ジャミトフ・ハイマン

登録日 :2012/01/09(月) 15:12:32
更新日 : 2017/09/07 Thu 09:08:47
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「わしだって大量殺戮者の汚名は着たくはないが。武闘派と言う輩は、宇宙が砂漠化しても生きていけると思っているようだな」




ジャミトフ・ハイマンは「機動戦士Ζガンダム」の登場人物。
CV:TV版前半:池田勝、TV版後半・劇場版0083版:西村知道
地球連邦軍独立組織「ティターンズ」の創始者にして最高司令官。階級は大将。

宇宙暦0087に発生した「グリプス戦役」において、主に政治面でティターンズを戦役終盤まで支え続けた。




■[来歴]■

地球連邦軍人として、主に軍政においての能力を見出されキャリアを重ねる。
宇宙世紀0083の時点ではコリニー大将の部下で、軍財務高官として准将の地位にあった。

0083に発生した「デラーズ紛争」を最大限に利用し、軍内部の穏健派を粛清したり、対抗派閥の弱体化を図った。
更に 「ジオン残党の脅威」という虚像を拡大することで 自己の権限を拡大。ジオン残党討伐という名目の元、自らの私兵部隊であるティターンズを創設する。
もっともデラーズ紛争、アクシズ勢力、後のシャア率いる第二次ネオジオンなどの大きな勢力が台頭してきたり、
その他にも地球・コロニー・月・火星など、いたるところにジオン残党が潜んでいる…
というかメタ的に言うと後付けでホイホイジオン勢力を増やしていったためにかなりの勢力が残存していることになり、実際には虚像というわけではないのだが。

ちなみに後にエゥーゴのブレックスらはティターンズを 「ジャミトフの私兵」 と非難しているが、
エゥーゴとて元は ブレックスやカーバイン会長の私兵 であり、その腹心であったクワトロことシャア・アズナブル自らの私兵集団である新生ネオジオン を結成していること等を鑑みるに、この点に関してはどっちもどっちだったりする。
まあ正義とかどうとかよりも、ここらは政治的主張とかそういうものだろう。

ティターンズ創設から後は、部隊の指揮・運営を腹心であるバスク・オム大佐に一任し、自らはティターンズの権限拡大のために連邦議会における政治活動に専念する。
が、バスクは彼の思惑を超えて暴走、30バンチ事件などのコロニー住民に対する虐殺行為を始め、数々の暴挙を行うに至り、ジャミトフはその隠蔽工作などの対処に忙殺されることになる。
その後もバスクを含めた現場指揮官の独断専行を許してしまう事態となってしまう。
グリプス戦役終盤には 作戦計画を事後通達で知らされる という始末で、ジャミトフはティターンズの指揮権を事実上乗っ取られていた。
バスクにその意図があったかどうかは不明だが(※シロッコは明確に狙っていた)、ジャミトフからすると革命を起こされた形である。

バスクらが行った毒ガス作戦などのコロニー住民に対する大虐殺に対しては むしろ苦々しさすら覚えており 、その暴走を牽制する意味で「木星帰りの男」パプテマス・シロッコを登用した。
シロッコの危険性に気付いていたにも関わらず重用せざるを得なかったのは、
自業自得とは言えもはや自らの手では暴走を止めることができなかったことと、信用に足る優秀な部下がいなかった為である。

グリプス戦役においてもバスクらの起こしたジャブローの核自爆やグラナダに対するコロニー落としと言った暴挙をもほぼ完全に隠蔽。
さらにそれを利用してティターンズの権限を拡大。地球連邦軍全軍を指揮下に置くことに成功するも 、エゥーゴの反攻によって地球における拠点を次々に喪失していく。
もちろんこのような悪事によって更に反感は増していった。

そしてエゥーゴ代表となったクワトロ・バジーナ大尉による「ダカール演説」が為された時、その対処が後手に回ったことで連邦内でのティターンズの立場は著しく悪化。
反地球連邦組織 のエゥーゴが連邦と合体し(題目はあれだが内実は 連邦内のスペースノイドを中心とした組織 なのでおかしくはない)、逆に地球連邦の極右勢力にしてエリート部隊だったティターンズは逆賊として扱われることになる。
やっていることが余りにも酷すぎたので連邦の腐敗やジャミトフの真意どうこう以前の問題で、一旦バレてしまっては当然の流れである。

