葛西善二郎(魔人探偵脳噛ネウロ)

登録日:2012/01/04 Wed 01:14:55
更新日:2024/04/17 Wed 21:25:32
所要時間:約 7 分で読めます




葛西善二郎は考える──




さ…始めますか

おじちゃんはいっちょ長生きしちゃうぞぉ


漫画『魔人探偵脳噛ネウロ』に登場するキャラクターの1人。

●目次

【データ】

年齢:41歳
身長:179cm
体重:88kg
1日で吸うタバコの本数:8箱
「火」にかけたオヤジギャグのレパートリーの数:1000以上
生まれついての犯罪者として唯一後悔している事:「バブルの輪の中に入れなかった事」      
吸っているタバコの銘柄:じoker(オカー)(現在は絶版。自宅冷凍庫に残り2万箱*1保管中)


【人物】

「伝説の犯罪者」と称される連続放火魔。
その前科は放火を主に脱獄も含めて1342犯文字通りギネス級犯罪者である。
放火魔らしく(?)彼の台詞は「ひ」や「か」が「火」になっていたりする。例:火火火(ヒヒヒ)

見た目はキャップ帽を目深にかぶり革ジャンを羽織った中年の男。重度のヘビースモーカーで常に煙草を吸っている。

伝説的犯罪者ながら、
  • パチンコではしゃいでいながらいざ玉が不足した途端隣の客から謝りながら銀玉を借りようとする
  • バブル時代の懐かしい思い出を振り返ってニヤニヤ笑う
  • 身分証がなければ自販機でタバコが買えない時代になったことを「世知辛ぇ」とため息交じりで嘆く
  • その辺のオバサン*2にいちゃもんを付けられてもまずは穏便に宥めようとする
など、非常に庶民的でしみったれている人間臭い振る舞いが目立つ。

しかし、そこからシームレスに、会話の延長で笑いながら顔面を潰し、一般人を軽い挨拶感覚のノリで自爆テロ犯に仕立て上げ、燃料の上でエクストリーム火遊びをし、甥っ子に放火犯の素養を植え付ける

飄々としたおどけた態度と他人を煙に巻くような胡散臭い言動や冗談などで冴えない中年のようにふるまっているが、本性は善性や罪悪感が致命的に欠如した根っからの犯罪者。
全国指名手配されて尚、警察の包囲網を掻い潜り生き延びて来たためか相当肝が据わっており、平然と白昼堂々表を出歩いて「警察は駐禁切符を切るしか能がない」と小馬鹿にしながら逃げも隠れもしない。

笛吹に「お前から犯罪を取ったら何も残らん」と言わしめる凶悪無比な極悪人である。



【劇中での活躍】

作中で最初に名前が上がったのは電子ドラッグに操られた連続放火魔の叔父であったという説明だけの登場だったが、
後に怪盗"サイ"の協力者として再登場。
サイをバックアップし、ネウロを殺すというサイの目的の為に行動するが……。


以下ネタバレ














真の「悪」とは

特殊な細胞やパワーなんぞで決まるようなモンじゃない

「悪」は頭の中にある

磨かれた吐き気を催す思考回路

揺るぎない黒い脳細胞を持つ者こそが…

選ばれた「絶対悪」だ

前座は引っ込め怪盗“X”(サイ)

なにが怪物強盗だ笑わせるぜ

おまえはただの…

あの人のエサにすぎないんだ



その正体は絶対悪『シックス』の手先であり、「新しい血族」の1人。
シックスの命によってサイの監視役として潜り込んでいた。
シックスの側近「五本指」の一人(人差し指担当)であると同時に、最古参の血族でもある。*3

祖先は古代の日本(神話に語られる人類の創世記の時代)で最初に火を用い、「神」と呼ばれた人間だとされており、
シックスは、「『神』など我々【血族】の職業の一つに過ぎないのさ」と語っている。

他の五本指同様超人的な能力も持ち合わせており、彼の場合は火に特化している。
手から火炎を放射したり、人間を発火させるという芸当も可能で戦闘や破壊工作はそれで行う。

顔の紋様は漢字の「火」で、額の左上から頭部に浮かび上がる。
これは自身がシックスと出会った際につけられた額の火傷痕でもある。

【人物】

「健康だの武装だのは「長生き」のクソの役にも立たない」という持論を語るが、その理由は「シックスがいるから」
シックスと同じ時代に生まれた人間にとって、生死を分けるのは「シックスとの生存競争に勝てるか」のみであるとし、
「人間として、最悪の犯罪者であるシックスを超える(シックスよりも長生きする)」ことを人生の目標とする。

他の五本指が「シックスに次ぐ」ことを望む中、ただ一人「シックスを越える」ことを目指しているなど、最後にして最古参の『血族』ながら、彼の思考は異端中の異端。

それ故性格面もシックスに対する敬意や畏怖は抱いてはいるが他の血族程では無く、崇拝や依存心も無いため立ち位置としては傍観者ポジションに近かった。引きながらツッコミじみた言動もあるためポジション的にはちょっとネウロにとっての弥子っぽい。

なお、基本ライバル心の強い「血族」だが、葛西は逆に同僚との折り合いはいい模様。
テラやヴァイジャヤのサポートに回っており、ヴァイジャヤからは(「呪」と誤字った)誕生祝いまで貰っていたことがプロフィールで判明している。

本来新しい血族は「人間」としての名前と「血族」としての名前、二通りの名を持っているのだが、
葛西だけ血族としての名前を名乗っておらず、その点でも他の血族とは一線を画した存在である*4



