エンヴィー(鋼の錬金術師)

登録日:2010/04/25(日) 22:57:54
更新日:2024/02/08 Thu 07:48:09
所要時間:約 5 分で読めます




鋼の錬金術師』の登場キャラ。
声:山口眞弓(03)、高山みなみ(FA)
演:本郷奏多(実写映画)、平松來馬(舞台)

ここでは原作及びアニメ2009年版に加え、設定が大きく異なる2003年版アニメでの設定についても記述する。
勝手にメイン記述を書き換え原作についての記述をカットしその上大量の余白で後ろに下げる編集は自重してください。2003年版アニメについてのみ記述したい場合、新しく項目を作成してください


「嫉妬」の名を持ち、4番目に造られたホムンクルス。
第二巻で初登場する敵キャラクターであり、
左脚の太腿にウロボロスの刺青を持つ。

ヘアバンドで持ち上げてなお、腰まで伸びたとても長い黒髪が特徴的で、自称「若くてかわいい」中性的な顔立ち。
ヘソ出しノースリーブにスパッツ、腰布(巻きスカート?)に手袋と靴下のみというかなり露出度の高い衣装を着用している。
エンヴィーに限らず原作では登場人物の身長などの数値はほとんど公開されていないが、2009年版アニメでのキャラクター表では髪込みで初期エドより高くウィンリィより低い150cm後半、頭の部分を抜き出して計測すると155cm前後となっている。
瞳の色は原作では赤*1、FAでは青紫色。


ムキムキムチムチが大半を占める本作には珍しく、身体はかなり小柄でスレンダー…という設定ではあるようなのだが…物語が進む毎にどんどん目つきが鋭く、ガタイが良くなっていく。

作者はどうせ変身するから特に考えずに描いていたと実写記念の特番でぶっちゃけている…いいのかそれで。
一応作中ではアルやバリーに「長い黒髪の細身の人」や「ちょっと骨っぽそうで体も小さい(から斬りごたえなさそう)」と形容されているので設定としては残っているようだが。

とあるエピソードの直後に描かれたイラストでは本編終盤に比べると穏やかな目つきになっており、この事については作者は意図せずそうなってしまい描き直しに苦労したと画集のコメントで語っている。


一見愛嬌のあるひょうきん者に見えるものの、その本性は陰険かつ残忍。他者を見下し煽るのが好きな一方で自分が見下されたり馬鹿にされることには非常に敏感で、特に本性の醜さを突かれると激昂し冷静な判断が出来なくなるという弱点が存在する。
水の分解から粉塵爆発を連想できる程度には頭は悪くないはずだが、人間を見下し切っているのか、あるいは嫉妬心を抑えきれないのかノープランで無謀な行動に出ることもままある。
またプライドに叱責される通りに大雑把でガサツな性分も見受けられ、妙に素直なところもあるのか自分の知らない情報は敵の言葉であっても信じてしまう*2為、参謀やリーダーには全く向かないと思われる。
一方で、エドとのコミカルなやり取りに呆れつつも逐一ツッコミを入れたり、ラースの色恋沙汰に子供のように首を突っ込んで助言したりデートを尾行する茶目っ気や、
エドに協力を仰がれたときには大人しく言う事を聞く律儀さなども持ち合わせている。
伏線なのか、マルコーや傷の男がヨキを一斉に見捨てたふりをした*3時には見捨てられたヨキと同じくらいの強いショックを受けている描写もある。


一人称を使う事はほとんどなく、自分の事は「このエンヴィー(様)」」と呼ぶ(ただし特殊な言い回しで、このディオだァーッ!に近い便宜上の一人称だと思われる)。
性別は原作ではあくまで非公開で、2009年版アニメと実写版の設定画やパンフレットでは性別は不明とされているが2003年版アニメを筆頭に各メディア展開では男性とされることが多い。

この設定は、原作においてエンヴィーを形容する時誰も男女を確定させる言い方をしない*4事が徹底されていたり、公式ファンブックであるハガレン研究所DX(当時開示されていなかった他の設定もこの書籍で仄めかされている。比べてみると面白いのでぜひ読んでみよう)において読者からの質問コーナーで本人が回答するという体の企画の際、直球で性別を聞かれた時に一切答えず「さあね〜。」と濁した事に起因する。
「〜だぜ」というような男性的な口調、語尾も原作では一切使用しない*5
後述の本性からして性別を気にする事自体野暮な気もするが…


