ソードマスターヤマト

登録日:2009/08/01 Sat 15:32:04
更新日:2024/04/18 Thu 07:50:11
所要時間:約 4 分で読めます




月刊チェヨンス」に連載されていた漫画作品。作者は夢野カケラ

ソードマスターヤマトという勇者*1が、悪の化身ベルゼバブと戦うバトルファンタジー漫画。

しかし、月並みな設定やキャラクターの魅力不足などが原因で不人気*2
そして、最終回一話前のありえない誤植がきっかけであえなく打ち切りとなった。全10話。
ちなみにその誤植だらけの回、何故か最後の煽り文で「彼女ができました」という謎の報告をした。
どう見ても話の内容と無関係なので、多分作者か編集部のコメントかと思われる。正直うっとうしい。

最終回はなんとわずか3ページしかページがなかった。
だが、非常に短いページ数の中で伏線を(すごく無理やり且つページ数の都合で明らかに設定変更しているが)回収しきった事に関しては一部で高く評価されている。

単行本は発売されておらず、未だに発売日は未定。

なお、同じく月刊チェヨンスで連載されていたマンガ描男による4コマ漫画どっこいおむすび君」とは、共に不人気だった事や同時期に最終回を迎えた事などからよく比較される間柄なのだが、
読者人気では本作の方が大きく下回っていた事や、打ち切りとはいえ最終回なのに3ページしか与えられなかった本作とは違って「おむすび君」は常に4ページを確保していた事もあり、比較されると本作の方が評価が低くなる事が多い。

■登場人物

  • ヤマト
主人公だが個性がない。必殺技は新必殺音速火炎斬。見た目は斬りじゃなくて突きだし炎の要素も全然ないが
西洋系ファンタジーっぽい世界観と外見なのに名前が「ヤマト(大和)」な時点でなんかもうアレである。
敵にトマトと名前を間違えられた他、自らポテトと名乗った事もある。
パンツだけは…許さない!
肉しみは消えないし、脇は新しくなる。
がいたような気がするがそんなことはなかったぜ!
まそっぷ

  • サイアーク
ベルゼバブ配下の四天王の一人。名前の由来は「最悪」。
ザ・不死身」という異名を持ち、元々は10回刺さないと死なないという設定だったが、最終回で実はただのブラフという事にされた。
四天王の中では最弱らしい。

  • キョウアークゴクアークレツアーク
四天王の残りのメンバー。名前の由来はそれぞれ「凶悪」「極悪」「劣悪」。
サイアークが倒された際に隣の部屋で「人間にやられるとは魔族の面汚しよ」とサイアークを嘲笑っていたが、次の瞬間に扉をぶち破ってきたヤマトに全員まとめて串刺しにされた。

  • ベルゼバブ
大魔王。悪の化身。
ヤマトの両親におむすび1個で地獄の労働をさせていたが、やせ細ったので最寄の町へ解放した。いい奴じゃん
倒すには「聖なる石」というアイテムが必要と思われていたが、最終回でただの根も葉もない噂という事実が判明。
名前の由来はそのままキリスト教における悪魔ベルゼバブだと思われる。

  • 仲間
とりあえず魔法使いっぽい男と僧侶っぽい女がいる。
しかしほとんど背景で、台詞は一言も無い。
最終回に至っては前回まで一緒に行動していたにもかかわらず、全く登場しなかった。


追記・修正できました!
















本当はギャグマンガ日和の「打ち切り漫画家シリーズ」というネタの一つ。原作5巻に収録されている。
「これをアニメにしておくれ」ランキングでは1位を獲得し、アニメの第2期で放送された

打ち切りの最終回で伏線を一気に回収する漫画のあるあるネタであり、劇中劇のあまりの超展開ぶりから今なお語り草となっている。

当時彼女ができて浮かれていた担当編集者の小島によって、とんでもない誤植を連発されてしまう。*3

+ ありえない誤植一覧
  • あいつだけは…許さない! → パンツだけは…許さない!
  • 俺の憎しみは消えないんだ! → 俺の肉しみは消えないんだ!
  • お前がヤマトか… → お前はトマトか…
  • がヤマトだ! → 俺はポテトだ!
  • 俺の新しいを見せてやる! → 俺の新しいを見せてやる!
  • うおおおお! → まそっぷ
仕舞いには最後の煽り文に「彼女ができました~」という、小島のどうでもいい私情が書かれていた*4

誤植ばかりに注目しがちだが、劇中において不人気の原因は夢野の技量不足である事が度々示されている*5
編集の杜撰さがクローズアップされていた第一話「誤植編」においても、実は作品が相当後ろの方に掲載されているのが分かる*6

