リルル

登録日:2010/09/16 Thu 08:24:45
更新日:2024/03/08 Fri 22:56:15
所要時間:約 3 分で読めます





リルルとは、藤子・F・不二雄原作の大長編・劇場版「ドラえもん のび太と鉄人兵団」およびリメイク映画の「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち~」に登場した映画ヒロイン。

CV:山本百合子(旧)/沢城みゆき(新)


               _ ..-‐.......... ̄ミト、
             /...................................ヽ
.             /.....................,,/......../........,
             '.../..... 才'’ /...../,,__,.....i
             /..斗 〃_笊,'../ x=ミ, ',...|
          ,..Y´`{ 乂り/  { り //
           i...{         , `¨ ; }
           |...ゝ., i.    、 __    从
           |.............ト、        .イ..|
           |............」|. >‐-r< .......|
           l ‐━┛, 、    {、_...........|
.           /   |  ', 丶,_/ ミト、..|
          /     |.:.:└‐──┘:l i.|
.         /    , /: : : : : : : : : : : :', |.|
        /     /_′.: .: .: : : : : : : : :|.!.|
.       /     /|.: : : : : : : : : : : : : :/ l..|



【人物】

のび太ザンダクロスを手に入れ、ドラえもん達と遊んでいた頃に現れた美少女。
旧作ではのび太たちと同年代に見えたが、リメイク版では中学生程度と年上になっている。

桃色の長い髪に白い肌、のび太より少し背が高く、普通の人とは違う瞳をしているのが特徴。胸は静香よりある。
読者の前に初めて姿を見せた北極では、肩丸出しのハイレグというエロい寒そうなどではすまない服装だったが…?

ミステリアスな雰囲気を持つ彼女は「ロボットを探している」というが…
スネ夫のミクロスには関心を示さず、何故だかのび太にだけは興味を持ったのか、交流を重ねていく。


以下、ネタバレに注意。





【正体】

彼女の正体は機械帝国メカトピアスパイ
北極に落ちた巨大ロボで、鉄人兵団による地球人奴隷化計画のための前線基地を作ることが目的だったのだ。
美少女としての姿も勿論偽装であり、皮膚の下には微細な機械がぎっしりと詰まっているアンドロイド

のび太の家に落ちてきたザンダクロス=ジュドの本来のナビゲーターであり、土木工事用であるジュドも地球攻撃のために使用する予定だった。
他の鉄人兵同様に飛行(浮遊)する能力を有し*1、氷点下の北極や宇宙空間でも活動可能。
また、指先からは強力なショック光線を放つことが可能であり、ホッキョクグマすら一撃でK.O.する。
…しかし、人間を侮蔑するメカトピア内では人間を模して造られた彼女も差別の対象だった。
ノベライズ版では土木作業用ロボット「でしかない」ジュド共々冷遇されている様子が描かれている。
新・鉄人兵団」では、貴族や軍隊から虐げられる下層階級の平民ロボットであり、元々はボロボロのスラム街で暮らしていた。
(旧作ではジュド共々「地球人奴隷化計画」の為に新造されたという設定)

うっかりザンダクロスの事を喋ってしまったのび太に、リルルは元々自分の物だったと言い問い詰める。
そして鏡面世界の存在を知り、ザンダクロスを勝手に持ち出し頭脳を失くしたのび太と交渉。
鏡面世界に繋がる「おざしき釣り堀」を貸して秘密にしてくれたら許すと言い、のび太もそれに了承した。

後日、謎の光が「おざしき釣り堀」に入っていくのを発見したのび太は様子を見に行き、鏡面世界でリルルを発見。
リルルは街を壊して計画の為の前哨基地を作っており、それをのび太とドラえもんに知られてしまう。
のび太に気付いた彼女は開き直り、兵団を迎え入れる為に鏡面世界の入り口を広げるよう願い出る。

「あなたを連れて行こうと思っていたの。私達に協力してちょうだい。地球人の中であなただけは特別扱いしてあげるわ。」

しかし当然ながらのび太達は一目散に逃げ出し、それを追ってきたザンダクロスの腕が「おざしき釣り堀」を破壊。
無理やりこじ開けようとしたため空間の接点が歪んでねじ切れ次元震を起こし、大爆発してリルル達ごと鏡面世界は封印された。