その後、地球最大の拠点であったキリマンジャロ基地を喪失するに至り、宇宙へと移動。
ゼダンの門においては指揮を執るが、ティターンズ発足後は前線に出る事がなかったことも相まって、
既に宇宙における部隊指揮権はバスクとシロッコによって掌握されており、 神輿程度にしかならなかった。

最終的にはグワダンにおけるエゥーゴ、アクシズとの三者会談に臨み、そこで発生した騒乱に乗じてシロッコに謀殺された。


指導者を失ったティターンズは以後、更にバスクを謀殺したシロッコの私兵集団と化し、連邦内での立場を完全に喪失したことによって所属的にはただの武装集団となった。
当然のことだが、これは政治的な動きによるもので、ティターンズ兵個々の理念がそれに応じて変化したわけではなく、この動きに関する思いは個々によって異なる。

そして宇宙世紀0088年2月20日。

グリプスⅡ周辺で行われた最終決戦においてシロッコは戦死。
ティターンズ艦隊もほぼ壊滅したことで、ティターンズの名はジャミトフを追うかのように歴史から姿を消した。



■[人物・能力]■

軍政家として短期的に見れば正に宇宙世紀に名を残す逸物。
ティターンズが創設から僅か、8年の間に地球連邦軍全軍をその指揮権におくことに成功したのは、偏に彼の政治力の高さを示すものであろう。

一方で狂信的な地球至上主義者であったが、その崇拝の対象は一般的なティターンズ将兵の様な 「地球連邦」 ではなく 「地球そのもの」 であり、
彼の最終的な目的は
「その強大な権力を行使することで地球に巣食う特権階級(要するに地球連邦のこと)の粛清と地球人類の強制的な宇宙への移住」 であったらしい。

一年戦争による地球の荒廃を真剣に憂いており、少なくともブレックスの言うような、
「宇宙酔いが怖いという言い訳で既得権益にしがみ付く」連邦政府の高官 とは一応一線を画したものではあった。
当然ながらこのような主義主張を連邦に属しながら馬鹿正直に掲げているわけがないので、勘違いされて当然である。
これはTV放送の視聴者も知る機会はほぼなく、ゲームで描かれるまではマイナーな小説版に載っていた程度の裏設定。

後に「アクシズを落として地球環境を破壊し、全人類を強制移住させる」計画を立案、実行に移したキャスバル・レム・ダイクンと奇しくも似た思想だとはいえる(あちらはアムロと戦う動機付け、あるいはついでみたいな真意だが…)。

そのため、ジャミトフ自身は「地球連邦政府」や「連邦軍」に対しては何ら価値を見出しておらず、むしろ腐敗しきった両者に対して嫌悪すらしていた。
その観点だけ見れば後にアクシズと同盟を模索したこともおかしくはないのだが、彼が表向き掲げていた主張と反するものであったことは間違いない。
当然周りから見れば完全に苦し紛れの行動としか取られなかった…というよりも事実ティターンズが一方的に崩壊する瀬戸際だったための苦し紛れの行動だった。
尚、軍も政府も嫌悪していたが、ゼダンの門の一件では自身よりも部下の安否を気遣うなど、政治家としてではなく個人としての性格は決して悪くはない。
デラーズ紛争においては意図的に逃げ道を作っておいて、相手の行動を予測しやすくすることを考えるなど戦略的視野も決して狭くはない。

ただし、いくら真意が知られるとまずいだとか戦略的観点から動いていたとかの理屈はあれど、彼の真意もやり方も非常に独善的であり、
また、非人道的ではないにしても部下や戦場などへの配慮もほぼないため(盤面のコマ的な扱い)、政治・軍事の両方面で人望が無くなっていってしまった。
ティターンズの所業についてもバスクの暴走が最も大きかったとは言え、問題のある人物であることは分かっていたはずなのに彼を重用したこともまた責任転嫁出来ないところである。
というよりも 自身の想定以上に バスクが暴走しただけであり、自身の秘めた計画からバスクの暴走そのものは織り込み済みだったはずであるため、
そこからしてもティターンズの暴走と彼の真意が無関係だったとはとてもじゃないが言えない。