+ 誤植以前の漫画としての問題点あれこれ
  • 西洋風ファンタジー世界なのに、主人公がヤマト(大和)、悪の親玉がベルゼバブ、その部下がサイアークと、ネーミングの方向性が見事にバラバラで統一されていない。
  • 夢野はいちいちキャラの台詞をカッコいいだのなんだのと持ち上げているものの、誤植なしだと普通にありがちな台詞ばかり。
  • 音速火炎斬とか言いながら放っているのは突き。そして「火炎」と呼びながら炎のエフェクトも特になし
  • サイアークの10回刺さないと死なないという設定も、作者曰く「10話くらい引っ張りたいからこの設定をつけた」とのこと。素直に解釈するなら1話に1回刺すペースで、10話もサイアーク戦を続けるつもりだったということになり、明らかに構成がおかしすぎる*7*8
  • キャラクターデザインが全く洗練されておらず、顔は軒並み無個性(敵サイドに適当なツノやヒレが描かれている程度)。衣装デザインも壊滅的で、ヤマトの格好からして上下がランニングシャツとジーンズにしか見えないという有様。そして取ってつけたかのように肩アーマーを着けている。他の部位は守らないのか…?
作品の問題点以外にも、自分の描いたシーンをやたら「超」をつけて持ち上げたり、新担当の富田からありがちなオチを勧められた際「僕の漫画の場合はできない」と暗に他の漫画を下げる発言をしたりと、この時点でも夢野の欠点が描写されていたことが分かる。

結果として、ありがちすぎな内容にありえないレベルの誤植を連発したことが不人気に拍車をかけ、結局打ち切りを宣告されてしまう。
夢野は超高速展開で全ての伏線を無理やり回収して終了した。

■余談

  • 作者として作中に登場する夢野カケラは不人気な漫画家という設定があり、月刊チェホンマンで連載したサッカー漫画『決めろ!キラメキシュート』も不人気とテコ入れの失敗が原因で、あろうことか「ヤマト」以下のページ数で打ち切りを迎えてしまった。
    さらに別の雑誌で連載したラブコメ漫画『恋のトライアングル』はゲーム化までこぎつけるものの、開発スタッフがこの作品を嫌っていたせいでとんでもないクソゲーになってしまうなど、不人気とはいえ、散々な目に遭っている*9
    ただ、実はこんなんでも勘違いから長期連載になってしまった『恋のトライアングル』を除けば、夢野の連載漫画の中でも一番長く連載が続いた作品だったりするので、この時点では読者人気もそこまで絶望的ではなかったのかもしれない。

  • 後年、『少年ガンガン』で連載されていた下村トモヒロ先生の『女王騎士物語』が突然の打ち切りに遭ったのだが、多くの読者がその事実に驚く中、『少年ガンガン』には数ページのうちにこれまで戦った敵組織との決着を付け、伏線も全て回収し、主人公が最終決戦に出撃するシーンで〆るという、完全に『ソードマスターヤマト』な超展開の最終回が掲載。
    そのラストの煽り文も「エルト(主人公)の愛がアルマ(ヒロイン)を救うと信じて…!」と『ヤマト』のそれと酷似していたため、「リアルソードマスターヤマト」もしくは「ソードマスターエルト」と呼ばれることに*10
    ただし下村氏の画力は夢野カケラを凌駕する程高く、最後のコマも煽り文句はアレだが非常に勢いのある構図で描かれている。そもそも本作は普通に人気があり連載は4年、単行本も全12巻が出ていることから比べることすら烏滸がましい。
    なお下村氏は後に連載した「シュガービーチ」でも「みなと(主人公)の愛がビーチバレー部を救うと信じて…!!」という煽り文句を書かれた。持ちネタじゃないんだから…。

  • アニメでは夢野と新しい担当の富田が語るシーンでなぜか赤ん坊の泣き声が流れる*11


  • ギャグマンガ日和の作者である増田こうすけによると、元々は自身の漫画を誤植されることへの悲しみをネタにした作品だったとのこと。つまり誤植編がメインで、完結編はオマケだったのである。その後は、完結編のような打ち切り漫画の悲哀と滑稽さを描いた人気シリーズになったのはご存知の通りである。


wiki籠りの追記・修正が世界を救うと信じて…!

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最終更新:2024年04月18日 07:50

*1 容姿は某人気RPGの主人公に似ている

*2 一部の読者からは陳腐、ダサいとも言われる始末。

*3 因みにその後、小島は初デートの前に彼女に振られてしまい、仕事中に「ありえないんだぜ!」と叫んでショック死したということが新担当の富田から伝えられた。

*4 基本的に煽り文は誰が考えて書いたのかは公表されないため、人によっては作者が自慢してるようにも見えてしまう。

*5 キャラの設定作りや描き分けが下手、読者に不評な要素を自分ではカッコイイと思ってしまうセンスのなさなど。

*6 チェヨンスがジャンプシステムを採用しているかどうかはわからない。

*7 週刊誌でも10話も戦うのはよほどうまくやらないと間延びしがちなのに、それを月刊誌で10か月も無理矢理引っ張ろうとするのは見通しがおかしい。

*8 ちなみに10話という長さを一般的なコミックレーベルで換算した場合、週刊誌でも約1巻分に相当する長尺である。ましてチェヨンスのような月刊ならおよそ2巻分に相当し、1戦としてはラスボスでもなかなかない長さに到達する。

*9 ちなみにこの後、集計ミスでアンケート人気があると編集部が勘違いしていたことが発覚しやっぱり打ち切りになった。

*10 単行本にはこれに加筆された最終回が掲載されている。

*11 魔王と同名の漫画とひっかけたお遊びと思われる。