ラストファンタジー

登録日:2012/09/02 Sun 02:13:08
更新日:2024/02/18 Sun 13:02:45
所要時間:約 6 分で読めます




『ラストファンタジー』は、「月刊チェジウ」に連載されていた漫画作品。作者は夢野カケラ全2話

「ラストファンタジー」という聖なる石を巡り、魔法の戦いが繰り広げられるファンタジーバトル漫画、かと思われたが……

読者をイラつかせる夢野節は本作でも健在。相変わらずの画力の低さに加え、
  • 1ページ目から度を越した世界観の説明
  • 1話目にして一向に進まないストーリー
という、大御所漫画家でも描かないような駄作を見せつけてくれた。

結局第1話は、主人公が古本屋や図書館を巡って異世界があるだのないだのピーチク言ってるだけであり、異世界からの使者と思われる人物が主人公の所に来た場面で終わってしまう。
「謎の訪問者の正体に興味がある人はいるのか!?」←アオリ文

あまりにも読者を不快にさせた第1話だったが、編集部も理解していたようで、なんと第2話が最終回となる。
しかもいつも通り3ページしか用意してもらえず、結果として異世界は存在しない事になった。
この最終回だけは夢野の実力が存分に発揮され、全ての伏線が回収されている。

全2話で終わっても短期集中連載と思われないのが、夢野の夢野たる所以である。

■登場人物

  • 夢剣流星(ゆめつるぎ りゅうせい)
主人公。異世界に憧れる平凡な高校生。
奇病が蔓延した現実世界が嫌になり、異世界について調べていたが、結局見つからず引きこもりになった。
校長の体を張った説得を受け学校に行く事を決意するが、校長に貰った新作ゲームラストファンタジー」にハマり、結局引きこもったままであった。
超人機とは関係ない。

  • 眼球院ゾリア(がんきゅういん ぞりあ)
流星のクラスメイト。奇病に罹り身体が変化したがいる。
流星を学校に来させようと流星の家まで来て説得した。

  • 台北チートイツ(たいぺい ちーといつ)
流星の家にホームステイ中の中国人留学生。奇病について詳しい。

  • 流星のクラスメイト
ほとんどの生徒が奇病を発症しているが、学校に通っている。
流星を説得するために、総出で流星を迎えに来た。

  • ルドルフ剛鬼(るどるふ ごうき)
流星の通う高校の校長。
生徒思いであり、身体を張って流星を事故から救った。
新作ゲーム「ラストファンタジー」を流星にプレゼントした。

  • 先代の校長
ルドルフ剛鬼より前の校長。奇病を発症し身体が変化している。

第1話の扉絵に登場したキャラは、結局全員流星の学校関係者*1だった。

  • 少女
第1話で流星と一緒に異世界を探していた少女。無意味なパンチラが多い。
第2話(最終回)では扉絵にしか登場しない。


■ラストファンタジー

古より受け継がれてきた7つの聖なる宝石 聖なる宝石(ラストファンタジー)
7つは世界に散らばっていて7つ全てを手中にする者は世界をその手にできる力を得るという。

世界に散らばる7本の聖剣 聖なる剣(ファンタジーソード)にはそれぞれに合った聖なる宝石(ラストファンタジー)があり、それが合わさったとき、その剣は最大の力を発揮するという。
剣の所有者は聖なる剣の主人(ファンタジーマスター)と呼ばれ、剣の守護聖霊に認められた者しかその剣を所有することはできない。

7本の剣はそれぞれ・水・光・風・夢・雷・と別々の特性があり、それぞれの剣の守護聖霊もその特性に合った魔法を使う。

…以上が『ラストファンタジー』の世界観であり、第1話の1ページ目でこの全てが説明されている
ほとんどの読者はこの時点で脱落しているが、よく見てみるとダサすぎるネーミングセンス、火属性と炎属性がカブっている、光属性があるのに闇属性がない、夢属性ってなんだよ、とツッコミどころも非常に多い。

目が滑る大量の設定が一話の段階でしこたま出てくる本作だが、
前二作においては、主人公の相棒を不良に設定した意味が無かった決めろ!キラメキシュートや、
打ち切りを告げられたから無かった事にしたわけでもないのにキャラの設定がコロコロ変わり、作中で発生したイベントがしょっちゅう無かった事になる恋のトライアングル
これらを鑑みるにラストファンタジーの作中設定が夢野に扱い切れるとは思えない読者がさぞ多かったろう。ボロが出る前に打ち切られたけど。

追記と修正の戦いが今始まる!!



















本当はギャグマンガ日和の「打ち切り漫画家シリーズ」というネタの一つ。原作では13巻に収録。
恋のトライアングル』の続編であり、己の実力もわきまえずに大作に挑戦しようとする夢野の無謀さが描かれている。

前3作に続き、打ち切り漫画伏線回収を主にしているが、本作は長期連載漫画にありがちなストーリー進行の遅さや、初期から構想された壮大な伏線もネタにされている。

肝心の内容はと言うと、前述の通り
  • 成長しない低レベルな作画
  • 一向に進行しないストーリー*2
  • 長期連載を見越した壮大な伏線*3
など、過去作に輪をかけて夢野のセンスのなさが(1話目の時点で)遺憾なく発揮されている。
そのくせ恒例となっている冒頭の担当から電話がかかるシーンでも、担当から「アンケートは気にしなくて大丈夫」と言われ、「そんなによかったのか」と返すほど無意味な自信に溢れている*4

そのアンケート結果は、なんと驚異の0票であり、別の意味でも夢野の集大成たる作品となった。
読者からは「1ページ目で読むのをやめた」「雑誌を床に叩きつけた」といった酷評されまくりの意見が多く寄せられたようである。
前作『恋のトライアングル』から担当する編集者の森も「読んでて疲れる」「面白くなさで他を圧倒」と本作を評価し、夢野の「何年も温め続けてきた構想」という必死の訴えにも
死んだ卵を温めてたって感じですね」と言い放った。
読者のみならず編集部の人間も相当イラつかせたようである。

夢野が「得意」と豪語する「剣と魔法のファンタジーもの」は、読んで字の如く「(作品として)『終わっている』ファンタジー」であった。

結局は第1話の中の布石を全て無理やり捻じ曲げて強制終了。
ちなみに森によると、最終回を数ページでまとめる事に関してだけは、編集部内でも夢野の評価は高いらしい。

他の夢野作品は、
など、打ち切りの原因は編集部にもあったのだが、今回ばっかりは編集部に一切非はない*5
改めて夢野の漫画家としてのセンスの無さが浮き彫りになる形となったといえる。



流星の追記・修正の戦いは今始まったばかりだ!!

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最終更新:2024年02月18日 13:02

*1 台北の後ろにいたキャラだけは、ただの岩肌だった。

*2 担当からは「せめて第1話で行ってくださいよ異世界に」と指摘されたが、それに対する夢野の言い分は「異世界があるかないかで二転三転するのが面白いんでしょ!」「次回への期待が膨らむじゃないですか」というものであった。

*3 「ある程度説明した方が読者もわかりやすい」とのことだが明らかに過度である。

*4 実際は「次回で最終回のため、アンケートを取る必要はない」だけのこと。

*5 強いて言えば、(この他の作品にも言えることではあるが)とんでもない内容なのに掲載してしまったことぐらい。