こころ(小説)

登録日 :2012/02/16(木) 20:32:13
更新日 : 2017/05/04 Thu 17:02:28
所要時間 :約 5 分で読めます




私はその人を常に先生と呼んでいた。

『こころ』とは夏目漱石の小説。本によっては題名は「こゝろ」になっている。

【目次】

  • 概要
1914年(大正3)4月20日~8月11日まで、「心 先生の遺書」と言う題名で朝日新聞で連載され、後に現在の題名になった。教科書に一部だけ採用されることがある。
誰もが読書感想文を書かされた思い出を持っているのでは。
自序から理解できるように、当初の漱石の計画からは外れてしまった作品である。
しかし伏線に富み、構成がしっかりとしている長編なので、今一度全編を通読してみるべし。
予定外に長編化したのは、「こころ」の次の連載小説のストックがなかなかたまらず、時間を稼ぐためだったとも、まことしやかに語られている。
先生の手紙なんて、作中の描写では精々封筒サイズなのに、文量的には原稿用紙ドッサリだとか……。

漱石による予告】
自己の心を捕らへんと欲する人々に、人間の心を捕へ得たる此の作物を奨む。

【漱石による自序】
短編の第一に当る『先生の遺書』を書き込んで行くうちに、予想通り早く片が付かない事を発見したので、
とうとうその一篇丈を単行本に纏めて公けにする方針に模様がえをした。


  • ストーリー
【上 先生と私】
私は鎌倉の海で、先生に運命めいたものを感じ、彼に近づく。しかし先生は私と深く関わろうとせず、不思議な言葉を残すのみである。
私は先生の家によく出入りし、その奥さんと仲良くなるが、奥さんにも先生の下向きな性格の理由はわからない。

【中 両親と私】
私は大学を卒業し、いったん故郷に帰る。私は家族に先生の話をする。だが兄は何もしていない先生を批判する。
病気の父の容態が悪化していく中、私は先生からの手紙を受けとる。私は先生の手紙から彼の自殺を知り、東京に向かう。

【下 先生と遺書】
叔父の裏切りから、人間恐怖症に陥った先生は上京し、ある未亡人の家に下宿する。先生は、そこに友人Kを誘い同居した。
女を軽視するKだが、次第に奥さんの娘に惹かれ始める。同じくお嬢さんに気がある先生は、嫉妬に苦しむ。
突然Kにお嬢さんへの恋を告白された先生は、とうとう彼を出し抜き結婚の約束をしてしまう。
先生に裏切られたことを知ったKは、自殺してしまう。
先生は、こうした事実を私に伝え、一人静かに死んでいった。


この最後の先生の自殺について、その動機が問題としてあげられることがある。
先生は、学生時代に犯した罪から、二三十年後に自殺している。
おまけに、最終的に先生は、その過程と関係のない理由で死んでいる。乃木希典の殉死に触発されたのである。

これには、多くの文学先生が頭を抱えた。

時代に殉死したと、言われているが…


  • 主な登場人物
◆私
『上』『中』の主人公。東大生。ニート候補。
なぜか先生に惹かれる。

◆先生
『下』の主人公。絶望先生。東大を卒業したエリートニート高等遊民。
友情より愛を優勢するが、罪悪感に苦しみ時代に殉死する。

◆お嬢さん
先生の妻。名を静という。元々Kではなく、先生に気があった。

◆K
先生の友人。坊主の息子で、医者の家の養子になる。
古風な男尊女卑男であるが、お嬢さんで性に目覚める。先生の裏切りを知り、自殺する。

◆奥さん
未亡人でお嬢さんの母。
夫が軍人であったのでそこそこ金はある。





あなたは物足りない結果私の所に動いて来たじゃありませんか

それはそうかも知れません。然しそれは恋とは違います

恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、まず同性の私の所へ動いて来たのです

然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか

その先生は何をしているのかい

何にもしていないんです

自分だけが世の中の不幸を一人で背負って立っている

切ない恋を打ち明けられた時の私を想像して見て下さい

精神的に向上心のないものは、馬鹿だ

馬鹿だ

僕は馬鹿だ

もっと早く死ぬべきだのに何故今まで生きていたのだろう

私は襖に迸ばしっている血潮を始めて見たのです。


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