幽霊客船殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日 :2011/05/24(火) 13:34:29
更新日 : 2017/09/11 Mon 22:48:34
所要時間 :約 20 分で読めます





さあ、汽笛が鳴った。
出航だ。もう後には引けない。どんな荒波が待ち受けていようと、二度と後戻りはできない。
わたしは、船長なのだから。
この船に乗っている許しがたい者どもを地獄に導く『航海』の舵取りをするのがわたしの役目―。
そう、たった今から、我が名は、

『幽霊船長(ゴーストキャプテン)』


幽霊客船殺人事件は、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件のうちの一件。ノベルズ第2巻に収録。
悲恋湖伝説殺人事件で触れられた『オリエンタル号事故』の真相が明らかになる。
作中でも触れられており、時系列が悲恋湖での事件以降とわかる。

アニメ版の容疑者リストの順番は上段は左から加納、大槻、鷹守、若王子、水崎で、下段が赤井、時原、大沢、吉田、香取の順でバックは桃色。
登場する怪人は「幽霊船長(ゴースト・キャプテン)」。


以下、ネタバレにご注意下さい。













【事件の始まり】
金田一達は、小笠原行きの客船・コバルトマリン号に乗り込む。しかし、この船には、幽霊船長(ゴーストキャプテン)の噂が立っていた。
そして金田一は、この船の乗組員達がかつてのオリエンタル号沈没事故の当事者達である事を知る。
そんな中、船長の鷹守が幽霊船の伝説に見立てられて殺害される。果たして、幽霊船長(ゴーストキャプテン)の正体とは!?


【事件関係者達】
  • 水崎丈次
CV:菊池正美/演:石原良純
二等航海士。すっきりした顔立ちの清楚なイケメン。香取の恋人。
毒針で狙われるがたまたま寝過ごした事で加納が身代わりとなって死んでしまい
事件中、生存する唯一の操舵士になってしまう。
剣持に寝過した理由を聞かれても何故か答えなかった。
ドラマ版での彼は、元東京都知事の息子で有る石原良純が演じていた。…あれは水崎じゃねえ!!

  • 鷹守郷三
CV:小山武宏/演:団時朗
コバルトマリン号の船長。実はオリエンタル号の元船長。別サイトで「 鷹森 」と間違って書かれやすい。
容姿だけは「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長に似ているが、船乗りのプライドも何もないただのヒゲじじい。真犯人によれば背は高い方ではないらしい。
船員紹介時に既に酒を飲んでおり、酔っぱらいながら「こんな汚い船に」と愚痴みたいに謙遜しつつ演説した。
最初の死亡者で、果物用ナイフで刺されて死亡。『マリー・セレスト号』の怪談に見せかけられる形で死体を海に投げ捨てられた。
ドラマ版では帰ってきたウルトラマンの団時朗が演じていた。ドラマ版で腕章をよく見ると…

  • 若王子幹彦
CV:乃村健次/演:伊武雅刀
一等航海士。コバルトマリン号では無線士も兼ねている。元・オリエンタル号の乗組員だが鷹守とは犬猿の仲。
常にしたり顔で、モールス信号で相手を侮辱するのが好きなサディスト。
無礼な態度を取りつつ、絶妙のタイミングで謝罪して自分のペースに持っていくなど食えない性格。
元々は一介の無線士であったが、30代になってから航海士に転身したとのこと。
そこから10年足らずで一等航海士まで登り詰めており、エリートに相応しい実力の持ち主であったと言えるが、
トントン拍子で出世したというわけでもなく彼なりに苦労と努力を重ねて地位を築いた様子。
胃痛持ちで、ホットミルクを愛飲している。
二番目(ドラマ版では三番目)の死亡者で、最期はニコチンの毒を塗った針により、死亡。死体を海に投げ捨てられた。
モールス信号の遺書ですべての罪をなすり付けられる。