これで無事、地球には平和が訪れた。










そう上手くいくはずがなく、妙な信号を出していたボーリング玉(ジュドの頭脳)からとんでもない事実を知らされる。
リルルと鏡面世界に送り込まれたロボット達は、あくまで基地を建設するための先発隊。
その連絡が途絶えた事で異変を察した鉄人兵団本隊は、基地の建設を待たず地球への出動を開始したのだ。

慌てたドラえもんとのび太は色んなところにこの事を知らせるが相手にされず、信じてくれたのはジャイアンとスネ夫だけ。
ドラえもんはジュドを改造し味方につけると、4人は「逆世界入りこみオイル」を静香宅のお風呂に使って鏡面世界に突入する。
一方、事情を知らない静香はお風呂に入ろうとして、そこが鏡面世界になっている事に気付き入ってしまった。

ザンダクロスを奪い前哨基地を破壊するのび太達。
静香はミクロスと一緒に街の様子を探っている途中、次元震の爆発に巻き込まれ埋まっていたリルルを発見する。
リルルの怪我した腕から見えた内部の機械でロボットである事に気付いた静香に、目を覚ましたリルルが襲い掛かった。

「私がロボットだという事を、地球人に知られたくないの!」

静香に馬乗りになり首を絞めるリルルに、ミクロスが背後からドロップキックを仕掛け助けた。
殺され掛けた静香だったが、倒れた彼女を見て自宅に連れ帰り介抱する事にした。*2

その後、静香が自宅に侵入した作業用ロボットに襲われたり色々あったが、リルルは静香の介抱で目を覚ます。
自分を助けようとする静香に、リルルはじきに地球人はメカトピアの奴隷になると告げる。

リルル「人間みたいな下等生物が支配者のために働くのは、あたりまえじゃない。」

しずか「勝手なこと言わないで!!ロボットは人間の為に、人間が作ったものよ!」

メカトピアの教えなのか元々そうプログラムされているのか、リルルは「宇宙はロボットのためにある」という考えの持ち主。
静香に母星の成り立ちを語るが「結局神様が見放した人間達と同じ事をしているだけ」と指摘され逆上。
言い返す事ができず「取り消しなさい!」と静香を撃ってしまう。静香に怪我はなかったが、リルルは無理が祟り再び気を失った。

静香もそんなリルルに「もうあんたなんか知らない!!勝手に壊れちゃえばいいのよ!」と泣きながら部屋を飛び出す。
しかし彼女の姿を思い直し、「やっぱり放っておけない」と再び静香はリルルの介抱をしに戻るのだった。
そんな静香やスパイとわかっても信じ続けようとするのび太の姿を見て、次第にその考えに変化が生じていく。

「人間のすることってわからない。どうして敵を助けるの。」

「時々理屈に合わない事するのが人間なのよ。」

ドラえもんが鉄人兵団を迎え撃つ為、鏡面世界だとバレてはまずいので、リルルを「コンピューター睡眠薬」で眠らせようと考える。
しかしその魂胆を見抜いていたリルルは薬を飲むふりをして吐き出し、鉄人兵団の元へ戻ろうと脱走する。
鉄人兵団はドラえもんの作戦通り鏡面世界に誘き寄せる事に成功するが、リルルが鉄人兵団に仕組みをバラせば終わりだった。
5人はリルルを探しに出る。「探し物ステッキ」で何となくあたりを付けて散らばって捜索中、のび太がリルルを発見。
地下鉄の出口から出てきたリルルは、鉄人兵団総司令部へ向かおうとしていた。
のび太は自分と一緒に帰ろうと必死に説得するが、リルルは自分の義務を果たそうとする。

そんな彼女に向けて、のび太はショックガンの銃口を向けた。

「リルル!………行けば撃つぞ…!」

震える手で銃を向けるのび太に、リルルは微笑みながら振り向き答える。

「…いいわ!撃って!」


しかし、のび太にはリルルを撃てなかった。

「…意気地なし!」

指先からのビームでのび太を撃ち気絶させ、彼女はその場を後にした。



そして鉄人兵団の元に戻ったリルルは、隊長である総司令官から追及を受ける。

「地球人はどこにいる。奴隷を捕まえる為にはどこに行けばいい!」

「…答えたくありません。」

「人間を奴隷にするのは、悪いことです!」

「ゴミなんかじゃありません!私達以上に複雑な心を持っています!」

リルルの言葉に耳を疑う総司令官。人間などゴミと同等というのがメカトピアの常識だった。
神に認められたロボットこそが宇宙を支配し、人間に代わり天国を作る存在なのだと。
しかしリルルは奴隷狩りは神の意志ではない、中止すべきだと訴えた。
当然そんな事を受け入れられない総司令官はリルルを反逆者とし、処刑する為に基地に連行する。

