十天君(藤崎竜版封神演義)

登録日:2012/03/28 Wed 23:14:57
更新日:2024/03/19 Tue 08:54:58
所要時間:約 7 分で読めます





十天君とは、藤崎竜版封神演義に登場する架空の集団。
崑崙山と双璧を成すもう一つの仙人界金鰲島の最高幹部達であり、いわば金鰲島版崑崙十二仙とも言える。
妖怪達の住まう金鰲島出身なだけあり、王天君除く全員が妖怪仙人

どうやら常に半妖体らしく、「完全な人間体を常に保てる=妖怪でも仙人と呼んでいい」と言う定義があるにもかかわらず、終始怪物じみた姿であった。
設定を考えると、単に人間体になっていないだけと思われる。

組織的には通天教主のもと、直接に金鰲島の全道士を管轄・運営する立場である(通天教主が病んだときには全権を代行していたほど)が、
それだけに「十天君を超える高い戦闘力を持つ」「普段金鰲島に居ないのに特別待遇を受ける」「仙界より殷(特定国家)の為に働く」「そもそも若い」などから聞仲のことをひどく嫌っており、
これが聞仲との深刻な対立へと繋がっていく。



ちなみに、原作では「ヒラ道士の個人的なサークル」のようなもので、金鰲島のトップではないし、通天教主の直弟子でもないし、実力も両陣営のトップ層には明らかに劣る
十二仙に対応するのは組織的にも実力的にも、聞仲の師匠・金霊聖母を含む通天教主直属の碧遊宮の仙人たちである。
それでも十天君の実力は楊戩たち(金霊聖母の弟子の聞仲と同じく、十二仙の弟子という意味で同格)には「手に負えない」と言わせるレベルではあるが、
崑崙山のトップ集団「崑崙十二仙」+αには一方的に蹂躙されていた。
ついでに原作では聞仲と十天君、それに趙公明たちは普通に仲がいい

その通天教主直属の仙人・仙女たちは漫画版では一切登場しなかった。



■空間宝貝「十絶陣」

十天君を語る上で欠かせないもの。彼らは全員、異空間を作り出し、その空間そのものを宝貝として使うと言う能力を持つ(王天君だけは少し異質だったが)。

空間宝貝は性質、規模はそれぞれ様々だが、「持ち主に都合の良い」空間であり、この中でこそ十天君は万能となることができる。

また、協力することで複数の空間を組み合わせた「多重空間」としても使用可。

ちなみに原作では、進路遮断・範囲制圧用のトラップ兵器に近く、異空間として解釈した漫画版とはニュアンスが異なる。

むしろ男塾とかに登場するマグマや針山満載のデンジャラスな闘技場っぽい雰囲気。


■構成員

王天君

金鰲十天君の首領格で隈取り化粧をしてピアスを大量につけた不健康そうな少年。

考え事をする時はマニキュアを塗った長い爪を噛むクセがある。
また錠剤のような食べ物を「おやつ」として食べていた。

狡猾かつ残忍な策略家であり、知略を用いてあの太公望すらも出し抜く恐ろしい人物。
一般的な妖怪は短絡的で直接的なのに対し、妖怪仙人のリーダー的存在なのにもかかわらず、妖怪らしかぬ行動をとることが多い。
しかも王天君は頭脳を使い「人の心」という最も脆い部分を積極的に利用するまさしく悪魔的な人物。

ちなみに原作では十天君の中でも特に善人。殺したくない旧友の殺しを最後までためらっていた。
また、「十天君の王天君」とは別に、道教には「王天君」と呼ばれる神格がいる
道教でも多くの場面で護法の神として尊敬を受けているらしく、歴史も長く呼び名も多い。西遊記でも脇役として登場。

  • 紅水陣
王天君の空間宝貝。
他の十天君とは異質で、通常の空間に枠組を作るように展開する。
自身の強い酸性を帯びた血液で霧を作り出した後に赤い雨を降らせ、相手を死に至らしめる。
この雨の酸性はかなり強力で、十二仙の総攻撃ですら無傷だった霊獣・黒麒麟の外格すら蝕み死に至らせた。

「中から出ることはできるが外から入ることはできない」と言う、
一見不可解な性質を持つが、彼独特の美意識か前述のトラウマからこうなったのか…。

中には王天君の幻影が出てくるが本人ではなく、彼曰く「この空間自身が俺」との事。
自分の手をナイフで切り赤い霧を吹き出す描写があったが、ただの幻影による演出だったのか。


