量産型ガンキャノン

登録日:2012/10/11 Thu 21:55:14
更新日:2024/01/28 Sun 07:59:46
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「スカーレット隊、発進!」

30 seconds later...

「スカーレット隊、全滅!」

※映像作品での活躍はこれだけです。




量産型ガンキャノン(GUNCANNON MASS PRODUCTION TYPE)とは、ガンダムシリーズに登場するモビルスーツ(MS)である。







性能諸元

型式番号 RX-77D
所属 地球連邦軍
シュテンドウジ
生産形態 量産機(試作機説あり)
全高 18.1m
本体重量 51.0t
全備重量 70.2t
出力 1,410kw
推力 93,500kg
センサー有効半径 7,300m
姿勢制御バーニア数 8基
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
武装 頭部60mmバルカン砲 ×2
240mmキャノン砲 ×2
90mmブルパッブ・マシンガン
100mmマシンガン
主なパイロット リド・ウォルフ
マスター・P・レイヤー
レオン・リーフェイ
マクシミリアン・バーガー
ダグ・キーソン
ジャン・ディベビエ



機体解説

地球連邦軍が開発した試作モビルスーツ(MS)であるRX-77ガンキャノンを量産化した砲撃戦用MS。
“ガンキャノン量産型”、“ガンキャノン量産検討機”とも呼ばれる。
初登場は『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』。

ガンキャノンの量産型には既にRGC-80ジム・キャノンが存在したが、RX-77-4ガンキャノンⅡの完成後にジムキャノンの打撃力不足が不安視された為、ジム・キャノンの上位機種の検討としてRX-77-3ガンキャノン重装型をベースに開発されたのがこのD型、量産型ガンキャノンである。
この出自故に 量産検討型 とも呼ばれる。


コア・ブロック・システムを廃止し、装甲をルナ・チタニウムから従来のジムと同じチタン合金セラミック複合材に変更した事などにより、コストを大幅にダウンすることに成功、ジム・キャノンという段階を経て量産化にこぎつけた。
装甲材質が変更されたと言っても一般的なジムタイプに比べれば圧倒的な重装甲には変わりなく、かなり堅牢な機体であった。
……という設定だが、作中だと遠方からの散弾で普通にブチ抜かれていたので設定倒れ臭い。
一応、弾が貫通していたのはバックパックのキャノン砲収容部だけだったので、その他の部位は堅牢という言い訳が立たないこともないが……*1

また、材質変更に伴ってジム後期生産型とはパーツの互換性が生まれ、整備性も良くなった。
ちなみに頭部はまるでアメフトヘルムを模したようなチンガードが付いた特徴的な形状をしている

宇宙での機動性は姿勢制御スラスターの増設でかなり上昇、特に推力は元の2倍近くに達している。
原型のガンキャノンからして中距離支援機にしては機動性が高く、専用ゲルググ持ちのエリク・ブランケ少佐が「キャノンであのスピードなのか!?」と驚く程の機体なのだが…

更にキャノン砲の配置が原型機の両肩からバックパックに変更。
接近戦に対応出来るように伸縮して収納出来るようになり、臀部にはスタビライズド・ギアという駐鋤が装備された為に精密射撃時の安定性が増して砲戦能力も向上した。


第13独立部隊(ホワイトベース隊)やデルタ・チームのような小規模部隊の活躍に影響されたのか、この頃の連邦軍には「既存機の上位機種による少数部隊編成」の計画が頭にあったようで、ゆくゆくはジム・コマンドジム・スナイパーⅡなどの上位型の量産機でエース級のチームを組んで戦う戦術を採る考えがあったのだろう。
事実、サイド6・リボーコロニーに駐留していた改ペガサス級グレイファントム所属のスカーレット隊はジム・スナイパーⅡ、ジム・コマンド、量産型ガンキャノンといった一年戦争中でも最高クラスのMS複数機で編成された部隊であった。
まあ一瞬で全滅したのだが……


総じて試作機を上回る性能を誇った本機だが、どうやらスカーレット隊瞬殺の一件で上位機少数部隊編成の計画がポシャったらしく、生産ラインはRGCシリーズに全力を注ぎ込むこととなった。
また、設計の完成と量産開始が大戦末期で、大量配備前に戦争に勝ってしまったことも影響していただろう。*2
結果として「量産型」といいつつ生産数は少ないものとなり、一部のエースパイロットや特殊部隊に配備されるに止まった。
歴史上ガンキャノン直系の後継機も一年戦争以後確認されていない。
先述のように本機はまだ量産試作機で、結局安価なジム・キャノンが量産されることになったと見る向きもある。