  • 加納達也
CV:高木渉/演:ブラザー・コーン
三等航海士。かなり短気で神経質な性格。
ナルコレプシーという睡眠障害の一種を患っており、目が覚めずに丸一日眠り続けてしまうことがある。
そのせいで仕事に遅刻したり穴を開けてしまうことが多々あるらしいのだが、
「病気なんだから仕方ない」と開き直っている節があり、勤務態度はあまりよろしくない。
剣持も彼の事を「 どう見ても優秀な人材には見えない 」という風に言っていた。
元・竜王丸の乗組員で、オリエンタル号との衝突事故が起こった時の唯一の生き残り(当時は見習いの乗組員だった)。
彼の証言が裁判で有力な証拠となったらしいが…
その事故で前の会社に居辛くなり、若王子に色々相談に乗ってもらって再就職したらしいが、
その割に鷹守と対立している若王子に着くでもなく傍観者に徹している。
三番目(ドラマ版では二番目)の死亡者で、操舵輪に取り付けられたニコチンたっぷりの毒針を握ってしまい、死亡。
彼の死亡推定時刻は本来なら、寝過してしまった水崎の勤務時間だったため、病気で寝過ごしたために慌てて操舵に来て、水崎の身代わりに死んだと思われたが…。

  • 香取洋子
CV:日高のり子/演:雛形あきこ
雑務係。19歳。ショートカットのボーイッシュな美人。水崎の恋人でもある。
原作では背が高く(地の文に160後半と書いており、挿絵でも170弱の金田一と同じくらい)水泳体型のような筋肉質な女性と書かれている。
船内では主にアナウンスや身の回りの世話を担当している。
アニメでは、筋肉質には見えない、ごく普通の女性。

  • 大槻健太郎
CV:中博史/演:いかりや長介
機関長。噂話が大好きながんこじいさん。白髪でテッペンがハゲ。
気は悪くないのだが、一達乗客に対しても気を遣わずぶっきらぼうに話す。
でも船乗りとしてのプライドは、人一倍強い。若王子のことを憎んでいた。
ドラマ版ではドリフターズのいかりや長介が演じており、原作よりも渋くカッコ良くなっている。
海の男がいないことに嘆き壊れた船を直すことを諦めていたが、一とやり取りするうちに海の男としての気持ちがよみがえり、
船から転落しそうになった一を助けた。その後、一や美雪を助手にして船を無事修理した。

  • 赤井義和
CV:世田一恵(現:世田壱恵)/演:大隅いちろう
怪奇写真家。50代。普段は穏やかだが、怪奇方面になるとやたらと熱くなる変人。
「かつて事故死した船長の幽霊が出る」というコバルトマリン号の噂を聞き、コバルトマリン号最後の航海となる今回の航海に乗船した。
彼が船内で撮影したある写真を見た一は、犯人が使った「あるトリック」に気付くことになり、彼は偶然にも事件解決に貢献した。
ドラマ版では若返り、若手写真家という事になっている。
アニメ版では海洋雑誌記者でオリエンタル号事件の記事も書いた人物となったが、自殺しようとした時原の写真を執拗に撮ろうとするなど
一から「最低のジャーナリスト」と呼ばれるほどの悪辣な人物にされる。
犯人に記事を書いた張本人と判明後、犯人に崖から突き落とされ、最後(4番目)の犠牲者になった。
原作、ドラマ版では最後まで生存したが、アニメ版では殺害された唯一の人物 (死に方を「殺害」以外の物まで適用するとすれば、明智少年 最初の事件の和島も原作では生存するが、アニメでは死亡している。他にも、オペラ座館殺人事件の神矢も原作では生存していたが、アニメでは有森と立場を入れ替えられたため、最終的には死亡している)。

  • 大沢貴志
CV:沖田蒼樹/演:伊藤高史
大学生と偽っているフリーター。26歳。
美雪にナンパして、そばにいた剣持を父、一を なぜか弟と間違えて 2人の反感を買った(どう見ても一が美雪の弟には見えないと思うが)その後は美雪には目もくれず、朱美・優の女子高生2人組を相手にしていた。アニメ版では、美雪に声をかける際、後述の吉田もいた。
ドラマ版では掃除係のバイトをしているが…

  • 飯島優
ちょっと老け顔の女子高生。
ある悩みがあるらしく、現在不登校しているらしい。
「ある人物」を探しに乗船したそうだが…

  • 美里朱美
少々ケバ…化粧が濃いコギャル系の女子高生。優の友達で、愛称は「アッケ」。
物腰こそ軽いが、優を気遣う友達想いの性格。
とはいえ、友人の優やナンパ男以外の他人には、あまり友好的な態度をとらない。
劇中ポロリ寸前の姿を披露してしまった。

  • ナカムラ・イチロウ
謎の乗船客。何故かマスクとサングラスで顔を隠し、部屋から全く出て来ない。
その正体は近藤という凶悪殺人鬼であり、その容貌はまさに凶悪。
殺人事件の真相を暴く直前で正体を現し、水崎ら乗組員を人質にとって逃げ出してしまう…