一応地球での政治活動が忙しかったということもあるのだが、ただでさえ難しい計画なのに信頼できる部下が一人も居ないのでは *1 、計画通りにいかないことは当然である。


また、その最後においてもシロッコに不信感を抱いておきながら、
少数の護衛しかつけずに彼をも連れていって三者会談に臨んだのは、少したかをくくり過ぎていた(今の自分を殺せるはずがない、という)面がある。
所詮歴史の傍観者でしかない視聴者の感想とはいえ、もう少し警戒するべきであったと思うのは、筆者だけであろうか。

彼の思い描く理想が彼の思った通りの過程で歩めば、ここまでの悪人扱いはされなかったかもしれない…。
だが感情論では当然として、感情論をなるべく排しても彼の下で行われた行為は非難が多い。
また、彼の思惑は兵士どころか一般市民すらもとことん無視したもの (人を無理やり地球から追い出す) なので、
結局のところ彼の真意が公になる&理想通りの流れになっていたとしても非難はまぬがれなかったと思われる。







■[ゲーム・その他]■

『ギレンの野望シリーズ』では、原作における政治的な出番や、大きな軍事組織の総大将をやってた事からか
第一作のSS版から、条件を満たせば歴史を前倒して、一年戦争中にティターンズ結成を成し遂げる。
ちなみにこの一作目、友人関係ということなのか何なのかは不明だがバスクがジャミトフとタメ口で会話しており
かなりレアなやり取りをしている…次回作の系譜以降修正された。
一見するとスペースノイド蔑視の典型的なアースノイドのような台詞が目立つが、ティターンズモードのエンディングでは
シロッコ等が作中で語っていたジャミトフ本来の思惑であろう政策が実施され、かなり衝撃的な結末を迎える。

外伝作である『蒼き星の覇者』では、ジオン観点のゲームであるが故に話の途中で連邦がジオンに敗北するのだが、
その後連邦軍残党がタカ派(ジャミトフ)とそれに同調しないハト派(レビル)に分裂する。
マ・クベ編では選択次第ではジャミトフとその一派を仲間にすることができる。 *2

『アクシズの脅威&V』では、グリプス戦役のシナリオが強化されており、原作におけるジャミトフに近い台詞が多い。
選択や行動次第では「バスクの危ない提案を悉く蹴り、シロッコの機嫌を取って、バスクを排除し *3 、アライメントをロウで維持することで、戦後の隠居を撤回して自身のために甲斐甲斐しく白ッコと共に世直しをする」
という、あらゆるジャミトフの中でも凄まじいハッピーエンドを迎えることができる。

ギレンの野望シリーズのアニメーションにも割と登場し、初代からのティターンズ結成から始まり、
歴史戦記的な描写の多い『独立戦争記』のアニメでは準レギュラーと言っても過言ではないぐらい登場する。
このように、あまり話題にならないが、ギレンの野望シリーズでは準主役と言っても過言ではない出番と活躍を見せる。

『スーパーロボット大戦』では属している組織の関係上、プレイヤー部隊の上役や別組織において、その政治的な能力で立ち回る。
プレイヤー部隊を立場的に追い込んだりして、途中まではとんとん拍子に事が運ぶのだが、
最終的には何らかの要因で立場が危うくなり、そのまま暗殺されたり戦死したりするのがデフォである。
作品によって、性格や言動、活躍度がまちまちであり、銀河規模に話が膨らんでいる情勢が見えずにただの悪党と化してるものから、
侵略された地球を救うための試行錯誤や思案の描写が多いものまで様々である。
ジャミトフファンにお勧めなのは64。
『GC・XO』『OE』のように、「悪さをしようとしたので阻止され逮捕、そのままフェードアウト」とかいう扱いを受けたことも。


ビジュアルブック『MSグラフィカ』にもバスクと共にチラッと登場。




「「わしだって荒らしの汚名は着たくはないが。Wiki籠りと言う輩は、アニヲタwikiでアク禁をくらっても追記・修正できると思っているようだな」

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