しかし量産型ガンキャノンを拝領したパイロット達の多くは大きな戦果を上げており、この機体の性能が決して低いものではないことを証明している。
スカーレット隊?あれは忘れろ。
結局正統なガンキャノンでは最後の機体となってしまった量産型ガンキャノンだが、名パイロット達の立役者となったことは紛れもない事実だったのである。


最終的にガンキャノンの量産計画はジム・キャノン系統と統合され、宇宙世紀0083年にはジム・カスタムをベースとしたジム・キャノンⅡが後継機として少数ながら生産されていた。
もっとも、グリプス戦役以降は中距離支援機の存在が廃れていくのだが……


ちなみに量産型ガンキャノンと並行して、原型機のガンキャノンも少数ながら量産・配備されている。
ア・バオア・クーでホワイトベース隊と共闘したC-203、第16独立戦隊(サラブレッド隊)に配備された三機などが確認できる。



バリエーション


◆ガンキャノン量産型改

型式番号 RX-77D-2

PCゲーム『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』に登場した機体。
量産型ガンキャノンの後期型を陸戦用に改修したもので、機動性以外はジム・キャノンIIを上回る。
U.C.0089年においてもアフリカなどでは現役だという。


◆『SDガンダムMk-Ⅳ 〜夢のマロン社宇宙の旅〜』版

ジャブロー攻略戦の真っ只中に落ちてきたマロン社のツアー一行の前に姿を現した機体。
足下に来た一行を屈み込んでキャノン砲を発射、遠くへ吹っ飛ばした。
もっとも、吹っ飛ばした先が宇宙船ドックだった為、後々サラミス改が一隻打ち上げ途中で爆沈してしまうのだが…
実はこの機体、機体ナンバーが108。つまりカイ・シデンが乗っていたガンキャノン(C108)である。*3
理由は後述。


◆リド・ウォルフ専用機

“踊る黒い死神”の異名を持つリド・ウォルフ中尉の専用機。
異名通り、機体色は真っ黒。

リドがまだMSパイロットに転向したばかりの頃、まだMSの扱いに慣れていなかったリドは戦果を残せず、ある戦闘でみすみす上官のビンス隊長を死なせてしまう。
「自分の甘さが隊長を殺した」と責任を感じたリドは基地に残っていた量産型ガンキャノンを黒く塗り上げ、ビンス隊長がリドの為に用意していたMSキャリア“ライトライナー”を使って空中からジオンのMS部隊に夜襲を仕掛けた。

為す術なく撃破されていくザクグフを見たジオンの指揮官は爆炎に照されたガンキャノンを見てこう呟いた。

「し…死神…黒い死神…」

こうして復活を遂げた“踊る黒い死神”は、アフリカ戦線にて僅か一週間で21機のMSを撃墜、連邦軍のエースパイロットとなった。


ホワイト・ディンゴ所属機

オーストラリアで活躍していた遊撃MS小隊ホワイト・ディンゴ隊に届けられた機体。
『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』に登場するが、小説版には登場しない。
カラーリングはホワイト・ディンゴのパーソナルカラーであるグレー。

ビームサーベルが無いので格闘能力と汎用性ではジムに劣るが、砲撃能力と分厚い装甲はホワイト・ディンゴの任務達成に大きく貢献した。

ちなみにこの機体を使用するとシールドが無く、代わりに100mmマシンガンを2丁拳銃のように使える。
とはいっても、見た目こそ今までと同じだが威力が半分になっているのでダメージトータルは同じらしいが。
この機体にはシールドが無いので防御は左腕で行われるが、ダメージが蓄積すると壊れてしまって攻撃力まで低下してしまうので注意が必要。


ネメシス隊所属機

オレら連邦愚連隊』に登場する連邦軍教導部隊・ネメシス隊が使用するダークブルーの機体。
寡黙な黒人“コング”ダグ・キーソン中尉と何でも乗りこなすオールラウンダー“エイプ”ジャン・ディベビエ中尉が搭乗した。

しかしダグ機はユージのジム・ストライカーを庇って撃破され、ダグも戦死してしまった。


シュテンドウジ所属機

ジオン軍によるコロニー潰しの生き残りと元連邦兵*4で構成される宇宙海賊シュテンドウジに所属する機体。
パイロットはフェルナンド・ペデス。
シュテンドウジのシンボルカラーのグレーと浅紫色で塗装されている以外に変わった点はない。




