永沢君(漫画)

登録日:2011/05/22(日) 03:12:39
更新日:2024/01/09 Tue 20:37:34
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ボクは、中学男の永沢さ。
ボク、永沢ってみょうじだから
永沢に"君"をつけて、

"永沢君"なんて呼ばれてるんだ。



●永沢君


『永沢君』はさくらももこの漫画作品。
平成5年(93年)から、平成7年(95年)まで「週刊ビッグコミックスピリッツ」「ビッグコミックスピリッツ21」に不定期連載された。
ハードカバーの全一巻。
以前に同様の経緯で掲載された『神のちから』に続く、さくらももこのシュールなブラックユーモア溢れる「青年漫画作品」である。



【概要】

ちびまる子ちゃん』の脇役であるタマネギ頭の男子生徒、永沢を主人公に据えた地味な中学校生活(青春)を淡々と描いていく“だけ”の作品。
不条理さがウリ(?)の前作『神のちから』に比べると、1970年代終盤当時の世相を反映したリアルな世界観にあり、
さくらももこの人間観察眼が活かされた下らなくも輝かしい、中学男子の青春が描き出されている。

毒舌の永沢と卑怯な藤木と云うキャラクターが完全に定着する契機になった他、
デブの小杉や暗いお笑い好きの野口さんと云ったキャラクターは、実は今作から『ちびまる子ちゃん』に逆輸入されたキャラクターだったりする。

全体的に登場人物が妄想……且つ暴走気味だが、中学生なんて大体こんなもんな気がする。

コミックス(「ボンバーコミックス2号」)には『神のちから』に続き『バカ山バカ太郎先生』の他、ノムォコ・ソクゥラによる新連載『ゲヘとカツやん』が掲載された。

ちなみに後の『ひとりずもう』にて、「ももこ(まる子)たまちゃんは中学時学区の違いからそれぞれ別の学校に入学した(高校で再会)」と明かされているが、永沢達がまる子達と別の中学なのも学区の違いのせいかは不明。



【登場人物】

タマネギ頭の中学男子。
性格が悪いと言われるが、単に的確な毒舌を吐いてるだけの気もする。
学生帽は頭のてっぺんに僅かに乗せる程度。
漫才ブームの最中にあるらしく“ツービート(てか、たけし)”に夢中。
人並に女の子には興味があり、思春期真っ直中。
基本的に他人を見下している(あれ?……やっぱり性格悪いんじゃあ……)。
投稿葉書のペンネームは「キンタマネギ男」

  • 藤木茂
中学になっても変わらず、永沢の親友(自称)。
基本的に無害で思いやりのある良いヤツなのだが、肝心な時に保身に走る「卑怯者」であり、事ある毎に永沢らにそれを責められている。
英語のテストで「1点」を取ってしまい更に立場を無くすが、実は永沢も憧れた葉書職人“キジフ・ゲルーシ”と云う顔を持ち、終盤ではまさかのモテ男に……?

  • 小杉太
永沢、藤木と三人で良くつるんでいるが扱いは悪い。
逆輸入された『ちびまる子ちゃん』では食欲関連で暴走しがちなキャラクターが付けられているが、初登場となる本作では良識あるデブちんと云う感じである。

何故か中学でも市立に通うお坊ちゃま。
キザで、女の子に優しくモテるのは相変わらず。
性格の良さも相変わらずで、小学校からの友人である永沢や藤木らにも優しく接している。
永沢らとの「人生」の不公平さを対比させるだけの存在として、登場させられたのだと思われる。
永沢「ところでブートレッグってなんだい?」
花輪くん「海賊盤のことさ。」

  • ヒデじい
相変わらず花輪くん付きの優しいじいや。
永沢はバレンタインに下駄箱に入れられていた「H.J」のイニシャルのチョコレートを“ヒデじい”からの物と勘違いして顔を赤らめた。(ちなみに彼の本名は西城秀治なのでイニシャルは「H.S」である)

  • 平井
クラスの不良。
初登場時に永沢のナメた発言に対し鮮やかなパンチを見舞うが、以降は4コマで藤木の千円をネコババした以外は割と馴染んでいた。
ゲヘやカツやんと云った下記のバカ共より勉強は出来るが最終的には就職を選択した。
飲酒喫煙シンナーは勿論、暴走族にも所属している本物。

  • 倉田
簡単な顔のバカ。
一人前にメガネをかけている癖に「視力」も知らない。

  • 川口
倉田と同じくバカ。
二人は修学旅行の班決めで、永沢に屈辱を与える。

  • ゲヘ
いつも「ゲヘゲヘ」と笑っているクラス一のバカ。
常に女の事を考えている……「ゲヘーッ!!」

  • カツやん
ゲヘの親友。
何か絵画的な形容し難い容姿をしている。
ノムォコ・ソクゥラ筆の『ゲヘとカツやん』によれば「他に友達がいないから親友」との事だが、彼自身は本気でそう思っている様子。
勉強は出来ないがクールで理知的な喋り方をする。


