桃太郎(芥川龍之介)

登録日 :2012/02/04(土) 13:13:16
更新日 : 2017/10/14 Sat 20:15:50
所要時間 :約 7 分で読めます




日本ではよく親しまれた昔話『桃太郎』。

桃から産まれた正義漢、桃太郎が猿、キジ、の三匹の家来と共に悪いを懲らしめる勧善懲悪物である。
幼児向けに絵本や紙芝居になることも多い、昔話の代表作であるが、あなたはこのお話が芥川龍之介の著で小説になっていることをご存知だろうか。

しかしこの芥川版桃太郎、何か様子がおかしいのである。
大筋は確かに桃太郎が家来を引き連れ鬼退治をするというものなのだが…?


【登場人物】

  • 桃太郎
「進め! 進め! 鬼という鬼は見つけ次第、一匹も残らず殺してしまえ!」

ご存知日本一の桃太郎。

だがこの主人公、かなりのクズ野郎。
家にいる頃は働きもせず、鬼退治に出かけたのもお爺さんやお婆さんのように山や川で働いたりしたくないからというどうしようも無いやつ。早い話がニート

その上家来達に出会って、鬼退治のお供を引き受ける代わりに黍団子を一つよこせと言われても、「一つはやらぬ、半分やろう」の一点張りのドケチ。

コイツのクズっぷりはまだまだ止まることをしらず、鬼ヶ島に着くなり上記のセリフとともに鬼(後述するが穏やかでいい連中)の大虐殺を始め、
降参した鬼から宝物を一つ残らず奪い、鬼の子を人質に出させる。
まさに戦勝国の振る舞いである。 こいつ戦いで何もしてないけど

静かに暮らしていただけの鬼が、「何か無礼がございましたから征伐されたのでしょうが、見当がつきません。
何かご無礼でもありましたでしょうか」の質問にも取り合わず、これ以上質問するならぶっ殺すぞと脅かす程の鬼畜っぷり。
…まぁ働きたくなかったからとも言えまい…
宝物と人質をゲットして凱旋する桃太郎だが、後々鬼の復讐に悩まされることとなる。


  • 雉(キジ)
三匹の家来の中では一番マトモ。
桃太郎から半分の黍団子をもらいお供することとなる。
地震学などに強いらしく、鬼ヶ島への道中は頭のよろしくない犬を馬鹿にする。
しかし何だかんだで猿と犬の乱闘を止めたりするあたり一応マトモな奴。忠義の心も持っており、桃太郎にちゃんと従うように猿に言う。
鬼ヶ島での戦いでは「つつく」で鬼の子供をつき殺した。
成長した人質にとった鬼の子に噛み殺される。
三匹の中で唯一台詞がない。


「桃太郎さん。桃太郎さん。お腰に下げたのは何でございます?」

犬である。
桃太郎から半分の黍団子をもらい(ry
桃太郎最初の家来。黍団子が一つ欲しかったが桃太郎がケチなのでもらえなかった。
丈夫な牙を持っているので道中は意気地のない猿を馬鹿にしていた。
猿が桃太郎に逆らったりすると、ちゃんと注意する。過激な方法で。
どうも沸点が異様に低いらしく猿が桃太郎に逆らうや否や吠えながら猿を噛み殺そうとする、委員長の振りをしたDQN。委員長キャラはキジさんに任せましょう。

鬼ヶ島での戦いでは自慢の牙で鬼を噛み殺しまくった。


「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいるわけですね。
 それは耳よりな話です。どうかわたしもつれて行って下さい。」

本作ナンバー2のクズ。
桃太郎から半分の(ry
黍団子の勘定が速いので道中はもっともらしいキジを馬鹿にしていた。
鬼ヶ島への道中、もらっておきながら半分の黍団子じゃ鬼ヶ島に着いて行きたくない。足りない。とか言い出す。
この件で駄々をこねたばっかりに 危うく犬に噛み殺されそうになる。さぞびびったに違いない。
結局桃太郎の言う、鬼ヶ島の宝物につられ、その中の打ち出の小槌を励みにお供を続けることに。

鬼ヶ島の戦いでは、鬼の娘を狙い、絞め殺す前に陵辱をほしいままにしたようだ。要するに鬼の娘をレイプしたんだろう。戦闘中に随分な余裕である。
結局あんなに欲しがっていた打ち出の小槌を手にする描写はない。
最後は鬼に桃太郎と間違われて暗殺された。


  • 鬼たち
「わたくしどもはあなた様に何か無礼でもいたしたため、御征伐を受けたことと存じて居ります。
 しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点が参りませぬ。
 ついてはその無礼の次第をお明しくださるわけには参りますまいか?」

自然豊かな地、鬼ヶ島で平和に、穏やかに暮らす一族だったが突如桃太郎一味が襲来したので、建国以来の恐怖に叩き落とされた挙句、ほとんど全滅させられた。

降参後、宝物と子供を取られた際に、なぜ鬼ヶ島に鬼退治にきたのか聞くものの取り合ってもらえない。
生き残った鬼と人質の鬼の子で、後に桃太郎への復讐を始める。


  • お爺さんとお婆さん
昔話と同じように、山や川や畑で働く老夫婦。
ニート状態の桃太郎に愛想を尽かしていたため、鬼退治に出掛けると言い出した桃太郎に、入用のものや黍団子を持たせて厄介払いをする。



この作品は、よく知られた昔話の桃太郎や猿かに合戦など他の昔話のパロディが時々出てくることもあるので、読んでてニヤリとできるかもしれない。

文学作品だが読みやすく内容もとっつきやすいので一度読んで見ることをオススメする。

因みにかの有名な童謡「桃太郎」の歌詞の続きには、
「潰してしまえ、鬼ヶ島!」や「お~もしろい、面白い」(鬼の虐殺のこと)と桃太郎の外道っぷりが語られているので、
小さい子の夢を壊さないよう歌詞を知っていても教えないようにしよう。



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