改造(ゲーム)

登録日:2011/05/03 Tue 20:48:47
更新日:2024/02/08 Thu 15:52:42
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ゲームの楽しみ方は人それぞれである。
通常プレイ以外にも所謂縛りプレイをしたり脇道にそれてばかりのプレイをしたりと多種多様な楽しみ方がある。

何れも決められたルールの中でプレイするという共通点があるのだが、中にはその「ルール」自体を変えてプレイしてしまう人までいる。
その「ルール」というシステムやデータを書き換える行為のことを改造と呼ぶ。
なお、データ書き換えでもディスクシステムのようなものは「ルール」を別の正規のものと変えているだけなので改造ではない。

◆改造とは

前述の通りゲームのデータ自体を解析ツールや改造専用ツールなどの外部ツールを利用する事で書き換える行為の事であり、
文字通りシステムなどを改めて造りかえてしまう。

これは外部ツールやインターネット、PCの普及により現代ではゲームの改造はかなり多種多様に渡っており、
その為インターネットを利用するゲームユーザーにとってはよく聞く言葉になっているのではないだろうか。

オンラインゲームでよく問題になる「チート」も洋ゲーによくある「MOD」も改造の一種と言えるが、
日本では「改造=チート」という認識が強い。
また、ハックロムもゲームを改造した物である。

改造は自己責任で行う物であり、使用方法によって規約違反や違法行為に該当する場合もある。
メリット・デメリットを理解していないのなら使用しない方が無難。
高難易度のゲームを楽に進めたり、一味違う遊び方が出来る一方で、
データが破損したり、イベントに参加不可になったり、 使い方次第で逮捕される といった問題点もある。
その為、人によって是非が強く別れ、肯定派・否定派の激しい論争が繰り広げられる事が多い。

改造したゲームをプレイする事をそのまま「改造プレイ」と呼ぶ。

MOD・バグ・裏技乱数調整・解析等と混同される事もあるが、どれも全くの別物である。
それぞれの違いは以下の通り。

名称 解説
チート 外部ツールを使用しデータを直接改ざんする行為。
多くのゲームが規約で禁止しており、使用方法によっては違法行為に該当する。
MOD 外部ツールを使用しデータを直接改ざんする行為であり、チートとの境界は曖昧。
(「チートはMODの一種」又は「MODはチートの一種」する考えもある)
グラフィックを変更したり、ルールを追加するといった、ゲームを拡張するために使用されることが多い。
こちらも使用方法によっては違法行為に該当する反面、作品によっては「公式でMODの使用を許可」「MODから公式のコンテンツになった」という例もある(海外のゲームに顕著)。
パッチ 主にバグや設定ミスの修正プログラム。
データを直接改ざんする行為であるが、主に公式によって提供されるものを指す。
稀に非公式の物(有志による物)もあり、そうした物は「チート」や「MOD」との境界線が曖昧である。
バグ プログラムのミスによって想定外の動作が起こる事。原則として外部ツールは関係ない。
バグを利用してデータを改ざんする手段が存在するゲームも存在するが、チートとは外部ツールの有無で分けられるのが主流である。
コンシューマーゲームでは稀であるが、バグを意図的に利用することが規約で禁止されている場合もある。
ラグ 通信回線の問題によって想定外の動作が起こる事。
周辺機器の影響といえるが、データが改ざんされる事はない。
裏技 仕様の穴をついたりバグを利用した遊び方。時には(公式チート等の)隠し要素を用いるものも含まれる。
原則として外部ツールは必要としない。
乱数調整 一定手順を踏む一連の操作により、特定のランダム要素に対して狙い通りの効果を得る行為。
乱数の解析に外部ツールが必要になるが、データを直接改ざんしない点でチートとは異なる。
公式チート データを直接改ざんする行為であるが、公式から用意された物であるという点で異なる。
実際に導入しているゲームは少ない。
解析 リバースエンジニアリング又は人力の作業によってプログラムやマスクデータを調べる事。
データを直接改ざんするものではないが、規約で禁止されている場合もある。
リバースエンジニアリングは法律的にもグレーゾーン。
マクロ 外部ツールを使って作業を自動化又は高速化する事(例を挙げると連射ボタン等)。
データを直接改ざんするものではないが、規約で禁止されている場合もある。
バランスブレイカー 予め用意されている要素ながらゲームバランスを著しく崩す物。
設定ミスや調整不足の場合が多いが、やり込みへのご褒美や初心者救済として意図的に導入されている場合もある。
大会やローカルルールで禁止されることもあるが、バランスブレイカー自体に違法性はない*1
ハードウェアチート(デバイスチート) 連射機能付きのゲームパッドを使用したり、モニターの中心に印を付けるなど、ゲームを有利にする機能が付いた周辺機器を使用する(または周辺機器を加工する)行為。
プログラムを改ざんする行為ではないが、プレイヤー間の格差を生む行為として嫌う人も少なくなく、利用規約で使用(および周辺機器の加工)禁止の場合もある。
プレイ環境が十人十色なPCゲームでは、どこからがハードウェアチートに含まれるかは、人によって意見が異なる。
人力では困難な連射速度などを検知する機能が付いているゲームも存在する。


