数学

登録日 :2011/08/11(木) 16:07:09
更新日 : 2017/02/22 Wed 18:27:29
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数学とは学問の一つである。

小学校では算数がこれにあたる。数学と呼ばれ始めるのは中学校に上がってから。


以下で小・中・高・大で教わる数学について記述していく。


■小学校
科目としては「算数」。自然数を最初に学ぶ。
そして足し算、引き算、掛け算、割り算、小数・分数を学ぶ。
小学校で扱う割り算には「余り」を考えるものと考えないものの2種類があるが、実はこの2つは全くの別物。
小学校で出てくる数は円周率πを除けばみな有理数なので、整数環や有理数体について学んでいるといってよいだろう。
(ただし負の数を考えないので厳密には違うが。)
分数の足し算に苦労した人も沢山いるだろう。

また小学校高学年では関数のごく特殊な例として比例・反比例を習う。比例は中学に入るとすぐ1次関数として一般化されるが、
反比例の一般化である1次分数関数が登場するのは高校になってから。

幾何では三角形、四角形や円の面積、直方体などの体積を扱う。
円の面積公式の説明はおそらく最初に触れる極限操作だろう。


■中学校
多項式や方程式を学ぶ。
多項式論では特に2次式の因数分解が大きく扱われる。
ただし、多項式における「素数」にあたる「既約多項式」の定義は扱わないので、「共通因数の2を取り出さないと×」など中学数学独特の約束がある。
方程式では1元1,2次方程式と2元1次連立方程式を扱う。2次方程式の解の表示のために平方根という新しい記号が導入される。
関数は1次関数・2次関数(1次以下の項の係数は0の特殊な形のみ)を学習する。

平面幾何では三角形の合同と相似・円、三平方の定理など。
三平方の定理は大学で学ぶユークリッドノルムへとつながる重要な定理。
空間幾何では柱体(円柱・立方体等)・錐体(円錐等)とこれらの面積・体積の求め方を学習する。
球の体積公式は登場するものの積分が使えないためかなり強引な導入がなされる。

場合の数と確率・統計の基礎を学ぶ。確率・統計の基礎は新しい学習指導要領で初めて登場。
きっと現職の先生も全く新しい内容なのであたふたしているだろうと思うが、是非とも頑張っていただきたい。

また、この辺から数学の好き嫌いが顕著に出始める。



■高校
数学1A、2B、3Cと細分される。
文系もしくはセンター試験の範囲は、普通数1A+2Bである。

各科目で習う主な事項
(指導要領により多少の差はある)


〇数学1
  • 文字式の計算
中学より複雑な多項式の展開と因数分解。

  • 2次関数(任意係数)
より一般の2次関数について。最大値・最小値や2次方程式の解の配置などを扱う。

  • 三角比
三角比「sin、cos、tan」を用いた平面幾何を扱う。この時点では定義域は[0°,180°]。
数2に進むと「三角関数」に一般化される。
また、三平方の定理を直角三角形以外にも使えるように一般化した「余弦定理」などを学ぶ。
余弦定理は実は内積空間におけるノルムの性質の特殊な場合である。


〇数学A
  • 場合の数
階乗「n! := n×(n-1)×…1」,順列「nPr」,組み合わせ「nCr」が新登場。
大学では階乗はガンマ関数、組み合わせは二項係数に一般化される。

  • 確率
上記の場合の数をフルに活用して、より難しい確率の計算。また「期待値」も学ぶ。
高校で学ぶ確率は起きうる場合が有限の場合のみだが、大学では「測度」という概念を用いて無限の場合に一般化される。

  • 論理と集合
「命題」、必要条件、十分条件、背理法などを学ぶ。また、有限集合論を学ぶ。
高校で扱う集合論は多くが元の個数を求める問題であり、大学で学ぶ集合論とはかなり趣が異なる。

  • 図形の諸性質
数学1では三角比を用いた定量的な幾何学を扱うが、こちらではもう少し定性的な幾何学を扱う。
高校だと影の薄い中線定理は、実はノルム空間が内積空間になっているか判定できる定理である。


〇数学2
  • 多項式の剰余
多項式を多項式で割り算することを学ぶ。
ここでいう割り算は逆数を掛けることではなく、あまりを考える割り算のこと。
中学校から続いた多項式についての理論はここで一旦の完結をみる。

  • 軌跡と方程式
ミラクル(奇跡)ではなくて、条件を満たす点が通過した跡(つまり軌跡)である。
また、円の方程式についても学ぶ。
大学での曲線論や曲面論に繋がる内容。

  • 複素数
虚数の登場。実数解を持たないx^2=-1という2次方程式に虚数単位iという数を考えることで解を与える。
ただし、厳密に複素数体を定義することはせず形式的な扱いのみを行う。
また、指導要領改訂により複素数平面が復活した。
大学で学ぶ複素解析という物理や工学にも応用される重要な分野につながる。

  • 三角関数
三角比の定義域をR全体に拡張する。また角度表記が度数法(°)からラジアン(rad)表記に変わる。
数1では幾何的な取扱が主だったが、数2では三角関数の加法定理や三角方程式など、解析的な取扱いが主となる。
高校では加法定理といえば三角関数の加法定理のことを指す。
三角関数の周期性はフーリエ級数の理論に繋がっていく。

