法正

登録日:2010/02/19 Fri 12:48:00
更新日:2023/10/01 Sun 02:02:11
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法正(ほう-せい)とは三国志における蜀漢の軍師。字は孝直。
知謀にすぐれたが、野心家な上に陰湿で執念深い性格であり、
活躍した蜀取りはホウ統、漢中攻略戦は演義でほぼ諸葛亮の手柄にされているため、賞賛されることは少ない。


[経歴]
196年、飢饉に遭ったがために、中央の争いに参画せずに益州を治めていた劉璋のもとに孟達と共に身を寄せる。

県令や校尉に任じられるが重用されず、そのことから「劉璋の下では大事を成せぬ」と判断し、
張松、孟達らと共に劉備を迎え入れることを共謀。

初め劉璋に進言し、曹操と断交させ、劉備に接近させることに成功。
次いで漢中の五斗米道を率いる張魯の脅威を利用してその押さえとして劉備を益州に入れることに成功。
劉備の蜀盗りに劉璋が焦土作戦を取らぬことを見抜いたり、自ら降伏を勧める手紙を書いたり、様々な献策を行い、
ホウ統、黄忠魏延らと共にこれを見事に成功させる。

劉備が蜀を支配すると中央の政治にも手腕を発揮、
諸葛亮らと蜀科を制定したり、名声のあった許靖の名を利用するなどしていた。
が、『劉璋配下時代に私怨のあった者を勝手に捕らえ、勝手に殺害した』という法治主義では有り得ないこともやらかしている。
だが諸葛亮さえも「我が殿が今あるのも法正殿のおかげ、故に罪に問うことは出来ない」とその功績を認め、罪を不問にしていた。

ただし、法正が諸葛亮の厳罰・重刑・法治主義に「そこまで厳しくしなくてもいいんじゃないか?」といった際には、
諸葛亮がその目的や意義を滔々と説いて譲らず、法正の側が納得して受け入れている。
諸葛亮が一方的に譲るわけではなく、双方で意見の交換をしていたということだ。

張魯から曹操の下へと渡った漢中には夏侯淵と張コウが駐屯しており、
法正は漢中攻略を進め、軍師となり従軍。一時形勢不利となりながらも適切な献策を行い、
定軍山でも策により夏侯淵を黄忠に斬らせることを成功し、曹操の攻撃も全て策謀にて捌き切った。
漢中からの撤退時、今回の劉備軍の作戦を改めて見た曹操は、
「劉備がんな策思いつく筈ねぇんだけどなぁ」と言い、後に法正のことを知ると、
「俺は天下の奸雄はほぼ全て集めたつもりだったが、法正のみは手に入らなかったか…」と、悔しがったとされる。

劉備が漢中王となると更に昇進するが、漢中戦での激務が原因で身体を壊し、翌年に病死。
劉備から唯一『翼侯』という諡号を送られている。

死後夷陵の戦いが起こり、劉備が大敗北を喫すると
諸葛亮は「法正殿が生きて居たならば止められたであろうし、行っていても大敗は避けられた…」と嘆いた。

このように同僚の諸葛亮から才能を認められて居たが、性格は合わず折り合いが悪かった。
その代わり益州閥、古参武将ら共に仲が良く、特に蜀軍で孤立しがちだった魏延とは馬が合ったのか、数少ない仲が良い人物であった。

三国志を編集した陳寿は「法正は判断力に優れ、並外れた計略の所有者であった。しかし、徳性について賞賛されることは全然なかった」と評価している。
要するに「有能なろくでなし」である。
とは言えその頭脳に対して、裴松之は「法正は魏臣に例えると郭嘉、荀攸に比肩する」と最大級の評価を与えていた。

[各作品での法正]
諸葛亮に喰われがちで活躍は少ない。
また言ってみれば「売国奴」である点もしばしば問題視されており、本場中国では歴史的にかなりつらい扱いを受けてきた。
実はかの劉禅同様、劉備の墓に建てられている「成都武候祀祠」では祭祀対象から外されているほど。


●横山三国志
漢中争奪戦で活躍。
陰惨な部分はでてこない。

蒼天航路
「この法正が殿に侍る限り、千里を駆けてもこの陣は崩せまいぞ!」
感性的な諸葛亮とは真逆に、数多くの策から最善の一手を導き出す軍師。正史にあるような性格の悪さどころかかなり性格が良く、軍師嫌いの張飛も認めるほど。
漢中攻防戦にて大活躍し、曹操軍を散々に破り、曹操を追い詰めるが、陣中で倒れそのまま帰らぬ人となった。
尚、策にて曹操を死地に追い込んだのは賈クと法正だけである。

●無双シリーズ
再臨では長篠で軍師に格上げされる。モブだけど。
7猛将伝で遂にPC化を果たした。CVは橋詰知久。
やられたらやり返す…倍返しだ!なインテリ悪党。恩も恨みも忘れません。
味方からもえげつないと評される策謀や、諸葛亮からは史実同様な扱いを受けている。
8ではifルートが存在し、身体に気を遣うと漢中戦後も生存する。

●三国志大戦
蜀勢力所属の軍師として最初期から登場している。
ビジュアル的なイメージはVer1から「奸智に長けた謀臣」というフレーバーで一貫しているが
カード性能としては「扱いやすい計略・良スペック持ちの初心者向け」と「低スペックで使いどころを選ぶ計略を持つ上級者向け」の両極端なカードが混在している。
前者としては1(後方指揮)、2(挑発)、3(軍師、再起興軍+長槍閃陣)、4(雲散の計)など。
扱いやすい基本計略を所持しステータスも良好、レアリティも低めで入手しやすい良カードがそろっている。

後者としては自身が騎兵でありながら槍兵に車輪効果をもたらす「車輪の指揮」、
自身を毒状態にするが自身が生存しているかぎり味方を強化し続ける「最期の交響曲」、
範囲内の敵を弱体化させ味方を強化し大幅な武力差をもたらす「虎威の報復」など
いずれもクセは強いがはまれば強力で頂上対決を大いににぎわせてきた。



●三極姫
やたら男前なイケメンとして登場。
人材不足の蜀ではかなり貴重な人物。
ロリコン徐庶や山賊魏延と言った蜀の濃い面々に頭を悩ます苦労人。
日光が苦手らしい。





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最終更新:2023年10月01日 02:02