余談

実はこの機体、他のMS同様に『ポケ戦』に登場するにあたってリメイクされたガンキャノンそのもの。つまり、単なるガンキャノンVer.出渕裕であった。
しかし、ガンプラが発売するにあたってこれまた他の機体同様に別の機体へと設定が変更されたのである。

『SDガンダムMk-Ⅳ 〜夢のマロン社宇宙の旅〜』に登場したリアル等身のMSがほぼ全て出渕版デザインなのはその辺りが理由。
ポケ戦のMS達は商品化の都合で別MSという設定に変更された為、『夢のマロン社宇宙の旅』は原型機カラーのゲルググJハイゴッグ、出渕グフ、出渕ガンダムなどが見られる、割と貴重な作品であった。




ゲームでの活躍

戦場の絆

コスト220の遠距離砲撃型として登場。
メイン武装の拠点弾はA・Bの二種類ある。Aは通常の拠点弾。Bはコスト+10で威力には大差ないものの
ノックバック効果によるキーパー対策、武装の切り替えで生じるタイムラグ(硬芯弾→キャノンBへの切り替えは別)が短縮され
より楽に拠点の陥落が可能となっている。

サブ武装はよろけの取り易いバルカン砲、コスト+10だが対MS威力の高い硬芯徹甲弾、自衛に向いたファイア・ナッツ
そしてコスト+20だが近距離程度の射程を持つブルパップ・マシンガンがある。
格闘のスロットにコスト+10のMS弾、爆散榴弾も装備可能。


青4&ブルパ装備の場合、前衛力に優れている為Sクラスで本機体を選択する者が多い。
特に4VS4等の少人数戦で真価を発揮する。


機動戦士ガンダムバトルオペレーション2

コスト300の支援機。
主兵装がマシンガン系統のものに統一されたため、低コストからの乗り換えと言う意味では、ビームスプレーガンを使用するジム・キャノンよりもザク・キャノンに近い運用となる。
つまり両肩のキャノンでよろけを取ってマシンガンで追撃すると言う基本に忠実な立ち回りとなる。
マシンガンはDPSに優れリロードも早いブルバップマシンガン、射程が長いがリロードの遅い専用マシンガン2丁持ち、DPSが余りに低く実用に耐えない100mmマシンガンの3種。
前者2種類を戦場や味方の構成に合わせて使い分けていくと良い。
とは言え同コストの強襲は味方をサポートしつつ遠距離からでも削ってくるザク・フリッパーや緊急回避と広範囲格闘で250コストから引き続き大暴れのアッグガイ等粒ぞろいかつ「ステルス」スキル持ちの機体が多い。
彼らに狙われた時の自衛能力は足回りでも防御力でも中途半端な感が否めず、タンク系のようにそれを補える程火力に秀でているわけでもないのが実情。
特に250スタートながらアンチステルス持ちのザク・キャノン[ラビットタイプ]デザート・ジムのほうが優先されがちな、ある意味不遇なコスト帯と言える。
機体自体は素直で比較的扱いやすいのだが…。




ガンプラ

『ポケ戦』発表当時には発売されず、2004年にHGUCで初キット化。
地味にキット化まで15年掛かった。ガンキャノン直系の子孫なのに…
初期のラインナップなので現在の視点で見れば物足りないが、キャノンを収容出来るギミックがあり、可動もそこそこ。

また、ホワイト・ディンゴ隊仕様もジムとの抱き合わせでプレミアムバンダイからHGUCで販売された。
こちらは単なるカラバリかと思いきや、バイザーがクリアパーツになっている。
しかし付属する武装はオリジナルと同じくジム・マシンガン1丁のみでゲームのように100mmマシンガン両手持ちは出来ない。
同梱のWDジムの方はちゃんと武装が増えているのに……





追記・修正は全滅しなかった方がお願いします。

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最終更新:2024年01月28日 07:59

*1 ザクだって61式戦車の砲撃に耐える装甲を持つが、ランドセルへの攻撃で多大な損害を被ったのだし。

*2 パーツを共有する後期型ジムはソロモン戦までに大量生産に至っているが、後期型ジムのバリエーションに連なるジムスナイパーⅡなどは高性能と認められつつも生産数が少なかった。

*3 実際に解説でもカイの機体とナレーションしている

*4 のフリをしたジオン脱走兵