丼もの

登録日:2012/04/12(木) 23:48:28
更新日:2021/07/23 Fri 01:27:32
所要時間:約 7 分で読めます




丼ものとは丼容器、もしくは普通の飯茶碗に具材を乗せた料理。
様々な種類があり大抵は「○○丼」と呼称される。

歴史に初めて「丼」という呼び名が登場するのは江戸時代。
現在で言うファストフード的な飲食店だった「一杯飯屋」・「一膳飯屋」という店があり、
そこではその名の通り基本的に飯のお代わりを認めず、茶碗一杯のみの飯でオカズを食べなければならなかったと言う。
これを不満に思った客達の要望により、茶碗一杯辺りを大きくしたと言う。

この一杯飯屋は、お代わりを認めないことから、「つっけんどん(ケチ)屋」と呼ばれており、そのでかい茶碗は「つっけんどん振り茶碗」と呼ばれていた。
これが段々と縮まり、「どんぶり」になったのだとされる。

その後、鰻の蒲焼きを載せた鰻丼が誕生すると、「どんぶり」とはすなわち「鰻丼」だとする風潮が広まった。
だが、明治時代になってから牛鍋の残りを卵でとじて乗せた、牛丼の原型となる「開化丼」の誕生を皮切りに、おなじく卵とじからの派生である親子丼、カツ丼が登場するなどして、やがて丼のバリエーションは日本中で発生するに至ったのだった。

「米の飯の上に食材をのせた料理」はアジア各国に存在するが、それらと丼とは大きな違いがある。それは「かき混ぜない」こと。
元来、飯にオカズを載せることを下品な行為と見なしていた日本人は、更にそれを「かき混ぜる」行為には自然と抵抗があったのだ。
が、諸外国においてはそういった概念が無いため、むしろかき混ぜることが前提の味付けをされている点が、日本の丼との大きな違いなのだ。

機会があれば、日本人以外のアジア人に丼料理をごちそうしよう。
何も教えなければ高確率でかき混ぜ始める筈だ。
アジア人以外にヨーロッパ系の人たちにも丼料理をごちそうしよう。
こちらはほとんどの確率で上の具を全部食べてから、下のご飯を食べる筈だ。

ちなみに「~丼」だと「どん」と読むのが基本的だが、「丼」(どんぶり)自体は「どん」とは本来は読まない
まぁ、最近混ざっている気もするが、「丼ぶり」の使用はさすがにやめておいた方がいいと思う。



■種類


◆鰻丼
蒲焼きしたを載せた、丼のパイオニア。
関東と関西で作り方が違い、前者は一旦焼いた鰻を蒸し、皮と脂のトロリととろける感触が味わえる。
後者はそのまま焼くので、パリッとした焼き魚の風情が楽しめる。

親子丼
ダシ醤油で煮込んだ鶏肉を卵とじにしたもの。
また、鮭といくらを用いたものも「海鮮親子丼」などという呼び名で供される。
詳しくは項目参照。

カツ丼
切り分けた豚カツを出汁と卵でとじたしたものが一般的だが、ソース味などバリエーション豊富。
詳しくは項目参照。

牛丼
甘辛いツユに牛肉、玉ねぎの組み合わせが定番。すき焼き丼は亜種。
詳しくは項目参照。

◆豚丼
一時期は牛丼の豚肉版だったが、北海道版の甘辛く焼いた豚肉をご飯に乗せたタイプも有名になりつつある。
北海道では市販のタレも多く、シンプルさ故に家庭料理クラスに普及しているが、店の炭火で焼いた分厚い肉も否定できない魅力を放つ。

◆ウニ丼
北海道発祥だが、ウニが獲れる地域なら全国で食べられる。
生ウニをたっぷり載せ、あとは海苔が少しあるくらいで、白米とウニのみをたっぷり味わうのが本道。
ウニをケチらないのが通だが、それを味わいたけれは是非生産地へ行こう。それなりに金もかかるが、見合うだけの美味しさがそこにある。

◆海鮮丼
たまに海鮮ちらしと同一視されるが、飯が酢飯ではないのが海鮮丼。
シャケやマグロ、タイ、ホタテや甘エビなどの刺身を豪快にのせ、醤油をつけながらワサビと共に飯ごとかきこもう。

◆天丼
海老や穴子、野菜の天ぷらをツユにからめてご飯にのせたもの。
カラッと揚がった天ぷらに濃い天つゆ。この濃厚さがたまらない。
海老や穴子などの単体天丼もうまーいが、かき揚げを乗せたかき揚げ丼も絶品。