ホムンクルスとしての固有能力は、外見を自在に変えられること*6
初登場ではラストに刺殺されたはずのコーネロの姿で現れ、早期に騒動を鎮圧した東方軍を追い払ってリオール全体に暴動を広め血の紋を刻んだ。

人間や犬、馬などの動物はおろか武器などの無生物にも姿を変えられ、更にはどの程度まで体を変化させるかまでも自由自在(リンとの戦闘時には左腕を鎌、右腕を蛇にそれぞれ変身させている)だが、自身の視覚情報を頼りに変身しているのでミスが生じることもある。
ロス少尉に化けた際は暗所で遭遇したからなのか泣きぼくろの存在を失念しており、それがきっかけでヒューズに偽物だと看破された。

軍将校になりすまし、「イシュヴァール殲滅戦」の"引き金を引いた"張本人。
本編でも上記の「リオールの内乱」を起こし、マース・ヒューズを妻の姿で殺害し…と、ホムンクルスの中ではラストと並んで計画遂行の実行役を担うことが多い。
それだけ変身能力が有用ということでもある。
暗殺や奇襲も得意分野だが普段から人間を舐めきっているので、ふとしたことでボロを出したり過信の隙をつかれるなどして足をすくわれることも多い。
しれっと木の幹を蹴って空中移動したり、片腕が塞がった状態で大総統と切り結んで五体満足で生還したリンの剣技を、素手で捌きながらカウンターを仕込むなど、本人の戦闘能力自体は高いようなのだが…


普段の姿も変身した姿で、本来の姿は賢者の石を構成するクセルクセス人が全身から表出した四本腕・四本足で緑色の皮膚や鱗に覆われた巨大な爬虫類のような化け物
長い黒髪だけはそのままで、ヘアバンドで雑にまとめられている時よりつややかなのが却って不気味である。

噴出しては零れ落ちていくクセルクセス人達は完全に狂気に陥って意思疎通が不可能な者、未だ苦痛を訴え続け死を望む者、引き離された家族を求め嘆く者、生者を妬み共に狂う事を望む者、理性を保っている者と様々であり、甘さの残るエドだけでなくリンの心まで惑わせた。
叩きのめしたエドを丸呑みにする直前、この姿を見たエドはキメラに成り果てたニーナ・タッカーを回想した。実際にシルエットはそっくりであり、狙ってデザインしたものと思われる。

また、この後に語られる「重なる二体の竜は雌雄同体を表し、雌雄同体は完全な存在である神を表す(要約)」という設定から、エンヴィーもまたグラトニーと同じく神や真理を作ろうとした際の失敗作説がファンの間でまことしやかに囁かれているものの、詳細は不明。あくまで非公式な考察である。

この姿にコンプレックスを抱いているらしく、グリードに「不細工」と言われた際には激しい怒りを見せた。
また、変身しても体重は変化しないので人型の時でも高所から着地したり尻餅をつくと地面が大きく陥没する。
原作では乗り込んだ車体が凹んでいるが、普通に運転できているので意外と軽いのかもしれない。2009年版アニメではエレベーターにまで乗っている…


中盤の出番の半分近くを削られた事が大きいのか、原作と2009年版アニメでは同じ状況にあっても反応の違うシーンが他のキャラに比べてかなり多く、特にエドの全裸を見た時や生死不明の状況を聞いた時の反応は原作と真逆。
石鹸を踏んで転んだ*7と言い張るエドに呆れる原作とは違ってアニメでは思わず絶句したり、炭鉱の崩落の後行方不明になっていたエドに対しアル達と行動していたという想像が外れ、本気で困惑していた原作に対しアニメでは(人柱確定なのだから本当に死んでいたら困るのに)焦る周囲を「生きてるかなぁ〜」と煽っている。「エドを『クソみたいなガキ』だと思っている」という印象を深める為だろうか?

