クリスティン・V(FSS)

登録日:2012/04/16 (月) 23:35:47
更新日:2024/03/03 Sun 14:56:03
所要時間:約 5 分で読めます




「たとえ花壇に花は咲かずとも私はもう一生に足りる恋をした!陛下に赤子を千人殺せと言わるれば殺そう!一国を滅ぼせと言わるればこの手で灰にしよう!これ以上何を望むか!生きる証はここにある!」



◆クリスティン・V

「クリスティン・V(ビィ)」は永野護の漫画作品『ファイブスター物語』の登場人物。
同作を代表するヒロインの一人で、再開間近の「魔導大戦」編の主人公の一人。
物語への正式な登場は「シバレース」編だが、名前のみは連載初期より登場しており、父バーバリュースの回想と云う形ながら「トラフィクス1」にて初めて姿が描かれていた。



【人物】


愛称はクリス。
元・フィルモア帝国ノイエシルチス三銃士の一人バーバリュース・V男爵の一人娘で、騎士団でも1、2を争う腕を持っていたバーバリュースの血を引き継ぎ、
幼少時より強力な騎士能力を発揮する。
現在の年齢は地球人で言えば20歳前後。
若く美しい、何より過酷な環境に身を置く悲劇の女騎士である。

現在は帝国騎士として最高の称号である「皇帝代理騎士(ハイランダー)」として、ノイエシルチスを率いて「魔導大戦」を戦うが、その栄誉ある称号に反し、
彼女は一般人を激情のままに殺害した「凶状持ち」の騎士として、その身を死ぬまで帝国に捧げなければいけない存在なのである。

初登場時にはまだ騎士能力に目覚めていなかったのか、同級生とケンカをする等、活発な少女として描かれていた。
……が、本格登場となる「シバレース」編では、自分にヒドい虐待を加えていた一般人の上級生を騎士の力で殺害すると云う衝撃的な展開から幕を開け、読者の度肝を抜いた。
詳しくは「騎士(FSS)」を参考にして戴きたいが、超人類である騎士は常人の数十倍にも及ぶその力を一般人に振るう事に対し、厳しい戒律がある。
クリスもまた、その「罪」により幼い身柄で一生を植物人間として過ごす「罰」を背負う事が決定していた。

しかし、帝国に於ける英雄であった父バーバリュースの高名と徳により、皇帝レーダー8世や先代皇后慧茄が帝国議会の動きに反発しクリスを救うべく暗躍……。
結局はバーバリュースの自害により幼いクリスを父の代わりに帝国騎士としての任に据える事で決着を付けたのである。
……しかし、本来は心優しい少女であったクリスにとって、これは茨の道の始まりでもあった。

毎日を剣の修行と、皇帝騎V・サイレンに選ばれた騎士として、ノイエシルチスの指揮官となるべく戦術理論の研究に明け暮れる日々を過ごす。
本来は三銃士をも超える最高の栄誉であるハイランダーの称号も、だからクリスに限っては侮蔑を込めた見方をされている面もある様である。
ハイランダーの授与と時を同じくして、いきなり喧嘩友達になったママドア・ユーゾッタと共に剣聖カイエンとの「手合い」を生き残り「天位」の称号も得たクリスだが、その責任への重圧は軽減される事が無かった。


遂に初の実戦となった「魔導大戦」に於けるメヨーヨ帝国との戦いでは、初陣としては最悪のシチュエーションでありながら
(確認できるだけでも)敵MH4騎撃破という大スコアを挙げたが、極度のプレッシャーと殺人の精神的衝撃によりパニックを引き起こし戦闘不能状態に陥ってしまい、
自ら戦場に殴り込んだ皇帝ダイ・グ5に助けられるという失態をさらす結末になった。
……そのまま、再起不能かと思われたクリスだが、戦場の経過を見に来た慧茄に、皇帝ダイ・グ5より贈られた耳飾りの「真の意味」を聞かされ、
その想いを理解すると共に、若い皇帝の為に命を捧げる事を決意。
項目冒頭に掲げたのは、騎士として生きる事を強いられて来た彼女が、
自ら呪われた騎士(シバレース)として生きる事を決意した際の独白である。
再びダイ・グの元に復帰の報告をした彼女の姿に、彼女よりも歴戦の騎士達は畏怖する事となった。


