亡霊学校殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日 :2012/06/25(月) 05:32:53
更新日 : 2017/08/04 Fri 12:32:26
所要時間 :約 10 分で読めます




――ねぇ‥‥‥‥‥あそぼうよ……お兄ちゃん‥‥‥‥ねえ‥‥?



亡霊学校殺人事件とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、かつて金田一少年が ただ一点を除いて 解決した事件。
似たような名前の事件である、亡霊校舎の殺人とは関係ない。
短編集に収録。
短編ではあるが全5話構成と比較的長く、内容や雰囲気のリアルさが本編並みにあるため、アニメ版ではファイル3まで作られている。


【あらすじ】
プールで殺人事件に巻き込まれた一と美雪と草太は、気分転換として草太の田舎である千葉の海にやって来る。
一達は草太が泊まる宿として選んだ民宿なぎさ荘で合宿に訪れていた山科大附属高校の美術部と出会い意気投合、一緒に合宿恒例の肝試しに参加する事に。
しかし、亡霊学校と呼ばれるなぎさ荘裏の墓地近くにある廃校で事件は起きた…
肝試しの最中、美術部員の1人が行方不明となり、翌日死体で発見されたのだ。

怪談として語り継がれている花子さんと同じ、赤いちゃんちゃんこを着ているようにシャツを真っ赤に染めて…



【以下ネタバレにご注意下さい】


【登場人物】
  • 伊能耕平(いのう こうへい)
CV:柏倉つとむ(現:カシワクラツトム)
山科大附属高校美術部3年生。
真壁にも負けないモジャモジャのワカメヘアーが特徴的な男。
一見人当たりが良さそうな人物だがその実わがままな性格であり、周りからは良く思われていなかった。
今回の事件の被害者で肝試しの最中に行方不明となり、翌日廃校近くの墓地で毒殺体で発見された。
肝試しでの順番は7番。

  • 国枝真紀(くにえだ まき)
CV:村井かずさ
山科大附属高校美術部3年生。
黒いロングの髪にカチューシャを着けた美少女。
気の強い性格で伊能が殺害された後、金田一が提案した廃校探索に真っ先に乗っている。
伊能と付き合っていた過去があるらしく、彼がコンクールで入選した 女性の裸の写真をコラージュしたCG作品 のモデルではないかという噂があるが…
肝試しでの順番は1番。

  • 鳴沢研太(なるさわ けんた)
CV:鳥海勝美
山科大附属高校美術部2年生。
伊能のわがままに苦労しているらしく、彼が学校の備品を壊した時に責任を押し付けられた事があるらしい。
金田一達に一番友好的で伊能のCG作品関連の事を教えた人物。
肝試しでの順番は6番。

  • 獅子島隆(ししじま りゅう)
CV:後藤敦
山科大附属高校美術部2年生。
不良っぽい外見をしているが廃校探索でモップがかかっただけで遠くに逃げたり、真っ先に出ようとしたりと臆病な面が目立つある意味残念な人。
国枝に恋心を抱いているようで、彼女が不快に感じている伊能のCG作品関連の話を出されると彼女以上に激昂する。
鳴沢とは彼のことを「ナル」と呼ぶくらい仲がいい。
肝試しでの順番は3番。

  • 松岡修吉(まつおか しゅうきち)
CV:平田広明
民宿なぎさ荘主人。
原作ではなぎさ荘は数人で運営しているため名前も出てこないモブキャラだが、アニメでは彼が1人で運営しているため名前が与えられる。
金田一達の前に夕食に使うにわとりを持って現れるというなかなかインパクトのある登場の仕方をした。
名前の由来は恐らくあの人だと思われる。

  • ????
CV:池澤春菜
なぎさ荘で金田一達の前にちょくちょく現れる小学生位の女の子。
松岡と同じくアニメオリジナルキャラであり、アニメでは出てこない草太の代わりに金田一達に赤いちゃんちゃんこの花子さんの話を教えた。
無表情で淡々と喋り、容疑者リストに載っているのに一切名前が明かされない不思議な子である。