一部始終を目撃していたドラえもんとのび太により救出され、リルルは再度のび太達に迎え入れられた。
しかしリルルは故郷を裏切る事は出来ないと涙し、ドラえもん達もそれ以上の強要は出来なかった。

板挟みの苦悩から「自分達の先祖を作った神様に文句を言いたい」と呟いた事*3で静香が閃く。
タイムマシンを使い、「神様」に相談すべくリルルと静香は共に3万年前のメカトピアに向かった。
そしてリルルは、自分たちの先祖であるロボット・アムとイムを作った=人間の科学者に出会う。

彼曰く「競争本能を取り付けたことが失敗だった」との事で、代わりに「他者を思いやる暖かい心」をインプットしようとする。
これで歴史はかわり、恐ろしい鉄人兵団も生まれないだろう。

「!……静香さん、良かったわね!」

「これで地球は救われるわ!……! でもリルル!リルル…あなたも…!」

しかし年老いて体の衰えた科学者は作業の途中で力尽きてしまう*4

「博士、私にやらせてください。私が続けます!」

リルルはアムとイムの頭脳に「他者を思いやる温かい心」をインプットするための改造作業を自ら申し出る。
…メカトピアの歴史を変えること。それは、リルル自身の存在の消滅と引き換えの作業だった。

「静香さん、私、本当の天国を作るのよ。そして、私はメカトピアの天使になるの!」

そして、改造作業によってメカトピアの歴史が変わったために生じたタイムパラドックスにより、リルル自身も消滅するという悲しい最期を迎えた。

「今度生まれ変わったら…天使のようなロボットに…」

「リルル…あなたは今、天使になってるわ!」

【名台詞】

  • 『いいわよ、さあ 撃って!』

  • 『意気地なし!』

  • 『人間を奴隷にするのは、悪いことです』

  • 『しずかさん、私、メカトピアの天使になるの』

  • 『おと……もだちよ……おともだち……』



元々の立ち位置が、
「絶対に報われないヒロイン」
なのが、更なる悲しみを誘う。


タイムマシンを使っても解決出来ない。

しかし、ラストシーンでは…

余談


ドラえもん映画ヒロインの中でもダントツの人気を誇り、「ドラデミー大賞」でゲストキャラクター賞にも選ばれている。
かなり大人向けの雰囲気の「鉄人兵団」の劇中でロボットであるはずのリルルが変わっていく様は、他のアニメ映画の追随を許さないほどの完成度を持つ。
劇中の彼女の変化、しずかちゃんとの友情、のび太に対して放った『撃って!』に感動した人も多いはず。




しずかさん、私、アニヲタwikiを追記・修正するの!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドラえもん
  • 鉄人兵団
  • 映画ドラえもん
  • スパイ
  • ドラえもん登場人物項目
  • ロボ娘
  • 工作員
  • 天使
  • アンドロイド
  • 人間のふりをしたロボット
  • 映画
  • ヒロイン
  • 涙腺崩壊
  • まさに天使になった
  • 山本百合子
  • 沢城みゆき
  • ゲストキャラ
  • ロボット
  • アンドロイド
  • リルル
  • 自己犠牲
  • 美少女
  • 天使の笑顔
  • シロクマに勝つ
  • 悲劇のヒロイン
  • ピンク髪
  • 救うべき加害者

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月08日 22:56

*1 正体を明かす前からのび太の前でも使用。のび太はそれでも人間であることに疑いは持たなかったが。

*2 尚、新・鉄人兵団では静香自らがリルルを掘り起こし、襲われる下りもなくなっている。

*3 旧作ではミクロスが「神様に文句の一つでも言ってやりたい!」と憤った事で思いついた。

*4 旧作では高所作業中に発作を起こし、そのまま転落。死んではいないが動けなくなってしまった。新作では息絶える前にリルルに後を託すが、全てを伝え切る前に事切れてしまった。そして静香たちからもらった「人を思いやる心」をアムとイムに伝えることを思いつき、自分の「星(感情のパーツ)」をあげることを決意する。