ブルーレイ初回特典のホムンクルス声優陣のラジオ風CD「グリリンラジオ」では第2回でスロウスと共に登場。日本人なら必ず一度は声を聞いた事があるであろう中の人のゆるふわっぷりのギャップに驚いた視聴者は少なくないのではないだろうか。
ちなみにアフレコスタジオは麻布十番だったとの事。


人間関係
お父様」には忠実で、話しかけられたり行動をともにする時には鼻歌を歌ったり、計画の失敗どころか部屋が壊されるなどという僅かにでも父の不利益になる事態を阻止する為に捨て身の行動に出るほどに献身的*8だが、計画の範囲内なら命令にない非道な演出も行う。
他者を軽んじており、とりわけ人間を軽蔑する姿勢はホムンクルスの中でも顕著で、
同じホムンクルスでも末弟で人間ベースのラースをガキと呼び見下している節がある。
ただし頼まれた時には承ったり、「お父さま」がラースの意見を採用した時には不服な内容でも黙って引き下がったりと、ホムンクルスとして認めていないわけではないようだ。

ラスト、グラトニーと特に仲が良いらしく、物語中盤はグラトニーが造り直されるまでラストを亡くした彼と行動を共にしており、ラストの次に慕われていた。

ヘソや太腿が大きく露出した前述の衣装は他のホムンクルスと違い自分の変身能力で作ったものであるらしく、グリードには悪趣味だと笑われている。

エドのことを「鋼のおチビさん」と呼ぶ。そう呼ぶ事で話が拗れそうな際には自重するようだが、低身長弄りが地雷のエドにキレられて殴りかかられても懲りずに呼び続ける。ガンガン編集部によるとエドの事をチビと呼んだ回数は堂々一位。

おまけ四コマでは少ない出番のうちにラストを「おばはん」呼ばわりして半殺しの目に遭ったり、調子に乗って煽り散らかしていたらマルコーにキスされ泣き喚いて悶絶したり、妙に落ち着いた大佐にピンポイントに嫌な位置を燃やされてアフロにケツ丸出し状態で号泣しながら土下座するなど、プライドやキンブリーほどハードプレイな状況に立たされるわけではないものの、結構不遇な扱いが多い。


以下終盤のネタバレ












傷の男(スカー)やマルコー達の策略で中央から北部へ誘き出され、交戦の末に散々いたぶり蔑んできたマルコーに賢者の石を破壊されて敗北。
シン国皇帝への献上品としてシン国へ戻ろうとするメイを唆して中央へ向かう。

中央に戻った後、閉じ込められていた瓶の蓋を根性で開け*9、不死の兵を自身に取り込んで元の姿に戻る。
そこで偶然エドやロイ・マスタングと接触。
ロイに(若干子供じみた言い草で)問い詰められ、彼らの前で自身がヒューズを殺した真犯人である事を彼の妻のグレイシアに変身しその卑劣な手口ごと明かしたが、それがロイの逆鱗に触れる。

本性を現し巨大化するも「デカければ勝てると思ったか、バカが!」と眼球内の水分を沸騰させられたり、
ヒューズに化けて大佐のスキをつこうとするも通用しなかったり、あげくホークアイ中尉の小芝居に引っかかりやたらとコマ数を割かれ丹念にボロカスにされたり、中尉を返り討ちにする事には成功するも更に痛めつけようとした瞬間に大佐に焼かれるなど、人柱を殺す事のできないエンヴィーになす術は何も無かった。

それでも執念深く得意の口車でエド達の同士討ちを狙うも、既に憎しみを捨てていた4人には通用しなかった。
長い歴史のなか、いつだってホムンクルス達に騙され踊らされてきた愚かな人間であるはずの彼らを思い通りにできず、逆に哀れなものを見る目で見られ、長台詞の末に叫ぶエンヴィーにエドは静かに告げる。
実は彼(彼女)が本当に『嫉妬』していたのは人間であった。
「クソの中でも更にクソみたいなガキ」であるエドにその事を理解され、直前までしぶとく狙っていたエドの体を乗っ取るチャンスを捨て*10、全身の骨が砕け散り、直接手を下さずとももう永くない芋虫のような体を引き摺りながら、核である賢者の石を自ら握り潰し、自死
死に際にはエドのことを常々呼び続けていた「鋼のおチビさん」ではなく「エドワード・エルリック」と呼び、別れを告げながら消滅した。