  • 高田
CV:園部啓一
千葉県警の刑事。
現場の状況と関係者全員にアリバイがあった事から、今回の事件は通り魔の犯行と判断する。




【その他の人物】
毎度お馴染み主人公。
スポーツ全般が得意ではない彼だが今回の話で卓球は得意であるという事実が明かされた。
卓球部だった母親に仕込まれたその腕前には相当自信があるらしく、
金の字がマークされているマイボール、マイラケット、マイユニフォーム、
『「HK(ハジメ・キンダイチの略)」ショット』『「HK」スマッシュ』という必殺技
を持っている。
しかし準備に時間をかけ過ぎ、勇んで卓球場に現れた直後に夕飯の時間となった事でその腕前が披露されることはなかった。
(しかしその時に一個だけ旅館のボールを拾った事が結果的に事件解決に繋がったのだから、ある意味よかったのかもしれない)
肝試しでの順番は5番。
トリック説明の際、犯人の携帯電話を離れた場所に置くため、スリの技術を活用。さらに、旅館でもらった発泡スチロールを使い、説明用のニセ便器を作成した。しかし、スリはいつもどおりのことだが、ニセ便器作成は、いくら材料が手に入ったにしろ、 短時間であの出来栄えというのは、相当器用である。

毎度お馴染みヒロイン。
あまりにも雰囲気ありすぎな肝試しに心底震え上がっており、こっそり一に頼んでちょっとしたズルを行う。
…いつも見ている死体に比べたらお化けや幽霊など余裕な気もするのだが。
ただ、その一に頼んで行ったズルが、事件を解くヒントになったわけで、世の中何が幸いするやら。
肝試しでの順番は4番。

魔犬の森の殺人で退場した千家に代わる準レギュラー。
前回の後の気分転換として自分の田舎に一達を誘うがまたしても殺人事件に巻き込まれる。
原作では彼が赤いちゃんちゃんこの花子さんについて語っている。
美雪に好意を寄せているらしいが…草太は美雪の眼中には全く無く、彼女がズルを頼む相手も、一切迷う事無く一を指名。はっきり言って、 さっさと諦めた方が賢明であると言わざるをえない。
肝試しでの順番は2番。
因みに本作で彼が千葉県出身と言う事実が明らかになった。
アニメには登場しない。

アニメではまだ出て来ていなかった草太の代役として登場。
役どころは原作の草太と変わりないが、ビデオで一の推理を手助けした。
ちなみに、ビデオは買い換えたものを使用。

  • 剣持勇
毎度お馴染み剣持警部…なのだが今回はチョイ役。
知り合いがいないため地元の警察に頼れない一に伊能の死因とある遺留品の指紋について教えた。

アニメ版で登場。
アニメ版での本事件は、回顧録として描かれ、美雪と佐木がフミに説明する形で展開された。


【以下事件の核心】












俺の負けだ
ここまで理路整然と追い込まれちゃあね………

でも あいつを殺したことは
別に今も後悔なんてしちゃいないぜ!




  • 鳴沢研太
この事件の真犯人。
彼が伊能を殺した理由…それは彼の妹洋子が焼身自殺をした事から始まった。
自殺する前妹が悩んでいるのは知っていた鳴沢だったが、それがどんな悩みだったのかまでは知らなかった。
そんなある日洋子が生前つけていた日記を読んだ彼はそこで妹が『K』という人物に弄ばれ苦しめられていた事実を知り、
激しい怒りを覚え『K』を探し出す事を決意する。
そして程なくして鳴沢は『K』の正体を知る…伊能がコンクールに出した女の裸の写真を加工したCG作品、
その女の足に自分が幼少期に花火で妹につけてしまった火傷の後を見つけたのだ。

そう…鳴沢の妹を弄び自殺に追いやったのは、自分の近くにいた伊能耕平だったのだ。

ヘラヘラと妹を弄んだ話をし、あまつさえその身体を利用した伊能に鳴沢が殺意を抱くのは、すぐの事だった…

肝試しの順番を決めるクジ引きの際、客である一・美雪・草太(アニメでは佐木)に先に引かせ、携帯電話を鳴らすことで伊能をその場から引き離したスキに他の2人にも引かせた。さらにクジのトリックを使い、自分と伊能の順番を操作。
『花子さんが出るのは一番奥の個室』、『一番奥は物置で件のトイレは奥から1つ手前の扉』というポイントを巧みに利用し、
自分の番に石膏で作った偽の和製便器と木の蓋で物置を伊能を殺すための部屋に仕立てあげた。
そして肝試しでトイレに行った証として回収するピンポン玉に仕込んでおいた毒針で伊能を殺害、
内開きのドアのため外に出ることなくもたれ掛かる形で物置に死体が放置された状態で皆と共に捜しに来る。
そこで床に自身が垂らした赤インクを見つける事でそれが伊能の悪戯だと印象付け廃校から引き離す事に成功、
その後他の皆が寝静まった隙に伊能の死体を墓場に捨て通り魔の仕業に見せかけようとした。
しかしその際保険としてポケットに忍ばせたピンポン玉が仇となって金田一に疑惑を抱かれた。