  • ダニ(正式名不明)
仙道に寄生する生物宝貝。
寄生した相手に常に宝貝を使うのと同じくらいのダメージを与え続ける。
ダニだけあって寄生を防ぐのはかなり難しい。

地味なようだがかなり効くらしく、十二仙を初めとした崑崙の仙人達の多くをダウンさせた。
効かなかったのは韋護(敏感肌のため、つくのが「キショイ」から速攻で叩き潰せた)、竜吉公主(霧露乾坤網により、水のヴェールに守られていたため)、雲霄三姉妹(元金鰲島出身というのもあり、「ミステリアス・ヴェール」を早々に着こんでいた)など極僅かであり、
崑崙側の戦力を確実に削ぎ落していた、恐るべき兵器である。

他にも四角い窓のようなものを出して、自分や他者を瞬時に移動させる能力を持つ。



◆張天君

小さな体躯を長い腕で支えた仙人。超然とした態度で意外に礼儀正しい。
浸入してきた楊ゼンの相手を任される辺り、仙界大戦序章の登場ながら、上位クラスの実力者。
それまで誰も気づかなった楊ゼンの正体にピンとくる辺り、かなり勘も鋭かったようだ。

ちなみに本作では一番手だったが、原作では最後に戦った十天君。


  • 紅砂陣
永遠とも呼べる程に広大な砂漠の空間。
相手との距離を自在に操ったり、砂で出来た巨人に襲わせたりもするが、真の恐ろしさは、「使用者以外を風化させ砂にしてしまう事」。
原作(安能版)では唯一殺傷力を持たない生け捕り用の符陣だったりする。
原典では破るのが最も困難な陣とされており、敢えて武王を陣の中に捕えさせる事で百日掛けて弱体化させなければいけなかった。

「永遠の砂漠」と称していたものの用量には限りがあり、楊ゼンは特異な能力を持っていたことも相まってそこを利用され破れる事となった。

だが、その後の楊ゼンがこれまでに無く疲労していた辺り、一応限界があっただけでとてつもなく広大な空間であったのだろう。



◆孫天君

人形のような姿をした妖怪。
オモチャをコレクションしていると言ったが簡単に自爆させる辺り、ただの建前だったようだ。
仙界大戦では太公望ら3人をオモチャにするが、実はすでに太公望にはめられており、彼の指示を受けていた玉鼎真人により封神される。


  • 化血陣
オモチャで溢れた子供部屋のような空間。
孫天君の操るオモチャとなにかしらのゲームをし、負けたらオモチャになってしまう。
そして実は、すべてのゲームは孫天君に都合の良いものばかりであり、相手は決して勝てない仕組みだった。

ちなみに原作の化血陣は、眩い光に包まれた空間で、その光に当たると血で爛れて死ぬと言う、全く違う空間だった。



◆袁天君

ロマンチストで汚らわしい赤い毛玉。
穏やかな物腰で、自分以前の十天君の敗因が慢心にあると考え手を緩めず攻めた慎重かつ徹底した性格。
普賢の説得にも応じなかったが、最期は核融合であぼんと物凄いごり押しを喰らった。


  • 寒氷陣
雪と氷に包まれた空間で、極寒を利用した攻撃を繰り出す。原作では牙のような氷塊が上下から相手を挟み潰す符陣だった。

・・・氷でなくても刃物で良くね? とか言わない。マヒャドやブリザガみたいなもんだ。



◆董天君

巨大なセミのような姿の妖怪。
虫と言われたら否定したが「ミーンミーン」と鳴いていたので多分原型はセミ。虫ですね。

黄一族を陣に招き入れるも、黄天化の火竜ヒョウによって己の陣の底に落とされ、あっさりミンチになった。


  • 風孔陣
常に強風が吹きすさんだ空間で、底には宝貝合金の網があり、触れたものを両断する。
原作でも暴風で敵をズタズタにするという陣だったが、
十二仙ですら「定風珠」という宝貝(漫画版未登場)を他から借りてこないと対抗できないという極めて強力な威力であった。



