シックス(魔人探偵脳噛ネウロ)

登録日 :2011/11/26(土) 20:26:22
更新日 : 2017/08/19 Sat 19:26:20
所要時間 :約 7 分で読めます





違うね。全ての人間は私の敵であり私の所有物だ。私だけが壊す権利を持っている




『シックス』とは漫画『魔人探偵脳噛ネウロ』に登場する最後の敵組織「新しい血族」の頂点に君臨するキャラクターである。
本作ではラスボスを務めた。



【概要】
表向きの名前はゾディア・キューブリック
だが、この名前が本名なのかどうかは不明。その他作中内では「絶対悪」と評されている。
表向きは世界的兵器メーカー「ヘキサクス」の会長だが、裏では世界中に武器を売り込んだり、非人道的な人体実験を行っている死の商人。

目的は「新しい血族」以外の全人類を滅ぼすことである。
彼の「シックス」という名前は数字の「6」(Six) を意味すると同時に、
「新しい血族」が 「人類にとって病気 (sick) のように有害である」 と評されたことにも由来する。
数字の「6」については、「魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類に続いて人類から分岐し、人類の先を行く第六の種族」という願望も込められているらしい。

彼の祖先は武器製造を営んでおり、家系は7千年前まで確認できる。
彼らはその職業柄人殺しの手段のみを考え続け、 一族繁栄のためには強大な悪意が必要である という考えに至る。
そして強い悪意を求めるために子供の悪意を育て、悪意の一番強い子供に家業を継がせていくという行為を代々行っていった。
結果、遂には常人には耐えられない悪意に耐えるために、脳と精神がDNAレベルで人間とは別物の異なる生物にまでに至る。

つまり彼は人間ではなく、 「悪意」と脳を進化させることで「人」から進化した新しい生物 なのである。
それゆえに生まれついての「悪」であり、 超の付くほどサディスト。
部下に腹を鋸で切って自殺することを遊び半分で強要したり、
人質をとった上で無理難題を押し付けて相手が苦しむのを楽しみ、その後人質も言葉巧みに欺いて絶望のどん底に叩き落として殺害するなど、
まさに極悪非道を絵に書いたような性格をしている。

本来なら自我すら構築されていないであろう0歳の時からその悪意は開花しており、
父親が悪意を測る為持たせた剃刀を使い、0歳にも関わらず1人で他の新生児数十人の首を掻き切って殺害している。
また、自分を産み育てた両親ですら殺す対象でしかなかったらしく、2歳の時に母親を自宅のテラスから転落死させ、5歳のときに父親を自宅の書斎で箱詰死体にしている。


■能力

戦闘能力は極めて高い。
生まれながら持つ強靭な肉体もさることながら、相手の「悪意」を読み取ることで常に相手よりも優勢に立ち回る天才的センスを持ち、
配下である『5本指』全ての能力を使用出来る上に培養した強化細胞と、細胞と金属の結合技術により体に特殊な金属を埋め込んでいる。
これにより肉体を自在に金属化したり、細胞を金属化させた上で刃の様に変えて足の裏や指から展開することで刃を楔のように用い、
垂直な壁を昇ったり音速で飛ぶステルス戦闘機の上で戦闘も可能。
当然強化細胞の性質も備える為、元々並外れていた自身の身体能力はより飛躍的に向上する。

その力は弱体化しているとはいえ魔人であるネウロに「全開の吾輩でも手こずる」とさえ思わせる程。
その戦闘力を見て、ヤコは彼を 「何千倍にも強化された元人間」 と比喩した。
戦闘能力以外にも周りの人間を威圧する邪悪なプレッシャーを放つことができ、様々な事を一瞬で覚える瞬間記憶能力等も持っている。
おまけに 心臓を抉り取られ、肉体の半分以上を切断されても、脳さえ無事なら平然と生命活動を維持できる 怪物的生命力も有する。


■作中での行動

初登場時は自らの分身であり、子供である怪盗Xを確保する為に、アンドリュー・シクソンに成り済まし、表向きは日本警察に協力していた。
そしてネウロとサイの二度目となる決戦後、本性を現し、Xのパートナーだったアイを銃殺。
Xをボコボコにした後予め準備していたジェット機に捕まりその場を離脱。
成り済ますために、本物を拷問し、話させたアンドリューに関すること全てを瞬間記憶能力で覚えた後、本物の体から剥ぎ取った頭の皮を被っていた。
その事件の後ネウロを茶会(弥子曰く「ドSサミット」)に誘うが、彼との対談を通してお互い倒すべき敵と判断。
ネウロと人類の支配権を賭けて組織を通しての死闘を繰り広げる事になる。


人類を効率良く殺す為、血族の人間の一人であるDRにダムを破壊させ、数十万もの人間を人為的な洪水に巻き込み溺死させたり、
その後もネウロの活躍によって未遂で終わるが大規模なテロを次々と企てる。
さらに物語が進む内に前エピソードのボス「電人HAL」が事件を起こすに至った原因である本城刹那の死因が彼の人体実験によるものだったと判明する。
実験自体は、失敗する事は目に見えていたのだが「娘を人体実験に差し出す苦しみに歪む父親の顔をみたかったから」という理由でそれを強行した。


また、笹塚の家族を殺害したのもシックスの仕業であり、自分たちが行っている非人道的な人体実験の情報を掴んでしまった笹塚の両親を消す為にした事であった。
その事を知った笹塚に襲撃されるも、シックスの手によって『再教育』され復活した怪盗XであるⅩⅠ(イレブン)とともに返り討ちにする。