【関連人物】


◆バーバリュース・V
クリスの父であり、ノイエシルチスでも1、2を争う腕と徳を持っていた人物。
青グループのリーダーであったが、配下の騎士3名と共に無名の騎士デコース・ワイズメルに敗れる不祥事を起こし降格された。
帝国議会にはクリス共々に忌々しい存在だが、騎士団には今も彼を慕う人物は多く、クリスを陰ながら支えようと云う騎士も多い。
クリスの殺人行為の責任を取り自害。


◆ブルーノ・カンツィアン
バーバリュースの愛弟子。クリスが小さい頃から兄貴分だった。
現在は青グループのリーダー兼、皇帝警護騎士としてクリスを支える。

ビオレート・トライトン王子
レーダー王家の王子にして、レーダー8世と先々代皇后慧茄の両方から信頼篤い凄腕騎士。
騎士として、人間としてクリスを側で護衛する世話焼き気質の出来た大人。

◆エラニュース・ダイ・グ・フィルモア5
現フィルモア帝国皇帝。
皇帝であると共にクリスと同じハイランダーであり、矢張り剣聖カイエンより「天位」を授かっている。
クリスに祖母である慧茄の耳飾りを「お守り」として渡すが、それは自らの「妃」とする証であった。
……作者によれば、バキン・ラカン帝国でクリスが悩んでいる姿を遠くで見守っていた頃から一途に想いを寄せていたとの事。



【パートナー】


◇ファティマ・町
バランシェ・ファティマNo.16
父バーバリュースより引き継いだファティマ。
同じ日本語名を持つ、静、時、京とは四姉妹となる。
クリスがハイランダーとなった事により、レーダー王家を顕す孔雀色のファティマスーツとウォータークラウンの紋を背負い、若い主を支える。



【使用MH】


■V・サイレン103
通称:ネプチューン
レーダー王家に伝わるMHで、フィルモア帝国の皇帝騎。
こっちの読みは「V(ブイ)」である。極初期には「ヴォサイレン」とも。
前皇帝レーダー8世の乗騎だったが、凶状持ちとなったクリスを巡る争いの中で“自ら”クリスを守る行動を取った事で、前皇帝自身の手でクリスに渡された。
細身の女性型で、装甲も最低限に纏められているが、出力は通常のサイレンの1.3倍以上を誇ると云うピーキーな機体。
その軽さと細さのせいでダメージと機械疲労の蓄積に弱く、初陣のような集団戦・足を止めての打ち合い・連戦にはまるで不向き。
なおGTMになってからGTMホルダ19型:ディー・メロウラになったが、彼女の血筋的に運命のGTMだったりする。




【余談】


  • 愛称として「クリス」と呼ばれているがクリスは作者・永野護の愛称でもある。

  • 映画『花の詩女 ゴティックメード』のエピローグにファティマ・町、ファティマ・エストと共に登場するが、皇帝はダイ・グではなくノルガン・ジークボゥになっている。

本来は皇帝代理騎士であるハイランダーの称号はフィルモア帝国皇帝に準じる役目なのだが、クリスの場合は過去の「罪」により一般のノイエシルチスのメンバーと同程度の地位にしかなっていない。
……それでも前線指揮を任されているのは、帝国議会にあわよくばクリスに戦死して欲しいとの思惑があるからである。

だが彼女がハイランダーになった理由は他にもあり、実は彼女はドナウ帝国時代の筆頭騎士ハロルドラント・マーカスの末裔という由緒ある血筋を引いており
その血筋と容姿から彼女を嫁がせて子を儲けたいという思惑も存在しており、議会の言いなりになることを危惧したレーダー8世・バシル・バルバロッサ・フンフトらの
意向によりレーダー王家の養子として迎えられたという事情も絡んでいたりする。

そして彼女のGTMは映画にも登場しシャンディ・マーカスという、ドナウ帝国を構成する国の一つハロルドラントの王女がハイランダーとして預かっている。
マーカス家・ハイランダー・構成国とはいえ女王という肩書があるように彼女の血筋はかなり高貴なものだったりする。
彼女がハイランダーとなりメロウラを駆ることになるのは宿命だったのかもしれない。




追記修正は辛い運命を恋心で乗り越えてからお願いします。

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最終更新:2024年03月03日 14:56