ニュームーア島/南タルパティ島

登録日:2011/01/03 Mon 01:56:46
更新日:2024/04/13 Sat 17:38:17
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に面した国家にとって島とは非常に重要な意味を持つ。

その範囲内の水産資源と石油や鉱物資源などの探査と開発する権利を得られる排他的経済水域は、
自国の沿岸から200海里内に設定されるが、これは島にも適用される。

そのため複数の国家の水域が重複すると、その島の権利をめぐって論争、時には戦争が起きる。

例えば日本では、中国とは尖閣諸島、韓国とは竹島、ロシアとは北方領土など、島をめぐっての論争が今でも絶えない。

世界的に見ても島の領有権をめぐっての論争は大抵泥沼化し、なかなか解決しない。
しかし、奇跡的な方法によって解決した例が、この項目の島である。



この島はガンジス川河口近くのベンガル湾の中、いわゆるガンジスデルタの中に存在する島
具体的には北緯20度37分、東経89度8分30秒。

インドからはニュームーア島、バングラデシュからは南タルパティ島と呼ばれ、両国が領有権を主張し、30年にわたって激しい論争を続けていた。

この島の出現は1970年にこの付近に膨大な被害をまき散らしたボーラ・サイクロンの影響にあるものであり、それ以前は誰一人として知ったこっちゃなかった。

当然人間なんて住んでたわけもなく(海底人?知らんがな)、人間が住める場所でもなかった。

そんな島を巡って争っていたのは、この手の領土争いにはありがちなことだが海底付近にありそうな石油や天然ガスの利益を求めてのことであった。

厄介なことにこの島の位置はほんっとーにインド・バングラデシュの国境の延長線上にあるように見えた。
しかも基準にするのによさげな河川(ガンジスの分流)がこの付近には滅茶苦茶多く、どれを採用するかも困難であった。(国境になってるのはハリアパンガ川)

お互い警備隊を持ちだしては旗を刺したり抜いたりとトラブルの頻発する年月。

しかし2010年3月、ある出来事によりこの領有権争いは突然終わりを告げた。




島が水没したのである




なんと年々進行する地球温暖化による海面上昇のおかげで海に沈み、地図から消えてしまった。
なにしろこの島、元から土壌浸食により沖ノ鳥島なみに小さい島になってたわけで、
主張するわりに日本みたいに護岸工事もしないでほっとかれてた島はある日あっさりと消えた。

というわけで、存在しない島の領有権を争うわけにもいかず、両国のこの島をめぐっての争いは立ち消えになってしまった。



当事者としては面白くない結果だし、日本としても尖閣諸島や竹島などの問題が島の消滅で解決してしまうのは望まないが、
第三者から見るとなんとも拍子抜けな顛末である。


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最終更新:2024年04月13日 17:38