エドをそう呼んだのはこれが最初で最期。
作者曰く、ムカつくガキに自分を理解され本質をスパンと言い当てられたことで、長年の苦悩と絶望があっさり救われてしまった屈辱と、唯一の理解者を得た喜びがぐちゃぐちゃに入り混じった結果であり、敬意を込めて名前を認めたとの事。
前述の「とあるエピソード」とはこの退場回の事である。

その最期を看取ったロイは「卑怯者」と断じるも、やるせない表情を浮かべるのだった。



正体の正体?
体内の賢者の石の力が弱まり、真の身体を構成するクセルクセス人の魂が枯渇すると、
たとえその時の身体が真の姿であろうと変身した姿であろうと、エンヴィーの意思に関係なく強制的に8本足の小さなトカゲのような姿になる。

この状態では変身能力は使えず、他者の身体に寄生し乗っ取るくらいしかできなくなる。
人形兵を取り込んで膨れ上がる形相はなかなかホラー。


余談になるが、原作のエンヴィーの能力の描写は他のホムンクルスと違い、変身能力を使用する際には必ず赤い稲妻エフェクトが出現する。
これは賢者の石を使用した事を表す記号であり、実際に賢者の石を消費する再生能力を発揮したときには他のホムンクルスも、またキンブリーやアル、エドが賢者の石を使用した時にも同じエフェクトが走っている。
寄生能力を使った時には出現しない。
他のホムンクルスが死の間際まで能力を行使できているのに対し、エンヴィーは弱体化した時には変身能力は使えないため、変身能力は賢者の石を使ったなんらかの(ホムンクルスは錬金術を使えないため錬金術ではない)術であり、本当の固有能力は寄生の方であると考えられるが、結局判明はしなかった。
徹底された描写である以上は原作者の人そこまで考えてないわけではないはずなのだが…

また、7人のホムンクルスの中で唯一二つ名に相当する呼称がない。ハガモバをはじめとしたアプリゲームなどのコラボなどで登場するホムンクルスに「最強の矛」やら「はじまりの人造人間」「擬似・真理の扉」などの公式の名称*11が付かず「○○(大罪)の人造人間」と呼称されるのはこれが原因だと思われる。
後半にしか登場しない2人含め、6人分考えたのに最初期から登場する1人だけハブられるなんて事は考えにくいが、作者からのぞんざいな扱いを鑑みるとあながち間違いでもないかも…
これらの不明点が原作者から直接明かされる時はいつか来るのだろうか…来なさそうだな…




台詞集
「どうせ変身するならさぁ やっぱりムサいじいさんより──こういう若くてかわいい方がいいよね」

「その女房を刺そうっての? いい演出だろう? ヒューズ中佐」

「つけ入りやすくて助かるよ 人間」

「糞が…ニンゲン風情が見下してんじゃねえ!!」

「このエンヴィーが! 子供を打ち殺した張本人!! 気持ちよかったねあれは弾丸一発でみるみる内乱が広がっていく様は爽快だったぁ!本 当に人間ってやつは操り易い面白い生き物だ! 愉快だったよ!!」

「感情じゃなく理性で人間の定義に線を引けよ錬金術師
こいつらが人間とよべるものへと還る術はもうないんだから」

「いやだ…こんな…こんなことが…このエンヴィーが…貴様ら下等生物にやられる訳…いやだ合成獣まで…見るな…俺を…私を…ボクを…見下すなよニンゲンがああああ!!!」

「あんた達ニンゲンだって人の不幸とか愚か者が躍るのを見てるの大好きなんじゃないの? だからしょっちゅう戦争してんじゃないの?」

「バカってのはさぁ こういうテに引っかかるヒューズみたいな奴の事を言うんだよォ!!!」

「屈辱だよ………こんなボロぞーきんみたいになって…あんたらニンゲンに…クソみたいな存在にいいようにやられて…しかもよりによってそのクソの中でも更にクソみたいな…こんなガキに理解されるなんて…っ!!!屈辱の極みだよ… バイバイ エド…ワード…エルリック……」