  • 吉田明(アニメオリジナル)
CV:千葉一伸
長髪の男性。大沢と一緒に時原をナンパするが断られる。
ボーイスカウトに所属したことがあり、若王子のモールス信号の遺書を読むことができた。
しかし、中盤辺りから「幽霊船長」の存在に怯え始める。
自分の乗っている船の中で次々と人が殺されていくのだから怯えるのも無理は無いか。

  • 時原優(アニメオリジナル)
CV:岩井由希子(現:岩居由希子)
寂しい雰囲気を感じさせる女性。ある目的を持ってコバルトマリン号に乗船する。
若王子殺害後、船から飛び降りるが、水崎に助けられ一命をとりとめる。

【その他】
  • 鹿島伸吾
演:森次晃嗣
故人。オリエンタル号と衝突したタンカー・竜王丸の船長だった。
彼が航海中にひどく飲酒していたことが、事故の原因とされているが…
ドラマ版では我らがウルトラセブンこと森次晃嗣が演じていた。

実はコックや雑用等の船員のモブの存在が、水崎や大槻の説明や洋子の行動からいる事が確認できる。小説版によれば総勢12人…やっぱり少ない。
ちなみに、船の規模から見て、明らかに航海法から人数が足りてないと言う。

【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
商店街の福引で大当たりを当ててコバルトマリン号に乗船。
劇中何度も腹痛を起こしてしまう(食い過ぎ)が、それが事件解決のヒントになった。
アニメ版で彼が見た、船中に一人残され、その後彼の目の前で鷹守がドロドロに溶けていく夢は ガチで怖い
アニメ版では映画「タイタニック」のモノマネを披露した。

毎度おなじみヒロイン。
一に誘われて乗船。
挿絵ではかなりセクシーなドレス姿を披露した。

  • 剣持警部
毎度おなじみオッサン。
結婚十五周年記念旅行で乗船。
本来ならもっとランクが上の沖縄旅行のはずが、スリにお金をスラれてしまった。だがそれが思わぬ結果を招くことに。
アニメ版では大沢と吉田から「美雪と一の父親」と間違えられた。

  • 剣持和枝
演:笛吹雅子
剣持警部の美人な奥さん。
事件に直接絡んだのは今回が初。その後はちょくちょく登場するようになる。

【用語】
  • コバルトマリン号
今回事件の舞台となった船。半分は貨物船になっている。一たちが乗船したのを最後に、引退する予定。
一たちは当初剣持から豪華客船と聞いていたが、剣持が予約したのが格安クルーズのこの船だと知り怒った。
外見はボロの旧式船だが内装はかなりゴージャスで現役時代は文字通りの豪華客船だった。
かつて事故死した船長の幽霊が出るという噂があり、実際に「誰もいないはずの船」が動いている( 実は犯人があるトリックの予行演習を行っていた )のを
何人かが目撃しているという。
ドラマ版では 「ロイヤルウイング号」 という名前で、オリエンタル号と同一の船だったという設定になっている。

  • オリエンタル号
三年前にタンカーとの衝突事故で沈没した、3万トン級の超大型客船。
ハイテク装備を満載した当時最新鋭の豪華客船で、その巨体に似合わずごく少数の人員で操船可能であったという。
日本有数の海運会社である東亜オリエント海運の看板客船となる予定だったが、処女航海にて衝突事故を起こし沈没した。
この事故は百人以上の犠牲者を出し、殺人鬼ジェイソン誕生のきっかけとなった。
若王子の心情描写によると、上述の「少数での操船が可能」故に 人員を削り過ぎたせいで当日に人数が足りずに登録していない人員で補充していた
言う本末転倒な内部事情だった。

  • 竜王丸
オリエンタル号と衝突したタンカー(ドラマでは貨物船)。
積載されていた原油により大火災が起きたため、船長も含めて、乗務員は加納を除いた全員が死亡した。
事故の原因は竜王丸船長の過失によるものらしいが…






【以下、事件の真相…更なるネタバレにご注意下さい。】













憎かったわ、胸が張り裂けるほど、あいつらが!

何百回殺しても飽きたらないぐらいに!!