しかしその後ネウロ達の活躍によりアジトを突きとめられ、警察組織である笛吹達の働きによりテロの首謀者である事を全国的に報道され指名手配されてしまう。
その後乗り込んできたネウロ達と正面対決。
Ⅺと共にネウロとそのパートナーである弥子を追い詰めるが、弥子の説得によりかつての心を取り戻した怪盗Xによって、
自らに埋め込んだ強化細胞と金属の制御を担う心臓を潰される(ただし彼は脳が残っている限り生きられる為致命傷には至らず)。

その後裏切ったXを始末し退却するが最後には追跡してきたネウロとステルスジェット機上で決戦。
終始有利に戦い続けるも死を覚悟した魔人ネウロの切り札「二次元の刃(イビルメタル)」により全身を切り刻まれ、
首と右腕を残して一瞬にして喪失。さらに脳に直接魔力を注ぎ込まれたことで右腕の自由も奪われる。
その実質首だけの無力な姿で空中に投げだされたところを、ネウロの操作で急降下してきたステルス機の先端に顔面をぶち抜かれて絶命。
粉々になった肉片がネウロの靴を舐めながら太平洋の上空に消えるという、まさに悪党にふさわしい末路を迎えた。

この死に様だが、「生殺与奪を握っているにもかかわらず、あえてとどめを刺さずにしばらく放置する」という、早い話が舐めプをされており、
やられた側は敗北(=死)の恐怖と弄ばれる屈辱を同時に味わうという、普通の人でも非常にキツイ状況になっている。
そんな状況に悪意そのものな人格と知識、そして人外レベルの感覚と精神力を兼ね備えた彼が置かれたらどうなるか…

  • 放り出された瞬間にネウロの意図と自分の末路を悟る。思考が「戦闘」に特化しているため、「詰み」を悟るのも早い。
  • 悪意の塊なので覚える感情は当然 屈辱と恐怖 。さらに知り尽くしている分、屈辱や恐怖には人一倍敏感。
  • 鋼の精神故に発狂するとか、達観するなどは不可能。無駄と分かっていてもただ吠えるのみ。
  • 超感覚が裏目に出て死ぬまでの約30秒間が非常に長い。その間延々と恐怖と屈辱を反芻させられる羽目に。
  • 上記の事柄は全て ネウロの画策通り (本人曰く「最高のお仕置き」)。何もかも掌の上で踊らされて屈辱も一入。

...とまあ、自身が代々受け継ぎ開花させ誇ってきた因子が悉く屈辱に変わる、極めて惨めな有様となる。
その末にこのセリフを言われて死ぬのだからなんとも。

ネウロ「靴を舐めろ。その全身で。

ちなみに、これを言われた直後の彼の表情は正に 鬼の形相 である。
逆に最期の最期でその程度の抵抗しかできなかった彼の心境は推して測るべし。

シックス「ぁ
ボッ!!!

上記の屈辱まみれの状況の中、何かを口に出そうとしたようだが、それも叶わずネウロに粉砕されてしまった。
彼が生涯の中で発した唯一の悲鳴か、はたまた悪意の赴くままに発したネウロへの悪態か。
その事実を知る者は誰一人としていない。


一切の善意を持ち合わせずその存在自体が「悪」と断言できるキャラクターであり、
必要悪や好感の持てる悪役に対するアンチテーゼのようなキャラクターとも言える。
ある意味「悪」役というものを一番体現したキャラかもしれない。

しかしそんな彼も、ネウロとの最終決戦において「ある人物」の言葉ひいては「存在」を全面的に「肯定」し、受け容れているような場面があり、「絶対」悪を自称していながら他者の存在を是認するという、
本当の意味での「絶対」的な悪になりきれなかったが故に、
つまり、自分の弱さと自己矛盾によって自滅してしまった…とも言えるのではないだろうか。そう考えると、案外、ネウロは彼のそんな「内面」という『謎』を喰らう事無く、前述のようにただ「物理?」的に殺した結果となった事、それは本当の意味での勝利ではなかったのかもしれない。(ネウロ自身、強大な悪意を持ちながら謎を作り出そうとしないシックスを『惜しい』と評していた。)

決戦時にはいつまでも倒れないネウロに対し明確な焦りを覚えたり、死に際の仕打ちに対してネウロの筋書き通りに反応した末に死亡するなど、
終盤の彼は悪意の権化として綻びが見られる部分も見られた。もしかすると魔人というイレギュラーの出現に対して、彼の脳が対応し切れなかったのかもしれない。


■余談

絶対悪を標榜しながらも、自身の「悪意」を見せつけ「新しい血族」という組織を作り出していたこと、
自身のクローンを作り、XI以前の失敗作の胎児の頭蓋骨をネックレスにして身に着けていたこと、
(メタ的な見方をすれば新展開への布石でもあるが)自ら足を運んでまでXiを回収することに拘っていたこと、
裏切られるまでXIに全幅の信頼を置いていたことなどから、一部では「本当は仲間が欲しかったのではないか」という考察もされている。
…また、実は彼と同じジャンプ出身悪役として、彼の登場以前に同質の矛盾を抱えたとある人物がいるのだが、但し、その人物の場合は原作者が後日公の場でそれを否定している。


「全ての項目は我輩の玩具であり我輩の所有物だ。我輩だけが追記・修正する権利を持っている」


『違うね。全ての項目は私の敵であり私の所有物だ。私だけが削除する権利を持っている』

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