※彼ら四人は第一志望に落ちた永沢(英雄)の青春(高校生活)の友達(下僕)になる……予定。



【女子】

『永沢君』の実質的なヒロイン。
浮き世離れした縦巻きロールのお嬢様で、あだ名は「姫」……。
イケメンのBF(取巻き)が居たが、何をどうとち狂ったのか永沢に狂おしく惚れる。惚れた理由は好みだった、かっこいい一面を見た、といった普通のものではなく中学生特有の痛い妄想
作中一の妄想狂で、ツンデレな上にマゾ願望があり、
背徳的な内容の文学作品(『麗しき令嬢の過ち(エロ小説)』)の主人公に自らをなぞらえ「汚い永沢に汚されたい」と云う危ない願望を抱く。
最終的に作中で一番「不幸」←(笑)になった人。
逆輸入されたアニメの『ちびまる子ちゃん』ではまだまとも(名前のみは古くに登場している)。
…どころか、『ちびまる子ちゃん』の作風の変化に伴い真っ当に永沢とラブコメするようになる
まだ目覚めてないので永沢のかっこいい一面を見て株を急上昇させる場面すらある。どうしてこうなった

  • 野口笑子
「霊」と囁かれる、クラス一暗い女の子。
本作から同時進行で『ちびまる子ちゃん』にも登場。
違う中学に進んだが、まる子との「地味な友情」は変わっていないらしい。
修学旅行を抜け出して「なんば花月」に行く程の筋金入りのお笑い好き。
平井のチンピラぶりに惹かれるが、同じお笑い好きの永沢の気持ちには気付かなかった。

  • 堀こずえ
クラス一の清楚な美少女で、後半の修学旅行の巻に唐突に登場後、一気にヒロインの座を勝ち取った。
花輪くんに憧れていたが、修学旅行で行動を共にして以来、藤木に惚れる。
本人が奥手な性格の為か直接藤木に想いを告げる事が出来ず、結局は自分を含む全員が失恋するハメになってしまった。
ある意味一番の悪女。
野口さんとは小学校時代からの親友らしく、彼女を「のぐちん」と呼ぶ。
その癖、修学旅行では一緒の班になっていないが、恐らくは野口さん自身が遠慮(自分の目的もあったので)したのだろう。
バレンタインに藤木にチョコレートを贈った「K.H」かどうかは……不明。




【余談】

『バカ山バカ太郎先生』は絶賛未完。

予告された「ボンバーコミックス」3号も未発表である。

ノムォコ・ソクゥラ先生(外人)のペンネームは友人である歌手のカヒミ・カリィにあやかって名付けられたと思われる。

『ちびまる子ちゃん』本編の14巻でこの作品の名前が出てきたことがある。
学校のスポーツテストでいいところを見せた小杉と永沢が完全に調子に乗り、
「もうこの漫画のタイトル『小杉君』でよくねえ?」
「いや『永沢君』の方がいい」(「りぼん向きではない」と地の文からツッコミが入った)
などと言い合うというもの。

様々な悪条件が重なっていいとこなしだったまる子は
「何と言われようが主人公はあたしだよ。『ちびまる子ちゃん』なんだからさ…。」というメタ発言で切り返すも、
キートン山田に「それもしばらくお休みである…。」と告げられてしまうのである。
そう、このやりとりは通常連載最終回のラスト2ページでのことなのである。
(一応「エッセイなどの執筆活動に専念したいのでちょっと中断する」とは書いてあったものの、さくら氏の身辺がそれどころじゃなくなってきたため実質連載終了。以降は不定期掲載のみ。「ちびまる子ちゃん」は主役を乗っ取られた状態で終了していたのである)


※■城ヶ崎姫子の妄想■


麗しき令嬢の私は、
とびきりステキな男と結婚するの……
そして、お城のような家に住むのよ。


その家の庭のすみで、犬の世話をしているのが、永沢……犬の世話をしながら、私の方をものほしげに見るあいつ……。

私は蝶のように舞いながら毎日、永沢を挑発するの……


「あら!?永沢ったら汚れた顔がステキよっ!!」


そのたびに永沢は腐った魚のような目で私を見るの……



そして……主人のいない
ある晩、ついに……

「キャアア!!永沢っ、何をするのっ!!」


永沢……追記、修正してちょうだい……」←足。


私は、「いやよ、いやよ」と言いながら……

永沢に堕ちてゆく天使……

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最終更新:2024年01月09日 20:37