◆違法性

場合よっては違法行為として取り締まられる

現行法では自分の購入した完全オフラインゲームであれば改造自体はグレーゾーン(自分の買った本や絵に書き込みするようなもの)との認識が一般的。
…だが、著作物の「同一性の保持」の侵害に当てはまるという指摘もあり、実際に訴訟沙汰になった事例もある。
特に改造データの販売・頒布は著作権法違反となる判例が確立している(三國志事件・ときめきメモリアル事件など)。
オフラインでのチートも、著作権やモラルに反する場合は取り締まられる可能性があるので、
動画サイトで公開したり、SNSで公言する行為は相応のリスクが伴う。

また、 オンラインゲーム(ソーシャルゲーム含む)でのチートの使用は紛れもない違法行為であり
電磁的記録不正作出及び供用罪 」や「 電子計算機損壊等業務妨害罪 」に問われる。
近年では 実際に相当な数が摘発されている ので絶対にしてはいけない。
ちなみにチートを利用したデータをオンラインに繋ぐのもご法度*2

そもそも、違法性以前に多くのオンラインゲームにおいてチートは規約違反行為であり、アカウント停止や隔離などの罰則を免れる事は出来ない。
特にオンラインゲームのサーバーは24時間監視されている為、チートの使用は100%バレる
ソロプレイでも、サーバーと通信しているゲームでは、チートを使用してはいけない。

更に2018年12月に不正競争防止法が改正され、 「改造ツールの販売、譲渡」と「データやハードの改造代行」も違法となった
実際に オフラインゲームで使用できる改造ツールを提供した人物が書類送検・逮捕された事例も増えている
かつては改造ツールが大手家電量販店で堂々と販売されていたが、こちらも法改正によって姿を消した''。
一般人がオークションやフリマアプリで中古販売することも違法となるので注意

なお、MODを公認している作品ではこの限りではない。
もしくは、ソースコードそのものを公開しており改造も自由というオープンソースな作品もある。古典的なフリーゲーム(例:NetHackやAngbandシリーズ)等にみられる形式。
いずれにしても、MODの作成・導入に関する規約をしっかりと確認し自己責任で使用すること。
ただし、他者の著作物(無関係な作品のイラストや音楽など)や商標権などを無断使用していたり、ゲームの動作やハードに悪影響を与えるMODは取り締まられる可能性もある。
MODの導入を公認していない作品の場合は、チートと同様の扱いを受けると言っていい。
MODが認められている作品でも不特定多数と接続するオンラインでは使用が制限されている場合がある(自由に使えるのは他者に影響を与えないグラフィック系位)。


◆問題とされる点・批判される点

グレーゾーンな行為である以上、上述の違法性を除いても問題点も多く存在している。
チートの使用には否定的なメーカーが多く、古今東西問わずオンラインゲームに関してはアカウント停止等の厳しい措置がされる。
ただし、MODに関しては海外を中心に容認するメーカーも多い*3

以上の事を前提として記載する。


  • 対戦ゲームでの使用
昨今のチート問題でもっとも嫌われる点といっても過言ではない。

改造キャラ、つまり正攻法ではどうあっても相手が勝てないキャラで勝負する以上当然問題が起こってしまう。
普通は対戦ゲームは勝つためにするものであるからだ。
そして本来それは一般的には対等なルールと条件に則ってこそのものであるのだ。
スポーツと同じくルールが存在している以上、ルール違反を犯せば非難が起きるのは事実であり当然である。

それ故に対戦ゲームでのチート対策は非常に重要な物であり、チート対策の質が作品の評価に影響する場合もある。
現状では、多くのゲームでいたちごっこが続いており、大きな問題となっている。


  • 大会などのイベントに出場出来なくなる
やりこみ派のプレイヤーにとっては重要な点である。
データ破損の危険性や対戦での公平性の維持等の理由からから、改造データや改造で数値を弄ったキャラクターはイベントでは使用できない。
もし、改造の使用が発覚した場合、優勝者であっても受賞資格の取り消しなどの厳しい措置が取られる。
なお、改造で弄った場合は 数値が正規の範囲であっても許されることは絶対にない
非公式のイベント(オフ会等)でも改造使用者は参加禁止の場合もあるので注意。


  • サーバーへの負荷
通常とは異なる挙動によって、サーバーに大きな負荷を与える恐れがある。
そのため、同じサーバに接続している人に対して、(データに影響を与えずとも)悪影響を及ぼす可能性がある。


  • データの破損・故障の危険性
改造によってデータが欠損したり異常をきたす場合がある。
改造によってデータが破損しても保証を受ける事はできない。
MODを許可している作品に関しても自己責任で使用する事。


  • 制作者への礼儀の問題
ゲームはスタッフの「努力」や「思い」といったものが込められている「作品」でもある。
その「作品」を改造で滅茶苦茶にするのは、スタッフに対して礼儀を欠く行為であるという意見は根強い。
(仮にコピーなどだとしても)他人が描いた絵に無断で落書きして台無しするような行為 と例えれば、イメージが伝わるだろうか。