カレー丼
ダシをきかせたカレーを丼にかけたもの。
詳しくは項目参照。

◆木の葉丼
かまぼこを卵とじした丼。
ごちそうを食べた胃にもすんなり入る優しい味わいである。

◆深川丼
東京都発祥。飯の上にアサリなどの貝類の味噌汁をぶっかけたもの。
貝の苦味を伴った深い味に味噌の旨味が加わり、サラサラと手軽に食べられるながらも高貴な美味しさ。

中華丼
中華料理の八宝菜をのせた丼。
詳しくは項目参照。

◆三色丼
挽き肉そぼろ+卵そぼろ+桜でんぷのコラボが嬉しい一品。
何でもない日でもなんだかめでたい気分になる。
三色を別の食材で表現した丼も少なくない。

◆麻婆丼
麻婆肉のトロミを優しく包む豆腐、そして白いご飯の仄かな甘さが引き立てる香辛料の風味が最高である。

◆ステーキ丼
できるだけ良い牛のステーキを、焼きたてのまま飯に直行。
霜降と赤身のジューシーさを内封した肉汁がご飯にからむ。
洋風仕立てにするならホースラディッシュ、あるいは和風に行くならワサビや大根おろしをのせても美味。
主にハラミを使用したものが屋台飯としてお祭りなどで出されることもある。

◆照り焼き丼
甘辛い照り焼きを豚でも鶏でも良いから美味しく仕上げてご飯へ。
甘辛い照り焼きタレがご飯に染みる。
マヨネーズをかけて更に濃厚トロリにしても良し。

◆鉄火丼
真っ赤なマグロのお刺身を醤油でヅケにし、熱いご飯と共に。ワサビはお好みで。
なお、トロ鉄火も美味いが江戸っ子にとっては邪道らしい。

◆目玉焼き丼
あつあつの半熟目玉焼きをフライパンから直接丼飯へ。
白身の上に黄身を広げ、醤油をかけて。
温められた黄身は旨味が活性化し醤油のうまさ、飯のうまさと相まって手軽ながら味わいは至高の一品。
別名ハチクマ丼。かつて食堂車の従業員向けにまかない飯として出されていた。

◆開花丼

※どっからどう見ても豚肉です

親子丼の豚肉バージョン。
他人丼とも言う。
鶏肉とはまた違った食感で美味だがマイナーなため取り扱っている店を探すのは一苦労。 
(他人丼は地方によっては、牛肉を玉子でとじる場合もある)

◆焼き鳥丼
焼き鳥を串から外し、ご飯の上に。
焼き鳥の種類は色々とあるが、やはり基本となるモモ肉が多いだろうか?
真っ白なご飯に絡む甘辛いタレとパリパリふわふわな鶏肉の食感は絶品の一言。
刻み海苔やネギを乗せれば、その旨味を何倍にも引き立ててくれる。

◆玉子丼
簡単に言えば、親子丼の鶏肉無しバージョン。
親子丼より安価に作れるため、親子丼よりこちらを好む人も。
「肉無し親子丼」と侮ることなかれ。
トロトロ半熟の卵と味わい深い出し汁、シャキシャキ新鮮な野菜の組み合わせは時に親子丼を凌駕する美味さを我々に与えてくれる。

◆たぬき丼
天かすを卵とじしたもの。たぬきの置物で有名な信楽が名物とした。
意外にコクがあって美味。家庭でも簡単にできるぞ。

◆きつね丼
関東では馴染みが無いが、関西ではたまに食卓に並ぶ。甘辛く味付けた油揚げを卵とじにしたもの。

◆いくら丼
イクラオンリー。
プチプチとした触感がたまらない。海苔をのせる人もいるが、無い方が多分美味しい。
家で作る場合はイクラで買うよりも筋子から処理して作ったほうが沢山安価で買えておいしい。

ロコモコ
ご飯の上にハンバーグと目玉焼きを乗せ、更にその上からグレイビーソースをかけた、ハワイ州の郷土料理。
日本でもロコモコ丼と呼ばれ、親しまれている。
詳しくは項目参照。

◆すた丼
東京のローカル料理。
ニンニクを強く効かせた醤油だれで甘辛く味付けした薄切りの豚焼肉をご飯に乗せたもの。この上にネギを散らし、更に生卵を乗せるのが基本となる。
元々肉体労働者向けに作られた料理であるためかなり味が濃く、ニンニクの風味も強烈に香る。
人によってはお好みで更におろしニンニクや、他にチーズキムチなんかを追加してもよい。
卵を載せない選択肢もあるが、生卵を乗せてやっと味がマイルドになる計算の味付けであるため、無いとかなり濃ゆい味になる。






追記修正は、丼を掻っ込んでからお願いします。

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最終更新:2021年07月23日 01:27