原作と違い髪がやや緑がかっており、紫色の瞳をしている。衣服のカラーリングやディテール、背中の基盤模様の構造なども2009年版アニメとは若干異なる。毛束の細い絵柄のキャラデザ故か、微妙に身長も2009年版より大きい。
例えホムンクルス仲間相手であろうと気に入らなければ平然と暴力を振るい、息をするように無辜の市民を殺害する、傲慢で残虐非道な性格。

序盤は原作同様リオールの内乱を引き起こす役回りを担っていたが、正体もあってホムンクルス内での地位はとても高く、中盤以降はトリックスターのような立ち回りも演じる。

原作と違い生まれて7年ほどしか経っていないラストより年上だからか彼女をおばはんと呼ぶ描写はなく、代わりにラース*12が一度だけ呼んでいる。
特殊な能力は変身能力だけだが、脱走したグリードを踊るような身のこなしで翻弄したり、ステーキナイフ一本で成人男性の心臓を簡単に貫けるほどの力を有する。
怒りで錯乱状態になった時には石造りの建造物に巨大なクレーターを作るほどの怪力を見せており、その実力はエドを終始圧倒した。


ベースとなった人間はホーエンハイムとダンテの息子であり、エルリック兄弟とは腹違いの兄という関係。
ただ、ホーエンハイムは肉体を何度も変えて生き存えているので生物学的な血縁はないだろう。そもそもエンヴィー自身は息子本人ですらない。
水銀中毒で命を落としたが、ホーエンハイムによる人体錬成でホムンクルスとして蘇る…はずだったが、実際に錬成されたのは肉塊ですらない巨大な竜であり、それを見たホーエンハイムは恐れをなしてダンテの下を去った。ちなみに実在する死者をベースに作ったホムンクルスが、なぜ人とは似ても似つかぬ竜になったかは明らかにされていない。

術者の力量からか他のホムンクルスと違い生前の記憶を完全に覚えている*13ため、ホーエンハイムに捨てられた恨みから彼やその息子たちのエルリック兄弟を激しく憎んでいる。そういった意味では、まさしく「嫉妬」のホムンクルスと言える。

今の自分を個としているので自身の存在に劣等感を抱き完全な人間になりたいと願っていた他のホムンクルス達を内心見下しており、ダンテが傑作と称するプライドすらも人間もどきと罵った。
ダンテとは元親子ということに加え「人類に苦痛を刻んでいく」という利害が一致していたので彼女の計画には協力的だが、
計画の中に自身の愛憎の源であるホーエンハイムやエルリック兄弟が絡むと途端に感情的になり、命令外の行動に出る事もある。
トリシャと似た顔立ちであるアルからはエドほど憎悪を掻き立てられないのか、賢者の石と化したアルを軟禁する際には本音と思しき言葉を吐露するシーンがあった。

コロコロ表情を変える原作とは違って基本的に顔芸などはせず、余裕たっぷりに振る舞うシーンが多く一見些細な事には動じない大物に見えるが実はかなり精神的に打たれ弱く、本編終盤ではグラトニーの暴走に怯えたり、「門」が消えていない事に対しワナワナ震えて動揺する事もあった。*14
ほとんど対面もしておらず、ホーエンハイムの性分や彼より愛されていたはずの腹違いの弟達の扱いから考えても生前にだって大した思い出などなかったであろうに父を何百年も恨み続けるあたり、メンタルの繊細さが窺える。


終盤、一度はエドを殺害するが最終話でアル(=賢者の石)自身を代価に復活したエドから
ホーエンハイムがダンテによって『門』の先に飛ばされたことを知ると、真の姿であるウロボロスの化身・リヴァイアサンに戻り、変身能力を対価にして自身も『門』を通って後を追う。

作中では「元の姿なんて忘れた」と言っていたがエドを殺害する時と『門』を通る時に一瞬だけホーエンハイムに似た顔立ちの青年の顔に変化している。
この顔が生前の姿である可能性も完全に否定はできないが、肉体を入れ替えて生きて来たホーエンハイムの現在の体は確実に400年前とは異なるので、エドを惑わし自分たちの父の罪を突き付けるために彼に酷似した姿と声に偽装したと解釈する方が自然である。じゃあなんで誰も見てないのに門を通る時にその顔に変化したかって?さぁ…