  • 良心やモラルの欠如
改造は違法行為にもなり得るグレーゾーンの行為であるのだが、
それは蔓延したりそれが当たり前の風潮になれば間違いなく罪悪感が薄れていく。
改造を行うユーザーが「皆がやっているから別にいい」と思うようになったり、
誰かに非難されたら「皆やってるのに俺だけ非難するのかよ」と開き直ったりする場合もある。

データ交換できるゲームを例に出して考えれば、交換で誰かに改造データを送ったとしよう。
その後、相手が交換を繰り返しどこかで知らない子が知らず受け取ったとすればその子はもう公式戦に出れない危険性がある。

このように最初は身内だけで遊んでいても意識の緩みから第3者に迷惑がかかる恐れまで起きるのだ。

自転車の二人乗りで例えるとわかりやすいだろうか。
本人(身内)達の意識にはないが、道路を走っている人や車(他のユーザー)は他にもおり、注意しなければいけない点が個々にあるのだ。

個人で楽しんだり理解のある身内でやるのは理解される事もある。
友達遊びに「俺ルール」を使うと思えば解りやすい。だが、「ルールが正確に適用されない」のはやはり問題である。


◆改造のプラスとされる点

上記の部分を「利点」と書かないのは、今まで散々書いてきたように、法に触れる可能性のある行為である為。

  • 自己満足
自己満足と書くと悪いイメージを持たれやすいが実際はそうではなく自分や身内が楽しむ為だけに使用されるもの。
例えば作るだけで満足したり友達と楽しむ為だけにそのゲームを使用するなど。


  • 効率化
ステータスを上げたり(無敵にする場合も)、ゲームの速度を上昇させる事でクリアまでの時間を短縮する。
育成の時間を省いてストーリーを追ったり、クリアできない高難度イベントをスキップする目的が多いか。
ゲームの改善もこのパターンと言えるだろう。


  • 難易度を変える
主に難易度を下げる為に利用されるが、逆に難易度を上げて遊ぶ人もいる。


  • ゲームの拡張
MOD開発が盛んなゲームであれに見られるが、大型DLCや別ゲーといっても過言ではないほどの大作もあり、別の作品として販売されたケースもある。


  • ウケ狙い
キャラクターの巨大化や本来敵が出ないステージで敵と戦うなど、通常ではありえない挙動を起こしウケを狙う。
主に動画サイトなどのプレイ動画や所謂「MAD」造りの素材として利用される。
ただし、後述の著作権には注意する事。
チート扱いされる物もあれば、MODとして扱われる物もある。


  • 既に終了したネット限定、期間限定配信の内容を後発プレイでも得られる
例えばニンテンドーDSのゲーム作品。
2023年現在では既にDS作品はネットを使用したサービスは受けられなくなっており、今からDSのゲームを遊ぶにしてもオンラインコンテンツは使用できない。
にもかかわらず、それらを前提としたデータやアイテムがある場合、今からではもう手に入らない。
アイテムならまだしも、ストーリーの場合もある。
それらのデータが「ソフト内部に」最初から仕込まれていた場合は改造によって強引に使えるように、遊べるようにしてしまおう、というもの。

当時リアルタイムでプレイしていなければそのゲームを完全に楽しむことができない、という設計上の問題でもある(要は未来に補填措置を一切考慮していない)のだが、これへの対策として改造を行う。
バグや裏技でどうにかなるものも中にはあるが、普通は改造でなければ手出しできない領域であるため改造で対処される。


◆主な改造の例

  • 数値の書き換え
キャラクターの能力値や武器の数値を変更する、自機を無敵にする、アイテムを増やす、条件を満たさずに隠し要素を解禁する等。
一般的に改造と言えばこれを指す


  • 登場人物やキャラクターを改変する
登場人物の一部、もしくは全体を別キャラ、別グラフィックに変更したり、新たなキャラを登場させる。
楽しみ方の例を挙げると脇役などの思いもかけない人物を主役ポジションに変更する事で見た人に「お前が主人公かいッ!!?」とツッコんでもらう楽しみ方がある。
MODが容認されているゲームでは一般的な物となっている。


  • 文章を改変する
上記とは別に登場人物の台詞や名前などを改変する。MODが容認されているゲームでは一般的である。


  • BGMの変更・追加
BGMを差し替えたり、新たなBGMを追加したりする。こちらもMODが容認されている作品ではそこそこ見られる。


  • ゲームの拡張・改良
新たなステージを追加したりUIを変える。こちらもMODが容認されているゲームでは一般的で公式に採用された事例もある。



肯定派も否定派もやはり相応の言い分がある。中立的に追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年02月08日 15:52

*1 これらでの禁止も、違法性ではなく公平性の問題

*2 例を挙げるなら、改造で作ったポケモンを使ってオンライン対戦に参加するなど。

*3 国産ゲームでもPC版ではMODが作られているが、データの改変を許可していない作品では使用しない方が無難である。