美雪については、皆の話を聞いているうちに恐怖が増幅、とてもトイレまで行けないと思うようになり、といって今さら皆の前で行けないとも言えなかったため、こっそり一に頼んでズルを行った。それは、あらかじめ美雪が一のマイボールを借りておき、自分の番になったら途中まで行って引き返し、戻って来て一のマイボールを見せておいて、次の順番の一が美雪の分も入れて2個のピンポン玉を持って帰り、あとですり替える、というものだった。
このズルについては、一がマイボールを持っていたことを知っていたとはいえ、美雪が考えたものかどうかは不明。美雪に「怖くて行けそうにないから(行っていないと知れて皆をガッカリさせること無く)なんとか行かずに済ませる方法は無いか」と相談されて、一がマイボールを貸すトリックを思いついたのかもしれないためである。むしろ、美雪がそういう面で頭が回るとは考えにくいので、一が考えた可能性の方が高いのではないだろうか。

また、一は、自分の番でトイレまで行ったものの、ピンポン玉を取ろうとした際、入れ物をひっくり返して中身を全部トイレの中に落としてしまったため、ごまかしにマイボールを入れておいた。

しかし、一より後にトイレに行った伊能が持っていたピンポン玉は、一のマイボールではなかったうえに、本当はトイレに行っていない美雪の指紋まで付いていたことで、それが肝試しの時に目的のトイレに置かれていたものではなく、犯人が別に用意したもの、しかも美雪の指紋が付いていたことから、旅館で卓球をした時のものだと判明。

さらに、そのピンポン玉には、ゲームに参加できず、玉に1個だけ、それもたった一回しか触るチャンスがなかった一の指紋が付いていた事から、それが卓球の最後で用具を片付ける時に一が拾い、すぐ取り上げられたものであると判明。持ち出せたのがそのピンポン玉を一の手から直接取り上げて他の用具とともに返却しに行った鳴沢しかいないということで、犯行の露見に至った。

結局、部外者である一と美雪が起こした、犯人にも予測不可能な2つのハプニングが、犯人を特定する決め手になったのだった。

犯行は認めたものの、「死んだ妹も救われたはずさ」と言うが――

人殺して…誰かが本当に救われたことなんか――
俺…1度だって見たことがないんだ

お前は結局「救われない魂」をもうひとつ作っちまっただけなんじゃないか?


最後は一から言われた言葉に笑みを浮かべ、千葉県警に連行されていった。
そしてパトカーの中で、 伊能の死体のシャツを赤いインクでちゃんちゃんこみたいに染めたのは自分ではない と高田刑事に告白した。


俺が殺した伊能の『救われない魂』は――
どこに行くのかな……?
やっぱり あの暗いトイレの中をさまよい続けるんだろうか……



追記修正は「HK」スマッシュを決めながらお願いします。

























無事解決したように見えたこの事件だが…最後に1つだけ謎が残ってしまった。
上記の通り、伊能の死体のシャツを赤インクで染めたのは鳴沢ではなかった…ではいったい誰がそんな事をしたのだろうか…

戦前に喀血して死亡、その衣服を赤いちゃんちゃんこのように染めた花子さん…
さらにその数十年後花子さんのようにシャツを赤インクで染めてふざけた数日後、トラックにはねられその衣服を血で染めて死んだもう1人の花子さん…
彼女達のように伊能のシャツを染めたのはいったい…

その謎は金田一にすら未だに解けていない


なお、この事件の終わりは文化祭準備の場面になっており、次の短編エピソードへと繋がっている。






ねぇ……

あそぼうよ……

お兄ちゃん……


クスクスクス…

ギ…ギギィ…

バタン



追記修正は赤いちゃんちゃんこの謎を解いてからお願いします。

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