  • 香取洋子
この事件の犯人 「幽霊船長(ゴーストキャプテン)」
本名:鹿島洋子。オリエンタル号と衝突事故を起こした竜王丸の船長・鹿島伸吾の一人娘(香取は死んだ母の姓)。本性は蓮っ葉な喋り方をする女性。
事故当時、些細なことから父と仲違いし家出中であった洋子は、オリエンタル号の事故を知って自宅へと向かうが、
多数の犠牲者を出した衝突事故の責任が父にあるとされたことから自宅は凄まじい嫌がらせ行為に晒されており
慣れ親しんだ我が家へ帰ることさえできなくなってしまった。
父の罪の重さに打ちひしがれていた洋子だが、事故から数か月後に訪れた海岸で偶然漂着していた父親の鞄を発見する。
鞄の中に入っていた航海日誌には、父が少しでも洋子と一緒に過ごすために船乗りを引退しようと決意していたということが書かれていた。
初めて知った父の真意に、洋子は家出してしまったことを心底後悔するが、最後のページに書きなぐられていた事故時の様子から、
事故の原因が父の過失ではないことや、明らかにオリエンタル号の操船に問題があったことも知ってしまう。
そしてオリエンタル号の関係者を調べ、鷹守たちが父親に全ての罪を擦りつけたことを確信し、彼らに対する復讐を計画したのであった。
彼女が復讐を決意した背景には、裁判が終了後に遺品を入手し、真実を知ったもののその事実を明らかにするには
父の汚名を晴らせる飲酒していなかった証拠=父の遺体が海の藻屑となって検死解剖が不可能であり、加納が証言を覆すはずもないと言う事情による。

鷹守たちの死が殺人事件として捜査されれば鹿島伸吾の娘である自分に疑いがかかると考え、霊が出るという噂のあるコバルトマリン号を舞台に、
当初は鷹守たちの死体を海に捨ててマリー・セレスト号よろしく『謎の失踪事件』として始末するつもりだった。
未明の内に外部との連絡をするための電話をすべて破壊。
船内のブレーカーを切ったり入れたりすることで、遠隔操作で船長室の朝食ができるようにした。
また痕跡を残さずに殺せるよう殺虫剤から高濃度のニコチン毒を抽出し、それをコルクに刺した針に塗った特製の凶器を用意していた。
このように事前には周到な準備をしていたものの、いざ本番という時に…

  • 最初のターゲットである鷹守をうっかり起こしてしまう→そのせいで凶器の毒針を床に落としてしまう(部屋が暗いため自爆の危険性があり迂闊に拾えない)
  • 咄嗟に果物ナイフで殺したものの動揺していたため死体と共にナイフも捨ててしまう→そのせいで凶器がナイフだとばれてしまう
  • 電灯をつけて血痕を拭いた際にスイッチの裏の血痕を見逃してしまう→そのせいで殺人事件だとばれてしまう

などの小さなミスを重ねてしまった事で一と剣持による正式な捜査を許してしまう。
その後は万が一に備えて用意しておいた「水崎が狙われたように見せかけた上で加納を殺し、全ての罪を若王子に着せて殺す」という別案を実行したが、
モールス信号による遺書ではやはり一をごまかす事は出来ず、最終的には全ての謎を解かれてしまった。
なお鷹守殺害時以外にもナカムラ・イチロウと一たちの演技に騙されて焙り出されてしまう等、彼女には所々にミスが見受けられる。
もっとも人を殺すなんて大それた事をするのだから、それくらいミスがあっても当然と言えよう。
一が初日の夕食の立食パーティーで食べすぎて腹を壊したのを水崎の部屋で手当てをする際、
ホットミルクを自分の部屋で作れず(彼女の部屋が船長室と共通のブレーカーを使っており、停電中だったため)、
わざわざ遠くの厨房で作ったことから一に電気トリックを見破られる。

鷹守たちに近付くために水崎を利用していたが、その愛は本物であった。
彼がオリエンタル号の補充船員であった事実を知らされた際には大きなショックを受け、
唄を口ずさむ事で水崎の話を拒絶しようとしていた(アニメ版ではただショックを受けるのみ)。
逮捕後は、オリエンタル号の事件の真相が明らかになった事などからマスコミからは一転して悲劇のヒロインとして扱われ、
同情的な意見が寄せられているらしい
面会に来た一から水崎の意志を伝えられ、水崎と獄中婚約した。
なお、アニメ版では一が面会をするのはこれが初めてである。

ちなみに、コバルトマリン号が夜勝手に動いているという噂は本当だが、実は彼女が操舵していた。子供の頃に父親から操船を習っていたが、コバルトマリン号のような大きな船は自信が無かったため、本番前に練習していたのだった。