劇場版では変身能力を対価に『門』を突破した為、リヴァイアサンの姿のままであった。
未だにエドへの憎悪の念は抱いており、対面時は問答無用で彼に襲いかかった。
派手に暴れたせいでロンギヌスの槍(実際にはただの石槍である)を装備したトゥーレ協会に捕獲され、最期はホーエンハイムと共に『門』を開く材料にされて、死滅する。
皮肉にも本編で執拗に甚振り見下していたラースとは、同じ状況ながら正反対の結末を辿った。
シナリオブックによるとこの時協会に拷問を受けた事で精神が崩壊*15しており、何もかもを捨てて追い求めたホーエンハイムに化け物と言い捨てられ、弟の帰り道の為だけに殺される時すら、それを理解する事は出来ていなかったようだ…

イキってはいろんな人にボコられ、情けない姿さえ晒しながらも、最期には唯一欲しかったものを手に入れ自ら舞台を降りた原作エンヴィーと、いろんな人をボコり圧倒的上の立場からやりたい放題で常に余裕の態度を示していたものの、最期には唯一欲しかったものに拒絶された事すらわからず、降って湧いたような黒幕に命を使い捨てられてしまう彼の末路は対照的である。



裏鋼と劇場版のDVD特典ではまさかの萌えキャラに…
お祭り格ゲーである「ドリームカーニバル」ではチョコレートパフェが好きという一面も見せた。

USJコラボの特典映像『七大ホムンクルスVS錬金術師軍団』ではウィンリィに化け、騙したグリードをぶん回して壁にめり込ませているなどやりたい放題である。


台詞集(2003年アニメ版)

「オマエなんかあの人が生かしておけって言ったから生かされてるだけなんだよ! オマエだけは許せない、オマエだけは本当に許せない、アイツの血を受けたオマエだけは!!」

「誰にも造られたりしちゃいない! 俺達は生まれたんだ!」

「見たかったのさ。鋼の…あのクソ野郎の子供の顔が恐怖に引き攣るのをね」

「見たいな…アイツらが目の前で賢者の石を取り上げられる顔を…全てを失う顔を」

「そうさ死んだんだ。どいつもこいつも、そして人造人間だけが生き残る!」

「ホーエンハイムに会う! 僕が奴を殺す!」

「僕は行くんだ! ホーエンハイムのところへ…アイツのところに…父さんの所に!!!」


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最終更新:2024年02月08日 07:48

*1 イラストによっては紫や黒、ピンクの時もあって安定しない

*2 「地雷式錬金術」や消息不明の人物の行方、マスタングとホークアイの恋愛関係など、よほどありえないものでない限りは疑わず純粋に信じ込んでいる

*3 なおマルコー以外は本当に見捨てている

*4 普通なら「小僧」「小娘」と呼ばれそうなものを「小童」と呼ばれたり、前述のアルの形容も黒髪の長い…と、その後に「男」や「女」と続ける事を躊躇うようなセリフ回しがされている

*5 FAでは数回使っている

*6 接触した肉体に寄生し、人に限定せず相手の体を乗っ取る能力も持っているが、滅多に使用しないので詳細がわからず、プライドやグリードも局所的な状況とはいえ似た芸当をしているので固有の能力とは断定できない

*7 実際にはメイがアルの鎧の中にいると知って騒いだ

*8 これらの父に従順な描写はFAではほとんど削除されている

*9 アニメでは混戦の最中に不死の兵に瓶ごと食べられた

*10 この時エドは捨て身で脱出しようとするエンヴィーに対しうっかり生身である左手を差し出してしまっていたが、それを乗っ取らず噛み付く事で地べたに放り出される事を選んだ

*11 原作ではサブタイトルやキャラクターの二つ名が「○○の○○」という文面になるという法則性がある

*12 ただし、彼も生み出された時期はラストより先

*13 と本人は認識しているが、前述の通り実在人物をベースに錬成した生物が竜になるとは考えられず、また生前の彼は不自然なまでに存在すら描写されていないので、バリーがアルに言ったように「ホーエンハイムの息子」として都合のいい偽物の記憶を植え付けられた可能性も考えられる

*14 奇しくも原作でも、似たような状況に立たされ平然と対応するシーンがアニメ放映後に描かれている

*15 よくよくセリフを聞いてみると実はエドとの会話は一切成立していない