LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語

登録日:2012/02/18 Sat 19:34:46
更新日:2023/04/14 Fri 00:34:03
所要時間:約 6 分で読めます





2010/07/24
貴方は、何をしていますか?


『LIFE IN A DAY』とは、2011年に日本公開された映画。ジャンルはドキュメントだが、投稿動画集と言った方が正しいかもしれない。

どういう事かというと…

(1)YouTubeのチャンネルに世界中のユーザーが「2010/07/24にした事」を投稿する。

(2)プロの映画監督であるケヴィン・マクドナルドが編集して一本の映画に。監修はリドリー・スコット。

たったこれだけだが、集まった動画は192ヵ国・地域から8万本、4500時間という物凄い本数だから凄い。

以下に、どんな動画が投稿されたかをざっと挙げる。

  • 一日の始まり。みんなを起こすのは目覚まし時計だったりニワトリの鳴き声だったり携帯のアラームだったり、恋人の「I Love You」だったりカーチャンの「さっさと起きな、バカ息子!」の声だったり…
    朝食も国によって様々ながら、大体の人がパンにコーヒーに卵焼き。上流階級だろうが路上生活者だろうがあまり変わらない

  • 休日の過ごし方も様々。産まれて初めての息子のヒゲ剃りを生中継する人、病院で出産する人から病院で集中治療を受けて、病室から動画を投稿する猛者やヤク中になった自分を救う為に全てを失ったカウンセラーにお礼を言いに行く者まで様々。

  • 勿論、相変わらず仕事という人も。「ドバイに来て良かった、仕事がたっぷりある」という庭師のインド人、世間話を楽しみながらヤギに餌をやる中央アジアの男性、最新鋭の機械で牛を屠殺するヨーロッパのおっさん、サルにお面をつけて車の多い道路の路肩で芸をさせてチップを貰うインドネシアの男たち、まだ10歳ぐらいなのに靴磨きで小銭を稼ぐ中南米の少年等千差万別。

  • ラブロマンスも盛り沢山。村総出で結婚式を挙げるインドやタイのカップルに、「女性は男性に跪くのが当たり前」と語るウガンダの夫婦。
    「結婚50周年」という事で改めて式を上げ、「互いの直して欲しい事を神父に言わせる」という熟年カップル。旦那は奥さんに「10年前も言ったけど、たまには口でナニを…」と言って妻に花束でぶったたかれた。これ何て羞恥プレイ?

    プレスリーのそっくりさんの結婚式の余興に来たプレスリーのそっくりさんとか、戦地で働く旦那とウェブカメラを通じて疑似デートを楽しむ新妻や同性のパートナーが出来た事をおばあちゃんに報告するニューヨークの青年等、アメリカならではの光景も。

  • 町の喧嘩や山の火災、ドイツ・デュイスブルクのラブパレード(21人死亡、500人以上が負傷しこの年を機にラブパレードは中止となる)等ショッキングな出来事を撮る者もいた。最後のはまさか大惨事になるとは思わなかっただろうが…
    また、自分の万引きの瞬間や無許可で撮ったっぽい電車の女性(女性が視線をこちらに向けるとカメラが隠れる)という明らかな犯罪を投稿したDQNもいた。

  • 質問を投稿する者も。「ポケットの中は?」というクエスチョンには「財布」「携帯」「お札」といったありふれた物から「注射器」「護身用の銃」といったヤバ気な回答まで。

  • 「貴方が大事にしている物は?」の質問は「家族」「農場」「本」といった答えから「カナダやドイツの国旗…あとウルトラマンの人形ね」という女性も。(ちなみにこの女性は「ウルトラマン」がきちんと発音出来なかった上に、持っていたのはウルトラマンレオだった)
    また、ダース・ベイダーや帝国軍兵士のコスプレをした人達は意外にも普通の答えだった。

  • 「貴方が怖い物は?」の質問も「お化け」「蛇」「クモ」(ちなみに答えたのは全て女性)という万国共通な答えから「同性愛者。あいつらは病気だ」と答えるアフリカの男性や「政治だな。戦争なんてしちゃいかん」と答える白人の老人、「神様を信じない人。死んだらずっとそのままなの?」と答える幼女、「パレスチナ人に土地を取られる事かな」と返したイスラエル人まで色々。
    「死ぬのが怖い」「死んで一週間ぐらい誰にも気付かれないままだったら怖いよね」という死に対する答えもある中、「神様以外は何も怖くない」「妻がいる限り何が来ても平気」という頼もしい答えも。

  • 宗教に関する動画も。早朝からモスクで祈りを捧げるイスラム教徒達や、村の人柱祭(組体操みたいに全員で塔を作り、てっぺんに少女が登る)に参加する女の子、墓場で暮らす男性は妻に先立たれ長男は知的障害、他の子供たちはまだ幼くお金を稼ぐのは無理という生活ながら「こんな私達でも生きている。神が我々を見捨てていない証拠だ」と答えている。

  • 「国とは何か?」を考える為に、世界中を旅する韓国人の男性や「海外のマスコミは自爆テロや戦争しか流してくれない。うちの国は立ち直りつつある」と市場の様子や女性の空手教室を流すアフガニスタンのアマチュアカメラマン等政治的に考えさせられる動画もある。

  • 一日の終わりを締めくくるのはアメリカのティーンエイジャーの少女。降りしきる雨の中、泣きそうな顔で「今日一日何か良いことが無いか探してみたけれど、何も無かった。だけど、私は何か自分が生きていた証を残したい」と呟くシーンでエンディングへと向かう。この少女の言葉こそ、つべに動画をうpした世界中の人々を代弁した物では無いだろうか。

【以下、DVD版に収録された映像特典の一部】
  • スイカに関する動画特集。ドヤ顔で志村けんのようにスイカを食べ、娘に呆れられる父親やペットが美味しそうにスイカを食べるシーン、恋人が一瞬口を離した隙に残りを食べる男性等スイカに様々なドラマがある。何故か日本からのスイカ割り動画が多い。

  • ドラムを叩く人々。自分の腕前を披露しようと子供から老人までが様々なドラムを叩くが、中でも凄いのは冒頭に出てきた中年女性。
    寝起きで大あくびをしながらドラムに向かう…と、それまでとは打って代わって力強いドラム裁きを見せつける。

  • カブールの交差点。ボロボロの自動車バイクが行き交う中、最新鋭の米軍兵器を積んだトラックが進む。
    カブール市民には最早日常なようだが、外国人の我々から見れば異様な光景である。


貴方がガチムチ兄貴でハァハァしている時、東方の誰が好きかで煽り合いをしている時、黒歴史ノートを見つけ布団の中で足をバタバタさせている時…世界のどこかで誰かが何をしているか考えてみるのもいいだろう。特に賢者タイムの時とか。



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最終更新:2023年04月14日 00:34