余談ではあるが彼女の偽名「香取」は本名「鹿島」と共に旧日本海軍において練習巡洋艦の船名にもなっている。


  • 鷹守郷三
オリエンタル号と竜王丸の衝突事故を起こした 全ての元凶
オリエンタル号事故以前は次期重役と言われる実力者であったが、出世を重ねる若王子を当時から煙たがっていた。
オリエンタル号の船上パーティーが船舶関係の名士たちに顔を売るチャンスであることから、
船長という立場を利用して若王子の派閥をパーティーから締め出そうとした結果、彼らのボイコットを誘発し、
操舵室を 無人にする という前代未聞の事態を引き起こすことになった。
オリエンタル号と竜王丸の衝突原因は、オリエンタル号の自動操縦システムが事前にインプットされていた暗礁を避けようとした結果、
「向かい合う船舶同士が接近した場合、双方が右舷に舵を切り衝突を回避する」という航海法の規定と反対方向に舵を切ってしまい、
その後も適切な航路修正ができなかったことである。
さらに竜王丸からの警告灯を察知すべき「監視係」を監視台からパーティー会場へ連れ出したことが、衝突まで対応出来ず事故の決定的な原因となった。
もしオリエンタル号側が監視台か操舵室のどちらかにきちんと人員が残っていれば、暗礁と竜王丸の両方を回避する航路を取ることは十分に可能であり、
事故は防止できた。(アニメ版ではオリエンタル号の操舵室が無人で、竜王丸の警告があったにも関わらず対応していなかったのが原因)
はやい話、 鷹守による若王子への嫌がらせと監視係の連れ出しさえなければ、オリエンタル号沈没で多数の犠牲者が出ることも、のちに殺人鬼ジェイソンが誕生することもなかったのである。
責任を逃れるため、若王子と手を組み、竜王丸唯一の生存者である加納を買収、ウソの証言をさせて、事故の責任が鹿島船長にあるように思わせた。
年甲斐もなくくだらない嫌がらせをした結果大惨事を引き起こしておきながら、責任を他人になすりつけ、
自分はちゃっかり(船のランクこそ大幅に落ちたが)船長の地位を守り、その挙句、客の前で酒気を帯びながら愚痴をこぼしている 老害そのもの
若王子はこいつによって殺されたも同然である。
ジェイソンが本当に殺すべきだった奴である。



(あの時、思いとどまっていたら。)
(いや、せめて補助役の四等航海士だけでも、残していってたら…)

(今ごろ自分は……。)

  • 若王子幹彦
オリエンタル号事故の元凶その2。
事故時、自分の派閥の船員のほとんどが船上パーティーに出席できないような勤務シフトを割り当てられるという露骨な嫌がらせをされてしまう。
頭にきた彼は勤務をボイコットし、監視係がいないとも知らず、操舵を自動航海システムに任せて操船ブリッジを離れ、
部下と共に船上パーティーに出席しようとした。
オリエンタル号に搭載されていた最新の航海システムに対する過信もあって、「ほんの少しぐらい操舵室を離れても大丈夫だろう」とタカをくくった結果、
あの大惨事を引き起こしてしまった。
事故原因の大半が自分にあることを自覚しながら、乗客の安全も気にかけず 真っ先に救命ボートへ乗る という、
要職に就く者としてあるまじき行動をとっている。
事故後は鷹守と渋々結託し、衝突事故の責任を鹿島伸吾に擦りつけた。
ジェイソンが本当に(以下略)。
だが、三十歳で無線士から航海士に転身した話や、転身後またたく間に出世するほどの実力を有していたことから、
元々は彼も鹿島船長や水崎のように船乗りという仕事に誇りと愛着を持っていたことが窺える。
また、自分の行いのせいで大惨事が起こったということや、乗客をほったらかしにして真っ先に逃げてしまったことに対して
罪の意識を抱いており、(上記の通り)殺される直前にもそのことを思い出していた。
彼は胃潰瘍からくる胃の痛みに悩まされていたが、その要因の一つは沈没事故の責任と罪悪感からくるストレスなのは間違いないだろう。
船上パーティーの時間帯、船が暗礁の多い要注意地帯に差し掛かることを把握していながら航海システムを過信し
ボイコットに踏み切ったという点は余りに軽率であるし、事故の真相の隠蔽と鹿島船長への冤罪は許される事ではないが、
前述のような露骨な嫌がらせを受ければ立腹する気持ちも理解できなくはない。
彼の過失も相当なものだが、それが若王子が酌量される理由にはならない。
彼自身も、些細な慢心と不幸な偶然によって起きた大惨事で大きく人生を狂わされた被害者の一人であるともいえ、
自業自得とはいえ洋子から動機を告げられた後ニコチン毒のため何も言えぬまま殺されたのは哀れであった。
洋子も彼の苦しみを知っていたら、(彼女が受けた苦しみを考えれば)社会的地位を徹底的に剥奪するぐらいの復讐はやったであろうが、
命だけは奪わず生きて罪を償わせていたかもしれない。