【劇中での活躍2】

序盤戦は他の血族のバックアップなどどちらかと言えば裏方の仕事が多かった(アクの強すぎる血族のフォローを務めた際は、常識のないイロモノ揃いの血族に振り回される苦労人ポジになった)が、
他の五本指がネウロや人間達に倒された後はついに自ら動き出す。
「複数の高層ビルを一瞬で同時に燃やし尽くし倒壊させて『六』の文字を東京中に描きまくる」という他の血族同様「人間」には不可能なテロ犯罪を起こし、人間を殺しながらシックスの名前を宣伝してシックスを楽しませ、同時にネウロも消耗させるという一石三鳥な作戦を決行する。
ちなみに他の『血族』はアラビア数字の『6』を描いたが、葛西は「しがない東洋人」「東洋風に」ということで漢数字の六を用いた。

なお、高層ビル群を燃やすワンシーンではパチンコを打ちながら解説していた。
しかも大当たりし、玉が足りないため隣の爺さんから玉を借りているお茶目なシーン(背景は大惨事で笑えない)。

しかし笛吹達警察の執念と精密な捜査、ネウロからのヒントによってトリックを見破られて犯行現場まで抑えられ、遂にビル内で追い詰められる。
得意の火を扱った戦術も対策されており、ビルの頂上に追い詰められ銃弾の一斉射撃を食らい動けなくなるが、
事前に仕掛けておいたトリックでバックドラフトを引き起こし自爆。
ビルの倒壊に巻き込まれ炎と瓦礫の中でシックスとの出会いを思い出しながら瓦礫に押し潰された。







以下、更なるネタバレ








その正体は「ただの(?)人間」。
「人間の限界を超えない事」を美学としており、派手に燃え尽きるような生き方をして死ぬ事を目標としていたが、


その為「強化細胞なんてズルい代物や生まれ持った超能力とやらに頼るのは美学と合わない」として、
他の血族とは違いサイの強化細胞も埋め込んでおらず犯罪や放火を行う際も血族が生まれ持って持つ超常的な能力には頼っていない。
事実ビルの放火に関しては、ビルの内部構造を利用し大量のガソリンをビル全体に散布、発火装置で時限式に燃えるという計画的なものであった。
ただし、ビルの壁面をすいすい登ったり、大量の銃弾を受けても致命には至らない所を見るとその身体能力は常人よりも遥か上だが。

全ては小細工とトリックによって引き起こしているのであり、葛西自身も「『ただの人間』が手から炎出すとかアホくせぇ」という発言をしている。
実際によく見れば袖口に火炎放射器を隠し持っているコマもあり、服の下にはガソリンか何かしらの燃料らしきものを入れているチューブを全身に回る形で隠していた。
ただし「頼っていない」だけで他の血族同様火に関する何らかの特殊能力を持っている可能性はあるが。


血族についても生物の進化とペットの犬の品種改良を例に出し
「大量に人類の新種などできるわけがない」「他の血族はシックスに惹かれた『人間』であり真に『新しい血族』と言えるのはシックスただ一人」という核心を突いた発言をしている。
「五本指」のメンバーたち(葛西自身が始末したDRを含め)にも心底から仲間意識を持っていたようで、崩壊するビルの中で「お前たちの理想郷を作ることは叶わなかった」と謝罪までしている。*5










そして………






火火火 帰ってこいよネウロ

俺は 人間はまだ… お前に何ひとつ見せちゃいないぜ

ようこそおいでませ 犯罪者のワンダーランドへ!

最終話にて傷と火傷だらけの状態で満身創痍ではあるが、生存していた事が判明。彼の目的は見事に達成されたのである。
可能性としては限り無く低い(残念ながら)が、もし次回作が出るとしたらネウロと弥子のライバル的なポジションとして登場するのだろうか。


余談

『新しい血族』であっても敗北者になった時点で完全に興味を失ってきたシックスだが、
葛西の言葉をネウロ戦の重要局面において回想し、それを「正しい」と、物語中唯一他人の言葉…ひいてはその存在を「肯定」している。
更に葛西のことだけは終始内心で「兵隊」や「モルモット」にカウントもしていない(他の存在は五本指含めカウントしている)。

葛西善二郎という男は人間としての立場や矜持を最後まで保ったのだが、逆に言えば
シックスと全く無関係にあらゆる犯罪をやり尽くした大悪人ということであり、そういう意味では純粋な「悪」としてのシックスと対等な立場にあったとも表現できる。

と言うか十分な人間社会への適応力を有しており遺伝的な「定向進化」のための淘汰圧があるわけでも無く、
シックスの与える大義名分も特に信じてないのに犯罪しまくっていた彼はある意味ではシックス以上に「理由なき絶対悪」に該当する存在かもしれない。

犯罪者とは言え彼もネウロのテーマの一つであると思われる「人間の進化の可能性」を表したキャラクターだったと言えよう。


おーい
誰か追記・修正してくれよ



火火火 悪いな

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最終更新:2024年04月17日 21:25

*1 およそ7年分

*2 ただし「喫煙者に全ての人権は存在しない」「喫煙者は親族まで根絶やしにすべき」と豪語する過激すぎる嫌煙派

*3 少なくともジェニュインが勧誘された時には、既にシックスと行動している。

*4 そのためジェニュインからは「血族としての意識が薄い」といつも口やかましく説教されていた

*5 尚それだと「仲間」と認識していたDRを始末した件と矛盾しているようだが、もしああしなかったとしたら今度は「崇拝対象であるシックスに無価値認定される⇒罰として拷問の末殺される」の鬼畜コンボが待っていた事はほぼ確実だったので、なるべく楽に引導を渡してあげたつもりだった…と解釈する事も(一応は)可能ではある。