  • 指数関数と対数関数
指数法則を自然に有理数に拡張し、その極限として無理数乗を定義する。
これによって得たR上の指数関数(exp)について学ぶ。また、指数関数の逆関数として対数関数(log)を学ぶ。
大学ではさらに複素数乗にまで指数関数を拡張し、複素解析では重要な役割を果たす。

  • 微分積分
関数の局所的な変化を扱うための「微分」を学ぶ。また、これの逆演算としての「積分」を学ぶ。
(ただし、本来は積分は微分の逆演算で定義されるものではない。歴史的にも「積分」という概念は微分よりずっと先に生まれている)
この段階では多項式関数に限る。


〇数学B
  • 数列
数列とは定義域がNの関数のことだが、多くの人は単に「数を並べたもの」と認識しているはず。
具体的には「等差数列」「等比数列」「階差数列」「数列の和」、および関連した話題として「数学的帰納法」を学ぶ。
等差数列の和は2次式 ~ 1次式の積分は2次式
階差数列の和は元の数列 ~ 導関数の積分は元の関数
など、微積分の内容とアナロジーが成り立つ部分が実は多い。

  • ベクトル
2,3次元ユークリッド空間のみを扱う。ベクトル空間の定義には触れず、形式的な計算を扱う。
高校では内積を<a,b> := |a||b|cosθ (θはa,bのなす角)で定義したりするが、じつはこれは内積ではなく「なす角」の定義である。
大学ではこれを一般化した線形代数学を学ぶ。

〇数学3
  • 極限
ここではε-δを用いない感覚的な極限の計算について学ぶ。
厳密な取扱いはおそらく数学科でしか扱わない。

  • 1変数実解析
極限を用いて連続関数を定義し、中間値の定理など連続関数についての基本的な定理を扱う。
また、数学2では多項式に限った微分積分を三角関数・指数関数・対数関数にも使う。
大学入試では逐次積分を用いて体積を求める問題がよく出題される。
極限や実数の定義を曖昧にしている影響で、感覚的な議論が多い。

〇数学C
指導要領改訂で削除されてしまった不憫な科目。ここでは旧課程で教えられていた内容について記述する。

  • 行列
現行課程から完全に消えた。数字を並べたもの。言葉での説明が難解。でも理解すると一番楽かも。
行列を用いた連立方程式の解法や行列のn乗、一次変換、ハミルトン・ケーリーの定理等。

  • 2次曲線
楕円、双曲線、放物線について。これらの曲線は塩水の断面に現れるため円錐曲線とも呼ばれる。
また極方程式についても学ぶ。極座標表示は変数変換の代表例であり、大学でもよく使われる。

  • 確率統計
条件付き確率・統計処理、正規分布等について学ぶ。
正規分布を扱う部分でガウス積分が登場するが、この値を求めることができるようになるのは大学に入ってから。



■大学

分野ごとに単位がわかれる。
数学科と他の学科で内容が大きく異なる。
なぜなら数学科では定理の証明ばかりなのに対し、他学科はそれを用いた計算にウェイトがあるからである。




大まかな学習内容は以下の通り。

  • 線形代数
高校で扱ったベクトルを「ベクトル空間」という概念を用いて厳密に取り扱う。
1年生の講義などでは有限次元のユークリッド空間しか扱わず、単に「行列」の扱いを学ぶだけのことも多い。
関数論は無限次元のベクトル空間を扱う学問であり、ルベーグ空間やヒルベルト空間、バナッハ空間など様々な関数空間がある。

  • 微分積分
数学2・3のさらに先といったところか。これができないと死ぬ(単位的な意味で)。
高校で直感的だった極限の概念の精密化、積分の正確な定義、更に難しい関数の積分、
高校では扱わない2変数以上の関数の偏微分・重積分、関数列の収束等やることは盛りだくさん。
数学科ではさらにルベーグ積分(上で述べてきたのは「リーマン積分」という)について学ぶ。
また、これを応用して「微分方程式」、「複素関数論」等も学ぶ。

  • その他

数学科ではこれら以外に集合論、位相空間論、多様体論、群論等も学ぶ。

大体の内容は以下の通り。

  • 集合論
現代数学の基礎と言えるだろう。
ある意味で「=」の一般化である同値関係「~」や「集合を集合で割り算」した商集合などを扱う。
また関数の一般化として「写像」を、更に有限集合の元の個数概念の一般化である「濃度」を習う。
高校までではあまり触れない写像のwell-defined性をきちんと考える必要が出てくる。

  • 位相空間論
距離空間という概念を一般化したもの位相空間というものを学ぶ。
位相空間では2点間の距離を具体的に数値で与えることはせず、近傍という概念を用いてその2点が「近い」か「遠い」かだけを考える。

  • 多様体論
「多様体」という「局所的にはユークリッド空間とみなせるもの」について学ぶ。これには幾何学的対象と代数的対象でアプローチの仕方が異なる。

  • 代数
「群」「環」「体」などの代数構造を学ぶ。
これらは四則演算を一般化したものである。「掛ける順番を変えると値が変わる」掛け算が現れる。
発展として「ガロア理論」等があり、ここまで行けば「5次以上の代数方程式には代数的な解の公式が存在しない」ことがわかる。






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