上記のように原作での彼はまだ同情の余地がある人物として描かれたが、アニメ版では {「あんなことさえなければ(出世コースに残れた)」と責任を自覚せず
他人事のように考えていたり、また衝突事故の際にとある乗客(後述のアニメオリジナルキャラ・時原優の夫・昌樹)を殴って救命胴衣を奪い取る}など、
徹底的に悪人として描かれた。
ちなみに、彼は乗客の安全を守る船乗りの立場であり、また事故の原因は彼にあるため、救命胴衣を奪った行為は緊急避難の適用外になると思われる。

  • 加納達也
水崎を狙ったと思われていた毒針は、加納の寝過ごす病気を利用して最初から彼を狙っていたトリックだった。
彼が朝日と夕日を見間違え、「病気のせいでまた寝過ぎてしまった」と勘違いするよう、こっそり船の進行方向が真逆に変えられていたのである。 *1
竜王丸側の唯一の生存者であったため鷹守と若王子に買収され、「船長は酒を飲んで船を操縦していた」と嘘の証言をした。
病気のせいで仕事がなくて困ってた時に鹿島船長に拾ってもらったはずなのに…
とんでもない裏切り野郎である。

裁判後は買収の際の大金で豪遊していたようだが、調子に乗って株に手を出して失敗してしまい、鷹守達に泣きついてきたらしい。
病気のせいで遅刻や欠勤が多くても平気な顔をしていたのは、真相を知っているために鷹守達に便宜を図られていたからであった。
一応若王子に弱みはあったものの、それなりに世話をしていたようである。しかし、そこに恩義を感じている様子もなく、
鹿島船長もあっさり裏切ったりと人格は褒められたものではない。
上記のように 事故の原因はすべてオリエンタル号側にある ため、竜王丸の乗組員であった彼は
(真相を隠蔽した罪はあっても) 衝突事故自体に対する責任はほとんどない ので、ジェイソンの標的にはならない…だろう、多分。
また、海に投げ込まれた鷹守・若王子と異なり死体が残っているので、遺骨を墓に入れてもらえるだけましと言えばましかもしれない。
ただ、オリエンタル号事故を経験しているからか、寝坊したと錯覚した時は慌てて操舵室へ向かっている様子から、
船乗りとしての責任感や自分の病気で周りに迷惑を掛けてしまうという自覚は多少ながらあった模様。

因みに水崎を狙ったように見せかけたトリックはオリエンタル号事件と今回の事件との関係を隠そうとしたためだが、
水崎もオリエンタル号事件の関係者(しかし、水崎はある事情で名乗り出ない限り表に出る事はあり得ないのだが)であったため、
この工作はほとんど意味をなさなくなってしまった。



洋子……許してくれ!!

わたしも、あの船に乗っていたんだよ。
あの、忌まわしいオリエンタル号に!!

  • 水崎丈次
実は船員登録されていない補充船員としてオリエンタル号に乗っていた「監視係」。
鷹守に言われるがまま監視台を離れ、事故の原因を意図せず作ってしまった。
更に、船乗りという職業と海への愛着ゆえに「真実が明らかになったら自分は船乗りでいられなくなる」という恐怖に囚われてしまい、
「船乗りでいられなくなるぐらいなら卑怯者になってやる」と、鷹守たちに言われるままに口を噤んでいた。
本人は多大な罪の意識に苛まれていたが、彼が監視台から離れたことが事故の決定的な原因となってしまったため、
オリエンタル号事故の元凶その3といっていい人物であり、もし洋子がそのことを知っていたら、彼も標的にしていただろう。
ジェイソンに(以下略)
謎解きの過程で洋子の素性を知り、彼女に真実を告白し謝罪する。

