあるものの、それでも父親であることには違いなく、時間は無くとも金銭的には裕福な家庭であるため、人を雇い父親代わりを務めさせるなどはできたはずである。(もし多間木を跡継ぎもしくは医者にしようと考えていたのならなおさらそのような人間は必要になる。)父親代わりの人間がいれば多間木の悪事や本性に早い段階で気づけた可能生があり、十神まりなが死ぬような事件も起こらなかったかもしれない。
また、不動高校に通わせたこと自体は正しい行為と言えるが、不動高校での息子の素行について全く把握していないことは問題である。いくら毒島に強要されたと考え、刑罰も比較的軽かったとはいえ、同じ学校の生徒を死なせたことには違いなく、新たに問題や犯罪を起こしてしまえばそれこそ今まで息子の更生のためにしてきたことが無駄になってしまう。もっとも自らが息子の素行を調べるのは現実的に考え無理であるが、小森弁護士などに命じて不動高校での素行を把握すること自体は難しくないはずである。事実多間木の不動高校での素行はかなり悪く数多くの女子生徒に手を出しており、挙げ句の果てには無抵抗の一に対し一方的に暴力を振るうまでになっていた。もし毒島が多間木を殺さなければ、不動高校から第二の十神まりながでていた可能生すらある。多間木も父親に咎められたり、父親の目が学校にまで届いていると知っていれば少なくとも表面上はおとなしくしていたはずである。

父親が息子の本性に気づいていたかは不明であるが、仮に気づいていたのなら3年前の事件の主犯が毒島でなく息子であることも見抜いてはずなのだから、自分の子供に犯した罪を償わせないどころか他人に罪をなすりつけたことも黙認した父親失格の人物になってしまうだろう。


それだけに父親のこれだけの努力を台無しにして更生しなかった多間木のゲスさが際立ち、父親が多間木の更生を心から願っていたのは間違いないが、厳格を言われながら更生が不可能と思えるまで息子を放っておいたのもまた事実であるためこのような事件が起きてしまった責任はやはり大きい。

元々の父親(&母親)の育て方がまずかったのか、父親の努力ではどうしようもないほどにゲスだったのか。それはこの作品からは分からない。

  • 十神えりな
毒島が姉の仇を取ってくれたのと同時に彼の真意を知り、少しは心が救われた。
物語の最初はゴミを見るような目で「毒島」と呼び捨てしていたが事件解決後は親しみを込めて「毒島 」と呼ぶようになり、毒島に対する態度は劇的に変わった。
案外毒島が出所したら結ばれるかもしれない。
この娘には姉の分まで幸せになってもらいたいものである…。

  • 十神まりな
実は毒島に食事を奢ってもらったお礼にプレゼントされたストラップに録音機能が付いており、その中に毒島が無罪であることを告白する遺言を遺していた。
いい娘すぎる…。
もしも青井ではなく毒島と付き合っていたとしても、幸せになれていただろう。

  • 剣持勇
やっぱりスケープゴート。
毒島の不甲斐無さを目の当たりにして、「やっぱりお前も共犯だ」と彼を殴ってしまう。
(まあ脅迫されてとはいえ 惚れた女を殺した相手と一緒に女の死体を遺棄して事件を隠蔽しようとした と聞かされたら殴りたくもなるだろうが、やはりアニメでは流石にマズかったのか毒島を殴った理由が変更された)
事件解決後は、刑事として復帰。刑事としてしっかり犯人を検挙していくことを改めて決意する。 彼一人の責任ではないが冤罪を作っておいて謝罪も反省もしない(描写がない)刑事にそんなこと決意されても説得力ねーよ。


刑事という専門職でありながらストラップの存在に気づいていながらその機能を見落とす・無実の少年を自白させる・一時の怒りに任せて人を殴る・もっとも罰されるべき少年に騙される
というコンボをやらかした点については、殺しをやったのは剣持ではないだけで既にこの時点で毒島の復讐対象とする意見もある。
ただし、毒島は事実を知った後は剣持を特に責めずに詫びているので、毒島個人的にはそのことは問題ではなかったのかもしれない。 毒島はいいやつすぎる。多間木達だけで無く剣持警部も少し見習うべきである。

  • 金田一一
事件解決後毒島のところへ面会に行き、ストラップの録音機能から十神まりなが毒島が無罪であることを告白していたことを教えるなど従来通り犯人の心を救っている。その後このことを剣持警部にも伝えている。
このとき剣持警部達警察が冤罪を防げたかもしれない証拠であるストラップの録音機能について気づかなかったことを笑いながら「仕方なかった」「知ってたら逆にキモイ」で済ませているのは、剣持警部に対し気を遣ったのかもしれないが、あまりにも不謹慎である。


この事件の黒幕であり読者にとってはミスリード要員。
(剣持警部のような格好をして何度か毒島と会っていた。毒島が高遠の姿を見て驚くシーンを入れる事で、犯人から狙われている、という錯覚を読者にさせる形になる)
「牧師」を装って面会した出所前の毒島を騙し(項目冒頭の台詞はあっさり騙された毒島が「あいつら、ぶっ殺してやりてぇ!!」と言った時に言ったもの)、剣持警部をスケープゴートにするよう仕向けた。
以前恥をかかされたリベンジか?)
謎解きの場にいなかった(っていうか、登場したのは毒島の回想シーンのみである)上毒島が自分自身も復讐の対象にしていたので、黒魔術殺人事件に続き、今回は「死の制裁」は行わなかった。

本事件で彼がやっている事自体は外道そのものであるものの、「獄門塾殺人事件」に続いて、またしても法の手に負えなかった社会悪を暴いたことになり、結果的にダークヒーロー的な立ち位置になっているのがやりきれないところである。
(そのためか彼のやったことについて、「 今回ばかりは高遠GJ 」と言う読者及び視聴者もいる)


【アニメ版】
◇原作との相違点
  • 一・美雪と多間木の初対面のシーンで、「多間木視点の描写」が存在する(その際、明らかに美雪の胸を凝視している)。
  • 青井が犯行に使われた銃の説明をする際に、多間木に銃を一時向けるシーンはカット。
  • 一に暴力を振るい去っていく際の多間木の台詞が「二十歳前に事件起こしといて、ホント良かったぜ~」に。その際、一が多間木に食い下がるシーンが追加。
  • 二番目の事件の後、多間木が死亡した事が明言される。ちなみに原作にあった火達磨シーンはカットされ、車が爆発するだけにとどまっている。
  • 被害者達の殺害シーンにて、まりなへの暴行の内容がオーバーラップされる。
  • 暴行シーンの回想で、加害者側が多間木と魚崎のみがシルエットで登場している。
  • 三番目の事件の現場検証に同行する刑事が青井から正野に変更。
  • 弁護士の娘が亡くなっている説明はカット。
  • 毒島がアパートへ駆け付けた際の回想の一部始終(特に魚崎の拷問シーン)を省略。
    まりなの死ぬ直前の描写が不明確になっており、遺体も画面に映らないようになっている。
  • 剣持が毒島を殴り飛ばす理由が、「まりなが行方不明になってから探しだすのが遅かった」(「もっと早く探していれば助かっていたかもしれないのに…」と泣き崩れる)に変更。「お前も共犯者」というセリフもカットされている。


余談だが、金田一少年の事件簿では「(人名)の殺人」と言う形の作品がこれと、怪盗紳士の殺人金田一少年の殺人の3つが存在するが、毒島はそれらの犯人の中で、唯一真相解明後に自殺していない(解明前に自殺しようとして、未遂に終わっているが)。


追記・修正は撃たれる演技をしながらお願いします。

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