◆趙天君

一見するとただのモノリス。総出演時間2コマでナタクにあっさりやられた。


  • 地裂陣
多分地割れや地震で攻撃する空間だったのだろう。ちなみに、原作では地面から立ち上る火柱で相手を吹っ飛ばす地雷原みたいな符陣だった。



◆秦天君

イギリスのストーンヘンジみたいな見た目の妖怪。白天君と連携して戦う。
雲霄三姉妹の「究極黄河陣」に成す術なく敗れ、最期はマドンナにお菓子ごと喰われた。


  • 天絶陣
宇宙空間を思わせる空間で、隕石群を降らしたり出来る。
下記多重空間でもメインはこれだった模様。
力押しの空間故か、単純により力の強い「究極黄河陣」には敵わない道理である。



◆白天君

向かい合わせの男女が手足が繋がった姿の妖怪。基本人格がどちらにあるかは不明。
秦天君共々、マドンナに喰われる。

尚、泰天君と白天君に雲霄三姉妹の迎撃を指示したのは王天君だが、三人揃えば趙公明と同等の実力を誇る雲霄三姉妹は足止めするのが精一杯と早々に判断しており、ハナから時間稼ぎ用の捨て駒として扱っていた様である。

  • 烈焔陣
炎を操る空間。上記天絶陣との多重空間を展開した。 
天絶陣と組み合わせることで炎を纏った隕石を降らす事ができる。
簡単に破られた為弱く見えるものの、その性質は足場の悪い空間の中を四方八方から炎を纏った隕石が襲いかかるという非常に殺傷力の高い代物。
ビーナスも「あれを受けたら死あるのみ」と究極黄河陣の前では児戯に等しいという前置き込みだが攻撃力自体は評価している。
その為、董天君を破った黄一族三人がかりでも荷がかちすぎる相手と判断し、戦線に加わらないよう配慮していた。



◆姚天君

陰陽のマークのような顔をした妖怪。作中では最初に登場した十天君。
十天君の中でも抜きん出た実力者で、聞仲からも「それでこそ十天君だ」「私を本気にさせられる相手は久しぶり」と評されている。

仙界大戦では金光聖母とともに楊ゼン、韋護、ナタクと対戦。3人を追い詰めるが、楊ゼンが倒れたことで奮起した韋護により封神される。

原典では戦う前に太公望の呪殺を試みて仮死状態に追い込み、呪いを解くために陣に乗り込んで来た赤精子を二度撃退するなどかなり活躍したが、三度目の戦いで呆気なく敗れた。


  • 落魂陣
魂魄すら消滅させる光線を放つ「落魂の呪符」と物理ダメージを与える「破壊の呪符」を展開させた空間。
実は魂魄を消滅させるというのはこれ以外にはスーパー宝貝の六魂幡と伏羲の使う誅仙陣しかない…という凄い宝貝。
これだけでも十分に厄介だが、更に金光聖母がサポートに入ると光の屈折を操作して視覚情報を狂わせてくるので目視での回避が非常に難しくなってくる。
強力な宝貝の為最終決戦では楊ゼンが使用して、魂魄体でダメージを与えられない女禍へダメージを与えることに成功した。 



◆金光聖母

十天君の紅一点。
手首のみ独立して宙に浮き、手足の無いマント姿の美女。姚天君とともに十天君ではトップクラスの実力者。

ちなみに十天君がシルエットでのみ登場していた際、角の生えた細身の女性の影もあり、おそらくはこれが最初期の彼女のデザインだったと思われる。

仙界対戦では姚天君とともに楊ゼン、韋護、ナタクと対戦。
3人を追い詰めるが、張天君へ変化した楊ゼンによる砂の壁により視界を遮られ、ナタクの接近を許し封神される。

姚天君とはお互いに相方の空間宝貝の弱点をカバーし合っており、コンビネーションは極めて良好。
孫天君が敗北した際もすぐに王天君に敵討ちを進言しているあたり、クールな印象だが仲間意識は強い性格のようである。

  • 金光陣
光に満ちた廃墟のような空間。金光陣の光により生まれた相手の影を実体化させ戦わせる。
影の戦闘力は本物の十分の一程度だが、影を攻撃したら本人もダメージを受けると言う悪辣な仕様。
加えてダメージ覚悟で影を倒しても、影は本人が死なない限り無限に現れる為一時凌ぎにもならない。
障害物などで光を遮断されると影が発生しなくなるのが弱点だが、その際には姚天君が破壊の呪符で障害物を破壊する事でカバーしている。


追記、修正は、八卦の陣に気をつけながらお願いします

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最終更新:2024年03月19日 08:54