事件後は真相を世間にも公表し、(この件で捜査当局に拘束された可能性があり、直接会いに行けなかったと思われ)洋子に一を通してプロポーズ。
彼女の帰りを待ち続けている。
彼女と婚約した事もそうだが、卑怯者になってまで隠し通した秘密を公開した事から、彼女の事を何より大切に思っていたことがわかる。
もし船に乗り続けることが許されるならば、どうかこれからも真っ当な航海士であってほしい。
ちなみに加納殺害時、洋子の部屋で寝ていたが、実は部屋を訪れてすぐ彼女に睡眠薬入りの飲み物を飲まされ、
目覚ましも止められてそのまま眠ってしまったとの事。

  • 赤井義和(アニメ版)
オリエンタル号の記事を書いた張本人。加納の嘘の証言をそのまま記事にした。
本人はその時は真実だと信じて書いてきたと思われるが、調子に乗って鹿島船長の嘘の名誉棄損の記事(船員に暴力など)を書いた。
そのせいで鹿島家は遺族たちから酷い嫌がらせを受ける羽目になった。それで洋子の怨みを買い、無人島で殺害された。
記事を書いたことを自ら言いださなければ殺されなかっただろうが、今回の事件をきっかけにオリエンタル号事故の真相が公表されたため、
殺害されなくても記者生命は間違いなく終わっていただろう。

  • 鹿島伸吾
洋子の父。
洋子が生まれてすぐに妻(洋子の母)を失ったこともあって、洋子がまだ幼いころは彼女を一緒に船に乗せたりしていて、
彼女は船のマスコットガール的な存在であった。
また本気で船乗りに育てるつもりだったのか、操船技術を彼女に叩きこんだりしていたらしい。
しかし洋子が成長するにつれ、親子の間にはいつしか溝ができてしまう。
だが本人もそのことを気にしており、船乗りを引退して陽子といっしょに暮らすつもりでいたのだが、最後の仕事で彼は命を落とすこととなってしまった。
何の落ち度もなかったが、鷹守たちの隠蔽工作と加納の嘘の証言によって裁判で無実の罪を着せられ、
「飲酒操船で衝突事故を起こした挙句多数の犠牲者を出した下衆野郎」という汚名を被せられてしまう。
(飲酒の事実を否定しようにも、彼の遺体は海の藻屑となり、検死解剖が不可能だった事で、加納の証言が重視されてしまった)
彼の遺した航海日誌には、衝突事故の様子が克明に記録されていた。

事件後水崎の公表により死後ながら名誉回復した。
もしも生きていれば誤解でジェイソンの標的となっていたであろう人物。ちなみにジェイソンの標的である特徴を持ち、うん やっぱりジェイソンに(ry

  • 金田一一
事件後、アフターフォローを忘れずに香取と面会。
今でも頑なに父が「復讐を遂げてほしくて日記を託した」と思っている香取を「お父さんは(日記を通して)あんたに知ってほしかっただけだ。自分の気持ちを」と
否定したが、水崎の託した婚約指輪を届けるなどと言った愛のキューピッド的な役割を担った。

なお、この事件で初めてマスコミなどには一の活躍が伏せられ、剣持警部の手柄とされている事が正式に明らかとなった。
一自身が面倒事が嫌いだからというのもあるが、じっちゃんは有名になった事で何度も殺されかけてるし、
同じ少年探偵は有名になりすぎて調子に乗った結果、人生を左右される大ポカを犯してしまった(彼自身もこの件は大いに反省している)為、
自分の身を守ったりする為には賢明な判断と言えるだろう。

  • 七瀬美雪
事件後、剣持夫人とともに後片付けをしているが、その際、一について 「もし10年後も自分があいつのそばにいられたら…きっと優しく見守ってやろう。あいつだけができる「凄いこと」に迷いなく力を発揮できるように」 と、まるで彼との将来を見据えているかのようなことを考えている。 一の幸せ者め。


【事件と関係ない真相】

  • ナカムラ・イチロウ(中村一郎)
実は殺人鬼などではなく、本業は剣持警部の部下の平巡査。
あんな怖い顔して 妻帯者であったらしく、逃げた奥さんを追いかけて、「病気で緊急入院」という大ウソをついて休暇を取り、コバルトマリン号に乗り込んだ所、上司である剣持警部と鉢合わせになってしまった。
そのため、出るに出られなくなって部屋に閉じこもっていたが、剣持に強引に事情聴取され、正体がバレてしまう。
そして、サボりを見逃してもらう代わりに犯人を焙り出すための芝居に協力し、殺人鬼を演じていた。
正体をバラした後、剣持に小突かれ、皆に謝罪。
その後は半モブ扱いでちょくちょく登場する。

  • 飯島優
実は大槻のお孫さん(大槻の娘・青子の子)。
親とうまくいっていないらしく、音信不通だった母方の祖父・大槻を頼って乗船した。
一は大槻にそのことを伝え、「いろいろと相談に乗ってあげな」といって機関室を去っていった。

  • 時原優
かつて夫・昌樹と新婚旅行でオリエンタル号に乗船。
事故の際、優は先に救命ボートに乗っていたが、甲板で避難誘導を手伝っていた昌樹は若王子に救命胴衣を奪われ、
水崎がなんとか助け出したものの、昌樹は帰らぬ人になる。
(大沢、吉田にナンパされた時に「男に捨てられたとか…」と言われたときに2人を睨んだ(もちろん、2人は特に悪意を持っていた訳ではないが)。)
その復讐に若王子を殺害しようとするが結局は未遂に終わる。
ファイル1前半で若王子を後ろから襲おうとしていたシーンがそれで、その直後CMに入ったが、
後半で若王子が普通にしている姿を見て、驚いた人もいたのではないだろうか?
若王子が(本当は殺人だが)自殺した後、もう生きる理由がないということで飛び込み自殺しようとするが水崎に助け出される。
水崎が罪の意識に苦しんでいる時に、2度も命をかけて人助けをしてくれたと言って彼をかばった。


◇原作との違い

【ドラマ版】
  • 事件の舞台となった船の名前をロイヤルウイング号に変更
  • 怪人名を「幽霊船長(ゴーストキャプテン)」から「幽霊船長(ゆうれいせんちょう)」に変更。
  • 美里朱美、飯島優は登場しない。代役としてミス研部員の女の子二人が乗船。
  • オリエンタル号と竜王丸の衝突は5年前に起こった出来事に変更。
  • 加納と若王子が殺害される順番を変更。
  • 中村一朗の代役としてドラマ版オリジナルキャラ、ワラガイ刑事(演:ふかわりょう)が登場。
  • 中盤、エンジンが故障して丸一日漂流してしまう。
  • その中で大沢が恐怖のあまり暴走してしまい、洋子を人質に逃げ出そうとしてしまう。
  • 鷹守と若王子は対立していない。
  • 洋子の自宅への嫌がらせシーンがカット。
  • 一が映画「タイタニック」のワンシーンのマネをやっている。このシーンを美雪に見られてしまい、からかわれた。
  • 一が洋子に惚れているという設定になっている。
  • 一がタオル一枚で船内をうろつき、洋子に全裸を見られるシーンが追加。
  • 剣持和枝が登場するが、剣持がケチったという理由で船には乗らない。
  • 部屋のブレーカーの電源が4つの部屋で一つから2つの部屋で一つに変更。

【アニメ版】
  • ドラマ版同様怪人名を「幽霊船長(ゴーストキャプテン)」から「幽霊船長(ゆうれいせんちょう)」に変更。
  • 剣持和枝、中村一郎、美里朱美、飯島優は登場しない。そのため、犯人を暴くための演技は大槻が担当。
  • 金田一達が船に乗るまでの経緯を、「剣持に旅行に誘われた」事に変更。
  • アニメオリジナルキャラとして時原優、吉田明が登場。
  • 行き先を小笠原諸島から沖縄に変更。
  • 剣持が目玉焼きの焼き加減を見て正確な時刻を答えている。
  • 一度無人島に漂着し、そこから引き返す迄の描写を追加。その過程で赤井が殺害される。
  • 洋子はオリエンタル号事故の際家出をしておらず、嫌がらせを受ける家の中で父の遺影を抱きながら悲しみと怒りに身を震わせるシーンがある。
  • 航海日誌のシーンはカット。それに伴い、洋子が真相を知ったのが加納と酒場で飲み交わした時に変更。自分が鹿島船長の娘ということを隠していた。
  • 若王子の死因が洋子から渡された毒入りビールによる毒殺に変更。


ちなみ、この作品のアニメ版、ファイル1からファイル4まであったのだが、何と ファイル2の前にファイル3を放送してしまう という、テレビアニメとしては信じられないミスを犯している。
その後ファイル2放送時に、謝罪の字幕が出た後、ファイル3が次週に改めて放送し直された。
つまり、この事件のファイル3は、 本編を2回放送する という結果になった。


船長は酒を飲みながら、追記・修正していましたよ。

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